ストーリーテリングはコンテンツマーケティングにおいて非常に重要な手法の1つです。
ストーリーテリングを活用すればコンテンツを受け取る人に強い興味を抱かせたり共感を得たりすることが可能となるでしょう。
魅力のあるストーリーテリングには共通点が存在し、成功事例も多数あります。今回の記事ではそれらの事例について解説します。
ストーリーテリングを作成する上でのポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ストーリーテリングの事例を解説
ストーリーテリングは伝えるべきメッセージを物語として語ることで相手の心に訴えかける手法です。
ロジカルな説明よりも強い印象を残せるこのストーリーテリングの活用事例は数多く存在します。
大企業のリーダーによるプレゼン・著名人のスピーチ・企業のCMなど枚挙に暇ありません。
ストーリーテリングは一種のコミュニケーションツールであり、活用の幅が非常に大きいことも特徴です。
ポイントを理解して上手く活用できれば顧客との信頼関係の増強やスタッフのモチベーションアップに大いに役立つでしょう。
ストーリーテリングで共感を呼ぶコツ
具体的な事例を紹介していく前に、まずはストーリーテリングで共感を呼ぶコツについて見ていきましょう。
このコツを押さえることによってストーリーテリングがより効果的なものになります。
五感に働きかけるストーリー
ストーリーテリングで共感を呼ぶコツ、1つ目は五感に働きかけるストーリーにすることです。
言葉の端々に、人間の五感に直接働きかけるようなフレーズを盛り込みましょう。
そうすることで受け手に与えられる印象はいっそう強いものになります。
見たもの・聞いたこと・手触り・匂い・味など、感覚を具体的に表現されることで人はよりイメージしやすくなります。
感覚を刺激されて物語を自分事として捉えるようになった受け手は、そのストーリーにより強い共感を抱くことでしょう。
疑似体験できる
ストーリーテリングで共感を呼ぶコツ、2つ目は疑似体験できることです。
ストーリーによって鮮明な疑似体験ができることは共感を抱いてもらうための大きな武器になります。
受け手がまるで自分のことのように受け入れられるようにイメージしながら物語を展開するよう心がけましょう。
疑似体験が重要なのは、人は自分の将来を鮮明にイメージできた時に初めて行動を起こすものだからです。
ただし、疑似体験といっても事実を並べただけのストーリーでは意味がありません。
「この商品を購入するとこうなります」「このサービスはこんな利益をもたらします」などの無味乾燥な物語ではいけません。
そのストーリーを受け取った人が想像もしなかったような、奇想天外な新しい発想を提示できることが理想です。
たとえば新型のスマホについてアピールがしたいとします。
「画期的なスマホができました!新しい機能も多数搭載されているので、日常生活においても便利になること間違いなしです!」
確かに、新しい機能があってとても便利そうだということは分かります。しかし感動して心が動くとまではいえません。
人は常に新しい見たことのない発想を求めているものです。
それをいかに上手く提示し、人々の共感をより多く獲得できるかが成功のカギとなります。
失敗談も交える
ストーリーテリングで共感を呼ぶコツ、3つ目は失敗談も交えることです。
人にアピールをする上で、失敗経験のストーリーを提示することはマイナスに繋がってしまうと考える方も多いでしょう。
しかし、それはむしろ逆です。人間ですから誰しも必ず失敗を経験しています。失敗談は相手を身近に感じさせるのです。
あえてストーリーの中に正直に失敗談を盛り込むことによって、人々の共感を得て信頼を勝ち取ることができるのです。
ストーリーテリングの事例①:スピーチ
ストーリーテリングを利用したスピーチは人の心に鮮明に残ります。
それはストーリーが聞く人に対して映像も一緒にイメージをさせるからです。
結婚式でウェディングケーキが倒れた話や、友人が寝ぼけてスマホを冷蔵庫に入れた話などはなかなか記憶から薄れません。
ストーリーには人に疑似体験をさせる効果があるので非常に記憶に残りやすいのです。
スティーブ・ジョブズ
「ハングリーであれ。愚か者であれ」
Appleの創業者として有名なスティーブ・ジョブズの言葉です。
ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチは、これまでに世界で何と3000万回以上も再生されました。
こちらのスピーチにふんだんに盛り込まれているのは先述の通り「失敗談も交える」というテクニックです。
人間、誰しも失敗をします。過去の失敗を正直に語ることで人々に親近感を与え、共感と信頼を得ることができます。
もちろん成功例がNGというわけではありません。
しかし成功例ばかりだと現実味がなく距離感も生まれてしまいます。
人が失敗から得た教訓というものは必ず強力なメッセージとなりますので、勇気を持ってストーリーに盛り込みましょう。
豊田章男
「あなたも自分だけのドーナツを見つけてください」これはトヨタ自動車の社長である豊田章男の言葉です。
豊田章男が卒業式で語ったスピーチでは、しばらくスタンディングオベーションが鳴りやみませんでした。
