マーケティング手法の1つ、データマイニングを知っていますか?
データマイニングは金融業や流通・小売業などさまざまな業界で活用されており、私たちの生活にも深く関わっています。
データマイニングを活用することで、潜在的な規則性や法則を導き出すことが可能です。
この記事では、データマイニングの活用事例だけでなく、メリットやコツ・データマイニングのツールについても解説しています。
データマイニングに興味がある人は、ぜひ読んでみてください。
目次
データマイニングの概要
データマイニング(Data mining)とは、たくさんあるデータの中から役立つ情報を見つけ出すことです。
統計学やAI(人工知能)を用いてデータを分析し、関連性や潜在的な規則性を導き出すことができます。
データマイニングは、マーケティングの手法として用いられるのが一般的です。
データマイニングをマーケティングに活用することによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。
マーケティング戦略の事例はこちら
データマイニングのメリット
データマイニングを活用するメリットは次の3つです。
- 潜在的なニーズや傾向がわかる
- 商品やサービスの品質がアップする
- 効率的なCRMにつながる
それぞれ1つずつ解説します。
潜在的なニーズや傾向がわかる
1つ目のメリットは、潜在的なニーズや傾向がわかることです。
データマイニングによって、例えば雨が降るとビニール傘の販売本数が多くなる、お刺身とわさびはよく一緒に買われている、といったデータを得ることができます。
このような顧客の行動から、天気予報が雨の場合はビニール傘をたくさん仕入れておく、わさびはお刺身の近くにも置いておくなどの対策を立てることができるでしょう。
データマイニングを活用して顧客の潜在的なニーズや傾向を分析することは、新たな販売戦略を考えるために役立ちます。
商品やサービスの品質がアップする
2つ目のメリットは、商品やサービスの品質がアップすることです。
修理や故障・クレームの内容の傾向から、不良品が出やすい条件を分析することができます。
不良品が出やすい条件がわかれば、不具合が起こりやすい箇所の改善策についても検討できるでしょう。
商品やサービスの品質がアップすれば、顧客満足度も高くなります。
効率的なCRMにつながる
3つ目のメリットは、効率的なCRMにつながることです。
CRMとは、Customer Relationship Managementの頭文字をとったもので、顧客管理という意味になります。
購入商品や顧客の購買行動を分析すると、顧客の特徴やおすすめできる商品、リピーターになってくれそうな客層などを把握することが可能です。
適切なCRMを行うことによって、既存顧客の確保だけでなく新規顧客の獲得も期待できるでしょう。
次の章では、データマイニングで行うことについて詳しく解説していきます。
・潜在的なニーズや傾向がわかる
・商品やサービスの品質がアップする
・効率的なCRM(顧客管理)につながる
データマイニングで行うこと
データマイニングで行うことは、大きく分けて2つあります。
- 仮説検証
- 知識発見
1つずつ詳しくみていきましょう。
仮説検証
仮説検証は、従来のデータマイニングでよく使われていた方法です。
人が立てた仮説に沿ってデータを検証し、分析していく方法になります。
仮説の検証に必要なデータを収集し、AIやコンピューターだけでなく統計学や確率論を活用して分析が行われることが特徴です。
後から説明するデータマイニングツールを利用することで、統計学の専門知識がなくてもデータマイニングを行うことができます。
知識発見
知識発見は、さまざまなデータを分析し、新しい法則やパターンを見つけ出す方法です。
知識発見を行うときは、次の2つの分析方法がよく使われます。
- 機械学習
- ディープラーニング
機械学習とは、コンピューターやAIに学習させてデータを分析し、新たな規則性や傾向を探索する方法です。
ディープラーニング(深層学習)とは、コンピューターを駆使して、AIよりもさらに深く掘り下げた分析を行う方法になります。
いずれの方法も、機械がデータ処理を行い、分析するという点では同じです。
データ量が膨大でも迅速に分析することができるので、人の目に見えない法則が発見できる場合もあります。
仮説を立てる必要が無く、あらゆるジャンルのデータを活用できることがメリットです。
ビッグデータを所有する企業でよく利用されています。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
