世界中で共通のキーワードとなっている「SDGs」という言葉を聞いたことのある人は多いことでしょう。
多くの企業でSDGsをマーケティングの主軸とした取り組みが広がっています。
しかしマーケティングにSDGsをどのように組み込めば良いのか悩んでいる企業も多くいることでしょう。
今回はSDGsをマーケティングに活かす方法を解説します。
目次
SDGsをマーケティングに活かす方法を解説!
SDGsは世界共通の課題として広く知られ、SDGsに基づく事業展開に本格的に取り組む企業も増えつつあります。
国際的な課題だからこそ、SDGsに関連するニーズは世界中にあるとも考えられるでしょう。
すでにSDGsをマーケティングに取り入れた成功事例もあり、今後さらに広がることが期待できます。
そのマーケティング機会を逃さないためには、まずSDGsの意義や基本概念を知ることが大切です。
SDGsの考え方を理解し、マーケティングに活かす方法を模索してみましょう。
マーケティング戦略の事例はこちら
マーケティングにSDGsを取り入れる意義
SDGsはよりよい世界を目指すための世界共通の課題への取り組みです。
そこには環境・教育・飢餓や貧困など世界のあらゆる課題があげられています。
テーマが壮大すぎることでマーケティングとの繋がりが考えられないかもしれません。
しかし、本来企業は社会貢献に取り組むことが社会的責任として社会から求められています。
その本来取り組むべき社会貢献がSDGsの中には含まれているのです。
SDGsに取り組むことが、企業の求められている正しい在り方に直結するといえるでしょう。
さらに、SDGsに取り組むことで社会からの評価も上げることができ、投資家からの期待が集まります。
それによって株価を高め、企業価値を高めることができ、経営の安定にも繋げることができるのです。
SDGsをマーケティングに活かす方法
SDGsをマーケティングに活かすには、社会的な利益に着目することが大切です。
SDGsの掲げる目標は世界的な課題の解決に直結しています。
言い換えれば、SDGsに基づくビジネスは世界中にニーズがあるといえるでしょう。
そのニーズを把握し、SDGsに基づいた考え方を取り入れたマーケティングであることが重要です。
そのためにはSDGsで掲げられている目標や意義を理解することが大切になります。
その上で自社の事業と親和性の高い目標を絡めるマーケティング戦略を行いましょう。
それにより、社会貢献と企業としての利益獲得を両立させ、SDGsを最大限活かすことができます。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
マーケティングに「SDGs」が影響を与える理由は
マーケティングにSDGsが影響を与える最大の理由は、SDGsへの取り組みが企業の評価基準になりつつあることです。
先述した通り、SDGsへの取り組みによって投資家の期待は変動します。
それだけでなく、消費者からの評価にもSDGsが評価基準となりつつあるのです。
環境問題やジェンダー問題などが世界的に問題提起される中で、それらの問題に対する企業の姿勢も消費者は厳しくチェックしています。
世界的な課題に対し、積極的に取り組んでいる企業は評価が上がり、逆に反することがあればバッシングを受けることもあるのです。
つまり、これらの課題を包括的に解決課題として掲げるSDGsへの取り組みは企業イメージを左右するといえます。
このように、SDGsは企業のブランドイメージ戦略に欠かせなくなりつつあるのです。
「SDGs」の基本的な概念
ここまでマーケティングにおけるSDGsの意義や影響を解説してきました。
SDGsを実際にマーケティングに取り入れるには、そもそもSDGsとは何かを押さえておくことが大切です。
続いてSDGsの基本的な概念を解説します。
「SDGs」は、いつ、どこで決まった?
