社会や経済が大きく変化していく中でシェアリングエコノミーが注目されています。
シェアリングエコノミーは簡単にいうと個人が所有する遊休資産の貸し出しを仲介するサービスです。
インターネットを通じて行われることからその活用が活発化しています。
2020年には過去最高の2兆円越えし、2030年には14兆円を上回る市場規模に成長するといわれています。
この記事ではシェアリングエコノミーの成功事例を紹介しましょう。
目次
拡大するシェアリングエコノミー市場
使われていない資産やリソースを有効活用するシェアリングエコノミー市場は拡大の一途を辿っています。
日本だけでなく世界中で拡大し経済効果も大きなものになると予想されています。
ある調査によると2025年には約3,350億ドルまで成長するともいわれているのです。
さまざまなモノを共有することで成立するビジネスであるシェアリングエコノミーはインターネット上のプラットフォームを活用します。
シェアリングエコノミー市場の急成長にはインターネットの普及があります。
そしてさらに拍車をかけたのがスマートフォンやタブレット端末の通信環境整備などテクノロジーの発展も重要なポイントでした。
また、SNSの普及は他人同士で結び付く機運を高め、困った人を自分が所有する資産を使って助けることに寄与したのです。
シェアリングエコノミーの定義
シェアリングエコノミーはインターネット上で資産などを提供者と利用者との間で結びつけるビジネスです。
利用したい時にサービスが利用できるため市場規模はどんどん広がります。
シェアリングエコノミーは一般の消費者がモノ・場所・スキルなどを必要な人に提供する新しい経済の動きです。
BtoB中心のビジネスモデルが変わり始めたといえるでしょう。
消費者同士で取引し提供する人・される人がお互いの需要と供給を満たすCtoCビジネスがシェアリングエコノミーです。
やり方は仲介業者がWebサイトやアプリでプラットフォームを提供します。
BtoCまたはBtoBのシェアリングエコノミーもあります。
必要な時に必要な分だけ利用するあくまで一時的なサービスがシェアリングエコノミーです。
「所有」することから「共有」することで必要な人が必要なモノ・サービスを必要な時だけ利用する新しい経済概念といえるでしょう。
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シェアリングエコノミーが注目される背景
シェアリングエコノミーが注目される背景としては、人々の価値への考え方が大きく変化してきたことがあげられます。
例えば以前はブランド品を購入することで消費者はモノへの価値を見出してきました。
しかし、「所有」から「共有」に価値観がシフトしたことでモノへの執着心が無くなったのです。
利用したい時だけシェアすれば高級品も色々試せるし満足できます。
こうしたシェアリングエコノミーはCtoC(個人取引)が中心のサービスです。
シェアリングエコノミーの注目すべきポイントは以下の通りです。
- 低料金でモノやサービスが利用できる
- 遊休資産を効果的に活用できる
- ビジネスとして売上が確保しやすい
こうしたポイントはBtoC経済には見られません。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
シェアリングエコノミーの事業パターン
シェアリングエコノミーの事業パターンは5つあります。
モノをシェア
モノでは洋服や小物を借りたりできるサービスになります。
個人間でモノを交換してシェアするシェアリングエコノミーともいわれるものです。
モノを所有することに固執していた時代から共有することに価値観を見出し始めたのです。
消費型経済から循環型経済へ大きく流れが変わったといえるでしょう。
空間をシェア
スペースとは空き家など貸したい人がスペースをホテルや旅館のような価格ではなく低価格で提供するものです。
例えば民泊のようなサービスをいいます。
土地や建物を所有あるいは投資するのは高くつき、リスクもあります。
所有せずにシェアすればリスクは抑えられるのです。
移動をシェア
移動とはカーシェアリングなどがあげられます。
車を所有すれば運転しなくても持っているだけでコストがかかります。
仕事で車を利用しない人は車に乗る時間は限られているのです。
わざわざコストをかけて車を所有するくらいなら、利用したい時に借りた方がコストも限定的です。
車やバイクなど用途に合わせてシェアできればライフルタイルも変わるでしょう。
お金をシェア
お金の場合はクラウドファンディングのように、資金を調達したい人と持っている資産を有効活用したい人を繋ぎます。
資産を調達したい人がビジネスで成功すれば大きなリターンになります。
低金利の日本で運用先に困っている個人にはチャンスといえるでしょう。
