AWSは、Amazon Web Servicesの略ですが、Amazonが提供するクラウドベースのコンタクトセンターサービスの一つです。
その中でもAmazon Connectは、CRMシステムと連携することで効果的な顧客サポートや顧客エンゲージメントを提供できます。
AmazonConnectは、リアルタイムの分析機能を搭載していますので、コンタクトセンターのパフォーマンスやエージェントの生産性を管理します。
CRMと連携することで、顧客情報をリアルタイムに取得できるため、顧客サポートの品質向上が飛躍的にあがるのです。
ここでは、CRMとAWSの連携によるメリットや導入実例を詳しく解説していきます。
目次
CRMの概要
CRMとはCustomerRelationshipManagement(顧客関係管理)の略であり、顧客との関係の強化・顧客サービスの向上と販売の最適化を目指すシステムのことです。
CRMは顧客を中心に据え、顧客に関連する情報を管理し、収集した情報を活用して組織全体の効率性と顧客満足度を向上させることを目的としています。
企業が顧客との関係の強化を実施し、顧客ロイヤリティを高めることは収益を増やすためには非常に重要です。
CRMは、顧客サービスの品質向上により、他社との競争力を強化する重要なツールとして注目されているのです。
CRMが必要とされる理由
CRMが必要とされる理由としては、日本は少子高齢化によって市場規模の変動が少なく、さまざまな業種でも新規顧客の開拓が非常に難しくなっているという背景があります。
CRMが必要とされるのは、既存の顧客の情報をベースに戦略を練る方針がいかに重要であるのかを企業は認識した結果ではないでしょうか。
CRMを使用することで、顧客情報を踏まえたセールスプロセスを構築できます。
適切なタイミングで適切な情報を提供することは、セールスの効率性を向上し、成約率が上がる可能性があるのです。
市場環境の変化に対応できる
CRM市場は非常に競争が激しく、より効果的な顧客関係管理が必要とされます。
CRMは顧客満足度を向上させるための重要なツールですが、CRM市場は常に変化して、新しい技術やトレンドが登場してきているのです。
企業が効果的に顧客との関係を構築・維持するためには迅速に対応する必要があります。
CRM市場の環境変化に対応するためには、最新のクラウドベースのCRMソリューションを採用することで、柔軟性や拡張性を確保します。
加えて、ビッグデータやAIを活用して、顧客の嗜好や行動を予測しながら個別に適したアプローチを提供できるのです。
既存顧客への効果的なアプローチが可能
マーケティングを行う上で、基本といわれているのがCRMです。
CRMは企業が今まで培った顧客情報を生かし良好な関係を保つことによって、お互いの相互利益の向上を目的にするマーティング手法になります。
日本では、企業の要望に応えるために担当営業を設置していますが、企業の事業規模の拡大に伴い、既存顧客の要望に対しての対応能力は馴れという良くない関係性が確立していたのです。
このような関係性は親密になるがゆえに問題点も多かったために、データ化した情報と個人に頼らないデータ分析が必要となりました。
顧客の求めるニーズを、どこよりも早く察知することで、必要な商品やシステムを提供するのが非常に重要な手法となりました。
CRMは、豊富なデータ分析によって顧客が今必要としてしている物に対して、ダイレクトにアプローチできる最適なツールになるのです。
ノウハウ獲得やマーケティング戦略に役立つ
CRMがノウハウ獲得やマーケティング戦略に役立のは、顧客の行動や趣向を理解し、顧客のニーズや要求を把握できるからではないでしょうか。
顧客ニーズを理解することで、収集したデータベースから顧客との関係を強化し、リピート率の向上が口コミなどに広がることで新規顧客の獲得にもつながるのです。
CRMは顧客データを蓄積し分析することで、ターゲット市場に対しての効果的なアプローチ方法を導き出すことに役立つマーケティングツールです。
CRM連携できるAWS「Amazon Connect」
Amazon Connectは、Amazonが提供するオープンプラットフォームです。
Salesforceなどの他のエンタープライズアプリケーションと統合でき、音声やチャットなどの複数の通信チャネルを用いたオムニチャネルに対応しています。
