ソーシャルグラフという言葉をご存知でしょうか。ビジネスシーンでも頻繁に使わていますが、正確に意味を答えられる人は多くありません。
ソーシャルグラフとはWeb上における人間関係もしくは結びつきを表す言葉となります。
今後効率的なマーケティングを行う上で、ソーシャルグラフの活用方法を理解しておくことは非常に重要です。
この記事ではソーシャルグラフの活用方法に加え、マーケティングにおける重要性・公開されているソーシャルグラフについて解説します。
目次
ソーシャルグラフの特徴
ソーシャルグラフをマーケティングで活用するには、その言葉の意味・特徴を正確に理解することが不可欠です。
曖昧なままマーケティングに活用しても期待できる成果を得ることはできません。ここではソーシャルグラフの特徴について解説します。
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ソーシャルメディア上の人間関係
ソーシャルグラフはWeb上の人間関係や結びつきを意味し、ソーシャルメディアと非常に相性が良いのが特徴です。
ソーシャルグラフにおける「グラフ」は、グラフ理論における「点と点の結合関係」の意味で解釈されています。
グラフといえば統計・関数の分野における折れ線グラフや棒グラフなどを思い起こしがちですが、しっかりと区別しておきましょう。
mixiやFacebookなどのソーシャルメディアが普及することによって、Web上における人と人のつながりが生まれるようになりました。
匿名性の高いWeb上でリアルな人間関係が生まれたことは非常に画期的なことであり、ビジネスにも大きな影響を与えているのが実情です。
マーケティングに活かすためにも、しっかりとソーシャルグラフの意味と特徴は理解しておきましょう。
米国人プログラマーが提唱
ソーシャルグラフの概念を世界で初めて提唱したのは、米国人プログラマーBrad Fitzpatrick氏です。
2007年に発表された論考「Thoughts on the Social Graph」では「ソーシャルメディアの相互運用」について述べられています。
その後Facebook、X(旧Twitter)、mixiなどのソーシャルメディアが、人と人との結びつきを強めるメディアとして普及したのは周知の事実です。
ソーシャルグラフとインタレストグラフの関係性
インタレストグラフとは趣味・嗜好・興味・関心・主義などを共通項とする人間関係・つながりを表す言葉です。
Web上では主に以下のサービスが、インタレストグラフによる関係性で結び付いているといえます。
- YouTube
- ニコニコ動画
- ヤフー知恵袋
- Wikipedia
- クックパッド
これらのサービスに集まる人は同じ趣味・趣向を持っており、マーケティングの分野では大きな注目を集めているのが現状です。
インタレストグラフとソーシャルグラフは区別して考えられていましたが、最近では「融合」がキーワードとなります。
例えばX(旧Twitter)はソーシャルグラフ系のサービスですが、同じ趣味・興味を持つ人が集まり活性化されているのが実態です。
つまりソーシャルグラフとインタレストグラフが作用し合うソーシャルメディアこそ、マーケティングには重要だといえます。
マーケティングにおけるソーシャルグラフの重要性
インターネットの普及は消費行動に大きな変化を与え、スマートフォンとSNSが大きな鍵を握っています。
現代のマーケティングにおいてソーシャルは欠かせないものですが、その重要性が理解できていないとマーケティングには活かせません。
ここではマーケティングにおけるソーシャルグラフの重要性について考えてみましょう。
消費行動の変化
消費者の消費行動は時代とともに移り変わるのが常識であり、いかにその流れを的確に把握するかが企業価値につながります。
2000年代以前はテレビ・ラジオ・新聞などのマスメディアが消費者の興味・関心を惹く中心的な存在でした。
2000年代にインターネットが普及すると消費者行動は大きな転換期を迎え、インターネットが重要なメディアへと移り変わります。
さらに2010年代になるとスマートフォンとSNS、コンテンツマーケティングへとその中心が移り変わっているのが実情です。
マーケティングにおけるSNSの重要性
スマートフォンとSNSは消費者の消費行動を大きく変化させ、企業も次第に無視できなくなりました。
スマートフォンとSNSによる購買行動を示すのが「VISAS」であり、その流れは以下のとおりです。
- Viral(口コミ):SNSの口コミから商品・サービスを認知する
- Influence(影響):口コミもしくは発信者(インフルエンサー)から影響を受ける
