せっかくWeb広告を出稿しても、広告にネガティブなイメージが付いてしまったらブランドのイメージも損なわれます。
特にWeb広告では広告主の意図しない拡散のされ方をする広告もあるのです。
そのためWeb広告の市場が拡大するのに伴い、ブランドセーフティの取り組みを行う企業も増えてきました。
この記事ではブランドセーフティの取り組み事例を解説します。
ブランド毀損を招くパターンや具体的な方法を知ることで、ブランドセーフティの重要性を知ることができるのです。
注意点も紹介していきますので参考にしてください。
目次
ブランドセーフティの考え方
ブランドセーフティは、広告を掲載するページの内容が不適切だった場合、広告主のブランドが毀損されることを防ぐ意味があります。
Webに広告を出稿する際には、意図しないページへの掲載などのリスクが考えられるのです。
特に広告主側の立場に立つと、広告掲載先のWebサイトやページをすべて確認することは不可能に近いといえます。
もちろんメディア側も不適切な内容の広告を掲載してしまうというリスクが有るのです。
しかし掲載広告の種類は比較的容易に選べるため、この記事では広告主側に立ったブランドセーフティを考えていきます。
ブランドセーフティの重要性
企業活動は法律に則って、社会的な立場を守りながら行われるものです。
もし不適切な内容のWebサイトに広告が掲載されてしまうと、広告主もページの内容を推奨しているように見られます。
反社会的な内容のサイトに広告掲載料が渡ってしまうと、社会的に問題のある組織へ資金提供していることにつながるかもしれません。
「反社会的な組織を指示して資金提供している」と誤解を受ける可能性があるのです。
問題のあるサイトに広告が掲載される可能性はそれほど高いとはいえません。
しかし一度広告が掲載されSNSなどで拡散されてしまうと、社会的な印象や評価が大きく変わってしまうこともあるでしょう。
一度イメージが定着してしまうと、それを払拭するためのコストが掛かります。
そのためブランドセーフティは重要だといえるのです。
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ブランドセーフティの重要性が高まっている背景
過去、Web広告の出稿で問題になった例はこのようなものがあります。
- 公開中の過激主義者の動画に広告を配信されたとしてYouTubeへの出稿停止
- AbemaTV内で配信されている政治団体のチャンネルにユニリーバ・ジャパンの広告が配信された
いずれも広告主は問題のあるサイトへ広告が掲載されているという認識がない状態の出来事でした。
このような問題が起こり、ブランドセーフティが注目されるようになったのです。
では実際にブランドセーフティの重要性が高まっている背景を見ていきます。
デジタル広告の構造変化
従来は、広告を出稿するためには特定の「広告掲載枠」を購入するという仕組みでした。
テレビ番組や特定のWebサイトのバナー枠などを購入して広告を掲載していたのです。
しかしインターネットの発達に伴い運用型広告が登場し「枠」ではなく「ターゲットにしたユーザー」に向けた広告が可能になりました。
ターゲティングしたユーザー層に向けた広告を配信できるサービスであるため、訴求力は高いといえるでしょう。
しかし運用型広告は指定した枠に対する配信は難しいのです。
そのため、自分の広告がどのページに掲載されるかを把握しづらいという問題点があります。
情報発信のハードル低下
インターネットやSNSの発展に伴い、個人でも気軽に情報を発信することが可能になりました。
ブログやYouTubeで情報を発信している個人ユーザーは多数存在します。
このようなコンテンツは誰でも簡単に、場合によっては無料で始めることができるのです。
そのためユーザーに有益ではない質の低いコンテンツや社会的に問題のあるコンテンツも増えています。
情報発信のハードルが低下したことにより、このようなサイトにも広告枠を設置することは可能です。
広告主は広告が掲載されるサイトを事前に把握することが難しいため、このようなサイトに広告が配信されることになってしまいます。
問題のあるサイトに広告が掲載された広告主は、広告掲載後に自社のイメージが損なわれたことを知る羽目になるのです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ブランド毀損を招くパターンと事例
Web広告は従来型の広告に比べて比較的安価で出稿できることが魅力です。
ターゲティングしたユーザー層に対して広告配信ができるため、費用対効果も良いといえるでしょう。
