政府が主導してきた「働き方改革」は法整備も進み、多くの企業で実践されています。
しかし、単に「残業を減少させる」「休日を取得させる」ことだけに傾注している企業も少なくありません。
もちろん、企業にとって働きやすい職場環境を作り上げることは大切ですが、生産性の向上が伴わなければ本末転倒です。
そこで、多くの企業で導入しているのがITツールであり、働き方改革の成否に大きく影響しているといえるでしょう。
この記事では働き方改革に必要なITツールの特徴や導入メリットに加え、その事例について紹介します。
目次
働き方改革を詳しく知ろう
働き方改革が導入された背景には、日本の深刻な人口減少があり、2010年を境に人口は減少し続けています。
その反面、高齢者は増え続けているのが現状であり、日本の国力を維持するには次の3点が喫緊の課題だといえるでしょう。
- 労働人口を増やす
- 出生率を増やす
- 労働生産性を向上させる
これらの課題解決のために政府が取り組んできたのが「働き方改革」であり、2018年6月には「働き方改革関連法」が成立しました。
つまり、働き方改革の目的は働きやすい職場環境を構築することで、労働人口の増加・生産性を向上を目指しているといえるでしょう。
なお、働き方改革の実現に向け、企業が取り組むべき課題は以下のとおりです。
- 長時間労働の是正
- 労働生産性の向上
- あらゆるハラスメントの防止
- 公正な待遇の確保
- 柔軟な働き方が可能な職場環境
- ダイバーシティの推進
- 人材育成
したがって、企業は働き方改革を通じて労働環境を整備し、生産性を向上させることが求められているといえるでしょう。
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IT化できないデメリット
働き方改革は「働き方改革関連法」が成立したことで、全ての企業が取り組むべき施策となりました。
賢明な企業は早くから業務のIT化に取り組み、労働生産性の向上にも取組み実績を残しています。
一方でIT化ができない企業も少なくありません。そこで、IT化ができない企業に起こり得るデメリットについて考えてみましょう。
サービス残業が増える
働き方改革において長時間労働の是正は「柱」となる施策であり、残業時間の圧縮に厳しく取り組んでいる企業も少なくありません。
しかし、働き方改革が導入されても業務量は変わらないことから、残業で行っていた業務が残ってしまう計算となります。
業務を残してしまうと上司に叱られたり、他の社員に迷惑を掛けてしまうとして、隠れて行われているのがサービス残業です。
もちろん、サービス残業は違反行為ですが、社員の立場からすると止むに止まれぬ事情があるのも事実だといえるでしょう。
ジタハラが増える
ジタハラとは仕事を自宅に持ち帰って行うことです。ジタハラの増加もIT化ができないことによるデメリットです。
サービス残業を防止するために、多くの企業では出退勤システムなどを導入して社員の出退勤を管理しています。
しかし、IT化による業務の効率化が行われていないと、業務が残ってしまうことは前項で紹介したとおりです。
そのため職場に内緒で仕事道具・資料を持ち帰って、自宅で仕事を行うジタハラが増えています。
もちろんジタハラも違反行為であり、万が一個人情報が流出してしまうと大きな損失になりかねません。
働き方改革にはITツールが必要不可欠
働き方改革をスムーズに実践するには、ITツールによる業務の効率化が必要不可欠です。
長時間労働の是正は働き方改革の中心となる施策ですが、業務量そのものが少なくなるわけではありません。
そのため、業務の効率化に取り組まずに長時間労働の是正を行うと、サービス残業やジタハラなど様々な弊害が出てしまいます。
ここでは、働き方改革にはITツールの導入が不可欠である理由について改めて整理してみましょう。
ITツールで業務効率化
IT技術の進化により様々な業務がIT化できるようになり、今後もその範囲は拡大することが予想されています。
なお、働き方改革・業務の効率化に向け、導入を検討したいITツールは以下のとおりです。
- プレゼンス管理ツール
- 勤怠管理ツール
- Web会議ツール
- メール・チャットツール
- データ共有ツール
- ERP(統合基幹業務システム)
ただし、単にITツールを導入するだけでは、業務を効率化することはできません。
用途に合わせたITツールを適切に導入することが不可欠であり、ITツールを活用するのはあくまでも社員です。
したがって、ITツールを導入する目的や期待される効果を社員に落とし込み、しっかりと教育することも大切だといえるでしょう。
アナログは時間を浪費するだけ
ITツールを導入するには費用が必要であり、社員への落とし込みにも手間がかかります。
そのため、ITツールの導入に消極的な企業も少なからずありますが、コストや手間を理由にアナログに拘るのは時代遅れです
