態度変容とは商品やサービスを認知して購入に至るまでの顧客心理の変化の事です。
この心理の変化をフレームワークとして整えたものを「態度変容モデル」と呼びます。
様々な種類がある態度変容モデルをうまく使い分ける事がマーケティングでは大切です。
この記事では、態度変容モデルの活用や使い分けのポイントについて事例とともにご紹介します。
自社のマーケティングで態度変容モデルを効果的に活用したい方は、ぜひチェックしてください!
目次
マーケティングにおける態度変容モデルの考え方
商品やサービスを利用しようとする際、気持ちの変化を感じた経験のある方は多いのではないでしょうか。
マーケティングでは顧客の心理変化を捉え、最適なコミュニケーションのために態度変容モデルが活用されます。
顧客心理の変化を捉える態度変容モデル
では、顧客心理の変化を捉えるという面から態度変容モデルを見ていきましょう。
顧客が新商品や新サービスを知り、購入や利用に至るまでには心理的な動きが生じるのが一般的です。
同じ顧客であっても心理変化の段階が異なれば、求める情報や効果的なアプローチも異なります。
顧客がどのような段階にあるかを的確に捉え、マーケティング戦略を設計する事が重要となります。
態度変容とコミュニケーション
態度変容つまり顧客心理の変化は、企業と顧客間のコミュニケーション施策にも大きな関わりがあります。
態度変容モデルを活用して、顧客の状況に合わせたコミュニケーションをとる事が重要です。
また顧客をどのような心理状態に導くかという目標が定まれば、具体的な戦略実行につながります。
様々な態度変容モデル
態度変容モデルは、社会の変化や技術発展などにともなって様々なモデルが生まれてきました。
ここでは代表的な態度変容モデルを5つご紹介します。
AIDMA
AIDMA(アイドマ)はマーケティングに携わる方なら一度は聞いた事のある態度変容モデルです。
このモデルは顧客が商品を知ってから購入・利用するまでの流れを以下の5つの段階に分けています。
- Attention(認知):新商品・新サービスを知る段階
- Interest(関心):知った商品・サービスに興味を持つ段階
- Desire(欲求):商品・サービスを手に入れたいと思う段階
- Memory(記憶):商品・サービスが記憶に残る段階
- Action(行動):購入や申し込みなどを行う段階
新商品を顧客に記憶してもらう事を重視しており、家等の耐久財を購入するケースに適したモデルです。
AMTUL
AMTUL(アムツール)は前述したAIDMAに顧客ロイヤリティの概念を加えたモデルといえます。
継続的な利用が求められる商品・サービスに適した以下の5つの段階で構成される態度変容モデルです。
- Attention(認知):商品・サービスを知る段階
- Memory(記憶):商品・サービスが記憶に残る段階
- Trial(試用):商品・サービスを試してみたいと思う段階
- Usage(日常的な利用):商品・サービスを購入、利用する段階
- Loyalty(継続的な利用):商品・サービスの利用が習慣化する段階
AISAS
AISAS(アイサス)はデジタルマーケティングの広まりを反映して生まれた態度変容モデルといえます。
顧客同士で情報を共有する段階を含む以下の5つの段階で構成されるモデルです。
クチコミやSNSを活用したマーケティング戦略にフィットした態度変容モデルともいえます。
- Attention(認知):商品・サービスを知る段階
- Interest(関心):商品・サービスに興味を持つ段階
- Search(検索):商品・サービスについて調べる段階
- Action(行動):商品・サービスを利用する段階
- Share(共有):クチコミやレビューを行う段階
AISCEAS
AISCEAS(アイシーズ)はインターネットでの購買行動に特化した態度変容モデルです。
このモデルはインターネットならではの「検索」や「共有」を含む以下の7つの段階で構成されます。
- Attention(認知):商品・サービスを知る段階
- Interest(関心)商品・サービスに興味を持つ段階
- Search(検索):商品・サービスについて調べる段階
- Comparison(比較):調べた結果を基に比較する段階
- Examination(検討):比較結果を確信する段階
- Action(行動):商品・サービスを利用する段階