データマイニングのマーケティング活用事例
データマイニングは、さまざまな業界でマーケティングに活用されています。
データマイニングがそれぞれの業界でどのように活用されているのかをご紹介しましょう。
金融業での活用事例
金融業でデータマイニングが活用されている業務は多岐にわたります。
- 顧客にふさわしい金融商品の選定
- 住宅ローン・消費者ローン審査
- 住宅ローンの営業ターゲット設定
- 自動車保険の改善
- 生命保険の内容の見直し
- 顧客管理
- 社債の格付け予測
- 不正利用の防止対策
金融業で扱うデータは顧客情報だけでなく、金融市場や各種ローン・保険のデータなど非常に多いです。
データマイニングは、顧客管理に活用できるだけでなく、ローンの返済が可能かどうかを判断したり、不正取引をチェックするときにも役立ちます。
金融業はデータマイニングがもっとも利用されている業界といえるでしょう。
製造業での活用事例
製造業では、主に製造ラインの環境整備に役立てられています。
データマイニングを使うと、メンテナンスの時期やトラブルの原因となる要素をあらかじめ把握することが可能です。
環境を整えることで、製造ラインを効率的に動かすことができます。
また、故障が少ない機械を設計するときにもデータマイニングによる分析は有効です。
医療業界での活用事例
医療業界においてのデータマイニングは、病名の特定や病気の原因の解明をサポートする役割があります。
これまで、患者の病名については医師の経験に基づいて診断されることが多く、医師の見解によっては違う病気と診断されるリスクがありました。
しかし、データマイニングを取り入れると、服用中の薬や基礎疾患・遺伝子などさまざまなデータから病名を診断することが可能です。
客観的なデータに基づいて診断を行うので、医師の経験に関係なく正しい診断を行うことができます。
人々の健康を守るために、データマイニングは医療業界において今後ますます必要とされるでしょう。
流通・小売業での活用事例
流通・小売業でデータマイニングが活用されるのは、主に顧客や商品を管理する業務です。
分析結果を活用すれば、購買意欲を刺激するキャンペーンを行う、ターゲット層を設定して特定の商品を紹介するなどのマーケティング戦略を効果的に展開することができます。
商品については、天候や季節によって仕入れの数を調節する、売れそうな商品を多めに仕入れるなど、適切な在庫管理が可能です。
このように、データマイニングはさまざまな業界で活用されています。
では、データマイニングは実際どのような流れで行われているのでしょうか。
次の章で詳しく解説していきます。
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データマイニング実施の流れ
データマイニングは、次のような流れで実施されます。
- 目的にあったデータの収集
- データの分類・加工
- 分析・関係性の抽出
- 評価・予測
それぞれの手順を1つずつみていきましょう。
目的にあったデータの収集
データマイニングでまず最初に行うことは、目的にあったデータの収集です。
データを収集する前に、データマイニングを行う目的をきちんと決めておく必要があります。
決めた目的に当てはまるデータを、できるだけたくさん集めましょう。
集めるデータが多いほど、データマイニングの精度が高くなります。
データの分類・加工
集まったデータを分類・加工することが2つ目の手順になります。
例えば、過去1年で売れた商品のデータを集めた場合、在庫切れや廃番になってしまったデータは不要になるでしょう。
分析に利用するデータを取捨選択し、適切に分類することをデータクレンジングといいます。
分析を効率よく進めるためにも、データクレンジングはとても大切なプロセスです。
分析・関係性の抽出
3つ目の手順ではいよいよ分析を行い、関係性や規則性を導き出します。
分析法には後から紹介するクラスター分析やロジスティック回帰分析、マーケット・バスケット分析を用いることが多いです。
場合によっては統計学・確率論を活用することもあるでしょう。
評価・予測
最後に、データマイニングの分析結果の評価と、分析結果に基づいた予測を行います。
例えば、課題が発見されたら改善策を考える、特定の法則が見つかったら実際に適用して効果を検証するなど、分析結果によって対応はさまざまです。
もし望ましい分析結果が出なかったときは、データ収集~分析までの手順を何回か繰り返すことになります。
データマイニングでの主な分析方法
データマイニングでの主な分析方法は、次の3つです。
- クラスター分析
- ロジスティック回帰分析
- マーケット・バスケット分析
