システム導入によって「業務を効率化させたい」「働き方改革に活かしたい」という人は多いのではないでしょうか。
しかし、システム導入の際に欠かせない業務フローの作成に悩む人も少なくありません。
今回は、システム導入を成功させる業務フローの見直しについてご紹介します。
業務フローを把握するためのポイントも押さえて、システム導入を成功に導きましょう。
目次
システム導入でよくある失敗
業務の効率化を図るためにシステム導入を行っても、失敗してしまう例は少なくありません。
それでは、なぜシステム導入の失敗が起こってしまうのでしょうか。
システム導入のよくある失敗から、その理由を読み解いていきましょう。
システム稼働後に現状分析の不備が明らかに
システム導入の失敗でよくあるのは、システム稼働後に不備が明らかになるパターンです。
なぜシステム稼働後に不備が明らかになるのでしょうか。
- 業務フロー把握ができていない
- 業務の洗い出しにモレがある
- 開発ベンダーと意思疎通が取れていない
これらのことが、システム導入の失敗に繋がる要因です。
つまりシステム導入にあたって、現状把握ができていないこと・開発ベンダーと情報共有ができていないことが大きな原因といえます。
運用業務の属人化から不安定な運用に
運用業務の属人化は、システムの運用が不安定になるリスクがあります。
属人化とは「特定の人」が担当している業務があり、仕組みややり方などが本人にしか分からない状況のことです。
普段は「あの人がやってくれるから大丈夫」「何かあれば頼めばいい」と思う人も少なくありません。
当の本人も、「自分がやればいいから他の人に教える必要はない」と思ってしまうこともあります。
しかし、その特定の人が退職したり休んだりした時はどうなるでしょうか。
途端に業務が回らなくなったり、その人が運用していたシステムの活用ができなくなったりします。
システム導入時に属人化が起こると、不安定な運用になり失敗に繋がるリスクがあるのです。
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システム導入成功には業務フローの見直しが欠かせない理由
システム導入失敗のリスクを避けるために知っておきたいのが、業務フローの見直しです。
業務フローとは現場の業務プロセスを可視化したツールのことで、業務の分析やシステム導入の検討に使われます。
その業務フローを見直すことで、システム導入を成功に導くことができるでしょう。
ここでは、システム導入の成功に業務フローの見直しが欠かせない理由を解説します。
システム導入チームメンバーの業務全体への理解は必須
システム導入を行う際には、チームを組んでプロセスを踏んでいくことになるでしょう。
そこで重要なのがシステム導入チームのメンバーが、業務全体のことを理解することです。
そもそも業務フローは現場の業務を可視化したものをさします。
その業務フローを見直す時に、業務内容を理解していない人がいたらどうなるでしょうか。
適切な意見が出ないだけでなく、間違った方向に見直しを進めてしまうリスクが生じます。
これはシステム導入失敗や、現場で働く従業員の反感に繋がることがあるので注意が必要です。
課題は業務フローの可視化によって顕在化
業務の課題は業務フローによって見出すことができます。
業務フローは現場の業務のプロセスを図式にして可視化したものです。
つまり、業務フローを見直していくことで課題の洗い出しに繋がるでしょう。
課題が顕在化すれば、どのようなシステム導入が必要なのか見えてくるはずです。
スムーズなシステム導入には認識のすり合わせが重要
スムーズなシステム導入には、チームメンバー間だけでなく開発ベンダーとの認識のすり合わせが重要です。
もしすり合わせができなければ、先ほどお伝えしたようにシステム導入の失敗になりかねません。
現状分析ができていない・すり合わせができていないと、システムの効率化を図ることができなくなってしまうのです。
そのため、システム導入成功のためには業務フローを見直して認識のすり合わせをする必要があります。
業務フロー把握で重要なポイント
システム導入を成功させるためには、業務フローを把握しておく必要があります。
この業務フローの把握ができていないと、システム導入を失敗させてしまうリスクがあるので注意しましょう。
ここでは、システム導入にかかせない業務フローの把握で重要なポイントをご紹介します。
業務のMECEな洗い出し
業務フローの把握のために、まずは業務の洗い出しを行います。
しかし、どのように洗い出せばいいか悩む人は少なくありません。
ただ書き出すだけでは「同じことを書いている」という重複、「あの業務を忘れていた」というモレが生じてしまうリスクがあります。
そこで活用をおすすめするのが「MECE」というフレームワークです。
MECEは物事を論理的に考えるためのフレームワークで、全体像の把握にも役立つでしょう。
「重複なくモレなく」がMECEのポイントですので、業務フローの洗い出しに活用することが多いです。
5W1Hの明確化
業務フローを把握する時には、5W1Hを明確にすることが重要です。
- Who:誰が
- When:いつ
- Where:どこで
- What:何を
- Why:なぜ
- How:どのように
ビジネスを行う上でこの5W1Hは当然のことかもしれません。
しかし、この当然のことができていないと効率よく仕事ができなかったりストレスになったりするのです。
業務フローを把握する時は5W1Hを明確にしてモレのないように当てはめていきましょう。
開発ベンダーとの共有
業務フローを把握してそれを活かしていくためには、開発ベンダーとの共有が重要といえます。
先ほど「MECE」や「5W1H」のところでお伝えしたように、ただ業務をあげるだけでは不十分です。
それは、開発ベンダーに対しても同じことがいえるでしょう。
開発ベンダーと共有すべき内容には以下のようなことがあります。
- 業務の現状
- 抱えている課題
- 解決したいこと
- 業務をどうしていきたいのか
これらのことを開発ベンダーと共有しましょう。
業務フローだけでなく自社の考えを明確に伝えることで、ミスマッチを避けることに繋がります。
それによって、課題解決までのプロセスを短縮したり、導入したシステムの複雑化を防いだりすることができるでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
現状把握がしやすい業務フローのデザイン
業務フローは、業務のプロセスを可視化できるので現状把握をするのに効果的です。
しかし、そんな業務フローもデザインによっては「見にくい」「分かりにくい」ものになる可能性があります。
それでは現状把握がしやすい業務フローとはいえません。
現状把握がしやすい業務フローのデザインを考える時に押さえておきたいポイントはこちらです。
- 業務の開始が分かる
- 時系列になっている
- 流れが見える
- 分岐点の条件が明確になっている
業務のプロセスを可視化するのですから、開始時点や時系列が分かりにくい業務フローは避けましょう。
また業務の流れが分かりやすいだけでなく、業務が分岐する時の条件も重要です。
どのような理由でその業務が分かれていくのかを明確にしましょう。
見やすいデザインにするためには、業務や工程ごとに図形や線を分けるという方法もあります。
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業務フローの把握からシステム導入の検討までの流れ
業務フローの把握を見直しをしたら、それを参考にシステム導入を検討していきます。
ここでは、業務フローの把握からシステム導入検討までの流れを見ていきましょう。
システム導入に至る背景と目的を明確化して共有する
システム導入を検討する際は、その背景と目的を明確にする必要があります。
もし背景や目的が明確でなければ、業務を効率化できない可能性が出てくるでしょう。
なぜシステム導入が必要な状況なのか、その目的は何なのかを明らかにしないと間違った方向へ進むリスクがあります。
そのようなことにならないよう、最初にシステム導入の背景と目的を明確化してください。
また、チームメンバーや開発ベンダーとの共有も重要なポイントです。
システム導入後に実現したい業務フローを具体化する
システム導入の目的として多いのが、業務の効率化ではないでしょうか。
現状の業務プロセスに何らかの課題があり、それを改善するためにシステム導入を検討することが多いです。
そのため、システム導入によってどのような業務フローにしたいのかを具体化しましょう。
ここが曖昧な状態でシステム導入の検討を進めていくと、本来の目的と異なる結果になりかねません。
途中で気づけばまだいいのですが、稼働後に発覚するのは避けたいところです。
システム導入検討の段階で、実現したい業務フローも具体的に考えていきましょう。
必要なシステム・機能を検討する
システム導入によって実現したい業務フローを考えたら、そのために必要なシステム・機能の検討を行います。
どのようなシステムや機能を取り入れたら、自社が望む業務フローを実現できるのかを考えていくのです。
システムや機能については、選択肢がたくさんあるので開発ベンダーとのすり合わせが重要となるでしょう。
類似機能を持つシステムを比較検討する際のポイントは?
