セールステックとは「Sales」と「Technology」の造語です。
テクノロジーを活用して営業活動を効率化することをいいます。
日本ではまだ馴染みが薄いですが海外では既にスタートアップ企業を中心に広がっているビジネス戦略です。
アナログだった領域を、テクノロジーを使い活性化させ収益に結び付ける動きに注目しましょう。
今回はセールステックの市場規模を解説しながら具体的対策もご紹介します。
目次
セールステックの特徴
セールステックとはITを活用して営業活動の生産性や効率化アップを図る手法です。
限られたリソースで行う従来型の営業活動には限界があります。
そこで最新のテクノロジーを導入し、従来の営業領域を広げて顧客獲得を目指すのがセールステックの目的です。
例えばCRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)などがあげられます。
こうした管理システムを活用し、人間が対応すべき領域とITツールで賄える領域を分けることで経済活動が広げられるのです。
欧米では既に定着しているセールステックですがようやく日本でも注目され始めました。
セールステックを導入すれば営業プロセスや顧客の行動が可視化できるためさまざまなアプローチが可能になります。
セールステック導入で期待できることは以下の通りです。
- 人手不足や働き方改革への対応
- 営業活動の一元化
働き方改革が浸透する中、ワークライフバランスの重要性が叫ばれ残業削減が求められています。
少子高齢化が進む日本では労働人口の減少に対する対策も近々の課題です。
こした環境下でセールステックを導入すれば、限られた社員数でも顧客のニーズに合った営業活動が続けられます。
ITテクノロジーが営業領域をカバーしてくれるのです。
またセールステックにより営業活動を一元化し、可視化できます。
見込み顧客・潜在顧客・新規顧客を分類し、それぞれに応じたアプローチが効率的にできるようになります。
特に規模の大きな企業は営業とマーケティングを分けているケースが少なくありません。
しかし、セールステックで一元管理できればさらに効率的に営業活動ができるでしょう。
マーケティング戦略の事例はこちら
セールステックの市場規模
活発化してきているセールステックですが拡大している市場規模について解説します。
国内の市場規模
セールステックの全体を示す国内市場規模のデータはありませんが、CRMとMAの国内市場規模データを紹介しましょう。
まずCRMの国内規模は2018年では1,572億1,400万円でしたが、2023年には2,079億8,000万円になると予想されています。
MAの国内規模は、2018年は390億円で2024年には940億円になるといわれています。
調査会社によって予想規模には若干の差がありますが、どのデータも拡大基調は変わらないことが証明されているのです。
CRMは必要に応じて、顧客が過去に一体どんな製品・サービスを購入したかなど過去の情報を分析し最適な提案を実現します。
MAは複数チャネルにわたる見込み顧客の行動をトラッキングして1to1ビジネスを自動化するものです。
世界の市場規模
既に定着しつつある世界の市場規模ですが、CRMの方では2017年は前年比15.5%増、421億ドルとなっています。
MAの方では2019年は33億ドルでしたが2024年には64億ドルまで成長すると予想されています。
海外でも日本同様に業務の効率化が求められ、営業とマーケティングの一貫性が重要視されているのです。
マーケティング戦略の事例はこちら
国内でのセールステック市場は伸び悩む?
