データサイエンティストは大量のデータを収集・分析し、ビジネスの課題解決を支援する技術者の事です。
企業の戦略立案やサービスの改善において、デジタルデータの活用は不可欠なものとなっています。
そのため、データ分析・課題解決のスペシャリストであるデータサイエンティストの需要も増加傾向です。
この記事ではデータサイエンティスト登場の背景からその仕事内容と将来性などを解説していきます。
目次
データサイエンティストが登場した理由
データサイエンティストが登場した大きな理由は「デジタルデータが爆発的に増加したため」です。
データアナリストとの関連性とあわせて詳しく解説していきます。
デジタルデータの爆発的増加
ECサイトでのショッピングやSNSの普及等とともに、デジタルデータは爆発的に増加しました。
個人間や企業・個人間のほか日常生活などにおいて、デジタルデータが頻繁にやり取りされています。
企業の戦略立案においても、こうしたデジタルデータを分析して活用する事の重要度が増しているのです。
そのような背景から大量のデータ分析や課題解決を行うデータサイエンティストが登場しました。
データアナリストとの関係性
データアナリストはデータサイエンティストと密接に関連する職種です。
一般的にデータアナリストはデータ分析を主に担当する職種と定義されます。
データサイエンティストはデータ分析を行い、企業の抱える課題の解決策の提示までが担当範囲です。
以前は、データ収集とデータ分析の担当者が分かれている事がほとんどでした。
デジタルデータの重要性が高まった事で、データ収集・分析を一貫して行うデータサイエンティストの登場につながったともいえます。
ただし、実情ではデータサイエンティストとデータアナリストに明確な線引きはありません。
データアナリストをデータサイエンティストと呼ぶ企業もありますし、その逆もあります。
データサイエンティストの仕事内容
データサイエンティストの仕事内容は非常に多岐にわたるものです。
主な仕事内容は以下の6つのステップに大別されます。
- 課題の抽出
- データの分析・収集
- データのクレンジング・加工
- 分析内容との照合
- レポート作成
- 課題解決策の提言
ひと言で表すなら「抽出したビジネス課題の解決策をデータ分析から導きだす事」です。
では、それぞれの仕事内容について解説していきます。
課題の抽出
企業が明確に認識していないものの、今後の戦略において重要となる課題を洗い出すステップです。
抽出した課題を解決するために、どのようなデータが必要とされるのかを把握していきます。
企業が将来的にどのような姿でありたいかも考慮しながら、課題を見つけ出していく事がポイントです。
データの収集・分析
これは課題解決のために必要なデータを集め、的確に分析を行うステップとなります。
必要となるデータを決めるほか、その取得方法や保管方法といった設計もデータサイエンティストの担当範囲です。
データのクレンジング・加工
データのクレンジング・加工は、分析データの事前処理をするステップになります。
収集したデータには不要な情報や分析するにあたって不適切なものも含まれている事が多いです。
そのため、収集データの中から明らかの異常値や不要な部分を削り、分析の精度をアップさせます。
分析内容と照合する
分析内容の照合とは、データ加工後に分析を行い課題解決案につながる情報を見つけていくステップです。
次に行うレポート作成の準備段階でもあり、企業のビジネス全体を見て分析内容と関連付ける力が求められます。
レポート作成
データ分析などを通じて得た結果をレポートとしてまとめあげるステップです。
単に分析結果をまとめるのではなく、課題解決案や方向性を意識して作成する必要があります。
課題解決策の提言
データサイエンティストとして目標とすべき最終ステップともいえるステップです。
データ分析などの結果から、企業の課題解決策を提言する事になります。
レポートへの記載とあわせて、専門職の視点からの意見を的確に伝える力が求められる仕事です。
データサイエンティストに必要なスキルは?
