期間限定商品マーケティングは、ヒット商品を生み出すには欠かせないマーケティング手法であり、多くの企業が取り入れています。
消費者の購買意欲を刺激する期間限定商品は、ヒット商品を生み出し継続的な顧客を獲得する「起爆剤」だといえるでしょう。
しかし、単に期間限定で商品を販売すれば爆発的に「売れる」というものではありません。
そこで、この記事では期間限定商品マーケティングのメリットに加え、期間以外に限定できる商品やマーケティングの注意点を紹介します。
目次
期間限定商品マーケティングの概要
期間限定商品とは文字どおり、一定期間に限定して商品を販売するマーケティングの手法です。
販売期間は商品や戦略によって様々ですが、概ね数日から数週間とするのが一般的であり、数か月にわたるものは「季節限定」となります。
また、期間限定とする商品は、レギュラー商品をアップデートしたものや付加価値を設けたセット商品が一般的です。
期間限定商品マーケティングは、消費者の「今しか買えない」といった心理を利用したマーケティングの手法だといえます。
期間限定商品マーケティングのメリット
期間限定商品マーケティングを導入するには、事前にそのメリットを把握しておくことが不可欠です。
ここでは、期間限定商品マーケティングを正しく行うことで得られるメリットについて解説します。
話題性がある
期間限定商品を販売することで、多くのメディアが紹介してくれることから話題性があります。
既に確固たるポジションを獲得している商品であれば、期間限定商品が消費者の「楽しみ」「期待感」につながることも少なくありません。
新商品の場合だとレギュラー商品の認知度を高めることが可能であり、期間限定商品からