インナーブランディングを行うためにブランドブックを作成する企業は多いです。

自社ブランドの理念や考え方・行動方針などを社員に浸透させることでブランド価値の向上が期待できるでしょう。

ブランドブックの構成要素や準備することを知っておけば、作成の手助けになります。

この記事ではブランドブックの作り方を解説しますので参考にしてください。

作成前に必要な準備や作成時のポイントもあわせて紹介します。

ブランドブックの定義

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ブランドブックは主にブランドの理念やコンセプトを社内で共有するために活用される冊子です。

ブランドの理念やコンセプト・考え方を明確にすることによって、すべての社員にそれらを共有するのです。

ブランドブックを見た社員が業務に落とし込んで行動することによりブランド価値を高めていくことが目標になります。

ブランドブックはブランドの紹介をするパンフレットではありません。

社員へブランドの方針を伝えることやそれを実践していくためのツールなのです。

ブランドブックの目的と役割

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ブランドブックにはブランドの理念や方針・考え方などが記載されています。

社員はそれを見て考え方を知り、業務に実践として取り入れていくのです。

ブランドブックはインナーブランディング戦略を実現するための役割を担っています。

単なるパンフレットではなく、社員ひとりひとりにブランドの行動方針を実践させることが目的です。

ブランドブックがあればいつでもブランドの方針を確認することができますので社員にとっても負担が軽いといえます。

目的を達成するためにも、ブランドコンセプトなどの意図が社員に正しく伝わるようなブランドブックを目指しましょう。

 

ワンポイント
ブランドブックはパンフレットとは異なり、インナーブランディング戦略を実現するための役割がある。

 
マーケティング戦略の事例はこちら  

ブランドブックの構成要素

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実際にブランドブックを構成する要素は以下のようなものがあります。

  • ビジョン・ミッション
  • バリュー
  • ブランドステートメント
  • ブランドコンセプト
  • ロゴデザインやマークの意味
  • ブランドのガイドライン

企業の理念や行動方針を社員に浸透させるという目的を念頭に置き、必要な構成要素を盛り込んでいきましょう。

社員全員に理解されるような内容が望ましいです。

各要素について紹介しますので参考にしてください。

ビジョン・ミッション

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ブランドのあるべき姿今後の展望のことをビジョンと呼びます。

ブランドが目標としているものが共有されると、社員同士のコミュニケーションにもつながるでしょう。

ミッションは果たすべき指名という意味合いで使用されます。

志や夢・目的を実現するためには、どのように行動すればよいのかを示すのです。

ビジョンやミッションが分かれば、社員はどのように行動していくのかが明確になり業務にも張り合いが出るでしょう。

バリュー

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価値という意味合いのバリューはユーザーに提供する価値を表します。

ブランドが提供する価値を共有することにより、日々の業務の質が向上することにもつながっていくのです。

インナーブランディング活動は従来、社員に向けた啓蒙でした。

それが進化して、ブランドの価値向上のためにどのように動くかを示すものへとなったのです。

ブランドが提供する価値を知ることにより、どのように行動すべきかを考えるきっかけになるでしょう。

ブランドステートメント

コンテンツ

ブランドステートメントはブランドの理念使命をまとめたものです。

これは企業理念に近いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

企業理念は「企業があるべき姿」を表します。

一方、ブランドステートメントは「ユーザーに提供するものを表明・約束するもの」という意味合いになります。

つまり、企業そのものがブランドだと考える企業では、同じ意味合いを持つことになるでしょう。

ブランドが掲げる理念を理解することで、社員ひとりひとりが日々どのように行動すればよいのかを考える助けになります。

ブランドコンセプト

ハート

ブランドコンセプトはブランドの考え方を表したものになります。

ブランドの世界観という表現がしっくりと来る方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ブランドコンセプトを社員が理解することで、ブランドに統一感が生まれます。

ロゴデザインやマークの意味

ブランドブックにはビジュアル要素としてロゴデザインやマークを掲載する企業も多いです。

ブランドのロゴデザインやマークはひと目見てそのブランドだと気づいてもらうことができます。

企業のイメージを視覚的に伝えることはとても大切なことなのです。

しかしブランドブックはただのパンフレットではありません。

特に意図もなくロゴデザインやマークを記載しているだけでは、本来の目的である行動方針の実践を行うことは難しいでしょう。

ロゴデザインやマークを掲載する時は、その意図も明確に提示しましょう。

レギュレーションを記載して、商品の統一感を図るのもひとつの手です。

ブランドのガイドライン

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ブランドのガイドラインと聞いて、ロゴの利用ルールを思い浮かべる人もいるかも知れません。

たしかにロゴ使用のルールを詳細に決めておけば、業務がスムーズになるでしょう。

しかしブランドブックに記載するブランドのガイドラインはそれだけではありません。

ブランドガイドラインは、あらゆるシーンでの対応の仕方を示すことが大切です。

その時その時で正しく認識されることでブランドの価値が向上します。

ブランドのガイドラインを定めることで社員の行動に統一感が生まれるでしょう。

 

ワンポイント
ブランドブックを作成する際は、企業の理念や行動方針を社員に浸透させるという目的を念頭に置き必要な構成要素を盛り込む。

ブランドブックを作る前に必要な準備

書類

ブランドブックを作成するためにはいくつかの準備が必要です。

闇雲に何となく作り始めても、曖昧なコンセプトのものしか出来上がりません。

ブランドブックを作成したとしても、記載されている行動を社員が実践しなければ意味がないのです。

現場で活用してもらえるようなブランドブックにするためにも、以下のような準備を行いましょう。

  • 自社の強み・独自性を分析する
  • 自社の目指すべき目標・提供価値を具体化する

それぞれ説明しますので参考にしてください。

自社の強み・独自性を分析する

男性

自社の強みや独自性はアピールするべきポイントです。

他社との差別化を図るためにも、自社のオリジナリティはどのようなものであるかを知っておきましょう。

ブランドブックの目的は自社の理念や考え・行動方針を社員に浸透させて実行してもらうことにあります。

社員が自社の強みや独自性を正しく理解していれば、すぐに具体的な行動に移すことができるでしょう。

特にブランドブックに記載すべき理念がありきたりなものだと社員の共感を得ることはできません。

これという強みや独自性を明確に説明するために、事前分析を行ってください。

自社の目指すべき目標・提供価値を具体化する

目標

自社の強みや独自性が明確になったとしても、それを武器にしてどこに向かえば良いのか分からなければ意味がありません。

ブランドブックを作り始める前には、目指すべき目標とユーザーへ提供できる価値も明確にします。

目指す目標がはっきりと分かれば、社員は一丸となってそこへ向かうでしょう。

提供の価値がブランドブックに記載されていれば、社員は何をアピールすればよいかすぐに分かります。

目標提供価値は曖昧なままにせず、明確になるまで検討していきましょう。

ブランドブックの作り方・作成ルート

パソコン

ブランドブックは概ね以下の順を追って作成します。

  1. 制作メンバーの決定
  2. コンセプトの明確化
  3. 構成
  4. ライティング・デザイン
  5. 印刷

ブランドブックを作成する際の制作メンバー選びは重要です。

ディレクターやライター・デザイナー・印刷会社などは、あらかじめ決めておきましょう。

誰に何を伝えるかを最初にしっかりと決めておくのもポイントになります。

構成は分かりやすいものを目指して最初に決めてください。

好きなように記事や画像を追加していると収集がつかなくなります。そうなると、いつまで経ってもブランドブックは完成しません。

コンセプトと構成が決まればライターやデザイナーに具体的な発注を行います。

すべての原稿が揃えば印刷会社に入稿してください。

ブランドブック作成時のポイント

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ブランドブックは全社員に配り理解してもらうためのツールです。

そのためどんな人が見ても分かりやすいものを目指しましょう。難解な表現や誇張された文章は必要ありません。

この章ではブランドブック作成のポイントを紹介します。

様々な社員が読むことを想定して、目的やコンセプトが正確に伝わるブランドブックを目指しましょう。

シンプルな表現・構成

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ブランドブックは学術書ではありません。専門家に向けた辞書でもないのです。

掲載する文章は、様々な人が正確に読み取れるようなシンプルな表現を心がけましょう。

難しい表現や難しい漢字を多用する文章は、一見上級者に向けた高級な文章に見えることもあります。

しかし、難解な文章はそれだけで敬遠される可能性が高いのです。

読んでもらえない文章を書くのは文章を書いた人の自己満足でしかありません。

またブランドブックそのもののデザインに凝りすぎて、複雑な構成にしてしまうのもおすすめできません。

ブランドブックは「誰でも」「簡単に」理解できるものが望ましいです。シンプルな構成ですぐに理解できるものを目指しましょう。

ルールを課すのではなくモチベーションを引き出す

本

ブランドの理念を実践してもらうために多くのルールを提示したくなることもあるかもしれません。

しかしルールを羅列しただけのブランドブックはルールブックと変わりないものになってしまいます。

たしかに企業活動を行う上でルールは必要です。しかしルールだけを押し付けても社員の気持ちはついてきません。

多くのルールで社員を縛り付けるのではなく、社員のモチベーションを引き出すような表現を心がけましょう。

行動そのものを指定するのではなく、どうすれば目標を達成できるのかを社員自身が考えたくなるようなものが望ましいのです。

「横文字」を安易に使わない

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キャッチコピーや画像のタイトルを設定する時に、つい横文字を使いたくなることもあるかもしれません。