スキルをシェア
スキルのシェアでは個人の知識・経験・スキルなどもシェアリングの対象にします。
例えばスキルの売買は「coconala」、フリーランスのプラットフォームは「Lancers」です。
スキルを求める個人と提供したい個人を結び付けることで需要に対応します。
シェアリングエコノミーの成功事例
シェアリングエコノミーは日本の少子高齢化社会においてさまざまなシーンで期待されます。
例えば福祉サービスの提供では介護・ベビーシッター・家事代行の手配などです。
また、スキルを活用した就業支援も大いに期待できる分野でしょう。
ここではシェアリングエコノミーの成功事例を見ながら解説します。
airCloset
株式会社airClosetは女性向け洋服のレンタルサービスを手がける会社です。
プロのスタイリストが利用者の好みや悩みに合わせて服を選んでくれるサービスが特徴です。
シェアリングエコノミーの特性を活かしつつ、サブスクリプションサービスを活用した月額定額制を採用しています。
3つのプラン「ライトプラン」・「レギュラープラン」・「プラスサイズ」が選べ、それぞれ料金に応じた洋服が発送されるのです。
例えば「ライトプラン」では月額6,800円税抜きで月3着レンタルできますが、返却期限なしです。
返却すれば新しく3着が送られてきます。
どのプランでも気に入ればレンタル後に購入もできるのです。
ドレスや着物の購入はもったいないためairClosetなどのレンタルサービスを展開する会社では会員数を順調に伸ばしています。
ライフスタイルに応じて洋服が選べるのでユーザーにとっては費用対効果が高いといえるでしょう。
スペースマーケット
株式会社スペースマーケットはレンタル会場を3分で簡単に予約できることで有名です。
社長は前職でウェディング事業を展開していました。
しかし、披露宴会場は平日が遊休状態になることからスペース活用することを考え出し起業したのです。
創業当時は結婚式場・古民家・お化け屋敷など個性豊かな施設を借りられることで注目を集めました。
その後、民泊サービスに参入しプラットフォーム「スペースマーケットSTAY」をリリースしています。
「女子会限定」や「映画やドラマの撮影プラン」などスペースの有効活用法をユーザーに提案もしています。
さまざまなスペースを1時間単位で貸し出しできることから、ホームパーティーや静かな環境で仕事をしたい人向けに需要があるのです。
使われていない部屋や物件を持っている人はスペースマーケットに登録して貸し出すことができるのです。
タイムズカー
カーシェアリングはタイムズモビリティ株式会社が運営するカーシェアリングサービスです。
若者を中心に車離れが加速しています。
その原因は車のローン・駐車代・維持費などコストがネックになっています。
そこで大都市圏を中心にお得にカーライフが楽しめるカーシェアリングが流行っているのです。
遊休資産を駐車場にして活用することも可能です。
シンプルでわかりやすい料金システムとキャンセル料がかからないメリットから若者を中心に人気があります。
また、独自のポイント制度を導入して商品券や無料利用券に交換できるのも特徴です。
CAMPFIRE
株式会社CAMPFIREは2011年創業の国内最大のクラウドファンディングサービスを手がける企業です。
手元資金が足りない企業が不特定多数の支援者から資金を集めるプロジェクトをCAMPFIREは作成して情報公開します。
公開された事業内容に関心を持った支援者から期待以上の資金が集まり成功した事例がいくつもあります。
ココナラ
知識やスキルの売買を専門に扱うサービスを提供する株式会社ココナラです。
占い・心の悩み・似顔絵・画像・文章などスキルや知識を持った人が出品し、購入するプラットフォームを提供します。
例えば、ロゴデザインを引き受けますなどスキルのある提供者が、サービスを欲しい人に提案します。
作品を見て利用者が購入するといった仕組みです。
売買が成立すれば出品料に応じて手数料を取るのがココナラのビジネスモデルになります。
メルカリ
2013年にサービスを開始したフリマアプリ「メルカリ」もシェアリングエコノミーの1種です。
誰でも簡単に不用品を手軽に売買できるサービスが人気で世代関係なく、多くのユーザーに利用されています。
また、支払いトラブルを回避する独自の決済方法や匿名発送といったユニークなサービスが評価されています。
株式会社メリカリが運営していて、アメリカにも事業展開しているのです。
これまで不用品はゴミとして廃棄するか、バザーなどに出品するしか処分方法がありませんでした。
しかし、インターネットを活用すればもっと幅広く売買ができるのです。
自宅にいながら不用品の売買が手軽にできることから、新規利用者や既存利用者の利用回数も増加中です。
シェアリングエコノミー成功の法則は?