セールステックの導入が注目されていますが、実は国内ではセールステックは期待するほど広がらないという意見もあります。
それにはいくつか理由があります。
- 企業のリテラシーが追い付いていかない
- 導入効果が見えにくい
- セールステックツールの価格が企業規模と釣り合わない
欧米に比べ日本でセールステックが浸透しにくいのは企業のリテラシーが低すぎるという指摘があります。
日常業務と並行して導入のための作業工数など現場に負担がかかるため踏み切れない現状があるのです。
また、ツールを導入したからといって収益が上がるとは限りません。
効果が出るのは時間がかかり、効果が感じられないという意見も確かにあるのです。
現状の営業スタイルで十分対応できている企業はあえてセールステックを導入するメリットはないかもしれません。
自社の状況をよく考察してから判断することが大切です。
そして、セールステックツールの販売価格は残念ながら企業規模とマッチしていないのが現状です。
大企業などではメリットがありますが、中小企業になると費用対効果を検証して導入を判断すべきでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
セールステックが注目されている背景
営業分野にITテクノロジーを取り入れたセールステックはどうして注目されるのでしょうか。
その背景について考察していきます。
業務効率の向上
セールステックが注目される最大の理由はテクノロジーの発達でしょう。
AIやクラウドが登場し企業の現場もこうしたテクノロジーを導入しなければ業務の効率化・収益化に繋がらない時代になったのです。
営業分野では特に人海戦術を駆使してこれまでやってきました。
確かにある一定の効果はありましたが、担当者によって成績がばらばらでかつ担当者1人1人の負担が増大していました。
これでは収益も安定しません。
顧客をターゲティングしてそれぞれに応じた営業を行わなければ、営業は徒労に終わる可能性があります。
営業とマーケティングの一貫性
大企業になると営業とマーケティングが完全に別の部署として分かれている場合があります。
どうしても部署が分かれることで情報のシェアが怠りがちになるのです。
しかし、この2つの部署がばらばらに動いていては効率的にも良くありません。
セールステックツールが導入されれば情報の一元管理ができるので、たとえ部署が別でも情報共有は可視化できます。
一貫性のある顧客対応ができることで営業活動も効率的になるでしょう。
両部署がフォローし合うことで顧客満足度にも貢献できます。
営業活動のリソース不足
少子高齢化が進む日本で企業に人口は着実に右肩下がりになります。
それに伴い営業もリソースが足りなくなるのは当然のことです。
従来の足で稼ぐ営業スタイルではいずれ限界が来るでしょう。
セールステックはそうした社会的構造変化に非常にマッチしたテクノロジーなのです。
これからの営業活動はITを賢く活用しながら、ターゲティングされた顧客に合わせたアプローチが収益に繋がるのです。
セールステックのカオスマップ
カオスマップとは特定の業界に絞って、商品やサービスを提供する事業をカテゴライズしたものをいいます。
セールステックのカオスマップはCB Insightsが一般に公開したものがあります。
このカオスマップを見れば世界中の多くの企業が参入しているのが分かるでしょう。
特にオンライン商談が広く行われ、電子契約や稟議書申請など以前は客先まで出向いて行われていた業務がネットで完結するようになったのです。
それに伴うコスト削減も可能になりました。
セールステックのカオスマップは大きく7つの領域に分けられています。
- Sales Enablement & Acceleration
- General CRM
- Customer Experience
- Contact & Communication
- People Development & Coaching
- Intelligent & Analytics
- Customer Support
「Sales Enablement & Acceleration」とは、「営業活動を改善し、最適化するための概念や取り組み」のことを指します。
営業活動を効率化し生産性を上げるためのツールです。
「General CRM」は、顧客管理システムの領域で顧客ごとに追跡管理できるツールであり、営業には欠かせないものです。
「Customer Experience」は、顧客による体感価値を最大にすることを目指します。
Web接客ツールやチャットツールが該当します。
「Contact & Communication」は、顧客とのコミュニケーションの最適化を図るツールです。
コールセンターなど顧客の声を集め商品やサービス向上に役立てています。
「People Development & Coaching」は、人材開発などを指します。
営業担当者の教育やモチベーションの向上を目指すツールやシステムが該当するでしょう。
「Intelligent & Analytics」では、営業上のデータ活用を最大化するソリューションを指します。
「Customer Supportは」、カスタマーサポートを最適化するための領域です。