システム導入に際して、どのシステムにするか悩むこともあるでしょう。
特に類似機能を持つシステムの場合は比較検討に迷う人も少なくありません。
導入するシステムを検討する時の大前提にあるのは「目的に合っている」「自社にマッチする」ということです。
それがもし類似機能を持つシステムだったら、どのように比較検討していくのでしょうか。
その比較検討のポイントがこちらです。
- 初期費用や月額費用などのコスト
- セキュリティ面
- 体験ができるか
類似機能の場合でも、初期費用や月額費用などが異なる可能性があります。予算を考慮して最適なシステムを選択しましょう。
またセキュリティに関しても比較検討する重要なポイントといえます。
自社が求めるセキュリティなのか、より強固なセキュリティ対策ができるシステムはどれかといった視点で比較するのもいいでしょう。
そしてシステムを比較検討する時に、そのシステムの体験ができるかどうかという面にも注目してください。
システムは実際に使ってみなければ分からない部分が多いです。
ぜひ導入前に体験をして実現したい業務フローが可能になるのか評価することをおすすめします。
システム導入後に運用安定化につなげるコツ
システム導入の際には、安定した運用をしていく必要があります。
せっかく費用をかけてシステムを導入しても、運用が上手くいかなければ意味がありません。
そのような事態を避けるためにも、システム導入後に運用安定化につなげるコツを見ていきましょう。
システム導入時に中長期的な運用計画まで詰める
導入したシステムの運用を安定化させるには、中長期的な運用計画が必要です。
システム導入をしたからといって、すぐに効果が現れるとは限りません。
そのため、導入直後に安易な判断はせず中長期的な目線で見ていきましょう。
そもそも、システム導入を検討する段階で中長期的な計画が必要です。
業務のマニュアル化や自動化などの工夫
システムだけ導入しても、業務が効率化しないことも少なくありません。
そうなると「せっかく導入したのに」と残念に思う人もいるのではないでしょうか。
そのような場合は、導入したシステムに合った業務が行われていない可能性があります。
現場で働く人が、そのシステムについて分かっていなければ有効活用はできません。
業務のマニュアル化や自動化などの工夫をしていくことで、業務の効率化を図りましょう。
定期的な見直し
システム導入後に安定した運用をしていくには、定期的な見直しを行うことも大切です。
その時の状況に合ったシステムを導入しても、何らかの要因でズレが生じることがあります。
現状に合っているのか、業務フローはどうなっているのか定期的に見直しましょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
業務フローの活用を通したシステム導入成功例
システム導入には業務フローの活用が有効ですが、実際にどのような成功例があるか気になる人は多いでしょう。
医療機器を扱う「シーマン株式会社」の事例をご紹介します。
シーマン株式会社が抱える業務の課題には以下のようなものがありました。
- 在庫管理が非効率的
- 欠品が出やすい
- 欲しいデータがすぐに出てこない
- 見積書作成に時間がかかる
業務フローを把握したところ、これらの課題の背景にはシステムの問題があることが分かりました。
在庫管理に関しては、グループ会社間で情報の一括管理ができない状況にあったのです。
そこで株式会社シーマンはこれらの課題を解決するためのシステムを導入しました。その結果がこちらです。
- グループ会社間で情報を一元化することで効率よく在庫管理ができるようになった
- 在庫管理ができるので欠品が出にくくなった
- 取引先とのやり取りがスムーズになった
- 見積書作成の時間短縮により残業がなくなった
業務フローの活用を通したシステム導入により、これだけの業務改善を行うことができました。
これはまさに業務フローを活用したシステム導入の成功例といえるでしょう。
システム導入や業務フロー把握に不安があったら
システム導入の際には、業務フローを活用することをおすすめします。
しかし、業務フローの把握やシステム導入検討で不安に思う人も多いでしょう。
業務フロー把握が曖昧なままシステム導入を進めていくと、冒頭で説明したような失敗に繋がりかねません。
システム導入や業務フロー把握で不安なことがあれば、専門の知識を持ったデジマクラスへご相談ください。
デジマクラスのコンサルタントが、システム導入を成功に導くための業務フロー把握をサポートします。
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まとめ
今回は、システム導入を成功させるための業務フローの見直しについてご紹介しました。
現場の業務プロセスを可視化する業務フローは、現状把握のために重要な位置付けといえます。
そんな業務フローを把握すると、業務の課題を見出すことにも繋がります。
その課題を解決するため、どのような業務フローにしていきたいかを考えることがシステム導入成功のカギです。
システム導入や業務フロー把握で迷うことがあれば、ぜひデジマクラスのコンサルタントに相談してください。