SDGsは正式名称は「Sustainable Development Goals」といいます。
2015年9月、ニューヨークの国連本部にて開催された国連サミットで採択された国際的な目標です。
2030年までを期限として17の開発目標を掲げています。
SDGsには前身となる取り組みがあり、それが2001年ニューヨークにて採択された「ミレニアム開発目標(MDGs)」です。
MDGsは開発分野における国際社会の共通の目標であり、2015年までの目標達成を掲げ、一定の成果をあげました。
これは活動を継続するために「持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)」として現在も引き継がれています。
「SDGs」のキーワード
SDGsはキーワードとして「誰一人取り残さない」ことを掲げています。
先述してきた通り、SDGsで掲げられているのは世界的な課題の解決目標です。
それは環境・気候変動といった地球規模のものだけでなく、貧困・健康・教育なども含まれています。
貧困や教育などは特に途上国で深刻な問題となっていますが、日本においても問題が表面化しつつあるものです。
さらに技術革新や働きがいなど、経済成長に関わる目標も掲げられています。これは先進国においても無視できない課題でしょう。
このように、国や立場は違えど、これらの課題に直面している人は存在しています。
こうした問題は当事者や関係する国だけで解決できるものではありません。
世界全体が解決に向けて動くことで、誰もが住みやすいよりよい世界を目指しているのです。
持続可能な開発目標
SDGsの正式名称にある「Sustainable」は「持続可能な」という意味の言葉です。
SDGsで掲げられている17の目標はどれも持続可能な社会を目指して制定されています。
17の目標は以下の通りです。
目標1 あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
目標2 飢餓をゼロに
目標3 あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
目標4 すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
目標5 ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
目標6 すべての人々に水と衛生へのアクセスを確保する
目標7 手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
目標8 すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する
目標9 レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る
目標10 国内および国家間の不平等を是正する
目標11 都市を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする
目標12 持続可能な消費と生産のパターンを確保する
目標13 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
目標14 海洋と海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
目標15 森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る
目標16 公正、平和かつ包摂的な社会を推進する
目標17 持続可能な開発に向けてグローバル・パートナーシップを活性化する引用元:https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/31737/
これらの目標を達成することで誰にとっても住みよい、持続可能な世界の実現を目指しています。
マーケティング戦略の事例はこちら
企業のSDGsへの取り組み
それでは具体的に企業がどのような取り組みを行っているのか、代表的な例を紹介します。
ネオマーケティンググループ
市場調査を行うネオマーケティンググループでは、アンケートモニターサイトを通じてSDGsに取り組んでいます。
主に取り組んでいる目標領域は「働き方」や「ジェンダー平等」などの分野です。
例えば大学などの教育・研究機関における調査研究活動に対する料金設定の値下げという取り組みをしています。
これにより大学などが研究のために調査依頼をするハードルを下げることができ、より有益な研究データの収集が実現できるでしょう。
さらにクラウドソーシングパネルの運営では、あらゆる人が働きたい時に働ける環境を整備しています。
これは誰もが自分らしく、働きがいをもって働く社会の実現に繋がる事業です。
味の素株式会社
味の素株式会社は途上国でSDGsの「食」に関する目標に関する事業を手がけています。
途上国では貧困による子供の飢餓や栄養不良などは深刻な問題になっています。
その課題解決に乗り出した事業内容の一例が、ベトナムの学校で給食プロジェクトです。
この事業では給食を通して子供達の栄養バランスの改善や健やかな成長の助けとなることを目標としています。
さらに日本で「食卓からエコライフ」提案という事業を行いフードロスの問題にも取り組んでいます。
株式会社良品計画
無印良品で知られる株式会社良品計画もSDGsを取り入れた事業を行っています。
特に取り組んでいるのは環境に配慮した、ごみを減らすための取り組みです。
包装の簡略化によって包装にかかる資源の無駄づかいをせず、ごみの削減を実現しています。
さらにプラスチック製のショッピングバックを廃止しました。
それに合わせて行っているのがレジ袋辞退でMUJI passportマイルの付与という取り組みです。
消費者にとってはポイント獲得でお得感があり、会社としてはレジ袋削減に繋げられます。
商品の素材も再生ウールを利用することで本来は捨ててしまう端切れや糸を再生する事業にも取り組んでいます。
本田技研工業株式会社
ホンダが取り組んでいるのはモビリティ分野を活かした事業です。
ホンダは世界の安全な移動と暮らしの進化を実現することで、すべての人に生活の可能性を広げることを目標としています。
具体的には安全な自動運転技術の開発や安全運転の普及です。