クラウド上でコンタクトセンターを設定できますので、世界中どこからでもコンタクトでき、顧客対応を可能となり、自動受付システムを構築・運用できるのです。
Amazon Connectの特徴の一つとして、顧客の好みなどに合わせてチャットや音声による問い合わせを動的に提供することが可能となっています。
Amazon Connectは、CRMと併用することで革新的な体験を提供することが可能なのです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
Amazon Connectを利用するメリット
Amazon Connectは、Amazon Web Services(AWS)が提供するクラウドベースのコンタクトセンターサービスです。
Amazon Connectを利用することには多くのメリットがありますので、ここでは詳しく解説していきます。
- 導入コストや運営費用が削減できる
- すぐに導入できる
- システム構築・メンテナンスが不要
上記のようなメリットがありますが、その他にも柔軟性・高品質なカスタマーエクスペリエンス・セキュリティ・コンプラライアンスなどもあげられます。
導入コストや運営費用が削減できる
Amazon Connectを導入することで、コンタクトセンターを短期間で立ち上げられますので導入コストの削減につながります。
既存のコンタクトセンターを立ち上げた場合は、PBXという機器を導入する必要がありますがAmazon Connectはインターネットを利用して電話問い合わせを受けられます。
その結果、コンタクトセンター設置に必要なハードウェア機器の調達や機器を動かすために必要な構築・設定などの業務が削減されることで、導入期間の短縮につながるのです。
コンタクトセンターを早急に立ち上げが必要な場合には、Amazon Connectを検討してみてはどうでしょうか。
マーケティングツール導入・活用の事例はこちら
すぐに導入できる
Amazon Connectは、数回クリックするだけでクラウド上にあるコンタクトセンターを導入することが可能となります。
従来のコントロールセンター立ち上げの準備期間・ハードウェア手配から構築導入などの作業が一切かからないので、コンタクトセンターの設置場所も必要ないのです。
顧客の需要に合わせてカスタマイズが可能になっているため、スケールアップとスケールダウンが容易にできるという柔軟性も持ち合わせています。
近年では、コンタクトセンターを自前で設立するよりも、別会社にアウトソーシングする方法が一般的になっているのをご存じでしょうか。
委託を受けた企業は、コンタクトセンター導入のために場所・人員・機器の手配が必要となりますので運用費用には、その分のコストが加算されているのです。
Amazon Connectを導入することによつて、そのような面倒な手配から解放されるだけではなく、コスト削減にもつながるのです。
システム構築・メンテナンスが不要
Amazon Connectは、クラウドベースのコンタクトセンターサービスであり、AWSがインフラストラクチャとメンテナンスの管理をしているのです。
Amazon Connectを導入することによって、システム構築とメンテナンスについての多くの負担が軽減されます。
物理的なハードウェアの設置や管理が不要なため、従来のオンプレミスのコールセンターシステムと比較して、システム構築にかかる時間と労力がかかりません。
システムのアップデートやメンテナンス作業も自動的に行われますので、最新のセキュリティパッチを手動で管理する必要もなくシステム運用が楽になります。
Amazon Connectを利用するデメリット
Amazon Connectについて紹介してきましたが、ここではデメリットについて解説していきます。
導入を検討する企業のニーズや要件によって、カスタマイズが必要になる場合は、特定の要件に対応するため別途システム開発が必要となります。
AWSのクラウドサービスを利用するメリットとデメリットを総合的に考慮するためにもデメリットを理解しておきましょう。
利用状況によっては費用が高額になる
Amazon Connectは、ペイアズユーズモデルを採用していますが、クラウドサービスプロバイダーが提供するサービスを利用した分だけ料金を支払うというシステムです。
ペイアズユーズモデルでは、トラフィックや使用量が増加すると、コストが増加する可能性があります。
