ビジネスシーンで注目されているKPT法をご存知でしょうか。KPT法とは組織やチームにおける効果的な振り返り法の1つです。
多くの企業では「プロジェクト」単位で仕事を進めており、1つのプロジェクト・施策が完了すれば評価・反省を行います。
評価・反省の場で提起された内容は、今後のプロジェクトに活かすのが一般的ですが、十分な論議がままならない企業も少なくありません。
こういった課題を解消するのがKPT法であり、多くに企業で導入され成果をあげているのが現状です。
この記事では、プロジェクトなどを円滑に進めるために有効なKPT法のメリットやメリットに加え、具体的な活用事例を紹介します。
目次
KPT法の特徴
ビジネスシーンにおけるKPT法とは、プロジェクトなどの施策・業務を効率的に行うことを目的とした振り返り方法を意味します。
以下の3項目に沿ってプロジェクトなど施策・業務の現状を洗い出し、解決方法を見出す方法です。
「Keep(このまま継続すること)」「Problem(課題)」「Try(解決策)」
ちなみの「KPT」とはこれらの英単語の頭文字を取ったものであり、個人でも組織でも活用できるフレームワークです。
アメリカのプログラマーが発案したものであり、比較的短期間で振り返りが必要なプロジェクトや施策・業務に適しています。
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KPT法を活用するメリット
KPT法を最大限に活用するには、事前に期待できるメリットを把握しておくことが大切だといえます。
事前にメリットを把握しておけば、メリットから逆算してKPT法の具体的な手法や目的を定めることが可能です。
反対にメリットが理解できていなければ十分な成果を得ることはできません。
ここではKPT法を実践する前に把握しておきたい、KPT法を実践することで期待できるメリットについて紹介します。
客観的に状況を整理できる
KPT法のメリットの1つは客観的に状況を整理できる点です。いくら頭の中で評価・反省を行っても形に残らなければ改善には至りません。
KPT法では「Keep」「Problem」「Try」の別に現状と課題を書き出すことから、多角的かつ目に見える形で状況を整理することができます。
また、プロジェクトで共有できることから、様々な意見を整理することにもつながり、改善点を踏まえた客観的な振り返りが可能です。
参加者全員が同じ問題へ向き合える
KPT法では参加者全員が意見交換を行い問題点を洗い出します。異なる意見を聞くことで、様々な問題が浮き彫りとなるでしょう。
場合によっては問題点が多岐にわたり、改善策を見出すのが困難になることを心配する人もいます。
この場合、洗い出した問題点をカテゴライズし優先順位を付すことで容易に整理可能です。
何より参加者間全員で問題点を共有することにより、同じ方向性をもって改善・解決策を講ずることは大きなメリットだといえるでしょう。
また、多くの人と意見交換を行うことで、日頃から多角的に問題点をとらえる習慣がつくこともメリットの1つだといえます。
ポジティブに振り返ることができる
KPT法を導入すると、日々の業務やプロジェクトをポジティブに振り返ることができます。
同じチームやプロジェクトで仕事をしていても、それぞれに物事の考え方や解釈は異なるのが一般的です。
前項で紹介したとおりKPT法では参加者全員で意見を出し合い、問題点を振り返ることからあらゆる面で共通認識を図ることが可能です。
特に改善点については、問題点を共有するメンバーで論議することでポジティブな意見が出やすく盛り上がります。
また、KPT法は参加者全員が意見を出すことから、必然的に実行力が高まる点も大きなメリットです。
「Keep」の考え方と具体例
KPT法における「Keep」を理解するには、その考え方を明確に整理しておくことが不可欠です。
なお、Keepを明確に整理した上で具体例を確認すると、より深くKeeoが理解できるでしょう。
ここでは、Keepを明確に理解する上で、知っておきたい考え方及び具体例 について紹介します。
良かったことを洗い出す
Keepでは、自分やプロジェクトなど組織の取組みで「良かったこと」「継続すべきこと」を洗い出します。
このとき、単に「良かった」結果だけではなく、その結果に至ったプロセスや要因も明らかにするのがポイントです。
