商品やサービスを新展開する際に、地域を区切って一部の消費者に先行販売しその評価を受けて実際に本格的に販売する場合があります。
これがテストマーケティングです。こちらではテストマーケティングの成功事例を解説しています。
具体的な手法やメリット・デメリットも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
テストマーケティングの考え方
テストマーケティングは新商品や新たなサービスが消費者にどのように受け入れられるか、評価されるかを事前に調査するためのものです。
いきなり新商品を売り出して消費者に受け入れられないというリスクを避けるために、テストマーケティングは重要と考えられます。
テストマーケティングのメリット
テストマーケティングを行うことのメリットはたくさんあります。メリットを確認することでテストマーケティングの目的がわかります。
リスクの軽減
大きなメリットはリスクを軽減することです。新商品がどのような評価を受けるかで商品を発売して売れるかどうかを見極められます。
いきなり全国展開して、思うような結果が出なかった場合には多くの在庫を抱えてしまうなどのリスクが大きくなります。
そういったリスクを軽減できるのがテストマーケティングのメリットといえるのです。
ターゲット像の把握
新商品や新サービスがどのような人に受け入れられやすいのかを把握できるのも、テストマーケティングのメリットです。
考えていた層ではなく、別の層の消費者への感触が良かった場合には、ターゲットを変更する必要もあるでしょう。
またどうすれば本来のターゲット層へ受け入れられるのか理由を分析して、改善することも可能となります。
効率的な販売計画
テストマーケティングを実施することで、そのデータを分析し綿密な販売計画を立てることが可能となります。
どのくらいの数量を生産し、どのくらいの価格で販売するのが妥当なのかなども再度計画し直す事もできるでしょう。
テストマーケティングのデメリット
テストマーケティングにはメリットだけでなくデメリットも存在します。
時間やコストが余分にかかる
一定期間先行して商品やサービスを消費者に提供して使用してもらうテストマーケティングには、それだけ時間やコストがかかります。
1度だけでなく複数回のテストを行う場合もあり、その都度郵送料などのコストがかかるのはデメリットといえるのです。
アイデアなどが盗まれる可能性がある
まだ発売前の商品やサービスを提供するため、競合他社の目に留まる場合があります。
アイデアを盗まれてしまうというリスクが当然あるのです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
テストマーケティングの必要性
テストマーケティングのメリットデメリットについてはお分かりいただけたでしょうか。
それもふまえて、テストマーケティングの必要性について解説していきましょう。
アンケートで「買う」と答えてもユーザーは「買わない」
新商品やサービスを発売する場合、自社では充分すぎる程検討を重ね開発して新発売となるのですが社員はユーザーではありません。
自社社員に事前にこういう商品を買うかどうかのアンケートをした場合、買うと答える人が多いでしょう。
ところが、実際に商品やサービスを購入するのはユーザーなのです。
ユーザーが実際に「買う」と思ってくれるのかどうかが重要になります。
全社員が「買う」と答えてもユーザーは「買わない」と答えるかもわからないのです。
またターゲットとしている層では「買わない」という人が多く、他の層で意外と「買う」と答える人が多くなることもあります。
急遽方向性を変更する必要が出て来る場合もあるのです。ユーザーの生の声を聞き改善策を立てられるのです。
背景にある理由は?