アナログは時間を浪費するだけであり、ITツール導入時のコストや手間はITツールを活用すれば短期間で消し込めます。
大切なのは「生産性を向上させること」「社員の長時間労働を是正すること」であることを忘れてはなりません。
人手不足の解消
働き方改革が導入された端緒は深刻な人口減少であり、労働人口の減少による人手不足は多くの企業における喫緊の課題です。
ITツールを導入することで、これまで「人手」で行っていた業務をツールに任せることが可能となります。
さらに、ITツールを活用することでヒューマンエラーは激減しますから、人手不足の解消に大きく貢献できるでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
おすすめのITツールと特徴
ITツールはその役割に応じて以下のカテゴリに分類できます。
- コミュニケーション
- 労務管理
- 業務管理
したがってITツールを導入する際には、その役割を明確にするとともに職場実態にマッチしたものを選ぶことが重要です。
ここでは、働き方改革の実現におすすめのITツールとその特徴について解説します。
ビジネスチャット
今や定番ともいえるITツールがビジネスチャットであり、「チャットワーク」をはじめ様々な種類のツールがリリースされています。
社員間での簡単なやり取りは、会議室やミーティングルームに集まるのではなくデスク上で行うのが効果的です。
まさにビジネスチャットは、社員間の迅速かつ円滑なコミュニケーションを効率的に推進するツールだといえるでしょう。
また、ビジネスチャットに付加されているスケジュール・タスク管理機能は、労務管理・業務管理にも効果を発揮します。
したがって、ビジネスチャットは単なるコミュニケーションツールではなく、労務・業務管理を含めた総合的なツールだといえるでしょう。
Web会議システム
Web会議システムは双方の姿を見ながら会議が開催できる点が、メリットであり特徴でもあるITツールです。
集合会議を開催する場合、出席者の意向やスケジュール調整に多大な労力が必要となります。
支店や営業所から招集する場合だと、往復の交通費は移動時間も決して軽微なものではありません。
「ZOOM」に代表されるWeb会議システムであれば、簡単にどこからでも参加できることから業務の効率化に大いに役立つでしょう。
バーチャルオフィス
最近多くの企業で導入され始めているのが、「Remotty」「Remo」に代表されるバーチャルオフィスです。
バーチャルオフィスといえば、いわゆる雑居ビルなどの1室をレンタルする「貸し事務所」が思い描かれますが全く内容は異なります。
ITツールにおけるバーチャルオフィスとは、ネットワーク内など仮想空間上に作られたオフィスです。
通話・通信機能・Web会議室をはじめ、各種資料もバーチャルオフィス内で共有することができます。
まさにコミュニケーション・労務管理・業務管理の全てが網羅されたITツールがバーチャルオフィスだといえるでしょう。
なお、バーチャルオフィスが急激に注目されるようになった背景には、働き方改革に加えコロナ渦における在宅勤務の増加があげられます。
在宅勤務は今後も増加することが予想されており、ますますバーチャルオフィスの需要は高まるでしょう。
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上記以外でおすすめのツールと特徴
働き方改革に必要なITツールにおいて、主に円滑なコミュニケーションを目的とするものは前項で紹介しました。
しかし、コミュニケーションツール以外にも働き方改革に必要なITツールがあり、その特徴を理解しておくことが大切です。
ここでは前項で紹介しきれなかったおすすめのITツールを紹介します。
勤怠管理システム
勤怠管理システムとは社員の勤怠状況を効率的に把握し、給与計算などに活用するシステムです。
なお、勤怠管理システムの標準的な機能は以下のとおりとなります。
- 社員の出退勤時刻の確認
- 休暇・残業の申請及び承認
- シフトの変更申請
- 残業時間の把握
- 残業時間を超えた際のアラート機能
- 不正打刻に対するアラート機能
働き方改革が導入されることで長時間労働は是正されますが、生産性の向上が成されなければ真の成功だとはいえません。
決められた勤務時間内に期待される実績を上げさせるためには、勤務時間管理ではなく勤怠管理が重要です。
勤怠管理システムはまさに個々の勤怠状況を把握するためのツールであり、勤怠管理業務の負担軽減にも大きな効果が期待できるでしょう。
オンラインストレージ
オンラインストレージとはオンライン上に仮想スペースを設けることであり、様々なデータの保管を可能とするツールです。
前項で解説したレンタルオフィスなどを利用する場合、各種資料・データなどをリモートで活用できることが必須だといえるでしょう。