簡単な日本語を横文字に言い換えることでスタイリッシュな文章を書いているという感覚に陥ることもあるでしょう。

しかし横文字は受け手側によって感じ方が違うこともあります。

ブランドブックを作成する目的は格好良いものを社員に提供することではありません。

ブランドブックを作成するのは、全社員にブランドの理念や方針を共有するためなのです。

受け手によって受け取り方が変わる横文字は多用せず、正確な情報が伝わる文章を目指しましょう。

 

ワンポイント
ブランドブック作成時のポイント
・分かりやすくシンプルな表現にする
・ルールで雁字搦めにしない
・安易な横文字の乱用は避ける

 
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キャッチコピーやメッセージ作成のコツ

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キャッチコピーやメッセージを作成する際は、以下のようなものが挙げられます。

  • ターゲットを明確にする
  • 伝えたい項目をリストアップする
  • 抱えている問題点を見つけ出す
  • 問題点を解決する方法を言葉にする

ブランドブックに記載するキャッチコピーにもターゲットは必要になるでしょう。

どんな現場のどのような立場の人が読むのかを具体的にイメージしてみてください。

伝えたい項目はあらかじめリストアップしておきましょう。いきなり長文を書き始めるのはおすすめしません。

メッセージを書く時は、現在ブランドが抱えている問題に焦点を当てるのもひとつの手です。

その問題を解決する方法を文章に落とし込むことで、目的のはっきりするメッセージになるのです。

 

ワンポイント
キャッチコピーやメッセージ作成のコツはターゲットを明確にして伝えたいことをあらかじめリストアップする。

ブランドブック戦略の注意点

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ブランドブック戦略を行う目的は、ブランドブックを社員に配ることではありません。

社員ひとりひとりにブランドの価値を高めるような行動を実践してもらうことが目標なのです。

ブランドブック作成の際は、それを念頭に置いておきましょう。

作成自体を目的化させないことやブランドブック以外の手法と組み合わせることについて紹介します。

作成自体を目的化させない

本

ブランドブックを作成することは大きなプロジェクトになるかもしれません。

その際に、ブランドブックを作成することそのものが目的になってしまっては意味がありません。

ブランドブックをなぜ作成することになったのかを思い出してみてください。

作成自体を目的とせず、全社員にブランドの理念や方針を浸透させることを目標に据えるようにしておきましょう。

ブランドブック以外の手法と組み合わせる

どんな素晴らしいブランドブックが完成したとしても、社員に読んでもらわなければ意味がありません。

ブランドブックを配布する場合は社内のセミナーを開くなど、ブランドブック以外の手法と組み合わせるのもひとつの手です。

社員同士で意見交換する場を設けるなどの方法もあるでしょう。

社員ひとりひとりがブランドブックを意識するような工夫をしてください。

自社のブランディング戦略で悩んだら

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ブランドブックを活用することで、自社のブランディング戦略を行うことができるでしょう。

社員が同じ目標を持ち、行動方針に従って業務を行えばブランドの価値も向上します。

しかし自社のブランディングを行う際にはいくつかの注意点がありました。

ブランディング戦略で悩みがありましたらデジマクラスにご相談ください。

一緒に問題を見つけ出して解決し、効果的なブランディング戦略を行っていきましょう。
 
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まとめ

本

ブランドブックは単なるパンフレットではありません。

インナーブランディングを行う上で、社員にブランドの理念を浸透させるための役割を担うツールなのです。

ブランドブックは多くの社員が読むことになります。

そのため内容は分かりやすく簡潔なものにしましょう。難解な文章や横文字ばかりのキャッチコピーは意味がありません。

もし自社のブランディング戦略に悩みや不安を抱えている場合は、デジマクラスにご相談ください。

一緒に問題を解決して、目標を達成できるようなブランドブックを作りましょう。