データサイエンティストは大量のデータ分析から課題解決策を導き、それを他人に伝える力も必要です。
そのためこの仕事をするうえで必要なスキルや知識として以下のようなものが挙げられます。
ビッグデータに関する知識
データサイエンティストに不可欠といえるのが、ビッグデータに関する知識です。
ビッグデータとは単なる大量のデータではありません。
様々な形や性質を持った、多種多様なデータを指します。
いわゆるビッグデータについて知識を持ち、どのようなデータを取得するのかを判断する事がデータサイエンティストにとって重要です。
分析・統計に関する知識
ビッグデータ等を的確に分析するためには、分析・統計に関する専門知識も求められます。
またデータサイエンティストは、分析だけでなく、分析結果をビジネス課題の解決に繋げる力も必要です。
コンサルティングのスキル
コンサルティングのスキルも、データサイエンティストが身に付けるべきスキルのひとつになります。
言い換えると、データの分析結果を社内等で納得が得られるように説明し受け入れてもらうスキルです。
つまり、コンサルティングスキルはスムーズに課題解決策を提案するために役立ちます。
ビジネスのスキル
社会人の基礎となるビジネススキルもデータサイエンティストには当然必要です。
ビジネス(業界)の動向を理解するために、一般的なビジネススキルは大切になってきます。
データサイエンティストのゴールは課題解決策の提言にあるため、コミュニケーション力も欠かせません。
データ分析等の専門スキル以前に一社会人としてのビジネススキルを身に付けましょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
データサイエンティストの仕事にも役立つ資格
データサイエンティストの仕事をするうえで、資格は必須ではありません。
しかし、今回ご紹介するような資格を取得する事により体系的な知識を身に付ける事が可能です。
ここではおすすめの資格として以下の2つをご紹介します。
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験は、情報処理推進機構(IPA)が実施している国家資格です。
機構が設けている難易度では、最上位の難易度となっています。
データベースの概要や設計・管理などの体系的な知識を証明する事が可能です。
大量のデータを扱うデータサイエンティストにもおすすめの資格となります。
情報処理技術者試験
情報処理技術者試験とは情報処理推進機構(IPA)が実施する情報処理等に関する試験の総称です。
この試験の中には上記のデータベーススペシャリスト試験も含まれます。
レベル1~4の難易度と12区分の試験から構成されており、技術者やユーザーまでITに関する様々な知識を身に付ける事が可能です。
自分が身に付けたい知識や試験難易度から、受ける試験区分等を選ぶ事ができます。
特に「基本情報技術者試験」は技術者が持っておくべき情報技術の基礎が学べる試験です。
仕事内容に直結はしませんが、データサイエンティストの仕事にも役立つ事が多いでしょう。
データサイエンティストになるためのおすすめ勉強法
ここでは、データサイエンティストになるためのおすすめ勉強法についてご紹介します。
勉強方法として挙げられるのは以下の3つです。
- 大学や専門職大学院等で勉強する方法
- オンライン講座を利用して勉強する方法
- 独学で書籍を活用して勉強する方法
それぞれの勉強方法についてご紹介していきます。
体系的なカリキュラムやその道の専門家である講師から教わりたい場合、大学や専門職大学院への通学がおすすめです。
国もビッグデータを的確に分析できる人材育成に力を入れており、大学や専門スクール等も増えています。
専門機関を利用する事でデータサイエンスに関する技術や知識の習得を効率良く進めることが可能です。
また体系的に学びながら、時間に融通がきく勉強方法としてオンライン講座を活用する方法があります。
オンラインであれば場所や時間を問わず専門家から知識を学ぶ事ができ、忙しい方にも便利な方法です。
さらにデータサイエンティストになるために、まずは独学で知識を身に付けたい方もいるでしょう。
すでにデータ解析等の職務経験があれば、書籍等で学んでキャリアアップできる可能性もあります。
ただし、勉強したい範囲が明確でない場合は大学院やオンライン講座等の利用がおすすめです。
データサイエンティストの平均年収