ここではシェアリングエコノミーを活用した成功の法則について解説します。
社会問題を解決するサービスの提供
少子高齢化・人口減少・子育て問題などさまざまな問題を抱える日本でシェアリングエコノミーサービスが注目されています。
例えばカーシェアリングは大気汚染問題や交通渋滞問題に効果があると期待されています。
地方自治体では地域の経済活性化にシェアリングエコノミーを導入する動きもあるのです。
空き家の増加・過疎化問題・防災など私たちの生活に与える影響は計り知れません。
例えば、株式会社アドレスは、定額で全国複数の拠点のどこでも住めるシェアサービス「ADDress」を提供しています。
インターネットの普及・地方移住に対する意識の高まり・働き方改革といった時代の変化にマッチしたサービスです。
空き家を活用できて、地域住民との交流や防災対策への協力にも繋がります。
持っている資産を活用し、困った人と助け合う精神を持ち続けることが今後の日本の発展に欠かせません。
このサービスは自治体・提供者・利用者いずれにも利益をもたらすといえるでしょう。
業界や組織にこだわらない
業界や組織にこだわったままでは目まぐるしく変化する時代に対処できなくなってきているのです。
旧態依然の方式に固執するのではなく、あらゆる垣根を越えて企業も人も繋がることこそ新しいチャンスを生むのです。
シェアリングエコノミーはその最たる一例といえるでしょう。
シェアリングエコノミーの注意点
可能性が期待できるシェアリングエコノミーですがデメリットもあります。
ここでシェアリングエコノミーの注意点をいくつかあげておきましょう。
- 不特定多数とやりとりをするリスク
- 保険や補償制度が未整備
- 法律の整備が追いついていない
シェアリングエコノミーは個人間の取引が基本です。
そのためサービスの質やルールがきちんと守られるのか不安要素があります。
シェアリングエコノミーを巡ってトラブルも実際に発生しているのです。
これを防ぐためにシェアリングエコノミーを提供するプラットフォームでは評価制度を導入する動きがあります。
提供者・利用者双方が取引結果を評価することでトラブルを防ごうというものです。
シェアリングエコノミーの認識がまだ浅いため事業者向けの保険や補償制度が追いついていません。
一度トラブルに陥ると補償されないなど課題があるのも事実です。
こうした課題に対応すべく保険商品も登場して補償制度が整いつつあります。
シェアリングエコノミーは法整備が十分でないためグレーゾーンでサービスが提供されているケースもあります。
トラブルが発生すれば法的に保護されないリスクが高いといえるでしょう。
今後は、法整備に向けて急ピッチな対応が迫られます。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
シェアリングエコノミーで失敗しないコツ
シェアリングエコノミーは個人主体のビジネスになります。
中間業者がいても最終的には個人同士の取引ですから主体的にコミュニケーションを取っていくことが必要です。
次に信頼できる相手と取引をすることです。
そのためにはプラットフォームが指定する認定ワーカーを選んだり、レビュー評価を参考にしたりして活用しましょう。
企業から受けるサービスと異なり個人間のサービスにはトラブルがつきものです。
ある程度割り切ることも大切ですし、取引内容が適切どうか見極める「勘」を磨くことも必要です。
そして自衛手段を講じておくことも欠かせません。
もしトラブルになったら運営者に必ず連絡を入れましょう。
個人レベルで解決しようとするのではなく運営者に間に入ってもらうとスムーズに解決する可能性もあるのです。
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シェアリングエコノミーで成功を目指すなら
今後もお互いを助け合う時代のニーズにマッチしたシェアリングエコノミーは成長し続けるでしょう。
そこにはビジネスチャンスがあり相互扶助がWin-Winの仕組みをさらに育てていくでしょう。
しかし、ここで見てきたようにシェアリングエコノミーにはまだ追いついていない、いくつかの問題があります。
シェアリングエコノミーを使って眠っている資産を有効活用したい、でもトラブルが心配だという方はデジマクラスにご相談ください。
遊休資産の活用方法やプラットフォームの選び方、トラブルになった時の対処方法など適切にアドバイスいたします。
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まとめ
シェアリングエコノミーの成功事例を紹介しながらメリットだけでなく課題について解説してきました。
資産を眠らせたままでは収益は生まれず無駄になるだけです。
また、利用者は商品やサービスを購入するのではなく、必要な時だけ借りることで生活を充実させるメリットがあります。
今後も成長が期待されるシェアリングエコノミーを有効活用していきましょう。