自社の商品やサービスを売り込むターゲットを適切に設定することは、マーケティング戦略における要となります。
この記事ではより正確なターゲティングのために役立つフレームワークをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ターゲットを設定するための重要なステップや、具体的なターゲティング手法についてもあわせて詳しく解説していきます。
目次
ターゲティングに役立つフレームワークを解説
販売戦略としてターゲットを設定することが重要であることは、販売に携わる人間であれば誰しも知っていることでしょう。
しかし、ターゲティングの際にしっかりとポイントを押さえられていなければ、効果的な施策を打つことができません。
今回は、ターゲティングをより説得力のあるものにするために重要なステップや、役に立つフレームワークをご紹介します。
これらを身につけることで、今までよりもさらに正確にターゲットを絞りこむことができるようになるでしょう。
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ターゲティングの重要性
せっかく良い商品やサービスを開発しても、それを必要とする人に届かなければその良さを実感してもらうことはできません。
また、それを求める人がいないところで商売をしても買ってくれる人がおらず、売上にもつながらないでしょう。
つまり、どの市場に向けてアプローチを行うかというのは販売戦略における全ての施策の起点になるのです。
その標的となる市場を選定するためのターゲティングこそが重要であり、ビジネスが成功するかどうかの分かれ目でもあります。
マーケティング戦略の成功にはより精度の高いターゲティングが不可欠なのです。
ターゲティングが必要不可欠な理由
ターゲティングが欠かせない理由について、さらに深掘りしてお伝えしましょう。
前項で触れたように、まずは顧客のニーズにしっかりと対応する必要性が挙げられます。
また、限られた予算の範囲内で効果を最大化することもターゲティングを必要とする理由の1つです。
さらにいえば、ターゲティングを行うことでSNSマーケティングを効果的に活用することも可能になります。
顧客のニーズに対応するため
顧客の性別や年代・職業や趣味嗜好などによって、必要としている商品やサービスは当然違ってきます。
自社の商品やサービスをより歓迎してくれそうな層にアプローチすることで、まずは売上の増加が見込めるでしょう。
そのうえ顧客のニーズに対応しているため満足度が高くなり、口コミなどでこちらの施策以上に宣伝効果も見込まれます。
このように、顧客のニーズに応えて自社の利益を最大化するためには適切なターゲティングが欠かせません。
予算の範囲内で効果を最大化するため
販売戦略のためにいくらでもお金をかけられるという企業はほとんどないでしょう。
必ず利益を出せる予算の範囲内で戦略を打ち出すことが求められます。
そういった状況の中では、できるだけピンポイントに狙いを定めて効果的に施策を実施する必要があるのです。
そのためには、自社の商品やサービスを求めてくれる顧客をしっかりとつかむことが何よりも重要といえるでしょう。
精度の高いターゲティングを行うことで、宣伝や販促のコスト削減にも大きな効果を発揮するのです。
SNSマーケティングのため
今やマーケティングにSNSを使用することは一般的な手法となってきました。
SNS上には膨大なユーザーが存在し、それぞれがさらに大量の情報を発信しています。
その中から欲しい情報を探すのは、砂漠で砂粒を探すような途方もない作業になるでしょう。
ターゲティングに成功して対象のユーザーを絞り込めていれば、欲しい情報の収集がより容易になります。
このようにSNSのビッグデータを活用するためにもターゲティングは不可欠なのです。
ターゲティングが必要不可欠な理由
- 顧客のニーズに対応するため
- 予算の範囲内で効果を最大化するため
- SNSマーケティングのため
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ターゲティングの詳細をチェック
ターゲティングの重要性や必要性についてお伝えしたところで、今度はターゲティングの詳細について見ていきましょう。
ターゲット層を決めるためには、まず大きな市場をある特性を持ったいくつかの層に切り分ける必要があります。
その細分化された層の中から顧客となる層を選択するのがターゲティングです。