テストマーケティングの必要性は分かっていただけたと思います。
その背景には発売前にユーザーの率直な生の声が聞きたいという、企業の新商品を送り出す気構えとリスクを避けたい思いがあります。
市場でその商品が受け入れられるのか、どの地域のどの層のユーザーが購入してくれるかなどを事前に知るためのテストマーケティングです。
もしもテストマーケティングの結果が満足いくものでなければ、発売を先に延ばすことや中止することも視野に入れて行っているのです。
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テストマーケティングの成功事例
テストマーケティングは多くの企業が取り入れています。その中で特に成功をおさめた事例をいくつか挙げてみましょう。
ふくや
本場博多に本社を置く明太子の「ふくや」では、現地で購入するのが当たり前だった明太子をプレゼントというキャンペーンを打ちました。
月に1度のそのキャンペーンの応募者は年間で5万人に達したのです。「明太子が好き」というユーザーの声も多く届きました。
このキャンペーンは明太子がネット販売に対応できるかを確認するためのものでした。
この結果を受けて「ふくや」はさっそくインターネットでの通信販売に踏み切り、1ヵ月で1万個の受注に成功したのです。
「ふくや」のテストマーケティングは、自社商品をプレゼントするというシンプルな方法でその導入に成功したといえるのです。
レッドブル
エナジードリンクの「レッドブル」はマスマーケティングとテストマーケティングを上手く取り入れて成功しています。
TVなどで「レッドブル」の広告を目にすることが多いと思います。まず多くの消費者にその名前を認知させたのです。
その上で、不定期に宣伝カーを街中に走らせて遭遇した人に無料で「レッドブル」を試してもらうというテストマーケティングを行いました。
宣伝カーに会っただけでレッドブルが1本無料で飲めるのですから、消費者にとっても嬉しいキャンペーンでしょう。
企業側としてはただ飲んでもらうというだけでなく、その場で意見を聞けるという宣伝効果以上のメリットもあるということになります。
また「レッドブル」はターゲットとなる若者が興味を持つであろう場で、スポンサーとしてその名を広めているのです。
レッドブルの名は耳や目で消費者に認知され、広告・キャンペーン・スポンサーとして掛った費用を上回る大きな業績を残せています。
花王
大手日用品メーカーの花王もまた、テストマーケティングで成功をおさめています。
花王が大切にしているのは、徹底して顧客の声を聞く姿勢です。顧客が今何を求めているのかも声を聞くことで明らかになります。
テストマーケティングに於いてもその姿勢は変わりません。花王が打ち出したテストマーケティングの代表を挙げましょう。
- 洗濯洗剤「アタック」
- 特定保健用食品「ヘルシア緑茶」
花王の主力製品である「アタック」も発売当初からの課題であった重くて嵩張るという洗濯洗剤問題に取り組んだ製品です。
従来の4分の1のサイズで、従来と同様の機能を持つ「アタック」を売り出す前に花王は入念なテストマーケティングを行いました。
地域は東京とその他の各都市とで比較し、年代についても調査されたのです。
その結果、新「アタック」は比較的若い20代~30代の世代に多く受け入れられ、東京以外の都市では浸透しにくいことが分りました。
この結果を受けて、花王では個別のプロモーションなど施策を行うことで競合他社へ対抗していったのです。
このような施策の結果「アタック」は長きにわたって洗濯洗剤シェアのトップを走るブランドに成長しています。
花王の顧客の声を聞き、マーケティングに活かす手法が成功した例といえるでしょう。
「アタック」と比べると「ヘルシア緑茶」は比較的新しい花王の主力商品です。
発売当初は緑茶で内臓脂肪を減らすという発想は珍しく、特定保健用食品ということも後押しして花王のヒット商品となっています。
この「ヘルシア緑茶」もまた、発売前にテストマーケティングを行った商品なのです。
花王は「ヘルシア緑茶」を全国的に売り出す前に、コンビニのみで販売するというテストマーケティングを行いました。
まずはサラリーマンなどターゲットとなりやすい消費者に向けてのこのマーケティングは成功して、中年層からの支持を得ました。
このように企業によりテストマーケティングの手法もさまざまなのです。続いてテストマーケティングの手法について解説しましょう。
テストマーケティングの手法
テストマーケティングの手法はさまざまですが、主に次のようなものがあります。
- サンプル配布
- 店舗調査
- モニター調査
- 会場調査
- Webモニター
- SNS
- クラウドファンディング
主な手法はオフライン・オンライン・広告に大きく分けられます。それぞれ分類した上で解説します。
広告のテスト
広告することで行うテストマーケティングには、サンプル配布があります。
新商品のサンプルを来店した顧客に配布したり使用してもらい、感想を聞くという手法です。
特にターゲットを絞らずに広く商品を知ってもらい、興味を持ってもらえるかどうかが確認できるという利点があります。
オフラインにおける商品のテスト
オフラインでのテストマーケティングは次の3つの調査が挙げられます。
- 店舗調査