電話の通話時間は、発信・着信で発生するほかに、トランスファー料金のようにコール転送を行った場合も転送された時間に応じて追加料金が発生します。
通話時間・ストレージ容量・ネットワークトラフィックの量などが課金の対象となりますので、導入前に必要な情報を洗い出し適切な運用コストを予測しておくことが重要です。
既存の電話番号は使用できない
Amazon Connectでは、既存の電話番号が移行できない場合があります。
新規のコンタクトセンターの立ち上げ時は、新しい電話番号を取得しますので問題ありませんが、既存のコンタクトセンターを移行するには課題があります。
Amazon Connectでは、既存の電話番号を Amazon Connect コンタクトセンターに移行することは可能ですが、すべての電話番号を移行できるわけではありません。
所有している電話番号が、お住まいの国または地域にて電話番号移行をサポートしているかの確認する必要がありますので事前調査が必要です。
コンタクトセンターの移動で番号を移行する場合は、Amazon Connect へ移行元のコンタクトセンターから電話番号の移動を許可する和解状を要求するケースもあるのです。
Amazon Connectに電話番号を移行できるかどうかに関しては、Amazon Connectのサポートデスクに確認を取るようにしましょう。
顧客管理の事例はこちら
Amazon Connectと連携できるCRM
Amazon Connectは多くのCRMシステムと連携することが可能です。
CRMと連携することで、顧客データやコンタクトセンターの情報を一元化し業務の効率化を図れますので、より効果的な顧客サービスを提供できます。
企業のニーズや要件に合わせて最適なCRMシステムを選択し、Amazon Connectとシステム連携して活用することが企業の顧客戦略に非常に重要です。
ここでは、一般的なCRMシステムとの連携例を、詳しく解説していきます。
Salesforceとの連携
Salesforceとは、Salesforce.com社が提供する世界No.1のシェアを持つCRMプラットフォームです。
日本の中では、おもにSFAとCRMのためのツールとして、企業ニーズに合わせて柔軟に組み合わせ可能なプラットフォームとして活用されています。
Amazon ConnectはSalesforceと直接連携ができますので、通話データや顧客の履歴をSalesforceに自動的に記録が可能です。
また、Amazon Connectを利用してコールを発信する時にも、Salesforceの顧客データを活用できます。
Dynamics 365との連携
Dynamics 365とは、Microsoftが提供する業務管理(SFA)と顧客管理(CRM)に特化したビジネスアプリケーションツールです。
Amazon ConnectとDynamics 365を連携することで、通話履歴や顧客情報をDynamics 365に統合できますので、営業ツールとして効果的な利用方法が可能となります。
ERP機能としては、人や物の動きとお金の流れなどを総合管理することで業務効率の改善が目的です。
Dynamics 365は、Microsoft Officeのアカウントをそのまま使用できますので、CRMツールとして日々の営業業務の強化につながります。
HubSpotとの連携
HubSpotとは、アメリカ合衆国のソフトウェア会社が提供している、マーケティング・セールス・カスタマーサービスの機能を統合したクラウド型CRMプラットフォームです。
HubSpotは、顧客が自ら情報を探し興味を示したときに、その情報をキャッチしサポートする手法のインバウンドマーケティングの考え方に基づいて設計されています。
Amazon Connectで収集した顧客データや通話履歴をHubSpotに統合することで、顧客の行動やニーズをより深く理解することが可能です。
Amazon ConnectとHubSpotを統合することで、自動化と効率化が進むため、顧客対応の改善・マーケティング効果の向上・セールスプロセスの最適化などが期待できます。
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Amazon Connectの導入事例
コロナ禍の影響もあり、テレワークの普及や世界的に働き方が見直されたことで、Amazon Connectを導入する企業は年々増加しています。
