Webユーザビリティを改善したいと思ったとき、まず何から始めるべきか迷う方が多いでしょう。
分析からやろうと思っても、その方法が分からなければ前に進めません。
分析できて改善点を見つけても、改善方法を間違えるとWebユーザビリティを下げることにも繋がります。
正しいWebユーザビリティの改善方法を解説します。
Webサイトに低評価がつかないためにも、ぜひ最後までご覧ください。
目次
Webユーザビリティを改善する方法を解説
WebユーザビリティとはWebサイトの使い勝手が良いということで、この良し悪しがサービスを左右するのです。
Webユーザビリティを改善するためには、以下の点に注意しなくてはなりません。
- Webサイトが軽いこと
- 画面デザインが分かりやすく、操作が簡単なこと
- コンテンツ(情報)が多く、クリックすれば直ぐに目的の場所に辿り着けること
重くて読み込みが遅いWebサイトは、ユーザーを苛立たせてしまいます。
また、Webサイトのどこに何の記事があるかすぐに分からないと、使い勝手が悪いのです。
クリックをしたのに目的の記事に辿り着けなかったら、ユーザーの満足度は大きく下がってしまいます。
これらのユーザーの満足度を左右する要素を改善することが、Webユーザビリティを改善することに繋がるのです。
まず何から始めるべき?
Webユーザビリティを改善するためには、まず次の2つを行ないましょう。
- ユーザビリティのよくある誤解をチェックする
- 現状の課題を抽出して対策を考える
これらの課題対策を講じることでユーザビリティが向上しメリットが生じるのです。
具体的に見ていきましょう。
ユーザビリティのよくある誤解をチェック
ユーザビリティのよくある誤解をチェックし、正しい意味を知ることがWebユーザビリティの改善への第1歩です。
間違って理解したまま改善しようとしても、改善方法を間違う可能性や時間だけ大幅にかかって何も変わらないということになりかねません。
まずは、Webサイトをチェックする前にこのサイトのターゲットは誰か・どんな目的で使われているか捉えましょう。
現状の課題を抽出して対策を考える
ユーザビリティのよくある誤解をチェックし、改めて正しい認識ができたら、次は現状の課題を抽出して対策を考えます。
課題が分からなければ、対策も考えられません。
ユーザーにとってWebサイトの何が使い勝手が悪いのか、ユーザビリティを上げるポイントはどこなのか、しっかりと見極めることが重要です。
ユーザビリティのよくある誤解をチェック
ユーザビリティのよくある誤解は、以下の3つです。
- ユーザビリティは特定のユーザーに対するもの
- 特定の目標にかなっているかどうかが重要
- アクセシビリティやUI/UXとも異なる
ユーザビリティは「ユーザーの使いやすさ」という幅広い意味のものではありません。
それぞれ詳しく解説していきます。
ユーザビリティは特定のユーザーに対するもの
ユーザビリティは、国際標準化機構ISO9241-11によると以下のように定義されています。
「特定のユーザーが特定の利用状況で指定された目標を達成するためにサイトを使う際の、有効さ、効率、満足度の度合い」
このように、WebユーザビリティとはWebサイトを訪れたユーザーすべてが対象というわけではありません。
特定の利用状況にある特定のユーザーに対するものです。
特定の目標にかなっているかどうかが重要
国際標準化機構の定義により、「Webサイト全体の使い勝手」というわけではないことも分かります。
本来ユーザビリティとは、特定の目標達成のための使い勝手の良さ、ユーザーの満足度です。
そのためWebサイトのすべての操作性の向上を図ることが、必ずしも重要ではないということです。
アクセシビリティやUI/UXとも異なる
ユーザビリティは「特定のユーザー」の「特定の目標」にかなっているかが重要なのです。
それはアクセシビリティやUI/UXとも異なります。
例えば、20代をターゲットにしているWebサイトがあったとして、60代の顧客から「画面が見づらい、操作しづらい」と声が上がったとします。
しかし、その60代の顧客の要望を聞かないという決断もあり得るのです。
その理由は、特定のユーザーである20代のユーザーのユーザビリティを下げないためです。
ユーザーの誰もが使いやすいWebサイトが「ユーザビリティの向上」に繋がるわけではありません。
そのWebサイトでターゲットとしている特定のユーザーの特定の目標達成に満足度高く貢献できればいいのです。
それにより、ユーザビリティは向上し改善されたといえるのです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
現状の課題を抽出して対策する