また、振り返りといえば「失敗談」を列挙しがちですが、敢えて成功事例を洗い出すことを意識しましょう。
Keepでは成功事例とその理由・要因を明確にすることで、再現性を高めることにつながるとの考え方です。
具体例
Keepの具体例は次のとおりです。
良かったこと:私の今月の売り上げは前月比300%の30万円であった。
- 理由・要因:ルート営業を徹底し、活動量を3倍に増やした
- 良かったこと:今月はチームのクレーム発生率が30%減少した
- 理由・要因:操作手順を見直し、チーム内で3回の勉強会を実施した
具体例にも示しているようにKeepを行う際は数値で示すなど、可能な限り具体的に事例を洗い出すことを心がけましょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
「Problem」の考え方と具体例
KPT法における「Problem」を理解するには、その考え方を整理することが必須です。
その上でProblemの具体例を確認すると、より深くProblemが理解できるでしょう。
ここでは、Problemを理解する上で、知っておきたい考え方及び具体例 について紹介します。
改善点を書き出す
Problemでは、自分やプロジェクトなど組織の取組みで生じた「問題」「課題」を書き出します。
このとき、単に問題や課題を羅列するのではなく、Keep同様にそのプロセスや要因も明らかにするのがポイントです。
また、次のステップ「Try」につなげるには問題と課題を明確に区別し、根本的な要因や理由を特定します。
Problemの役割は問題・課題とその根本的な要因・理由を明確にして、次ステップTryにつなげることです。
具体例
Problemの具体例は次のとおりです。
- 問題:チーム内の上位成績者と下位成績社の売り上げ差が15%と大きい
- 要因・理由:下位成績の者は入社2年以内の若手社員である
- 課題:若手社員の営業力を育成する場面が少ない(設けるべきである)
- 要因・理由:営業力を育成する意識が弱い
Problemを行う際にもKeepと同様に数値で示すなど、可能な限り具体的に理由・課題を洗い出すことが不可欠です。
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「Try」の考え方と具体例
KPT法における「try」を理解するには、その考え方を明確に理解・整理することが不可欠です。
考え方を明確に理解・整理した上で具体例を確認すると、Tryへの理解がより深まるでしょう。
ここでは、Tryを正しく理解する上で、知っておきたい考え方及び具体例 について紹介します。
改善するための解決方法のアイデアを出す
Tryでは、Keepをさらに向上させる取組みとProblemを解決に導くための改善方法に関するアイデアを出します。
このとき、次回KPTを実践する際に取組み状況を確認できるよう、可能な限り数値を用いて設定することがポイントです。
なお、Tryは実践しなければ意味がありません。実践の途中経過が明確になるよう進捗管理を具体的に行いましょう。
具体例
Tryの具体例は次のとおりです。
- 日々のミーティングでルート営業に関するロープレの時間を15分設ける。
- 操作手順に関する勉強会を週1回から2回に増やし、クレームの発生率を10%以内とする。
- 入社2年以内の社員にメンターを設け、3か月以内に売り上げ10%アップを目指す。
Tryの内容はKeep及びProblemの内容を踏まえたものとし、数値で具体的な目標を定めることが鉄則です。
意見を出しやすくするためのポイント
KPT法のコツはチームのメンバーからたくさんの意見を出させることです。しかし、あまりにも幅広い意見が出ると収拾がつかなくなります。
つまりメンバーから適切な意見が数多く出る環境作りが大切です。ここでは、意見を出しやすくするためのポイントを解説します。
テーマを決めてから考える
KPTを実施する際にはあらかじめテーマを決めておきましょう。テーマを決めずに意見交換すると収集がつかなくなります。
事前にテーマを決め、メンバーに意見をまとめさせておくことでスムーズな意見交換が可能です。
また、意見の内容に制限を設けることは得策ではありませんが、前向きな意見を出すようKPTの主旨を伝えておきましょう。
「たたき台」になる試案を出す
「たたき台」になる試案を出すことも、メンバーから適切で前向きな意見を出させるポイントです。
