MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)を利用したマーケティング手法を知っていますか?
メディアが急速に発展してきたことに伴い、マーケティング活動をどのように展開していくか悩んでいる企業は多いでしょう。
企業の営業目標を達成するためには、マーケティング施策の最適化が欠かせません。
MMMを導入すれば、多様化するマーケティング施策の効果を測定し、経営戦略に活かすことが可能です。
この記事では、MMMの特徴や手法だけでなく、事例や関連用語について解説しています。
MMMに興味がある人はぜひ読んでみてください。
目次
MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)の概要
MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)とは、あらゆるマーケティング施策を分析し、効果を測定する手法です。
TVや新聞だけでなく、SNSや自社サイトの広告など、現代のマーケティング施策は多岐にわたります。
MMMを活用することで、それぞれの施策の費用対効果を分析することが可能です。
情報先進国・アメリカで先駆けて取り入れられてきた手法ですが、近年日本でも注目されています。
ジャンルを問わず、マーケティング活動を重点的に行いたい企業におすすめです。
マーケティング戦略の事例はこちら
MMMの目的・役割
MMMは、自社のマーケティング施策を最適化することを目的としています。
マーケティング活動におけるMMMの役割は、マーケティングに影響を与えているあらゆるデータを測定し、分析することです。
分析の精度を高めるために、幅広いジャンルからたくさんのデータを集めることが必要となります。
必要なデータの一例は次のとおりです。
- TV・ラジオ・新聞・雑誌・インターネットなど、広告媒体の出稿データ
- 商品・サービスの販売実績
- 競合他社のデータ
- 気候・祝日など、マーケティングに影響を及ぼしたと思われる外的要因
上記のデータを測定・分析することで、自社にとって最も効果的なマーケティング施策を導き出すことができます。
広報活動に多額の費用を投じている企業ほど、MMMを導入するメリットは大きいでしょう。
MMMの特徴
MMMをマーケティング活動に活かすためには、MMMについてきちんと理解しておくことが必要となります。
MMMの特徴について説明する前に、MMMで重要な要素となる「マーケティングミックスの4P」について簡単に紹介しておきましょう。
マーケティングミックスの4Pとは次の4つの「P」です。
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(場所)
- Promotion(プロモーション)
マーケティングミックスの4Pは、マーケティング活動の具体的な施策を構成する要素です。
マーケティングミックスの4Pを明確にしてから、MMMに取り組むようにしましょう。
MMMの4つの特徴については、次の項から1つずつ詳しく解説します。
広告予算の配分を過去のデータを教訓にチューニング
1つ目の特徴は、広告予算の配分を過去のデータを教訓にチューニングできることです。
広告出稿データや売上実績は、過去のマーケティング活動が売り上げにどのような影響を与えたのかを知る手がかりとなります。
自社のデータだけでなく、競合他社のデータも分析することがポイントです。
他社のマーケティングを分析することにより、広告予算の効果的な配分を予測することができます。
オフライン広告/デジタル広告相互の影響を加味して分析
2つ目の特徴は、オフライン広告・デジタル広告相互の影響を加味して分析できることです。
広告には、オフライン広告とデジタル広告の2種類があります。
- オフライン広告…新聞・雑誌・TV・ラジオなど
- デジタル広告…検索エンジン・自社サイト・SNS・メール・アフェリエイトなど
デジタル広告にシフトしていく傾向があるとはいえ、オフライン広告の影響力も侮れません。
オフライン広告とデジタル広告がお互いに及ぼす影響について分析することは、広告予算を効率よく配分するために役立ちます。
数学的処理をベースとしている
3つ目の特徴は、構造方程式モデリングや多重回帰などの数学的処理をベースとしていることです。
マーケティングの4Pが自社のマーケティング活動に対して及ぼした影響について、データを数値化することにより正確に知ることができます。
集めるデータは商品・サービスの価格や広告・キャンペーンの宣伝費用などが代表的です。
デジタル広告を出稿している場合は、アクセス数やエンゲージメント数も対象となります。
検索エンジンの広告やメルマガ・SNSなど幅広いデジタル広告を出稿している場合、集めるデータは膨大な量になるでしょう。
異なるタイプのデータを必要としている
4つ目の特徴が、異なるタイプのデータを必要としていることです。
MMMの精度を高めるためには、さまざまなタイプのデータを集めなければなりません。
必要なデータの種類は次のとおりです。
- 商品やサービス(販売価格など)
- キャンペーン(内容や期間など)
- 広告(広告費の配分や視聴率、アクセス数など)
- 季節性(季節や祝日など)
- 地理(店舗などの住所、展開している都道府県など)
- マクロ経済データ(インフレ率・GDP・失業率など))
- 販売実績
MMMによる分析をできるだけ正確にするために、なるべく最新のデータを集めることがポイントです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
マーケティング・ミックス・モデリングの手法
MMMの具体的な手法は次のとおりです。
- 分析ロジックを決める
- 内部要因 と外部要因を洗い出す
- 消費者の購買行動の各段階に洗い出した施策を振り分ける
- データを収集する
- 分析する
- 分析精度を向上させる
内的要因・外部要因は時間とともに変化していくことがほとんどです。
モデリングについては定期的に見直しを行い、臨機応変に対応するようにしましょう。
分析ロジックを決める
MMMを始める前に、分析ロジックをまず決めましょう。
どのロジックを選ぶかによって、必要となるデータの種類やデータを測定・分析する方法が変わることもあります。
抱えている問題の解決策が見つかると思われるロジックを選ぶようにしましょう。