マーケティング戦略の事例はこちら
押さえておくべきカテゴリー
セールステックで押さえておくべきカテゴリーをいくつか解説します。
マーケティングオートメーション
一般にMAと呼ばれ、コミュニケーションツールとの相性が良いことで知られています。
MAツールは新規顧客獲得やイニシアチブをサポートするツールです。
リード顧客への適切なタイミングでのアプローチに活用されます。
ビジネスインテリジェンス
BIとも呼ばれ、各部署が持つ膨大なデータを集約・分析・加工してビジネス戦略に活かすツールです。
代表的なツールにはオラクルBIがあります。
CRM
「Customer Relationship Management」の略称で、日本語では「顧客関係管理」といいます。
顧客の属性や問い合わせ内容など全ての情報を一元管理するシステムです。
顧客のニーズを分析し、最適な商品やサービスを紹介することができます。
SFA
「Sales Force Automation」の略称で、日本語では「営業支援ツール」といいます。
「営業加速ツール」の1つに分類され、営業活動の記録・進捗状況など営業活動を全面的にサポートするシステムです。
営業担当者の交渉プロセスが可視化できることで社員教育にも利用されます。
オンライン商談システム
オンライン商談システムとは顧客との商談をオンラインで繋いで行うシステムのことです。
社内にいて顧客と交渉ができることから移動時間・コストを抑える効果があります。
録画機能も備わっているためクロージングパターンを社内共有できます。
セールステック活用にあたって求められること
セールステック活用するためにはいくつかポイントを押さえておく必要があります。
ツールの管理者を設ける
セールステックを導入する際は必ず管理者を設けてください。
MAツール・CRM・SFAなどのツールを活用するためにはノウハウや知識が必要です。
実際に使って人にレクチャーできる人材でなければなりません。
また、不具合を起こした際にはメンテナンスも必要なため業者との交渉も行わなければなりません。
ツール導入に伴った業務フローの改善
セールステックは導入すればおしまいでなく、それに伴う業務フローの見直し・改善が欠かせません。
例えば、各種ツールには顧客属性が入力されていますが変更があれば随時修正入力が必要です。
常に最新情報にアップデートしておくことで正確な分析が可能なのです。
また、業務フローの追加・見直しも適宜行っていくことになります。
ツールを使いこなすスキルを身につける
セールステック導入に伴い各種ツールの操作が面倒だと敬遠する営業担当者もいます。
しかし、ツールによっては専門的な知識がなくても利用できるものがあります。
社内研修などを通じてツールを使う環境を用意し、使いこなせるよう訓練することが重要です。
セールステック導入には社員教育が欠かせません。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
セールステックの活用事例
セールステックの活用事例をいくつか見ていきましょう。
- 株式会社ビズリーチ
- キリンビバレッジ株式会社
株式会社ビズリーチでは、Webによるオンライン営業にシフトしました。
これにより困難だった遠隔地との商談も可能になり、47都道府県にまたがる顧客と契約ができました。
全国に広がるキリンビバレッジ株式会社では、社員教育のために動画コンテンツ化に着手しました。
遠隔地にいる社員もこれで一律同じ研修が受けられるようになったのです。
オンラインで研修ができるため移動にかかる時間やコストに削減に大きく貢献しました。
セールステック活用に悩んだ時の対処法
セールステックの市場規模を解説しながら具体的対策を紹介しました。
日本は世界の中でも急速な少子高齢化社会を迎えようとしています。
企業は限られたリソースで事業活動を続けなければなりません。
また、働き方改革で人々のライフスタイルが大きく変化しています。
これまでのように人間が足を使って営業活動をするのは過去のものとなりつつあります。
セールステック導入は避けて通れないといっても過言ではありません。
まだ日本ではセールステックの企業への採用は限られています。
しかし、今後採用が増加すればツールを持っているかどうかで企業の優劣が決まることもあり得ます。
ただ、セールステック導入にはいくつかの課題も指摘されているのです。
また、導入しても使いこなせなくて放置されたままの状態もあります。
セールステック活用に悩んでいる方はデジマクラスにご相談ください。
デジマクラスはこれまでさまざまなマーケティングツールについて企業向けにアドバイスを行ってきた実績があります。
また、導入前後の課題解決にも取り組んできました。
自社にとって最適なツール選び・社員教育・効果検証など一連のプロセスに深くかかわり成果を実証します。
安心してご相談ください。
まとめ
セールステックはITテクノロジーを活用した新しい営業活動です。
さまざまなツールを使い、営業活動における生産性・効率化をこれまで以上に図ります。
セールステックを有効に活用するためには、社員教育を含めた社内の環境整備が欠かせません。
この機会に自社に最適なツールを選んでセールステックにチャレンジして、成長を確かなものにしましょう。