それぞれの特徴について詳しく解説します。
クラスター分析
クラスター分析は、条件が似ているデータをグループ化して分析する手法です。
例えば、顧客を購買行動ごとに分類し、それぞれのグループごとに適切と思われるマーケティング施策を考えたいときなどに使われます。
ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析では、「Yes」「No」がはっきりしているものを分析することが可能です。
例えば、ダイレクトメールを送った顧客が特定の商品を購入するかどうかの確率を求めるときなどに使われます。
マーケット・バスケット分析
マーケット・バスケット分析は、一緒に購入されることが多い商品を見つけたいときに使われる手法です。
販売データから購入商品の関連性を導き出すことで、売り場の環境が改善され、販売促進につなげることができます。
データマイニングのツールの例
マーケティング戦略に効果的なデータマイニングをもっと簡単に行いたいのであれば、データマイニングツールの利用をおすすめします。
データマイニングでは、膨大なデータを集めなければなりません。データが多いぶん、入力作業も大変です。
また、集めたデータを分析するためには、統計学などの知識が必要となります。
しかし、専用のツールを利用することで、データを収集したり入力したりする手間が省け、専門知識がなくても簡単にデータマイニングを行うことが可能です。
データマイニングツールには、次のようなものがあります。
- MOTIONBOARD
- TEXTVOICE
- CustomerRings
- Visual Mining Studio
MOTIONBOARDは、特別なプログラミング知識も必要なく、分析結果もグラフ表示などで大変見やすくなっています。
リーズナブルな価格で導入できるので、データマイニング初心者にもおすすめです。
TEXTVOICEは、社員や顧客の意見のデータマイニングが行えるツールになります。
最大6語の単語の組み合わせが分析できることや、類義語辞書の自動作成機能が特徴です。
CustomerRingsは、顧客データを分析するための最適なツールとなります。
顧客の購買データを細かく分析できるので、マーケティング戦略に非常に役立つでしょう。
Visual Mining Studioは、NTTデータが提供しているソフトウエアということもあり、導入している業界がもっとも多いツールです。
先に紹介したクラスター分析やマーケット・バスケット分析など、さまざまな分析手法がプログラミングされています。
自社に適したツールを活用して、データマイニングを行いましょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
データマイニングで成果を出すコツ
データマイニングで成果を出すコツは3つあります。
- 目的に基づき、正確なデータを集める
- データマイニングツールに頼りすぎない
- データマイニングの知識を身につける
データマイニングで利用するデータは、正確であること、目的に基づいていることが大前提です。
目的と関係のないデータや、間違ったデータを利用しても、望むような分析結果は得られません。
データマイニングツールを導入するときは、ツールの分析結果が全てではないということも頭に入れておきましょう。
ツールに任せきりにせず、最低限のデータクレンジングや設定は自社で行うことがポイントです。
また、目的にあわせた分析手法を選んだり、分析結果をマーケティング戦略に活かすためには、専門知識が必要となります。
ツールを使いこなすためにも、データマイニングに関する知識や技術はある程度身につけておきましょう。
データマイニングを取り入れたマーケティング施策を考えるなら
データマイニングを取り入れたマーケティング施策を考えるなら、専門のコンサルタントに相談することをおすすめします。
データマイニングをマーケティングに活かすためには、あらゆる専門知識が必要となります。
データマイニングをマーケティング施策に取り入れたいのであれば、専門コンサルタントであるデジマクラスに相談してみましょう。
マーケティング戦略の事例はこちら
まとめ
データマイニングは、さまざまな業界で活用されているマーケティング手法です。
膨大なデータを分析して関連性や法則を導き出すことで、顧客サービスや商品の品質向上につながるというメリットがあります。
データマイニングをマーケティングに活かすためには、専門知識が必要です。
データマイニングを取り入れたマーケティング施策を考えているのであれば、専門コンサルタントのデジマクラスに相談してみてください。