内部要因と外部要因を洗い出す
内部要因とは、過去に行ったマーケティング施策のことです。
外部要因はマーケティング環境により変わってきます。
代表的な要因としては、季節や祝日・競合他社の行うマーケティング施策などが考えられるでしょう。
分析する目的にあったデータを選定することがポイントです。
消費者の購買行動の各段階に洗い出した施策を振り分ける
消費者の購買行動の段階の例としてよく使われるのが、AIDMA(アイドマ)という概念です。
AIDMAの構成要素は下記のとおりです。
- Attention:注目、商品やサービスについて知る
- Interest:興味を持つ
- Desire:欲しいという欲求
- Memory:記憶
- Action:購買行動
購買行動のプロセスは多岐にわたります。商品やサービスに応じて、適切なモデリングを行いましょう。
購買行動の段階が決まったら、それぞれの段階に最も適していると思われるマーケティング施策を設定します。
データを収集する
手順2つ目で設定した、内部要因と外部要因に関するデータを収集します。
日毎と週別、それぞれの単位で収集するといいでしょう。
収集するデータが多ければ多いほど、分析の精度が高くなります。
分析する
収集したデータを、手順1つ目で決定したロジックにしたがって分析します。
Excelなどを使って自社で分析することも可能です。
効率よく行いたいのであれば、Exploratoryや各種BIツールなどの専用ツールを利用することをおすすめします。
分析精度を向上させる
分析精度を向上させるためには、モデリングの見直しを定期的に行うようにしましょう。
MMMに必要なデータは、外部要因や消費者の購買行動の変化など、さまざまな要素によって左右されます。
場合によっては収集するデータが追加されることもあるでしょう。
新たなデータを追加した場合は再度分析を行い、分析精度が向上しているかどうか検証する必要があります。
マーケティング戦略の事例はこちら
MMMの事例
MMMの活用事例として、情報キュレーションサービス「グノシー」の例を紹介しましょう。
グノシーでは、KPI(営業目標を達成するプロセスの指標)を見直すためにMMMを活用しています。
その結果、デジタル広告・オフライン広告の費用対効果がデータ化され、広告費の配分の最適化を行うことができました。
MMMは、業界に関係なくすべての企業に有効な施策です。
広告費の配分に悩んでいる企業は、MMMの活用を考えてみてはいかがでしょうか。
活用する時に意識すべきこと
MMMを活用する時に意識すべきことは、過去のマーケティング施策を分析し、これからの経営戦略に活かすということです。
MMMの関連用語
MMMを活用する際、知っておくと役に立つ関連用語は次の3つです。
- m-Quad(エムクアッド)
- PoC(ピーオーシー)/受託解析
- 広告効果の分析
モデリング構築を専門業者に委託する場合でも、長期的な運用は自社で行うことが望ましいでしょう。
なぜなら、自社のマーケティング活動にもっとも精通しているのは自社の社員であるためです。
MMMを活用するのであれば、マーケティングに関わるメンバー全員が関連用語を知っておくことをおすすめします。
分析手法や関連する商品・サービスをご紹介
MMMの手法や関連用語についての知識があっても、すぐにモデリングを構築してMMMが活用できるとは限りません。
ロジックの選び方や収集データの利用方法などは、ある程度ノウハウがないと難しい分野です。
関連する商品やサービスを利用することで、効率良くMMMを進めることができます。
MMMに役立つ分析手法や関連する商品・サービスをご紹介しましょう。
その1:m-Quad
m-Quad(エムクアッド)は、広告代理店・博報堂DYグループが提供するマーケティング・ミックス・モデリングサービスです。
株式会社アイズファクトリーと共同で、MMMのマネジメントシステムが開発されています。
m-Quadの特徴は次の3つです。
- 構造型モデリング
- ベイズ推定
- 状態空間モデル
m-Quadを利用することで、複雑化するマーケティング施策に対応したモデリングを構築することができます。
MMMを自社のみで行うことが難しい場合や、MMMに初めて取り組む企業におすすめです。
その2:PoC/受託解析
PoC(ピーオーシー)とは、「Proof of Conept(プルーフ・オブ・コンセプト)」の略です。
企画やアイデアが実現可能かどうかを検証するという意味になります。
新しい企画が本当に成功するかどうか不安、解析データの方法がわからないという場合は、専門業者に依頼するといいでしょう。
MMMを効率良く行うことができます。
どの業者を選べばいいか迷ったときは、実績や事例を参考にするといいでしょう。
その3:広告効果の分析
広告効果を分析するときに押さえておきたいポイントは次の3つです。
- 営業目標につながる成果
- 個別の広告メディアの成果
- 広告メディアを一元化した成果
それぞれの成果を分析し、適切なPDCAを行うことで、マーケティング効果を最大限高めることができます。
マーケティング戦略の事例はこちら
MMMで悩んだら
MMMで悩んだら、専用のプラットフォームだけでなくコンサルタントを活用するのがおすすめです。
広告メディアが多様化していくにつれ、宣伝効果の分析もより複雑になっています。
分析の精度を高めるためにはさまざまな専門知識が必要です。
特に初めて取り組む場合、MMMを適切に活用することは難しいでしょう。
また、定期的なモデリングの見直しを行う際にも、専門業者のサポートが必要となる場面が多いです。
MMMは長期的に運用することによって効果を最大限高めることができます。
MMMの活用に困ったときは、専門知識を持つコンサルタントを活用しましょう。
まとめ
MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)は、近年注目されている手法です。
MMMをマーケティング施策に取り入れることにより、広告予算の配分を最適化することができます。
ジャンルを問わず、さまざまなメディアに広告を出稿している企業や、広告予算が膨大な企業には特におすすめです。
MMMを最大限活用するためには、分析の精度を高めることが必要となります。
分析の精度を高めるためには、マーケティング環境に応じたモデリングを構築しなければなりません。
困ったことがあれば、専門のコンサルタントに相談してみましょう。