そして、ターゲット層を決めたらその層の中でどんな立ち位置を目指すかも分析しなければなりません。
これらの一連の流れについて、次項で詳しくご紹介していきます。
ターゲット設定のために重要なステップ
ターゲット設定のためには「STP分析」という分析手法が用いられることが多いです。
「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の順に進め、それらの頭文字をとってSTPと呼ばれています。
それぞれのステップで行うべき作業について、詳しく見ていきましょう。
セグメンテーション
セグメンテーションとは、市場をある指標で区分して細分化することをいいます。
指標となる属性については、前述のように統計資料に基づくものやビッグデータに基づくものなど様々です。
統計資料に基づくものであれば性別や年代・地理的条件・職業などが挙げられるでしょう。
ビッグデータに基づくものであれば、購買履歴や行動履歴・趣味嗜好などが挙げられます。
また、近年ではソーシャルメディアを使用したユーザー調査も行われており、より実態に即した分析が可能といえるでしょう。
ターゲティング
ターゲティングとは、切り分けられたセグメントの中から、ブランドの方向性と合致する層を選択することです。
市場の規模や競合の参入状況などを注意深く見ながら、顧客のニーズと自社の利益がともに最大化する層を選定していきます。
ただ「売りたい層」というだけでなく、その層に対して効果的なアプローチができるかどうかも重要なポイントです。
最終的にターゲット層を具体的な個人のイメージまで落とし込むことができれば、ターゲットを絞り込めたといえるでしょう。
ポジショニング
狙いをつけたターゲット層の中で、どのような立ち位置でブランドを展開するかを決定するのがポジショニングです。
自社の強みや独自性を競合他社と比較しながら、顧客にとってどのようなポジションをとれば勝ち残れるか戦略を立てます。
この時に重要なことは、「他社より優れている」ことではなく「独自の存在を目指す」ことです。
代替がきかない存在になることで、競争して勝つのではなく競争せずに勝つことが可能になります。
STP分析の3つのステップ
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ポジショニング
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具体的なターゲティング方法
それでは、実際にターゲティングを行う際に使える具体的な手法について見ていきましょう。
ターゲット層を決める際には、セグメントをどのように選定するかによって差別型・無差別型・集中型に分けられます。
それぞれのメリット・デメリットについてしっかりと把握しておきましょう。
セグメントを決める「差別型」
複数のセグメントに対し、それぞれに合った商品やサービスを提供するのがセグメントを決めてアプローチする「差別型」です。
幅広い顧客のニーズに対応することができ、理にかなったアプローチ豊富といえます。
しかし、その分複数の商品展開やマーケティング戦略が必要となるため、販売までのコストが増大してしまうのがデメリットです。
経営資源の豊富な大企業などで取り入れられる傾向にあり、中小企業には難しい戦略といえるでしょう。
セグメントを決めない「無差別型」
セグメントを限定せず、不特定の顧客層に共通した商品やサービスを提供するのが「無差別型」です。
複数のセグメントに対して同一の施策を行うため、差別型と比較してコストを抑えることができます。
しかし、近年の市場の多様化により、1つの方法で複数の顧客層のニーズをとらえることは難しくなってきているのが難点です。
また大きな市場への施策が必要となる点で、やはりこれも中小企業には選択しづらい戦略といえます。
特定のセグメントを決める「集中型」
アプローチするセグメントを決めて、その対象に最適化した商品やサービスを提供するのが「集中型」です。
狙いを絞っているため顧客のニーズにピンポイントで応えやすく、またコストも抑えられるという大きなメリットがあります。
しかしリスクの分散ができないため、効果的な施策を打てなければ利益につながりづらい点がデメリットといえるでしょう。
他の2つの型のように豊富な経営資源を必要としないため、中小企業ではこの手法が多く取り入れられているようです。
「6R」というフレームワークについて
ターゲティングに役立つフレームワークとして、「6R」という手法があります。