Amazon Connectのすぐれたカスタマーサービスを低コストで提供するコンタクトセンターへの需要は更に高まっているのです。
導入に対してのハードルが低いことも利点ですが、今注目のAIとMLを搭載したコンタクトセンターは生産性とカスタマーサービス向上において非常に重要なツールです。
日本国内でも、Amazon Connectを導入して顧客サービスの向上や効率化を図る企業は増えてきています。
ここでは、一部の導入事例をご紹介します。
某大手IT企業の導入例
某大手IT企業のコンタクトセンター業務は、古いコンタクトセンターのインフラストラクチャに依存していたため、非常に効率が悪い運用をしていました。
4か国以上で50,000人を超える問い合わせに対処していましたが、コンタクトセンターの維持にコストがかかり、問い合わせフローの更新も手入力が発生するので遅延と労働時間の増加が問題となっていたのです。
Amazon Connectをパイロット的に導入した結果、顧客対応にかかる時間が大幅に短縮されました。
適切なテクノロジーを採用したことで、顧客サービスの質が一貫性になり、顧客満足度向上にもつながっています。
Amazon Connect による自動化の導入で面倒なタスクを瞬時に処理することで、より価値の高いタスクにリソースを集中することが可能となりました。
現在では、Amazon Connect をグローバルに実装しており、毎月 302,000 人を超えるお客様とのやり取りに付加価値を提供しています。
某お菓子メーカーの導入例
某お菓子メーカーのB社は、日本の大手菓子メーカーとして有名です。
お客様相談センターの増強として、新規のPBXの導入を検討していましたが機器のリプレース検討の負担から、Amazon Connect への移行をしました。
仕様概要に基づく詳細設計から開発・運用サポート作成後、約1カ月でシステムが完成し、フリーダイヤルの切り替えなど含め約半年で新システムによる運用が開始されています。
通常コンタクトセンターの移行を実装する場合は、1年以上かかるとされていますので時間的にも短縮されたことと費用面での効果は大きいものです。
お客様との通話録音データ・文字起こしデータ・CRMデータのすべてにアクセスが可能で、オペレータ全員が効率良く業務に取り組めるようになりました。
今後も、ERPやCRMを導入してAmazon Connectとの連携強化を検討しています。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
AWSを活用したCRMで困ったときは
AWSを活用したCRMで困った時は、AmazonConnectの公式HPに管理者ガイドがありますのでそちらで確認をしてみましょう。
また、AWSのページのお問合せから下記の項目の問い合わせが可能となっています。
- AWSの導入に関する問い合わせ
- 技術サポート、技術的なお問い合わせ
- 請求・アカウントに関するお問い合わせ
- ログイン・アクセスに関するお問い合わせ
- コンプライアンスに関するお問い合わせ
AWSを活用したCRMの導入において、セキュリティ上の懸念・コスト管理の課題・カスタマイズ連携の不具合などのリスクが発生する場合があります。
どんなに精巧につくられているシステムでも、複雑にカスタマイズしすぎてしまうと運用も複雑になりますので拡張する場合は操作方法なども考慮し構築しましょう。
まとめ
CRM(顧客管理)と連携できるAWSについて、ここまで説明してきましたがCRMとAWSについて理解いただけましたか。
現代の企業は、自社システムを運用管理するオンプレミスからクラウドサービス化へ移行が急ピッチで進んでいます。
CRMは顧客を中心に据え、顧客に関連する情報を管理し、収集した情報を活用して組織全体の効率性と顧客満足度を向上させる目的と説明しましたがどのように活用できるかが非常に重要なのです。
このような現状にAWSは非常にマッチしたシステムとなっており、多くのCRMシステムと連携するための様々なオプションを提供しています。
AWSのサービスを活用して、CRMシステムとのデータ連携やカスタム処理を実装することで、顧客データの統合や効率的な顧客サービスを実現しているのです。
AmazonConnectを上手く活用して、CRMと連携させることは企業の業務改善につながるのではないでしょうか。