これはSDGsの「まちづくり」などの分野に関係しています。
自動運転技術の開発と実用化は、交通事故の削減に繋がると期待できる事業です。
この取り組みによって、交通事故死者数の削減など、最終的には交通事故ゼロの社会の実現を目指しています。
さらに環境・エネルギー分野にも関係する事業として挙げられるのが、自動車の電動化です。
これはカーボンフリー社会の実現にも関係しており、注目度が増している事業でもあります。
これらの取り組みを大きく2030年ビジョンとして定めて取り組んでいます。
SDGsの取り組みの課題
SDGsの取り組みは上手く事業に組み込むことができれば、企業利益と社会貢献の両方を実現できます。
しかし取り入れ方によっては期待する効果が得られないものになってしまう可能性は否定できません。
SDGsの取り組みにおける課題を解説します。
社会貢献だけでなくビジネスにつなげられるか
SDGsの目標はそれぞれ社会的な課題に対する目標です。
その多くの課題に対しすでに「社会貢献」としてボランティアで取り組んでいるという場合もあるでしょう。
しかし利益を求めないボランティアだけで終始してしまっては企業は存続できません。
ボランティアとしての側面だけでなく、そこからビジネスとして収益を上げられることを念頭に考えることが重要です。
一方で利益優先になってしまうこともSDGsの意義からはかけ離れてしまいます。
社会課題の解決に向けた、利益を最優先にしない、持続可能な取り組みであることが求められるのです。
マーケティング戦略を考える際にはこのバランスを取る事業を考えることが求められます。
中長期的な計画が必要
SDGsは「持続可能な社会の実現」を掲げています。
つまり目標達成が一過性のものではなく、未来に続くものでなければ真に目標達成とはいえません。
そして課題としてあげられているものは数年で目標達成できるものではありません。
例えば途上国における貧困・教育格差などは前身のMDGsでも課題としてあげられていました。
MDGsの取り組みで一定の改善は見られたものの、目標達成とは言い難いのが実情です。
それは経済的な事情だけでなくそこで暮らす人々の意識改革なども関わっていることが大きな要因といえるでしょう。
企業がSDGsの取り組みを事業として行う場合も、一過性の事業ではSDGsの意義を果たすことはできません。
その事業を止めたら元に戻ってしまうのではなく、SDGsに基づく考え方が社会に根付くことを最終的な目標に据える必要があります。
そのためには必然的に中長期的な計画を考える必要があるでしょう。
自社事業をベースに取り組みを考える
SDGsを取り入れる際には、自社の既存事業をベースに考えることが大切です。
SDGsのために新たな事業を立ち上げるとしても、全く新しい分野の事業では上手く運営することができない可能性が高いでしょう。
持続可能な社会の実現を目指しているのに、事業が途切れてしまっては本末転倒です。
既存事業をベースに考えることで、これまでのノウハウを活かしての事業計画が考えられます。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
SDGsマーケティング成功事例から学ぶ解決力
SDGsを取り入れるには課題もあり、難しいと感じている人も多いでしょう。
成功事例から企業が活かせる解決力を解説します。
既存の事業や取り組みの中にSDGsを見出す
まず成功事例の多くは既存事業や取り組みの中にSDGsに通じるものを見いだしています。
例えば味の素株式会社であれば「食」という分野に着目した事業を展開しました。
「食」は生きていく上で欠かせないものであり、その一方で飢餓やフードロスなどの問題も山積しています。
その問題の解決とSDGsの目標達成を実現でき、企業としての利益も確保できる事業といえるでしょう。
社員との関係性構築にSDGsを活用する
SDGsには働き方に関する目標も掲げられています。
その目標達成と社員と企業の関係性構築にもSDGsは活用することができるでしょう。
例えばネオマーケティンググループは社員のスキルアップに関わる取り組みも行っています。
これは社員の働きやすい環境整備にも繋がっているといえるでしょう。
またジェンダー問題の解決として子育て支援や採用・評価における男女平等もSDGsを活用することができます。
SDGsの力を長期的なスパンで見る
SDGsの取り組みは、事業を行ってすぐに効果がでるものは少ないでしょう。
しかし長期的にみれば企業にとってプラスになることの方が多くあります。
たとえばSDGsに取り組んでいることで企業のブランドイメージ向上に繋げることができます。
ブランドイメージが良いことによって消費者に選ばれやすくなり、SDGs関係以外の事業でも利益が上がることが期待できるでしょう。
継続的な取り組みは投資家からの支持も集まりやすく、それによって安定した経営の実現にも繋がります。
そうした支持基盤を固めることで、SDGs関係事業を継続し、さらに企業価値を高めるという好循環を生み出すこともできるでしょう。
SDGsマーケティングで悩んだら
SDGsは世界のトレンドともいえる取り組みであり、事業に取り入れる企業は増えています。
しかしトレンドで終わってしまえば真にSDGsの開発目標を達成することはできません。
そのため中長期的な計画でSDGsを事業に取り入れる必要があります。
既存事業に取り入れることが継続的な事業を行うための鍵になりますが、そう簡単なことではありません。
どのように事業に組み込むべきか悩んでいる場合は、コンサルタントに相談してみることをおすすめします。
第三者の視点からアドバイスを受けることで、自社の事業にSDGsをうまく取り入れた戦略を立てることができるでしょう。
SDGsは社会的にも注目度が高く、企業の評価さえ左右するものになりつつあるといえます。
自社のマーケティング戦略にSDGsを取り入れる場合はぜひコンサルタントの利用を検討してみてください。
マーケティング戦略の事例はこちら
まとめ
今回はSDGsをマーケティングに活かす方法を解説しました。
SDGsは社会貢献と利益追求という一見相反するもののように感じ、事業に取り入れることが難しいと感じる人も多いでしょう。
しかしマーケティングにSDGsを取り入れることは企業にとってだけでなく、社会的にも意義のあることです。
企業のブランディング戦略としても重要なSDGsを自社の事業にも取り入れてみましょう。