以下のRで始まる6つの指標から成り立っている手法です。
- 市場規模(Realistic Scale)
- 顧客の優先順位(Rank)
- 成長性(Rate of Growth)
- 到達可能性(Reach)
- 競合(Rival)
- 測定可能性(Response)
順に詳しく見ていきましょう。
市場規模
市場規模の大小のほか、ビジネスとして成り立つかどうかを判断する指標です。
規模が大きければ売り上げも大きくなりますが、その分競合も多くなり、競争が激しくなる傾向にあります。
逆に小さい規模の市場にしっかり狙いを定めれば、利益は小さくなりますが大きなシェアを得ることが可能です。
利益とシェアのバランスを考え、採算がとれる最大値を入念に分析する必要があります。
顧客の優先順位
顧客にとっての優先順位を分析することで、顧客が関心を持つ要素を自社のブランドに組み込み、訴求力を上げることができます。
あるいは、より自社のブランドが選ばれやすい市場を選定することもできるでしょう。
また波及効果(Ripple Effect)とされることもあり、その場合は影響力のある市場をターゲットにすることを指します。
インフルエンサーが多数存在するなど勢いのある市場や、メディアが注目しやすい市場は波及効果が高いといえるでしょう。
成長性
その市場の現在の規模だけでなく、成長性も重要なファクターといえます。
成長段階にある市場であれば、今後の需要や売り上げの伸びを期待して施策を展開できるでしょう。
逆に、すでに停滞しているか今後の衰退が予想される市場は成長性がないとみなし、参入を避けるといった判断が必要です。
今後伸びそうな市場の見極めに成功すれば、いち早く参入することで先行者利益を得ることも可能になります。
到達可能性
ターゲットがブランドにどのくらい容易に到達できるか、逆に広告や情報がターゲットに届くかどうかの指標を到達可能性といいます。
店舗に行くなどの地理的な要因から、ターゲットに届く広告メディアの選定まで考えた上で市場を決定することが必要です。
到達可能性の低い市場についてはターゲットから外すという選択も必要になるでしょう。
競合
ターゲット内でのシェアを獲得するには、競合の分析が不可欠です。
競合の数や質を注意深く分析し、勝てる要素を洗い出していくことが必要になります。
できれば競合のほとんどいないブルーオーシャンを開拓し、高いシェアから市場を育てていくのが理想的です。
そうでない場合、よほどの独創性がなければ新規参入して高いシェアを獲得するのは難しいといえるでしょう。
測定可能性
施策を打った効果があったかどうか反応を測定するための要素を測定可能性といいます。
どの施策にどれだけの反応があったというデータを蓄積することは重要です。
そのフィードバックによりマーケティング効率をさらに高めることができるため、測定可能性は高いほうが良いとされています。
近年ではソーシャルメディアを活用することも、反応を測定するための重要な手段といえるでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
6RはSTP分析にも役立つ
ここで挙げた6Rは、STP分析をする際にそれぞれのステップの精度を高める目的で活用することができます。
できるだけ多くの条件を満たすセグメントを選定できれば理想的ですが、全てを満たすことはできません。
自社のブランドにとって最良の選択をするために、バランスを考えながらそれぞれの指標を注意深く分析していくことが大切です。
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ターゲットを明らかにすることがマーケティングのポイント
ここまで見てきたように、マーケティング戦略においてはターゲットを明らかにすることが何よりも重要です。
ターゲットを明らかにすることで、マーケティングの戦略の方向性が定まり、効果的な施策を打ち出すことが可能になります。
結果的にそれが顧客のニーズを満たし、マーケティングのコストパフォーマンスも上げることにもつながるでしょう。
マーケティングを成功させるためにも、ぜひここで挙げた手法やポイントを活用してみてください。
まとめ
今回はマーケティングにおけるターゲットの設定について、重要なステップや具体的な手法をお伝えしました。
顧客満足度とブランドの利益を最大化するためには、より正確なターゲティングが不可欠です。
STP分析や6Rの指標を活かし、より効果的なマーケティング戦略を考えてみましょう。