Web広告の運用など、マーケティングに携わっていると「アドネットワーク」という単語を耳にする機会が多くなります。
しかし、実際マーケティングにアドネットワークを活かしてどんな効果を得られるのかを正確に把握している方は少ないでしょう。
アドネットワークはただ投資していれば効果を得られるものではありません。
この記事では、アドネットワークの種類とマーケティングに活かせるポイントを解説していきます。
目次
アドネットワークの種類を解説
アドネットワークとはWebサイトやSNS・アプリなどの広告掲載メディアの広告枠を一元化したものを指します。
多数の広告掲載メディアをひとつにすることで、一括で広告を出稿できるため、効率的な広告運用ができるのです。
アドネットワークの配信方法は、ターゲティング配信とノンターゲティング配信の2種類があります。
ターゲティング配信はアドネットワーク内で取得したユーザー情報にあわせて広告を配信できます。
ノンターゲティング配信は、配信先の設定をせず、すべての登録媒体に広告を配信する方法です。
アドネットワークは純広告とは違い、クリック課金配信も可能なので、費用対効果も改善される傾向があるといえるでしょう。
現在、多くのアドネットワークサービスが誕生しており、代表的なものとしてYahoo!ディスプレイ広告などが存在します。
今回はそんなアドネットワークの仕組みと種類について詳しく解説していきます。
アドネットワークの仕組み・特徴
Web広告を効率的に運用できるアドネットワークですが、そこにはどんな仕組みと特徴があるのでしょうか。
アドネットワークが誕生した背景と共にご紹介します。
アドネットワークによって広告配信が変わった
アドネットワークが誕生したのは2008年頃でした。
それまでは広告媒体ごとに課金形態や配信規定があり、広告主である企業は掲載を個別に行わなければなりませんでした。
また、出稿した媒体から広告の分析データを貰っても全て様式が異なり、管理が行き届かないケースも多かったのです。
他にも、広告主側として手間になることは以下のように多く存在しました。
- どの媒体を選ぶか、費用対効果を考えなければならないため掲載まで時間がかかる
- 広告枠の確保をするため、媒体ごとに分けて大量の広告掲載を依頼する必要がある
- 媒体ごとに広告管理をしていかなければならない
対する広告媒体側としても広告主への対応に手が回りきらず、その上営業活動や広告掲載の交渉なども行う必要がありました。
そこで開発されたのがアドネットワークです。
アドネットワークは「広告配信ネットワーク」なので、そこに広告主が入札という形式で広告を配信します。
そうすることで、広告主は媒体ごとに対応を行うことなく、一括で多数の媒体に広告を配信することができるのです。
これまで広告主や媒体側が抱えていた問題を解決し、さらに効率化させたアドネットワークは広告配信事業に革命を起こしました。
仕組み
アドネットワークはこれまで広告主と媒体側が抱えていた配信方法や課金形態の違いといった問題を統一させる仕組みを持っています。
まず、広告主がアドネットワーク事業者に広告の配信依頼を入札という形でするところからスタートします。
依頼を受けた事業者は連携する媒体の中から、掲載広告の内容と合うサイトやSNS・アプリなどを絞り、広告を配信するのです。
アドネットワーク事業者は多く存在するため、複数のアドネットワークを使い分けることでターゲティングが効率化するでしょう。
アドネットワークの利用の流れは以下の通りです。
- 利用するアドネットワークのアカウント開設(複数が好ましい)
- キャンペーンや広告グループの作成
- 広告入稿
それぞれ細かい操作は必要ですが、作業としては簡単にトラフィックを作り出せるのがアドネットワークの特徴といえます。
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アドネットワークを支えるテクノロジー
広告運用を効率化し活用されるアドネットワークですが、その活用を支えるテクノロジーについて解説します。
その1:RTB
RTBは「Real-Time Bidding」の略称です。
これは、リアルタイムで広告を入札する仕組みを指します。
RTBにより、ユーザーがページ訪問をした際に広告枠が表示された瞬間、その広告枠に対する入札が行われます。
そこで一番高い金額を入札した広告主の広告が表示される仕組みです。
こうすることで、媒体ではなく、個々のユーザーをターゲットとして広告表示することが可能になります。
その2:アドエクスチェンジ
アドエクスチェンジは、広告媒体やアドネットワークの広告掲載枠を1インプレッション単位で取引できるプラットフォームです。
