日本が開発した二次元画像・QRコードを使った決済サービスは、コンビニなどをはじめさまざまな店舗で導入されています。
スマホにQRコードの決済アプリをインストールしている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、QRコード決済の導入事例や市場規模、QRコード決済を導入する際の注意点などをご紹介しています。
QRコード決済の導入を考えている人は、ぜひ読んでみてください。
目次
QRコードを導入する企業が増えている理由
QRコードを利用した決済方法は、さまざまな店舗で取り入れられています。
2018年からPayPayやLINEペイがポイント還元の大規模キャンペーンを行ったことにより、多くの人に知られるようになりました。
現在では大企業だけでなく、中小企業でもQRコード決済の導入が進んでいます。
QRコード決済を導入する企業が増えている理由は次の3つです。
- コストを抑えることができる
- サービスを申し込んでから利用できるまで時間がかからない
- 政府が大々的なキャッシュレス決済のポイント還元事業を行った
QRコード決済には、初期費用や月額料金がかからないサービスが多いです。
売上金額の2~4%程度の決済手数料と入金手数料で利用できることがほとんどなので、コストを抑えることができます。
QRコード決済を利用するときは、専用のページから申し込んで、必要な備品が届いた時点でサービスを開始することが可能です。
申し込んでから早ければ2~3日、長くても10日程度で利用できるので、手軽に始めることができます。
また、政府による大々的なキャッシュレス決済のポイント還元事業は、QRコード決済の普及を加速させました。
現在さまざまな企業によって導入されているQRコードの市場規模は、どのように推移しているのでしょうか。
次の章で詳しく解説していきます。
QRコード決済の市場規模
QRコード決済の市場規模は、2018年から急激に成長しています。
2019年度の市場規模が約5,000億円だったのに対し、翌年の2020年は4兆2,000億円と4倍以上に拡大しました。
現在も成長を続けているQRコード市場には、多くの企業が参入しています。
それぞれの企業のシェア率については、次の章で解説していきましょう。
QRコード決済の国内シェア率
QRコード決済サービスのシェア率トップはPayPayです。
2位以下は楽天ペイ・d払い・au PAY・LINE Payの順になっています。
具体的なシェア率についてみていきましょう。
PayPayが圧倒的なシェアを誇る
シェア率トップのPayPayは、圧倒的なシェアを誇ります。
公正取引委員会が2020年8月に発表したQRコード決済市場シェアによると、PayPayのシェア率は55%です。
市場で安定した地位を築いていると判断されるシェア率は、41.7%といわれています。
2位の楽天ペイのシェア率が約15%ということを考えると、PayPayの55%というシェア率はまさに圧倒的な数字なのです。
QRコード決済は今後も拡大していくことが予想される
QRコード決済市場は、今後も拡大していくことが予想されます。
なぜなら、QRコード決済を利用した支払い金額の合計も年々増加しているからです。
財布を持たなくても支払いができるというQRコード決済は、スマホを持つことが当たり前になっている若い世代を中心に広く受け入れられています。
現金による支払いと違って計算ミスをする心配もなく、レジ業務が軽減されることから導入する店舗にとってもメリットが大きいです。
このような状況から、2020年に4兆2,000億円だった市場規模が、2024年には10兆円を超える規模に成長すると予想されています。
QRコード決済の導入事例①:PayPay
ここからは、QRコード決済の導入事例についてご紹介していきます。
まず最初にご紹介するのは、QRコード決済市場でトップシェアを誇るPayPay(ペイペイ)です。
PayPayは、ソフトバンクとYahoo!が共同して設立したPayPay株式会社によって運営されています。
業界のトップシェアを誇るだけあって加盟店も多く、PayPayを利用できる店舗は2021年で300万店以上です。
PayPayによる支払いで貯めたポイントをソフトバンクやYahoo!モバイルの支払いに充当できるというメリットもあり、現在もユーザー数は増え続けています。
PayPayの特徴
PayPayの特徴は次の3つです。
- 実店舗だけでなくオンラインストアや自動販売機にも導入できる
- アプリにさまざまな機能がある