- Sympathy(共感):商品・サービスに共感する
- Action(行動):商品・サービスを購入する
- Share(共有):商品・サービスの評価をSNSに投稿し共有する
スマートフォンとSNSを活用して的確なマーケティングを行うには、「VISAS」の流れをしっかりと理解しておきましょう。
友人からの紹介への信頼度
スマートフォンとSNSでの消費者の購買行動を表す「VISAS」は、まさにソーシャルグラフの考え方の上に成り立っているといえます。
消費者は販売者もしくは開発者の情報よりも口コミ情報に共感を覚える傾向が強いのが特徴です。
つまり、SNS上でつながることで「友人」として認知するようになり、「○○さんの言うことは信用できる」といった心理状況が生まれます。
したがって、ソーシャルグラフを活用して、いかに口コミもしくは発信者から高評価を引き出すかが的確なマーケティングのポイントです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
グラフ理論の考え方
ソーシャルグラフを理解するには、グラフ理論における「ノード」「エッジ」「ハブ」の役目を正しく理解することが不可欠です。
グラフ理論を理解しないままソーシャルグラフをマーケティングに活用しても的外れな結果となるでしょう。
ここでは、グラフ理論における「ノード」「エッジ」「ハブ」の役目について解説します。
「ノード」と「エッジ」
グラフ理論において「ノード」とは「点」を表し、ソーシャルグラフでは「人」を指します。
一方「エッジ」は「線」を表し、ソーシャルグラフでは「つながり」「関係性」といった意味です。
なお、隣接するノードを「隣接関係」と呼び、より関係性が強いことを示します。
また、エッジの長さを「エッジ間距離」と呼び、短くなるほど関係性・つながりが強くなることを理解しておきましょう。
「ハブ」の役目
ノードの中でも多方面にエッジが伸びているものを「ハブ」と呼び、エッジの数が多いほど影響力が強い存在だといえます。
いわゆる「インフルエンサー」などがハブにあたり、マーケティングを行う上でキーパーソンです。
したがって、マーケティングにソーシャルグラフを活用する際には、いかに影響力の強いハブを味方につけるかが重要です。
ソーシャルグラフの活用方法
ソーシャルグラフを適切にマーケティングに活用するには、どういったアプローチが必要でしょうか。
いくらソーシャルグラフの概念を理解していても、活用できなければ意味がありません。
ここでは、ソーシャルグラフのマーケティングへの具体的な活用方法について解説します。
関係性を元にしたコンテンツのレコメンド
レコメンドとは「推薦する」「おすすめする」といった意味で用いられる英単語です。
すなわち、ソーシャルグラフをマーケティングに活用するには、関係性を元にしたコンテンツのレコメンドを行いましょう。
例えばユーザーAが「興味を示した」もしくは「購入した」商品・サービスを隣接関係にあるユーザーBにレコメンドしてもらう手法です。
このときユーザーAが強力なハブであれば、より多くの人々に商品・サービスをレコメンドすることが可能となります。
新規ターゲットの開拓
ソーシャルグラフは、既存の顧客だけではなく新規ターゲットの開拓にも威力を発揮します。
例えばユーザー間の距離は離れていても、つながっている関係性が似通っていれば、強力なソーシャルグラフを構築することが可能です。
また、商品Aにかかるソーシャルグラフであっても、複数のハブが商品Bにつながっている場合、新規ターゲットの開拓につながります。
したがって、ソーシャルグラフをマーケティングに活用する際には「ノード」「エッジ」「ハブ」の詳細な分析が不可欠です。
言い換えれば、表在化している関係性だけではなく、表在化していないソーシャルグラフを見つけることが重要となります。
公開されているソーシャルグラフ
Web上には様々なSNSが展開されており、ソーシャルグラフが構築されています。
マーケティングを効果的に行うには、国内で公開されているソーシャルグラフを把握しておくことが大切です。
ここでは日本国内で公開されてるソーシャルグラフについて、その特徴を具体的に解説します。
mixi
mixiは2004年にサービスが開始されたソーシャルネットワークであり、有効ID数は2,000万人を超えています。
当初は友人からの紹介がないと入会できないルールがあり、まさにソーシャルグラフの先駆けとなったサービスです。
mixiの特徴はIDを所持する2,000万人がそれぞれノードであり、2,000万通りのエッジを持っていることだといえます。
日記や写真などを投稿するとソーシャルグラフを介して、友人に伝わりコミュニケーションが深まる仕組みがmixiです。