- Share(共有)クチコミやレビューを行う段階
AISASより多くの段階を踏むため、高額商品や企業間の取引等の慎重な判断を要するケースに使われやすいモデルです。
ZMOT
ZMOT(ズィーモット)はZero Moment of Truthの頭文字を取ったものでGoogleが提唱しました。
ZMOTとは顧客がインターネット検索をして比較検討をし、購入を決定する瞬間の事です。
このモデルの前提は「顧客は来店前にインターネット検索により購入商品を決めている」という点にあります。
つまりインターネットにおけるマーケティング戦略の重要性を裏付けた態度変容モデルです。
マーケティング戦略の事例はこちら
態度変容モデルの活用先
ここでは態度変容モデルの仕組みをどのように活用していくかについて解説します。
態度変容モデルの主な活用先を3つ見ていきましょう。
顧客ニーズの理解・細分化
態度変容モデルは顧客ニーズを理解したり細かく把握する事に活用できます。
マーケティングにおいてターゲット顧客を明確にして的確に理解する事は重要です。
また顧客が持つニーズをきめ細かく把握すれば、有効なマーケティング戦略の設計もしやすくなります。
コミュニケーションの最適化
企業と顧客間のコミュニケーション戦略にも態度変容モデルが活用可能です。
企業にとって顧客が商品購入等の行動(Action)を起こしてくれる事で利益が生まれます。
効果的に行動につなげるにはコミュニケーションの最適化がポイントです。
コミュニケーション手段選択の際には、態度変容モデルの段階でどれに該当するかが参考になるでしょう。
マーケティングの効果測定
態度変容モデルはマーケティング戦略の立案や実行だけでなく、効果測定にも役立ちます。
段階によって効果測定に使うべき指標が変わるため、適切な指標設定に活用する事が可能です。
このようにマーケティング活動の過程全体を通じて、態度変容モデルを活用できる局面は存在します。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
態度変容モデルは商品・顧客特性に応じて使い分ける
態度変容モデルのタイプのご紹介でも触れましたが、社会の変化にともない様々なモデルが誕生しました。
そのため、それぞれのモデルでは想定された顧客の購買行動にも違いがあります。
態度変容モデルを取り入れる際は、商品やターゲット顧客の特性に適したモデルを選ぶ事が大切です。
たとえば実店舗で購入する場合とインターネットで購入する場合では、顧客心理の変化は異なります。
また商品やサービスの価格帯や利用方法などによっても顧客心理の変化は影響を受けるでしょう。
自社の商品やサービスに適した態度変容モデルをうまく使い分けるよう意識してください。
AIDMAの特徴と活用事例
AIDMA(アイドマ)はインターネットが普及する前に提唱された態度変容モデルです。
顧客が商品に関心を持ってから実際の行動までには時間がかかると想定されている点が特徴となります。
そのため「顧客に商品をいかに記憶してもらうか」を重視する傾向を持つモデルです。
AIDMAの活用事例として女性用シャンプーの販売例をモデルの流れに沿ってご紹介します。
- Attention(認知):有名女優を多数起用したCMで認知度アップ。
- Interest(関心):テレビCMで顧客に強く訴求。
- Desire(欲求):試供品を配り実際の商品の魅力をアピール。
- Memory(記憶):顧客の記憶に残るよう店舗に商品を充分に供給。
- Action(行動):店頭に常に商品が並びすぐに購入しやすい環境を整備。
華やかなCMで顧客の関心度を高めた後に、試供品配布や店舗供給の充実をタイムリーに行った事が成功要因といえる事例です。
AMTULの特徴と活用事例
AMTUL(アムツール)は継続的な購入行動を想定したモデルとなります。
そのため継続的な利用や固定客との関係強化、つまり顧客ロイヤリティが特徴です。
本モデルの活用事例としておやつのサブスクサービスの事例をご紹介します。
- Attention(認知):SNSごとの特性に応じて頻度や内容を工夫しサービスの認知度アップ。
- Memory(記憶):X(旧Twitter)でユーザーの印象に残る親しみやすいつぶやきを実施。
- Trial(試用):1回のみでも利用をストップでき利用開始のハードルを下げました。
- Usage(日常利用):評価やリクエストができ、利用を習慣づける。