- Alipay(アリペイ)も導入可能
PayPayは、実店舗だけでなくオンラインストアや自動販売機にも導入できることが大きな特徴です。
実店舗とオンラインストアの両方を経営している店舗であれば、売り上げの管理をPayPayにまとめることもできます。
アプリにはクーポンやマイストアなどさまざまな機能があるので、商品やサービスの販売促進にもつながるでしょう。
また、中国のQRコード決済サービス大手のAlipayも利用可能なので、インバウンドの集客を狙いたい店舗におすすめです。
PayPayのメリット
PayPayのメリットは次の2つです。
- 振込口座がPayPay銀行の場合は売り上げが翌日に自動入金され、入金手数料は永年無料
- ユーザースキャン方式であれば決済手数料が無料
PayPayの売り上げの振込口座をPayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)に設定しておくと、金額に関係なく売り上げが翌日に自動入金されます。
通常発生する入金手数料も永年無料です。
そのうえ、ユーザーが店舗のQRコードを読み取るユーザースキャン方式に限り、決済手数料は無料となります。
つまり、PayPay銀行を振込口座にして、店舗がユーザースキャン方式を採用していれば、PayPayをほぼ無料で利用できるということです。
導入コストがかからないということは、非常に大きなメリットといえるでしょう。
ただし、決済手数料の無料期間には期限があり、現時点では2021年9月30日までとなっています。
手数料などの詳細は未定となっていますので、無料期間が終わってからも利用を続けるかどうかは早めに検討しておきましょう。
PayPayの導入方法
PayPayの導入方法は次のとおりです。
- PayPayの申し込み画面で必要事項を入力する
- 必要書類を提出する
- 審査を通過したら、PayPay for Businessログインアカウントを作成する
- スタートキットが届いたら利用開始
必要書類は個人事業主と法人で異なりますので、事前に確認しておきましょう。
スタートキットの内容は、PayPayシール・店舗用のQRコードシール・販促品などで、のぼりが必要であれば別途連絡が必要です。
スタートキットは申し込んでから1週間程度で届きます。
手軽にQRコード決済が導入できるのも、PayPayの魅力といえるでしょう。
QRコード決済の導入事例②:d払い
2つ目にご紹介する導入事例はd払いです。
d払いは、携帯電話会社のNTTドコモが提供しているQRコード決済サービスになります。
ドコモユーザーでなくてもd払いは利用できますが、ドコモユーザーであれば携帯電話料金と合算して支払いができるなど、非常にメリットが大きいサービスです。
d払いの特徴
d払いの特徴は次の3つです。
- 導入パートナーがたくさんある
- メルペイとQRコードを共通化している
- 入金のタイミングは月2回
d払いは、クラウドペイをはじめとする導入パートナーがたくさんあることが特徴です。
メルペイとQRコードを共通化しており、メルペイを取り扱っているお店であればd払いでも支払いができるようになりました。
入金のタイミングは当月末と翌月15日の2回あるので、経営資源が限られている中小企業も導入しやすいサービスといえるでしょう。
d払いのメリット
d払いのメリットは、全国のドコモユーザーにアピールしやすいことです。
d払いは、貯めたポイントを携帯電話料金の支払いに活用できるなど、ドコモユーザーが非常に優遇されています。
全国に約5,000万人いるといわれるドコモユーザーにアピールできることは、非常に大きいメリットといえるでしょう。
また、メルペイとコードが共通化されたことにより、メルペイの顧客を取り込むことができるのも魅力です。
d払いの導入方法
d払いの導入方法は次のとおりです。
- d払いの申し込み画面で必要事項を入力する
- 個人事業主であれば本人確認書類と店舗外観写真を、法人であれば店舗外観写真のみ提出する
- 審査通過後、スタートキットが届いて利用開始
QRコードをユーザーが読み取るユーザースキャン方式の場合は、クラウドペイの申し込みページより手続きを行います。
店舗側がユーザーのQRコードを読み取るストアスキャン方式の場合は、導入パートナー企業のページからの手続きになりますが、基本的な手順は他社のサービスと同じです。
QRコード決済の導入事例③:楽天ペイ
最後にご紹介するのは楽天ペイの事例です。
楽天ペイは、楽天株式会社が提供しているQRコード決済サービスです。