広告媒体ごとに違う課金携帯を入札型のインプレッション課金にすることで、公平性を保ちながら課金管理を効率化できます。
その3:データエクスチェンジ
データエクスチェンジは、ユーザー属性やWeb閲覧履歴などのデータを企業同士で交換する仕組みを指します。
アドネットワークはこういったデータを保有し、カテゴリ分けを担う企業と契約して、ユーザーに最適な広告配信をしています。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
アドネットワークのメリット・デメリット
アドネットワークはこれまでの広告配信の手間を減らし、多くのメリットを生み出します。
しかし、同時にデメリットも生じるため、以下のメリットとデメリットを比較して導入を検討しましょう。
メリット
アドネットワークのメリットは何といっても登録されている多くの広告媒体に一括で広告が配信できるというその手軽さにあります。
媒体別に対策を考える必要がなく、カテゴリ指定をするだけで最適な配信媒体が見つかります。
地域・時間・曜日といった細かい設定も可能なので、広告効果が高い条件のもとで広告配信ができるのです。
課金形態も統一されているので、広告運用や予算の管理も手間をかけず行うことができます。
また、インプレッションやクリック率・コンバージョン率などの効果測定データが統一されているので、分析もしやすいでしょう。
分析がしやすくなると、広告効果をより高めることができます。
アドネットワークの中に多数の広告枠があるため、個別に媒体を選ぶよりもコストを削減できる点もメリットといえます。
デメリット
アドネットワークのデメリットは、多数の広告枠があるにも関わらず、掲載媒体を選べない点にあります。
こうなると、想定していたターゲット以外の媒体に掲載される可能性が出てくるのです。
さらに、アドネットワークごとに登録媒体が違うため、ターゲティングする層に合わせてアドネットワークを選ぶ必要もあります。
アドネットワークごとに課金携帯や効果測定方法も違うことが多くなります。
複数のアドネットワークを利用する場合は管理が大変になるケースがあるでしょう。
また、複数のアドネットワークを利用することで同じ媒体に広告が重複配信されてしまうこともあります。
重複配信は広告費用が2倍になるうえ、ユーザーに不快感を与え、ブランディングの低下にも繋がります。
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おすすめアドネットワーク
アドネットワークサービスには多くの種類があります。
ここではおすすめのアドネットワークサービスを6つご紹介します。
その1:Yahoo!ディスプレイ広告
Yahoo!ディスプレイ広告(YDN)は、ヤフー株式会社のアドネットワークサービスです。
ヤフオクやYahoo!ニュースといった関連サイトやAmebaやNAVERといった提携サイトの広告枠へ広告を掲載することが可能です。
「興味関心」「購買意向」「属性・ライフイベント」というカテゴリーごとのターゲティング配信ができます。
こちらは法人Webサイト限定のアドネットワークサービスとなっています。
その2:Google ディスプレイ ネットワーク
Googleディスプレイネットワーク(GDN)は、Googleが提供する世界最大級のアドネットワークサービスです。
Google関連サイトだけでなく、YouTubeやpixivといった200万以上のWebサイトと65万種類以上のアプリに広告配信ができます。
配信できる広告の種類も多く、多くのトラフィックを獲得できるという魅力を持っています。
他社のアドネットワークサービスと比べても最低出稿金額の設定がなく、少額から広告運用ができるのもメリットです。
その3:Inmobi
InmobiはInmobi株式会社が提供する広告主と広告媒体の接点をつくるモバイルアドネットワークサービスです。
日本の他にも世界200か国以上を網羅するモバイルアプリ広告ネットワークを持っています。
世界中のオフィスに広告制作チームを持っているので、キャンペーン制作の的確なアドバイスを貰うこともできます。
その4:LINE Ads Platform for Publishers
LINE Ads Platform for PublishersはLINE株式会社が提供するアドネットワークサービスです。
LINEアプリはもちろん、LINEニュースやLINEマンガなどの関連アプリや4600種類以上の外部アプリに広告配信ができます。
このアドネットワークサービスでは厳正な審査が行われているので、違法・有害コンテンツに広告が配信される心配もありません。