オンラインストレージは社内だけでなく在宅勤務などにも対応していますから、柔軟な働き方を可能としてくれます。
ただし、個人情報の流出などのリスクがあることから、アクセス権限を厳格にするなどの対応が必要です。
ITツールを導入するメリット
働き方改革を実践する上でITツールは欠かせませんが、具体的にはどういったメリットがあるのでしょうか。
例えば、チャットやWeb会議室を導入することで、打ち合わせやミーティングを開催する手間は大幅に省略することができます。
スケジュール調整や移動時間を考える必要がなくなり、より議論に集中することで生産性のアップにつながるでしょう。
勤怠管理システムは給与計算にかかるデータ収集を容易にすることから、大幅な業務の効率化を可能とします。
これらの事例を整理すると、以下のメリットを実感することが期待できるでしょう。
- 社員間のコミュニケーションが容易になる
- 利便性・生産性がアップする
- データ管理の一元管理が可能となる
ただし、ツールを導入するだけでなく、ツールを活用する社員の意識改革が重要であることはいうまでもありません。
ITツールを活用した働き方改革の事例
ITツールの活用は働き方改革に欠かせないものですが、実際に導入するには好事例を確認しておくことが大切です。
ここでは、ITツールを活用して働き方改革を成功させている好事例について紹介します。
イオンドットコム株式会社におけるチャットツール導入例
イオングループのデジタル事業を担うイオンドットコム株式会社の課題は、社員間のコミュニケーションを密にすることでした。
そこで、カジュアルな社員間コミュニケーションを目指し、セキュリティに定評のあるチャットツールを導入しています。
なお、チャットツールの導入にあたっては、これまで個々に導入されていたツールを統一することとしました。
その結果、これまで以上に社員間のコミュニケーションは密となり、業務の効率化に繋がっているのが現状です。
合同会社西友における勤怠管理システム導入例
ネットスーパーなどを運営している合同会社西友では、これまでも勤怠管理システムを導入・活用しています。
ところが制度変更のたびに大幅な改修が必要となり、コスト・労力ともに負担が大きくなっていました。
そこで、子会社を含め最新のシステムを導入することで、改修コストが削減できただけでなく、日々の業務の効率化も実現しています。
ITツールを既に導入している企業であっても、現状にマッチしていないこともあることから定期的にリニューアルすることが大切です。
システージ株式会社におけるWeb会議システム導入例
ネットワークシステムソリューションを提供するシステージ株式会社では、離れた相手と綿密な打ち合わせを行う機会が多くあります。
従来からチャットシステムは導入していましたが、双方の姿が見えないことから孤立感を感じることも少なくありませんでした。
そこで、WEB会議システムを常設することで、その場にいるような感覚を持たせることに成功しています。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
働き方改革のためにDXを取り入れよう
DXとはデジタル技術を活用して自社商品・サービス及びビジネスモデルを変革し、あらゆる面で企業を良い方向に進めることです。
まさに働き方改革と相性の良いフレームワークがDXだといえるでしょう。
したがって、企業が働き方改革に必要なITツールを導入する際には、併せてDXの考え方を取り入れることが大切です。
DXの考え方に照らし合わせ、どういった目的でどういったツールを導入するのかを意識することが成功への近道だといえるでしょう。
働き方改革のためIT化を導入したいときは
働き方改革のためIT化を導入したいときは、デジマクラスのコンサルタントを活用しましょう。
働き方改革は全ての企業が取り組むべき課題であり、IT化は必須だといえます。
しかし、企業によって職場環境は異なり、どうやって導入すべきか迷ってしまうことも少なくありません。
デジマクラスのコンサルタントであれば、現場で養ったノウハウを基に最適な導入方法をレクチャーしてくれるでしょう。
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まとめ
労働人口の減少に端を発した働き方改革は、労働力を確保し生産性を向上させるためにも全ての企業が実践すべき施策です。
しかし、業務量が変わらない状況下で単に長時間労働を是正するだけでは、様々な弊害が起こるだけだといえます。
働き方改革を実践するにはITツールの導入が必要不可欠ですが、単にITツールを導入するだけでは不十分です。
ITツールの導入に併せてDXを取り入れ、社員の意識を改革することが大切だといえるでしょう。
なお、ITツール導入の際にはデジマクラスのコンサルタントを活用することで、職場の実情にマッチした導入方法をレクチャーしてくれるでしょう。