一方配信面では掲載先をコントロールすることが難しくブランド毀損を招くこともあります。
この章ではブランド毀損を招いた事例を紹介しますので、参考にしてください。
不適切メディアに広告が掲載
アダルトや暴力的なページに掲載されている広告を見たユーザーが広告主に対して、悪い印象を抱くこともあるようです。
反社会的な内容のページに広告が掲載されてしまうと、そのような組織の出資者だと誤解されるかもしれません。
Webの運用型広告では、事前に広告を掲載するサイトをすべてコントロールできるわけではありませんので注意が必要です。
不都合な文脈・場面に広告が記載
自動車事故のWebサイトに自動車メーカーの広告が掲載されていると、それを見たユーザーはひどい皮肉だと感じるかもしれません。
住宅火災のニュースを伝えているページにハウスメーカーの広告が掲載されることも同様です。
社会的に問題のない内容のページだとしても、広告主にとっては不都合なページというものがあります。
Web広告を出稿する際は、自社の広告の内容にマッチしたページに広告を掲載したいと考える企業は多いです。
ブランドセーフティの取り組み事例
ブランドセーフティに取り組んでいる企業は多くあります。
各社がどのようにブランドセーフティに取り組んでいるのか事例を見ていきましょう。
P&G
P&Gの最高ブランド責任者マーク・プリチャードさんは、広告価値毀損について呼びかけを行いました。
広告主がインターネット問題について認知することが必要であると述べたのです。
またそれを正していくことに意識を払うことが大切だと話し、世界の広告業界にこの問題が認知されるようになりました。
資生堂
資生堂は確実に安全なサイトにしか広告を出稿しないと明言しています。
Web広告の出稿先のサイトを厳選し、安全性を判断するという取り組みがなされているのです。
これは安全が第一という考え方だといえるでしょう。
ネスレ
ネスレは「ビューアビリティ」「アドフラウド」「ブランドセーフティ」についてのガイドラインを設定しています。
日本でも取り組みが行われており、ブランドにとって良いかどうかを判断しているとのことです。
ブランドの内容とマッチしたサイトを厳選して広告を掲載しています。
ブランドセーフティの方法
ブランドセーフティを保つためには、適切な配信先へ広告を掲載できるようにしていくことを意識してください。
不都合なページや問題のあるWebサイトに自社の広告が掲載されないためにはどのようにすれば良いのか考えましょう。
ポイントは以下のようなものがあります。
- 配信先の指定・ブロック
- 表示先ページの分析・検証
- PMPの活用
- アドフラウド対策ツールの導入
それぞれ方法を紹介しますので参考にしてください。
配信先の指定・ブロック
広告を配信する際の設定でブラックリストやホワイトリスト機能をもたせているプラットフォームは多くあります。
配信先として指定したいサイトをホワイトリストに、ブロックしたいサイトをブラックリストに追加できるのです。
こうした機能を利用することで、自社に不都合なサイトへの広告配信を防ぐことができます。
しかし配信先を限定してしまうと入札単価が高くなるということもあるので注意しましょう。
ブラックリストに追加していないサイトには引き続き広告は配信され続けますので、定期的な管理が必要になります。
表示先ページの分析・検証
Web広告の運用は、広告を一度出稿すれば終わりというわけではありません。
広告が表示されるページを分析して検証することで、ブランド毀損を防ぐ助けにしてください。
どのようなページに自社の広告が掲載されているのかを分析してみましょう。
自社の意図していない掲載ページを見つけることができれば、広告の設定を変えることで対応も可能です。
PMPの活用
プライベートな広告の取引を行えるPMP(プライベート・マーケット・プレイス)を活用するのもひとつの手です。
PMPではオークションに参加できるメディア媒体が限定されるため、問題のあるサイトへの広告掲載を防ぐことができます。
従来の広告では「枠」を購入していました。
運用型広告では「人」に対して広告を表示させています。
PMPではこれらの良いところを取った、枠と人に向けた広告を出稿することができるのです。
事前にどのようなページに掲載されるのかが分かるため、ブランド毀損のリスクが低くなるといえます。
アドフラウド対策ツールの導入
アドフラウドとは広告費を不正に詐取する広告詐欺です。
運用レポートでは成果が出たことになっているものの、実際は広告の表示やクリックがされていないといった詐欺になります。