その5:PolymorphicAds
PolymorphicAdsは株式会社フルスピードが提供する動画広告フォーマット中心のアドネットワークサービスです。
OSや端末のバージョンにあわせた豊富な配信メニューがあります。
さらに、広告媒体をすべて開示しているため、媒体ごとに効果の測定や精査が可能になっています。
その6:nend
nendは株式会社ファンコミュニケーションズが提供するアドネットワークサービスです。
この企業は国内ASPの「A8.net」の運営も行っています。
nendはiPhoneやandroidなどのスマートフォンで利用でき、広告はアプリとWebサイトの相性を診断して自動配信されます。
配信広告ごとに細かいデータを分析できるため、KPIの達成も可能になるでしょう。
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リターゲティングとの関係
リターゲティングは行動ターゲティング広告(BTA)の手法のひとつで、ユーザーの行動履歴からターゲットを設定するものです。
具体的には、1度でもWebサイトやアプリを利用した人に対する広告配信を指します。
アドネットワークは一般的にCookieで取得したデータをもとにユーザーの行動履歴を分析できるシステムが導入されています。
こういった行動リターゲティングを活用すれば、アドネットワークにおいてより関心の高いユーザーへ広告を配信できるのです。
アドネットワークは広告を配信する媒体を指定できないため、個別のターゲティングが難しくなってきます。
しかし、リターゲティングによってユーザーの行動履歴に基づいてターゲット設定ができ、弱点を補いながら相乗効果を狙えます。
リターゲティングでユーザーの行動履歴を深掘りし分析できれば、より良い広告効果を得られる可能性が高まるでしょう。
DSPとの関係
アドネットワークとDSPは混同されることが多いのですが、実際の中身は異なっています。
DSPとは「Demand Side Platform」の略で、広告効果を最適化するためのツールを指します。
広告を見せたいターゲットの属性を絞って広告配信ができる、広告主のためのツールです。
アドネットワークが配信先の媒体を管理しているとすれば、DSPは配信先の人を管理しているといえるでしょう。
アドネットワークとDSPのどちらを運用するか考えたときに軸にすべきは「面」と「人」です。
ターゲットを特定せず広範囲に広告を出したいのならアドネットワークが適しています。
反対に、個別にターゲティングした層へ広告を出したい場合はDSPが適しているでしょう。
DSPもアドネットワークと同じように目的に合わせて使い分ける必要があります。
近年ではDSPも進化しており、GDNやYDNといった代表的なアドネットワークサービスはDSP面もカバーできるようになっています。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
アドネットワークの仕組みを理解して、効率のよい広告出稿を行おう
アドネットワークは近年のWeb広告運用には欠かせない効率的かつ効果的な存在です。
RTBやアドエクスチェンジといったアドテクノロジーの進化によって、利用者は年々増加しています。
しかし、アドネットワークを使っていれば簡単に効果を得られるわけではありません。
手間を省いて大量のトラフィックを獲得することはできても、特定層へアプローチすることはできないのです。
ニーズに合わせてアドネットワークやDSPを使い分けることも必要となります。
アドネットワークの仕組みやメリット・デメリットを理解し、自社にあわせた効率的な広告出稿を行いましょう。
アドネットワークで悩んだら
アドネットワークはリターゲティングという仕組みと合わせることで弱みを克服し、さらなる進化を遂げました。
広告運用の効率化において、使わない手はありません。
しかし、自社に合わせたアドネットワークやDSPを選ばなければ求める効果が得られないのも事実です。
アドネットワーク選びで悩んでいる時は、デジマクラスなどのコンサルタントに相談してみることをおすすめします。
デジマクラスなどのコンサルタントであれば、企業ニーズに合わせたアドネットワーク選びのアドバイスをしてくれるでしょう。
まとめ
アドネットワークはWeb広告運用においてもはや欠かせない存在となっています。
リターゲティングの登場によって、それまで懸念されていた弱みを克服し、更なる進化を続けています。
しかし、アドネットワークを使えば必ず効果を得られるというわけではありません。
自社のニーズにあわせたアドネットワークを選び、広告効果を高めて目標達成を目指しましょう。