- モニター調査
- 会場調査
店舗調査は期間やエリアを決めて、実際の店舗で試験的に販売を行う方法です。
限られた範囲内での販売とはなりますが、その中でも戻ってくるデータは内容も濃いものが多く効果的なテストといえます。
モニター調査は新商品のサンプルを使用してもらい、インタビューやアンケートに答えてもらうテスト方法です。
長期間使ってもらうという商品には有効的なテスト手法になります。
ただ商品の管理はモニター自身が行うことや、配送や謝礼などコストがかかる点が課題となるでしょう。
会場調査は指定した場所に対象者を集めて、商品を試してもらい感想をアンケートやインタビューで集めるテスト方法です。
実際に対象者の反応をじかに確認できることで率直な感想を聞くことが可能となります。
アンケートだけではわかり難いことも、インタビューして掘り下げて聞くことができるのも効果的なテスト方法といえるのです。
会場手配や人員の確保など、コストがかかる点は気になるところです。
オンラインにおける商品のテスト
オンラインでのテストマーケティング手法には主に次の3つが挙げられます。
- Webモニター
- SNS
- クラウドファンディング
WebモニターはWeb上で対象者にアンケートを出し回答してもらう方法です。
手軽にアンケート調査が可能でコストもかからない手法で、多くの企業が取り入れています。
短時間で多くのデータが収集できる反面、インターネットをしない層には働きかけることができません。
SNSによるテストマーケティング手法は、投稿によるユーザーの反応を収集することで行います。
コメントや「いいね」の数で商品に対する反応を確認するのです。
アンケートなどより手軽にアクションできることが大きな利点でしょう。また情報も反響も収集しやすいのも特徴です。
もしもフォロワー数が少ない場合には、フォロワーを増やすところから始める必要があります。
クラウドファンディングは本来商品や開発に対しての資金を応援してもらうためのものです。
最近では本来の目的の他に、テストマーケティングの手法としても注目されています。
ただ、クラウドファンディングの場合は商品そのものというよりも、商品開発のアイデアに対してフィードバックされる点が他と違います。
アイデアに魅力を感じてもらえるかどうかが明確に分かることやコストがほとんどかからないのが利点でしょう。
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テストマーケティングの注意点
テストマーケティングの手法についてお話ししましたが、さまざまな手法の中から商品やサービスに合った方法を選ぶとよいでしょう。
テストマーケティングを行う上で注意しなくてはいけないことがあります。
- 形に現れるニーズや言葉だけを捉えない
- テストマーケティングを過信しない
- 競合他社にアイデアを盗まれない対策
テストマーケティングではユーザーの感触も良く、購入したいという意見も多かったのにいざ発売すると違ってしまうことがあります。
例えばヘルシー志向の意見の多い世代に、予想に反してこってりとしたハイカロリーの食品がよく売れたという例もあります。
テストマーケティングのデータが必ずしもすべて正しいと考えずに、さまざまな方向から検討する必要もあると考えましょう。
「買う」と答えた人がすべて「買う」とは限りません。データをあらゆる角度から見ることで見えてくるものもあるのです。
発売前の商品をテストすることは、競合他社にその手の内を見せることになるのです。アイデアを盗まれない対策を練る必要もあります。
注意すべき点を充分に考慮した上で、テストマーケティングの手法を試すようにしてください。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
テストマーケティングの今後
新規事業を行うにあたっても新商品を開発するにしても、そのサービスや商品が市場で受け入れられるかどうかを知ることは重要です。
今後もテストマーケティングはマーケティングに於いて必要な手法であることは間違いありません。
テストマーケティングはユーザーの声を取り入れ、商品生産や商品開発に役立つマーケット手法として活用され続けることでしょう。
テストマーケティング成功の近道は?
テストマーケティングは新規事業や新製品の開発にあたり、ユーザーの声を聞くためには必要なマーケティング手法です。
さまざまな方法があり、商品やサービスに合った手法で行うことが大切になります。
テストマーケティングを成功させるためには、コンサルタントに相談するのがより近道といえるのです。
テストマーケティングの方法に迷ったら、ぜひデジマクラスを活用してください。
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まとめ
テストマーケティングは商品やサービスを新展開する時、一部の消費者に向けてテスト的に販売を行うことをいいます。
その手法はオフラインでのテスト・オンラインでのテストとさまざまです。
商品やサービスに合った方法でテストマーケティングを行うことで、より効果的な生産計画や販売計画を立てられます。
どのようなテストマーケティングを利用すればよいのか悩んだ時は、デジマクラスの力を借りることをおすすめします。