ユーザビリティの誤解を正したところで、Webユーザビリティの改善をするためには現状の課題を抽出しなければなりません。
課題を抽出するために大切なのは分析することです。
Webサイトの何が問題なのか、クリック率はいいのか、コンテンツやデザインはユーザーに喜んでもらえているのかなどです。
細かくチェックしてユーザビリティの問題点を洗い出しましょう。
そこまでやって、ようやく対策に乗り出せるのです。
具体的な分析方法
Webユーザビリティの分析方法は、主に4つあります。
- ユーザビリティテスト
- ヒューリスティック評価
- アクセスログ解析
- 競合調査
難しそうに感じますが、詳しく解説していきますのでご覧ください。
ユーザビリティテスト
Webサイトのターゲットとしている特定のユーザーと似通っている数人に、実際にWebサイトを利用してもらうことで分析する方法です。
ユーザーにとって画面や操作性など、どこに使い勝手の悪さを感じるのか、使ってみた感想をフィードバックしてもらい課題を見つけます。
ターゲットとなるユーザーを集めたり、実際に使ってもらったりするのです。
手間だと感じる部分もありますが、ユーザーのリアルな声を聞けることは貴重です。
ヒューリスティック評価
Webユーザビリティ分析の専門家に分析してもらう方法です。
プロのノウハウや経験によって、Webサイトの課題を抽出することができます。
チェックするポイントを理解していれば専門家に頼まなくても分析することが可能です。
しかし、自分のWebサイトはどうしても主観的に見てしまいがちです。
短期間でユーザビリティの改善を図るなら、専門家の目で客観的な分析や評価をしてもらうことをおすすめします。
アクセスログ解析
アクセスログ解析ツールをWebサイトに導入することで、ユーザーの動きなどを分析する方法です。
Googleアナリティクスなどが該当します。
SEO対策などでも使用している方が多いアクセスログ解析は、ユーザビリティ以外の課題も発見できメリットが非常に大きいのです。
しかし、分析できるものが多いということは、その中からユーザビリティの課題点を探すのが難しくなります。
取得したデータからユーザビリティの課題点は何かしっかりと見極めることが必要です。
競合調査
その名の通り、競合しているWebサイトの調査を行い、自分のサイトの課題を分析していく方法です。
競合している会社のWebサイトと自サイトを比較・分析します。
そこで課題点を見つけるだけでなく、参考点などの気付きを得られることがメリットとしてあげられます。
注意することは、人が分析する方法なので、分析する人により分析の精度が異なることです。
チェック項目を作る、ノウハウのある人に分析してもらうなどし、主観的な分析や粗い分析にならないようにしなければなりません。
ユーザビリティの事例はこちら
Webユーザビリティの改善は、5つの要素で考えられる
Webユーザビリティの改善は、次の5つの要素で考えられます。
- 学習しやすさ
- 効率性
- 記憶しやすさ
- 間違えにくさ
- 主観的満足度
これらは、ヤコブ・ニールセン博士(Webユーザビリティ研究の第一人者)が定義づけしました。
それぞれ詳しく解説していきます。
学習しやすさ
ユーザーがイメージとして理解していることを、Webサイトで取り入れてください。
そうすることで、「このWebサイトでも同じように操作できる」=「使いやすい」ことになるからです。
例えば、以下のようなことです。
- 目次を押すと該当ページにとべる
- リンクの色は青色
- トップページに戻るにはロゴをクリックする
ユーザーはWebサイトの使い方を、長年の経験やイメージとして学習していいます。
その学習した内容と合わないことがあると、使い勝手の悪さを感じます。
Webユーザビリティを改善するためには、なるべくユーザーに新たに学習させないことが大切です。
効率性
Webサイトに訪れたユーザーが効率的に操作できることは、ユーザビリティの改善に繋がります。
例えば、ある入力フォームがあったとして、それに記入していきました。
ふと、確認したいことがあり前画面に行き、また元のページに戻ると記入していたものが全部消えていたとします。
これは、ユーザーに二度手間を与えるため、非常に効率が悪いです。
ユーザーに手間を与えず、思った通りに操作できることがWebユーザビリティの改善に必要となります。
記憶しやすさ
Webサイトによっては、独自のデザインや操作性を導入し、ユーザーに新たに学習させているところもあります。
ユーザーの満足度が高く、ユーザビリティが向上しているのであれば、使い方を記憶しやすい要素が組み込まれているのです。
覚えやすいものや使いやすいものは、新しいものでもすぐに使いこなせてしまいます。
ユーザーのイメージを重要視し既存のWebサイトを運営しても、使いやすく覚えやすいものがユーザビリティの改善に重要です。
