マーケティングにおいて、入り組んだ問題点を紐解きながら解決策を導き出すためにはロジカルシンキングが欠かせません。
しかし中には、「どうやったら論理的に考えられるのか分からない」という人もいるのではないでしょうか。
ここではロジカルシンキングに活用できる「ロジックツリー」の作り方について解説していきます。
ロジックツリーを使うことのメリットや、作成する際の注意点や具体的な種類についても紹介していますので、参考にしてみてください。
目次
ロジックツリーの作り方を解説!
ロジックツリーは、論理的思考が求められる場面においてよく用いられる手法です。
ロジックツリーを活用することで、問題や解決策を可視化・具体化することができ、適切なアクションの選択が可能になります。
この記事ではロジックツリーの作り方について詳しく解説していますので、ぜひ最後までご覧になってみてください。
業務や日常生活に取り入れることで、より具体的に問題解決に最適なアクションが選択できるようになるでしょう。
ロジックツリーの概要
ロジックツリーは「イシューツリー」と呼ばれることもあり、論理的な課題解決のために活用できるフレームワークです。
箱に入った要素をツリー上に分類していくことで、課題やその原因などを体系的に把握できるのが大きな特徴です。
原因を追究する目的で行うものや、問題の解決策を洗い出すものなど様々な使い方ができます。
ビジネスシーン以外でも、マインドマップや思考・情報の整理に活用できるため、日常生活でも役に立つ場面は多いでしょう。
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ロジックツリー作成の方法
ロジックツリーを使いたい場合は、まずどこから考え始めたらよいのでしょうか。
ロジックツリー作成の方法についてのポイントを以下にまとめました。
- たたき台を作る
- ???の箱を作る
- ブレインストーミングを行う
- 因果関係を確認する
- 優先順位をつける
それぞれのポイントについて具体的に見ていきましょう。
たたき台を作ることから
いきなり細部から埋めていこうとせず、まずは大まかなたたき台を作ることから始めましょう。
解決したい課題や、どれくらいのレベルまで掘り下げるかなど、ざっくりと全体像を決めていきます。
とりあえず思いつく要素を箱に入れて、大まかな位置に配置してみましょう。
たたき台の段階では、まだ細かい分類項目や因果関係までは考えなくても構いません。
???の箱を作っておく
最初から全ての選択肢を挙げていくことは難しく、また思考を深める中で徐々に見つかってくる要素もあります。
後になって大幅な修正をしなくて済むよう、具体的に思い浮かばない部分はとりあえず「???の箱」として作っておきましょう。
完成までの間にその内容が判明する場合もありますし、何も入らないことが分かったら削除すればいいのです。
ブレインストーミング
ツリーの要素を洗い出していく際にはブレインストーミングを活用しましょう。
チームの場合はメンバーがそれぞれ意見を出し合い、1人の場合は思いついたものを片っ端から羅列していきます。
まずは漏れがないように思いつく限りの要素を挙げていくことが優先されるため、ここでは出た意見の是非は問いません。
見落としがないか、まだ考えられる要素はないかということに集中して、どんどん案を挙げていきましょう。
因果関係が成り立っているかどうか
原因追及ツリーの場合は、「結果→原因」という配置になります。
この時に、左右の間にしっかりと因果関係が成り立っているかどうか、特に気を付けて精査しなければなりません。
例えば、「(結果)売上が少ない→(原因)販売個数が少ない」のような場合は因果関係が成り立っているといえます。
「(結果)売り上げが少ない→(原因)経費を使いすぎている」のようにしてしまうと、因果関係が成り立っているとはいえません。
ロジックツリーは論理的な構造になっていることが重要です。因果関係が正しくなるように作成することが重要です。
優先順位をつけて「何を実行するのか」
ツリーが完成し、問題解決のためのアクションが明確化したら、それぞれに優先順位をつけ、何を実行するのかを決めます。
優先順位のつけ方はケースにもよりますが、一般的には影響の大きいものやすぐに開始できるものを優先するとよいでしょう。
問題に直面しているときは、つい「あれもこれもやらなければ」という多数のタスクを抱えた状態になりがちです。
優先順位をつけることでそういった状態から抜け出し、落ち着いて必要な行動を選択することができるようになります。
ロジックツリーを作成するポイントに沿って、実際に例を挙げて作成してみましょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ロジックツリーを作る上での注意点
ロジックツリーを作成する上で気を付けておかなければいけないこともあります。
まずは、項目を羅列する場合に「MECE」であることに常に気を配りましょう。
- Mutually(互いに)
- Exclusive(重複しない)
- Collectively(全体的に)
- Exhaustive(漏れがない)
つまり「互いに重複せず、全体に漏れがない」ように要素を洗い出すことが重要です。
また、要素を分解する切り口を考える際はしっかりと仮説を立て、それを立証するために必要なデータを集めましょう。
そして選択肢を考える際は、具体的な行動につながる内容になるよう意識する必要があります。
ロジックツリーを作るメリット
ロジックツリーを作成することで、どんなメリットが得られるのでしょう。
ロジックツリーの最大の利点は、問題を可視化できるという点です。
そのため、論点のズレをなくすことや原因の特定が可能になり、また解決策も考えやすくなります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
論点のズレをなくせること
大きな課題になればなるほどその本質が見えづらくなり、比較的目につきやすい枝葉末節にこだわってしまいがちです。
しかしロジックツリーを作成することで、問題の本質がどこにあるのかを視覚的に把握することができるようになります。
それにより論点のズレをなくし、きちんと問題の本質に沿った議論やアクションができる点が大きなメリットといえるでしょう。