- Loyalty(継続利用):条件を満たすと会員ランクが上がり特典も付ける事でサービス利用の継続を促進。
親しみやすさや気軽さをアピールして新規顧客を増やし、会員ランク制度により固定客化をうまく促進した好例となります。
マーケティング戦略の事例はこちら
AISCEASの特徴と活用事例
AISCEASモデルはインターネットユーザーを前提とする態度変容モデルとなります。
その特徴は顧客自身が複数の商品を検索し、比較検討を行う段階が含まれている点です。
ダイニングバーを例に、本モデルの活用する流れを見ていきましょう。
- Attention(認知):Web広告やメディアでダイニングバーを認知させる。
- Interest(関心):グルメサイトの写真等を充実させ顧客が「面白そう」と興味を持つ。
- Search(検索):顧客がSNSやクチコミサイトなどで評価を調べる。
- Comparison(比較):顧客が他の似たコンセプトのお店を発見し比較を行う。Web広告施策をあわせて実施
- Examination(検討):顧客が具体的に店舗に行く日程等を決める。
- Action(行動):ダイニングバーへの予約を促進するためWeb予約等の選択肢を準備。
- Share(共有):顧客が来店後にグルメサイトやSNSで共有する感想を確認。
この事例ではWebメディアや広告に関する施策に注力し予約経路を強化した事が成功要因となりました。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
態度変容モデル活用のポイント
ここでは態度変容モデルを活用するための3つのポイントについて解説していきます。
より効果的な使い方をするために、まずは以下のポイントをおさえておきましょう。
態度変容プロセスの難所を特定
態度変容モデルを活用するためには、顧客心理の変化過程での難所を特定する事が重要です。
それぞれの段階を分析し、顧客が離脱してしまっているポイントを見つけていきます。
発見したポイントについて重点的に改善をする事で、うまく働いていない部分を取り除いていくのです。
改善を繰り返して顧客心理でボトルネックとなる部分をなくしスムーズに商品購入等の行動に繋げます。
複数モデルを当てはめ多角的に考察
前述のとおり、態度変容モデルは顧客の購買行動の変化にともない様々なモデルが生まれました。
とはいえ、最新の態度変容モデルや適しているといわれるモデルを利用すべきという事ではありません。
あえて複数のモデルに当てはめて、多角的に考察を行う事が活用のポイントになります。
予想していなかった態度変容モデルを試す事でマーケティング戦略のヒントが得られる可能性もあるのです。
適切なコミュニケーション手段を選択
顧客とのコミュニケーション手段の適切な選択も態度変容モデルの活用のポイントになります。
どのような内容をどのような方法を使ってどの段階の顧客に伝えるかについて、設計する事が必要です。
まずは最も効果的と考えられるコミュニケーション手段を実施し、効果測定を行いながら真に適切な手段を見つけてください。
態度変容モデルの有効活用はプロに相談できる
顧客が新商品や新サービスを知って関心を持ち利用するかを把握するため態度変容モデル活用が有効です。
態度変容モデルを有効活用した施策の立案や実行にあたって自社内の検討で行き詰まる事もあります。
今回ご紹介した態度変容モデルのフレームワーク等をより効果的に使うためにはプロへご相談いただくのがおすすめです。
デジマクラスでは豊富なマーケティングに関するノウハウを持つコンサルタントがご相談を承ります。
丁寧にヒアリングを行い、貴社の課題を特定したうえで最適なご提案をする事が可能です。
まずは情報収集も兼ねてお気軽にお問い合わせください。
マーケティング戦略の事例はこちら
まとめ
今回は代表的な態度変容モデルやそれらの特徴・活用事例についてご紹介してきました。
本モデルを活用すれば、顧客ニーズの細かな把握や最適なコミュニケーション手段の選択に役立ちます。
また多面的な分析や効果測定を行う事で、より効果的な活用にもつながるでしょう。
またインターネットの普及により、実店舗だけでなくネットマーケティングの重要性も無視できません。
自社の商品や顧客の特性に合わせ、態度変容モデルを使い分けたり組み合わせたりする事もポイントです。
本記事を参考に態度変容モデルを有効活用したマーケティング戦略を実行してみましょう。