テーマを決めておくことについては前項で示しましたが、それだけでは意見が出にくいことも少なくありません。
事前にたたき台となる試案を提示しておけば、メンバーは試案に対する意見を絞り込むことが可能となり意見が出やすくなります。
ただし、たたき台となる試案は前向きで実現可能なものとすることが必要不可欠です。
KPT法の活用事例
「時間外労働の削減」をテーマとしたKPT法の活用事例を紹介します。
Keepの意見は次のとおりです。
- ノー残業デーが作られている
- ミーティングは1時間以内と決めている
Problemの意見は次のとおりです。
- 個々の業務量に差がある
- 時間外労働数に個人差がある
- 比較的スパンの短い業務が多い
Tryで決めたことは次のとおりです。
- チームの業務内容・所要時間を洗い出す
- 担務の見直しを行う
- 朝礼の他に昼礼を行い業務の進捗状況を確認する
- ノー残業デーを週2日とする/3か月以内に時間外労働を15%削減する
KPT法では「目に見える」改善策を定めることがポイントです。また、期間を設けることで成果が把握しやすくなります。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
KPT法に役立つツール
KPTを効率的に進めるには、便利なツールを活用すると良いでしょう。
無料で活用できるツールも数多くリリースされており、使い勝手が良いものも特徴です。
ここでは、気軽に活用できるKPT法に役立つツールについて紹介します。
Trello
Trelloはホワイトボードとして、無料で活用できるTODO管理・付箋ツールです。
日々の業務において取り組むことや課題に加え、これから取り組むことを「カード機能」「リスト機能」で管理できます。
ホワイトボードとして活用できる「ボード機能」は無制限に作成してチーム内で共有可能です。
また、IEやChromeといったWEBブラウザに加えiPhone・Androidアプリからも利用できるのでリモートワークにも対応できます。
TrelloはシンプルながらKPT法を実践するための様々な機能が備わった、使い勝手の良いツールです。
coggle
coggleはホワイトボードのように活用できるマインド作成ツールです。日々の取組みをマインドマップの形で可視化できます。
編集履歴を確認できるヒストリーモードを活用すれば、チームとしての改善状況も確認可能です。
PDFやPNGにエクスポートすることもできますから、メールに添付して外部とも共有することができます。
無料で活用可能であることから、気軽に使用できアイデア次第で様々な可能性を持ったツールがcoggleです。
KPT法の活用方法に悩んだら?
KPT法はチームでビジネスを進める上で、非常に有効なフレームワークです。ただし、単に意見を出すだけでは収拾がつかなくなります。
そこで活用したいのが、KPT法に関するノウハウをレクチャーしているデジマクラスのコンサルティングです。
デジマクラスではKPT法に加え、ビジネスに関する様々な手法を有しており、効率的な手法を学ぶことができます。
KPT法の活用方法について悩んだら、デジマクラスのコンサルティングを活用しましょう。
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まとめ
KPT法は「Keep(このまま継続すること)」「Problem(課題)」「Try(解決策)」のステップで展開するフレームワークです。
ビジネスシーンで自分自身もしくはプロジェクトなどチームの取り組みを振り返ることはとても大切にしなければなりません。
しかし、闇雲に評価・反省を繰り広げても、ネガティブな意見交換に終始してしまう恐れもあります。
KPT法では「良かったこと」を参加者全員で洗い出した上で、問題や課題をその要因や理由とともに丁寧に整理することがコツです。
その上で、具体的かつ成果の見える解決策を導き出し、実践後の成果もフォローすることで確実な成果を求めます。
その結果、参加者全員が納得した上で解決策に取り組むことにつながり、高いモチベーションが維持できる点が大きなメリットです。
なお、経験の浅い人がKPT法を成功に導くには、デジマクラスのコンサルティングが有効だといえます。
デジマクラスではKPT法に関する豊富な知識やスキルを有しており、的確なアドバイスやフォローが期待できるでしょう。