間違えにくさ
ユーザーがWebサイトでの操作を間違えないように、しっかりと指示してあげることが大切です。
多くのWebサイトには、「問い合わせ」や「新規登録」などの入力フォームが何かしら備わっています。
そのフォームの入力時に、「入力見本」がないと、ユーザーはどのように入力していいか分かりません。
例えば、電話番号はハイフンを入れるのか、入れないのか。
パスワードは半角の小文字英数字なのか、半角の大小文字混ぜた英数字なのか。
きちんと指示があれば間違えずに済みますが、指示がなければそれだけで難しくなります。
ユーザーが間違えないように「何をどうすべきなのか」をしっかりと指示してください。
また間違えた場合に「何をどう間違えたのか」を提示してあげましょう。
それ以外にもデザインで誤認させたり、クリックできると思ったらクリックできなかったりする間違いも気を配りましょう。
ユーザビリティの改善のために起こさせないようにする必要があります。
主観的満足度
Webサイトを訪れたユーザーの満足度を上げることも、ユーザビリティを改善する方法の一つです。
Webサイトの運営者は、ユーザーが満足するためにコンテンツを増やしたり、デザインや操作性などの向上を図ったりしています。
前述したように効率性やユーザーのイメージを意識することは大切です。
しかし、ユーザーのためになること、ユーザーが楽しめたことも重要なのです。
Webユーザビリティを改善する際の注意点
Webユーザビリティを改善する際には、注意点が2つあります。
- モバイルに適したユーザビリティにする
- Webユーザビリティの改善がSEOと相反することがある
せっかく改善したのにマイナスに働いてしまったということがないよう、しっかりと確認してください。
モバイルに適したユーザビリティになっているか
いまや、多くのWebサイトはスマートフォンなどのモバイルで見られることが多くなりました。
そのため、パソコンでの閲覧を意識したWebサイトのデザインは、ユーザビリティを下げることにも繋がります。
例えば横スクロールが発生する表の挿入などが該当します。
モバイルでWebサイトを見た場合のユーザーの使いやすさをチェックできるモバイルフレンドリーテストをぜひ一度お試しください。
Webユーザビリティの改善がSEOと相反することがある
Webユーザビリティの改善で、サイトコンテンツをターゲット層に絞り込むために減らすことは、SEO対策としてマイナスとなる場合があります。
ユーザビリティを意識しすぎることでSEO対策が自然と疎かになっていたということがないようにしてください。
Webユーザビリティ、SEO双方の観点からWebサイトを改善していくことが必要です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
Webユーザビリティ改善の事例
ここで、Webユーザビリティ改善の事例をいくつかご紹介します。
あくまでも事例ですので、自サイトを分析し、抽出できた課題に合う改善方法をお探しください。
- ユーザーの持つWebサイトのイメージに合わせる(リンクの色など)
- 手間の減少と間違い防止のため入力フォームの項目は少なくする
- TOPページに戻りやすくする
- 検索バーを設置する
- モバイルユーザーのユーザビリティを意識する(文字サイズ、スクロールなど)
- ユーザーが操作ミスをしたとき何が間違いなのか提示する
- ユーザーが気持ちの良いデザインにする
クロネコヤマト引越しセンターの例があります。
2018年にWebユーザビリティランキングで1位を獲得した経験があります。
評価された点はナビゲーションの使いやすさとコンテンツの適切性でした。
ユーザーが迷わないわかりやすいコンテンツが好感が持てると評価された事例です。
Webユーザビリティの改善で悩んだら?
Webユーザビリティの改善といってもどこをどう改善すれば効果的なのか難しい課題です。
Webユーザビリティの改善で悩んでいるなら、専門家に任せてしまうのも一つの方法です。
Webユーザビリティの分析から改善まで行なってくれるデジマクラスに一度相談してみるといいでしょう。
まとめ
Webユーザビリティを改善する方法について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
改善するためには、まずはユーザビリティを正しく理解することです。
そして、課題の抽出をするためにWebサイトの分析をすることが欠かせません。
課題が見つかったら、ユーザーの満足度を上げていくための改善方法を、5つの観点から試していきましょう。
Webユーザビリティを改善し、よりユーザーに愛されるWebサイト運営を続けてください。