成果が無いにもかかわらず広告費を引かれることになりますので、完全に無駄になってしまうでしょう。
広告はユーザーが見ることで意味があるのです。
しかしアドフラウドはAIがあたかも広告を表示した・見たというように動作してインプレッションを水増しします。
アドフラウド対策のためのツールもありますので、気になる方はツールの導入を検討してください。
・広告配信の機能を利用して配信先を指定したりブロックしたりする
・表示先ページの分析を行い、配信先を改善していく
・メディア媒体を限定できるPMPを活用する
・アドフラウドが気になるのであれば対策ツールを導入する
配信ブロックの手法例
ブランドセーフティを保つために、不適切なサイトへの広告配信をブロックしたいと考える企業は多いです。
配信をブロックするには以下のような方法が考えられます。
- ブラックリストを活用する
- キーワードを指定する
それぞれ紹介しますので参考にしてください。
ブラックリストの活用
広告配信のブラックリストを活用することで配信先をコントロールすることが可能です。
広告ツールによっては、ブロックリストと呼ばれることもあります。
ブラックリストは自社の広告にとって不適切な掲載サイトを集めたリストです。
アダルトな内容のサイトや自社のイメージに合わないサイトなどを登録しましょう。
配信先をコントロールできるようになりますが、一部の有料媒体のみの配信になってしまうと単価が高くなってしまう傾向にあります。
闇雲にリストへ登録するのではなく、本当に登録が必要か考えてから登録を行うのが良いでしょう。
キーワードの指定
キーワードを指定することで配信先をコントロールすることもできます。
広告を配信する際に指定するキーワードを工夫することで、配信先のサイトを選別することができるのです。
自社のイメージに合ったキーワードを考えてみてください。自社サービスにつながるような軸となるキーワードを決めましょう。
キーワードには固有名詞や商品名・悩みなどを指定する企業が多いです。
しかし悪質なWebサイトの中には、サイトの内容に関係なくユーザーが検索しそうなキーワードをわざと羅列していることもあります。
もしそのようなサイトを見つけたら、ブラックリストを活用しましょう。
・自社にとって不適切なサイトを集めたブラックリストの活用
・広告配信用のキーワードを活用
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ブランドセーフティの注意点
ブランドセーフティを保つ上での注意点は以下のようなものがあります。
- 自社のブランドに合ったサイトに広告が掲載されているか
- 問題のあるサイトに広告が掲載されていないか
- 広告を見ているのは本当に人か
自社のイメージに合わないサイトや不適切な内容のサイトに広告が掲載されるのはブランド毀損を招く可能性があるでしょう。
社会的に問題のあるサイトに広告が掲載されてしまうと、誤解を生むこともあります。
ブランドセーフティを保つ注意点には「広告を見ているのは本当に人か」ということもあるのです。
これらのことに意識を向けて、ブランドセーフティを保っていきましょう。
ブランドセーフティで悩んだら?
インターネットの発達に伴いネット広告の構造も変化してきました。
個人でも気軽に情報発信ができるため、質の悪いサイトや問題のあるサイトに広告が掲載されるリスクもあるのです。
そのため、ブランドセーフティを保つことが重要と考えられています。
しかしブランドセーフティを保つためには多くのことに意識を向けなければなりません。
ブランドセーフティで悩みがありましたら自社内だけで抱え込まずに専門家に相談するのもひとつの手です。
デジマクラスにご相談いただくことで、抱えている悩みを見つけ出しブランドセーフティを保ちましょう。
インターネット広告の事例はこちら
まとめ
Web広告は比較的低コストで始めることができます。
運用型のWeb広告はターゲットにした層に広告が表示されますので費用対効果も高いといえるのです。
しかし「広告枠」ではなく「人」に対して広告を表示するため、広告掲載サイトの情報を事前に知ることは難しいといえます。
自社のイメージに合わないサイトや社会的に問題のあるサイトに広告が掲載されてしまってはブランド毀損につながるかもしれません。
ブランドセーフティを保つためには広告の配信先をコントロールするような設定を行う必要があります。
もしブランドセーフティで悩みがありましたらデジマクラスにご相談ください。
ブランドセーフティを保って、効果的な広告配信を行いましょう。