このコミュニケーションが繰り返されることで、より高い関心を持つこととなりソーシャルグラフを再利用できるのがメリットだといえます。
Facebookもmixiと同じく2004年にサービスが開始されたソーシャルネットワークであり、日本国内の利用者は2,400万人を超えています。
Facebookの特徴は、リアルな人間関係やつながりをWeb上で再現し交流を深めるサービスである点です。
実名制を採用していることから、リアル世界で交流のない人とつながることが少ない点も大きな特徴だといえます。
Facebookのソーシャルグラフは時間とともに新鮮さを失うことから、「新しい友だちを見つけよう」といったポリシーを発表しました。
この機能をオプトインすることで、常に新しいソーシャルグラフを構築することが可能となります。
ソーシャルグラフ作成に活用できるツール
ソーシャルグラフを作成するには、ツールを利用すると比較的簡単に作成できます。
ソーシャルグラフ作成に活用できるツールは海外ではリリースされていますが、日本語でのサポートはありません。
しかし、日本人ユーザーによるコミュニティなどもありますので参考とすると良いでしょう。
ここでは、ソーシャル作成に活用できる、代表的なツールを紹介します。
Social Network Visualizer
Social Network Visualizerは2017年にリリースされた、ソーシャルネットワークの分析ツールです。
マウスやキーボードを用いて簡単に操作できる上、様々なネットワークファイル形式に対応しています。
簡単な操作で視覚的なソーシャルグラフを作成したい場合、非常に有効な分析ツールです。
NodeXL
NodeXLの特徴はExcel上でソーシャルグラフを描ける点であり、「有料版」と「無料版」があります。
無料版であっても「ソーシャルネットワーク分析機能」「ネットワークの視覚化」が利用可能です。
したがって、まずは無料版を活用して有料版にランクアップすると良いでしょう。
NodeXLのExcelシートにはソーシャルグラフに必要な項目が設定されており、簡単に作成できるのが魅力です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ソーシャルグラフのEコマースでの活用例
ソーシャルグラフを活用したEコマースとして代表的なサービスが「楽天市場」です。
楽天市場では購買情報と商品レビューを重要視しており、ソーシャルグラフが売り上げのポイントとなっています。
楽天市場のソーシャルグラフをさらに進化させたものが「Amazon」です。
Amazonではユーザーの購買履歴や利用者のサイト内における行動履歴により、おすすめの商品を紹介しています。
ユーザーはおすすめの商品を購入する際にも商品レビューを参考としており、さらに高度なソーシャルグラフが求められるのが特徴です。
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ソーシャルグラフの活用方法で悩んだら
マーケティングを行う上でソーシャルグラフは非常に重要なものですが、簡単に作成・活用できるものではありません。
ソーシャルグラフを適切に活用するには豊富な経験と高いスキルが必要であり、経験が浅いマーケターだと行き詰まってしまうでしょう。
デジマクラスは豊富な経験に基づいた、丁寧なコンサルティングを行っていることで高い評価を得ています。
ソーシャルグラフの活用に悩んだら1人で抱え込まず、デジマクラスのコンサルティングの活用を検討しましょう。
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まとめ
ソーシャルグラフはWeb上における「人間関係」「結びつき」を意味し、mixiやFacebookなどのSNSがその代表例です。
スマートフォンやSNSの普及によって消費者の購買パターンは、友人もしくは信頼できる発信者からのレコメンドに委ねられています。
したがって、効率的・効果的なマーケティングを行う上で、ソーシャルグラフの担う役割は非常に重要です。
なお、ソーシャルグラフを適切に作成するには「ノード」「エッジ」「ハブ」の役目を正しく理解することが不可欠になります。
さらに、表在化しているものだけでなく、表在化していないソーシャルグラフに注目することが大切です。
ソーシャルグラフを作成するには経験と高いスキルが必要であり、経験の浅いマーケターだと悩んでしまうことも少なくありません。
デジマクラスのコンサルティングでは、ソーシャルグラフの作成方法などをレクチャーしており、経験の浅いマーケターにもおすすめです。