わずか14分のスピーチの中で何と20回も笑いを取ったというのですから驚かずにはいられません。
豊田章男のスピーチには冒頭からストーリーテリングのコツが含まれています。
「皆さんの中には卒業後にどんな仕事につけるか、不安に感じている人もいるかと思います」
この言葉によってまずは人々の気持ちを掴み、私はあなたたちをしっかりと理解しているというメッセージを伝えました。
そして続く「皆さんの心配事をまずは解決しましょう」。
これによって聞き手に自分の不安も解決できるのではないかという期待感と興味を持たせることができます。
「皆さん全員にトヨタでの仕事をプレゼントします」
聞き手の誰も思いつかないような発想の解決方法を提示し、聞き手の心を掴んで離しません。
「ただ、まだ人事部からのOKはもらっていませんが」
そしてこのようにユーモア溢れるストーリーのラストによって聞き手の笑いを誘い、場を和ませています。
人間の脳は、退屈な話となるとどうしても飽きてしまい、興味も好奇心も長続きしません。
それに対して、驚きや感動があると脳内にドーパミンが発生します。
ドーパミンには脳での情報処理を促す役割があるので、退屈をしないストーリーはしっかりと記憶に残るというわけです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ストーリーテリングの事例②:CM
マーケティングの役割に、以下にあるCMなどの方法で商品のイメージを作り上げる活動があります。
- チラシの配布
- テレビCMの放送
- 雑誌への広告の掲載
- インターネット広告の配信
ただ一方で、世界の人々の間でCM嫌いが加速しているという事実は否めません。
YouTubeの有料化による広告CMのカットはそのような例の最たるものといえるでしょう。
反面、ストーリーテリングを上手く活用して人々が見たいと思うCMを作成している企業も少なくありません。
この項目ではそんな素晴らしいCMの例をご紹介します。
Amazon
Amazonはストーリーテリングを利用したCM作成の代表格といえるでしょう。
YouTubeでそのCMを公開するとわずか4ヶ月で1500万回再生もされるほどです。
AmazonのCMから読み取れることとは「合理的な訴えをしない」ということです。
一般的なCMに見られるように「便利さ・安さ」などで注意を引くことをしません。
風景など日常生活の様子のみをCMに取り入れ「Amazonは何を提供してくれるのだろう」という期待感を与えています。
またアマゾン創業者であるジェフ・ベゾスもストーリー性を非常に大切にしています。
役員会議のために用意した20枚を超える資料を、彼は直前でたった6枚のストーリー仕立てのものに変更しました。
こうした逸話は彼がどれほどストーリーを重要視していたかを物語っているといえるでしょう。
レッドブル
「Red Bull 翼をさずける」これはレッドブルの有名なキャッチフレーズです。
レッドブルは世界シェアNo.1のエナジードリンクメーカーとして広く知られています。
レッドブル商品のCMはとてもユニークで、見ている人を飽きさせません。
これはストーリー構成の基本である「日常→事件→教訓」が使われているからなのです。
ストーリー仕立ての話には、論理的な説明よりも内容を理解しやすく、人の心に残りやすいという傾向があります。
テレビショッピングもストーリーテリングの1つ
日本のテレビショッピングもストーリーテリングを上手く活用している例として挙げることができます。
ジャパネットたかたのテレビショッピングは中でも好例といえるでしょう。
たとえば紹介する商品が電子辞書で、本の辞書300冊分の機能を備えているとしましょう。
ジャパネットたかたは実際にそれら300冊の辞書を用意して視聴者をあっと驚かせ、印象づけを図っています。
このような見ている人を飽きさせない工夫もジャパネットたかたが大人気となった理由の1つです。
ストーリーテリングの成功事例の共通点
ストーリーテリングによって成功をおさめた事例が数多くあることは説明してきた通りです。
それら成功事例にはどのような共通点があるのでしょうか。今回は2つピックアップしてご紹介します。
メッセージ性が強い
ストーリーテリングの成功事例の共通点、1つ目はメッセージ性が強いことです。
力強くて明快なメッセージを発信しているストーリーテリングが成功していると言えます。
ターゲティングを明確にした上でどんな世界観を提供するかはっきりさせていることがポイントだといえるでしょう。
メッセージ性が明確でなければ共感はなかなか得られません。
また強いメッセージ性を持たせるだけでなく、ストーリーに一貫性を持たせるということも大切です。
自分をヒーローにしない
ストーリーテリングの成功事例の共通点、2つ目は自分をヒーローにしないことです。
「自分はすごいことをしてきた」「自分は成功している」といった話ばかり並べることは禁物です。
聞き手にはただの自慢話としか受け取られません。共感を得ることはまずできないでしょう。
成功をした話よりもそこに至るまでの過程のストーリーを発信した方が共感を得られ、興味を引くこともできます。
ストーリーテリングがうまくいかない要因は?