楽天カードと非常に相性のいいQRコード決済サービスになります。
楽天ペイの特徴
楽天ペイの特徴は次の2つです。
- 専用端末の購入が必須
- QRコード決済だけでなく、クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済も可能になる
ほとんどのQRコード決済が手持ちのスマホヤタブレットで利用可能なのに対し、楽天ペイは専用端末の購入が必須です。
そのため、導入コストには専用端末の機器代金(2万円程度)がかかります。
ただし、専用端末を使用することでクレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済も可能になるので、顧客にとっては利便性が高まるといえるでしょう。
楽天ペイのメリット
楽天ペイを導入するメリットは、売り上げの振込口座を楽天銀行に設定しておくと、入金手数料が無料になるということです。
楽天銀行であれば売り上げも最短で翌営業日に入金されるので、楽天ペイを導入するのであれば、楽天銀行の利用をおすすめします。
楽天ペイの導入方法
楽天ペイの導入方法は次のとおりです。
- 楽天ペイの申し込み画面で必要事項を入力する
- 本人確認書類や登記簿謄本などのデータを送付
- 審査通過後、専用端末含めたスタートキットが届いて利用開始
基本的な手順は他のQRコード決済と変わりませんが、アプリなどのセットアップが必要となります。
申し込んでからスタートキットが届くまでの時間は、10日程度みておくといいでしょう。
以上がQRコード決済の導入事例です。
次に、QRコード決済を導入する際の注意点について解説していきます。
QRコード決済を導入する際の注意点
QRコード決済を実際に導入する際は、メリットだけでなく詳しいサービス内容を確認する必要があります。
QRコード決済を導入する際の注意点について、詳しくみていきましょう。
静的QRコードはセキュリティに注意
最初にご紹介する注意点は、静的QRコードはセキュリティに注意するということです。
静的QRコードとは、店舗に置いてある紙に印刷されたQRコードのことで、ユーザースキャン方式で使われています。
静的QRコードは、偽装QRコードを上から貼り付けるなどのすり替えが行われやすいので注意が必要です。
代表的なトラブルとしては、第三者に送金されてしまう、顧客のスマホからフィッシングサイトに誘導されてしまうといったものが挙げられます。
QRコードを印刷ではなくスマホなどの端末で表示させる、ストアスキャン方式を採用するなどの対策を行っておくと安心です。
導入するサービスの手数料を把握しておく
QRコード決済を利用する場合、初期費用や月額利用料は無料のサービスがほとんどですが、決済手数料や入金手数料がかかってきます。
サービスによっては無料期間が設けられているものもありますが、無料期間が終了すると売上金額の2~4%の決済手数料が発生するので注意が必要です。
無料期間が終わったからとQRコード決済自体をやめてしまうと、不便になったと感じて顧客が離れてしまう場合があります。
サービスの手数料については導入前にきちんと確認しておきましょう。
費用対効果が見込めるものを検討する
さまざまな企業から提供されているQRコード決済サービスの中から、自社にとって最も費用対効果が見込めるものを検討することも大切です。
コストだけでなく、それぞれのサービス内容についても事前に確認しておきましょう。
QRコード決済以外に用意する決済方法
QRコード決済以外に用意する決済方法として、次のキャッシュレス決済があります。
- クレジットカード決済
- 電子マネー
特にクレジットカード決済は、キャッシュレス決済の中でいちばん多く利用されている決済方法です。
複数のキャッシュレス決済を導入することでユーザーの利便性が増し、新たな顧客獲得が期待できるでしょう。
QRコード決済の導入で困ったときは
今後も需要の拡大が見込まれるQRコード決済を導入するメリットは非常に大きいと言えます。
ただし、QRコード決済サービスは多様化していますので、自社に最適なサービスを選ぶためには専門知識が必要です。
QRコード決済の導入で困ったときは、専門コンサルタントのデジマクラスに相談することをおすすめします。
まとめ
QRコード決済サービスは、現在さまざまな企業から提供されています。
それぞれのサービスの特徴やメリットを理解し、自社にふさわしいサービスを選ぶようにしましょう。
QRコード決済の導入で困ったら、ぜひデジマクラスにご相談ください。