データサイエンティストの平均年収は600万円〜700万円といわれています。
一般的なエンジニアの平均年収が400万円~500万円といわれ、やや高めの年収を狙う事が可能です。
ただしデータサイエンティストの年収は個人のスキルや経験、企業等によって変わります。
高いスキルや豊富な経験を持つ人であれば、年収1,000万円超というケースも少なくありません。
データサイエンティストとしてキャリアを積み年収アップを検討される場合は、必要とされるスキルや経験を積極的に身に付ける事が重要です。
データサイエンティストのキャリアパス
データサイエンティストとなった後のキャリアパスは、多様な選択肢が考えられます。
まずデータサイエンティストとなる方法としては、先述の大学・大学院等で学び就転職する以外に以下の方法も一般的です。
- エンジニアやマーケターから転職する
- 社内公募等の制度を利用して異動する
そして、データサイエンティストになった後に考えられるキャリアパスの一例は以下の通りです。
- プロジェクトマネージャー(PM)
システム開発プロジェクトの予算や人員、進捗を管理するポジションで、マネジメントスキルが活かせます。
- ITコンサルタント
顧客企業のIT戦略のコンサルティングや課題分析、解決策の提案などをする仕事です。データサイエンティストとしての課題解決経験が活きるでしょう。
- グロースハッカー
耳慣れない仕事かもしれませんが事業や商品の成長に責任を負う仕事です。
データ分析力とマーケティングの視点が求められ、データサイエンスの知識も存分に活かす事ができます。
上記はあくまで一例です。
データサイエンティスト自体も新しい仕事のため今後、今までにないキャリアパスが描ける可能性もあります。
自分がデータサイエンティストとなり、どのような知識やスキルを身に付けてキャリアを築いていきたいのか改めて考えてみましょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
データサイエンティストの需要・将来性
データサイエンティストの需要はさらに高まっていくと予想されており、将来性があるといわれています。
ビッグデータはこれからも増加傾向が続くという予測が主流です。
そのような予測によれば、データサイエンティストの存在価値が高まる事も容易に想像できます。
また国もビッグデータの重要性は認識しており、データサイエンスを含むIT人材の育成に力を入れてきました。
このような背景から高度なスキルを持つデータサイエンティストの将来性は明るいといえます。
ただしデータサイエンティストは育成に時間がかかるため、需要に供給が追い付いていないのが現状です。
データサイエンティストに関心があるならば、今から体系的な知識やスキルを身に付ける等の行動を起こす事をおすすめします。
データサイエンティストへの転職ならプロに相談
ここまでデータサイエンティストの仕事内容や必要な知識やスキル、需要や将来性を解説してきました。
データサイエンティストは需要も高く将来性も見込める職種です。
一方でデータサイエンティストは高度なスキルや専門的な知識が求められますので、簡単になれる職種ではありません。
必要なスキルを把握して計画的に行動する事が大切になります。
必要なスキルと自分自身のスキルのギャップやこれから身に付けるべき事を把握するためには客観的な視点が欠かせません。
客観的な視点からのアドバイスとして、転職のプロにご相談いただく事も効果的な方法です。
データサイエンティストへの転職を検討されているのであれば、ぜひデジマクラスをご利用ください。
デジマクラスでは、転職に関する豊富なノウハウを持つアドバイザーが丁寧にヒアリングを行い、転職成功に向けた徹底的なサポートを提供いたします。
まずは自分自身のキャリアの棚卸しも含め、一度カウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。
まとめ
データサイエンティストは、ビッグデータを的確に分析し企業の課題解決を支援する高度な専門職です。
情報の重要度が増している状況において、企業の戦略の方向性に影響を与える非常に重要なポジションになります。
データサイエンティストに求められる知識やスキルレベルは高く、平均年収も一般的な技術者より高い傾向です。
専門職大学院やオンライン講座等を活用しスキルを磨く努力も必要とされます。
転職のプロのサポートをうまく活用しながら、データサイエンティストへのキャリアを切り開きましょう。