ストーリーテリングがうまくいかない要因はどこにあるのでしょうか。
失敗例にどのような共通点が見られたかを知って、反省点をストーリーテリングの改善に活かしましょう。
「未来」が想像できない
ストーリーテリングがうまくいかない要因、1つ目は「未来」が想像できないことです。
ただただ物事が起きた順に話を並べていくだけでは相手の共感を得たり興味を引いたりすることはできません。
人は「未来」に敏感です。ストーリーが将来的にどうなるかをとても気にかけ、それを知るために行動をおこします。
こうした「未来」を匂わせたり感じさせたり想像させたりする工夫のないストーリーはなかなかうまくいきません。
バッドエンドにしてしまっている
ストーリーテリングがうまくいかない要因、2つ目はバッドエンドにしてしまっていることです。
未来が想像できないのと同じく、未来に悪い結果が待っているストーリーに対しても人は心動かされません。
悪いことが起きると分かっている話はむしろ人を遠ざけると考えて良いでしょう。
ニーズが汲み取れていない
ストーリーテリングがうまくいかない要因、3つ目はニーズが汲み取れていないことです。
物語を語るからには広く受け入れられたいものですが、万人受けばかり狙っていてはいけません。
ターゲットを絞り、どんな人がどんなことを求めているかしっかりとニーズを把握してから語りましょう。
これができていないと、結果的に誰の心も動かせないストーリーとなる可能性があります。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
魅力的なストーリーテリングにするポイント
魅力的なストーリーテリングにするために気を付けておきたいポイントが2つあります。
これらを押さえておくとより人の心を引きつける物語になるので、ぜひ取り入れてください。
事実・数字の羅列にしない
商品に関する事実や数字をそのまま語ってみても受け手の共感はなかなか得られません。
その場合、せっかくのストーリーテリングが失敗に終わる可能性が高いでしょう。
事実や数字を伝えることも確かに大切ですが、そのことに終始しないよう心がけましょう。
それらの物事によって最終的に何を得られるのかをストーリーにしっかりと盛り込むことが重要です。
共感できるポイントを作る
ストーリーテリングにおいて大切なのは、やはり共感です。
聞き手の共感を得られない限りストーリーテリングは効果を発揮しません。人の心に響くことなく終わってしまいます。
共感してもらえるポイントをどれだけ盛り込めるかを意識して物語を展開しましょう。
ストーリーテリングを成功させるためには?
効果的なストーリーテリングを実現させるためには、まずはターゲットが誰なのかを明確にすることが肝心です。
次いで何が最終的な目標なのかを念頭に置き、語るべき物語の構成をじっくり考えていきましょう。
ただ、こうした物語の構成を考えることは慣れていないとなかなか難しいものです。
ストーリーテリングを成功させたいと思ったら、ぜひデジマクラスのコンサルタントに相談してください。
マーケティング戦略のプロフェッショナルが親身になってお話をうかがい、適切なアドバイスをさせていただきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回の記事ではストーリーテリングの事例や成功例の共通点などを解説してきました。
起きたことや経験したことをまとめて順番に語るだけでは人々の心には響きません。
効果的なストーリーを構成するコツを押さえて、よりメッセージ性の強いストーリーを作り上げることが肝心だといえるでしょう。
本稿がストーリーテリングに悩む皆さんの一助となれば幸いです。