頭の中で考えるだけでは到達できなかった、画期的なアイデアが見つかる場合もあります。
原因を特定できること
表面的な問題にとらわれてしまい、直接的な原因を特定できていないという事態はよく見られる現象です。
考えられる様々な原因を挙げたとしても、本当に対処すべき原因がまだ潜在化していることもあるでしょう。
しかしロジックツリーを作成することで、隠れて見えづらかった原因を特定することができるようになります。
選択肢を考える段階で問題の切り分けが明確にできるため、原因をより精密に特定できるのです。
解決策を考えやすいこと
大きな問題に対して、すぐに具体的な解決策を考え出せる人は多くないでしょう。
まずは大きな問題となっている要因を細かく切り分けなければ、それに対して適切な対応をすることはできません。
ロジックツリーは題材をどんどん具体化していくため、その解決策を考えやすいことも大きなメリットです。
問題解決のためのアクションを具体的なものに深掘りしていくことで、改善のために実際にすべき行動が明確になります。
アクションの優先順位を付けやすくなること
問題の解決策や具体的方法が判明しても、どれから手を付けていいか迷う場合も多いでしょう。
あるいは、あれもこれもやらなければと考えるあまり、不必要に多数のタスクを一度に抱えてしまいかねません。
ロジックツリーでは全ての選択肢が一望できるため、より重要または手早く取り掛かれるアクションを選択しやすくなります。
アクションに優先順位をつけることによってスムーズに行動に移行することができ、負担を最小限に抑えることが可能です。
チームを動かしやすくなること
個人のアイデアをチームに共有することは重要ですが、問題が複雑になればなるほど正確に伝えるのが難しくなります。
リーダーが論理的に考えた上で出した結論でも、チーム内で正確に伝わっていなければ望む行動につながらない場合もあるでしょう。
ロジックツリーでは問題点や改善策が一目で見てわかるため、説明にかかる労力やメンバー間での認識の相違がより少なくなります。
そのため、共通認識に従ってチームを動かしやすくなり、問題解決までのスピード感や効率アップにつながるでしょう。
ロジックツリーの種類
ロジックツリーには様々な使い方があり、用途によって以下の4種類のツリーを使い分けます。
- what/要素分解ツリー
- Why/原因追及ツリー
- How/問題解決ツリー
- KPIツリー
それぞれ具体的にどのような用途で用いるかを確認していきましょう。
その1:what/要素分解ツリー
要素分解ツリーは、要素を分解することで情報を網羅するために用いられるツリーです。
「何?」で掘り下げていく作りになっており、左から右に向かって大分類から小分類へと具体性が増していきます。
例えば、そのブランドで扱っている商品の分類などを羅列するのに適しているでしょう。
「衣類」→「トップス」→「ブラウス」→「木綿」など、取り扱うために必要な要素で切り分けて分類していきます。
その2:Why/原因追及ツリー
原因追及ツリーは、ある問題点についてその原因を掘り下げていくために用いられるツリーです。
「なぜ?」で掘り下げていく作りになっており、左に行くにしたがってより具体的な原因が判明していきます。
問題は顕在化しているがその原因が明らかになっていない場合に、原因を追究・特定するために用いるのには最適です。
左と右で因果関係が成り立っているため根本的な原因を特定しやすくなり、そのことによって改善すべき点が見つけやすくなります。
その3:How/問題解決ツリー
問題解決ツリーは、ある問題点について改善策やアクションを決めていくためのツリーです。
「どうやって?」で掘り下げていく作りになっており、最終的には具体的で実行可能なアクションに落とし込みます。
改善すべき点は明らかになっているが、そのための手段を模索している場合に用いるのに適しています。
その4:KPIツリー
KPIツリーは、KGI(経営目標達成指標)を達成するための中間目標であるKPI(重要業績評価指標)を具体的に示すツリーです。
問題解決ツリーのように、目標を達成するための行動を示すものですが、必ず指標を用いることが特徴といえます。
指標がより具体的になるほど日々の行動に紐づけしやすくなり、目標までの進捗が把握しやすくなるのが利点です。
ロジックツリーの書式・テンプレート
ロジックツリーを作成する上で使える書式やテンプレートはあるのでしょうか。
ネットで検索すればいろいろ出てきますが、一番身近なところではExcel内の「SmartArt」という機能が利用できます。
ダウンロード不要ですぐに使えるため、普段Excelを使用しているという方はぜひ試してみてください。
その他、「ferret」や「3分でわかるマーケティング・フレームワーク」ではパワーポイントのテンプレートがダウンロード可能です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ロジックツリー を作成できるツール・アプリ
最近ではスマホでもロジックツリーを作成できるアプリがあり、出先でも便利に使うことができます。
ユーザー数が多いものでいえば、「XMind」や「SimpleMind Lite」(こちらはAndroid版のみ)などが挙げられるでしょう。
いずれも無料で使えるため、多くの人に使用されているようです。
ロジックツリーの作り方で悩んだら
ロジックツリーの作り方はわかったが、実際の業務にどう活かせばいいのか分からないという人もいるでしょう。
特に、業務の問題点や課題・目標が明確になっていない場合は、適切なロジックツリーを作成することはできません。
そういった場合は、マーケティングコンサルタントなど専門知識を持つ人に相談してみるのがおすすめです。
プロに相談することで、あれこれ思い悩む時間を大幅に短縮し、すぐに次のステップに進むことができるでしょう。
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まとめ
ロジックツリーは業務や日常生活の様々な場面で活用することができる便利なツールです。
そしてロジックツリーの一番大きなメリットは、思考を可視化できる点にあります。
1人で考えるときはもちろんのこと、チームで議論する際にも大いに役立つでしょう。
用途に合わせて種類を使い分け、ぜひ原因追及や問題解決に役立ててみてください。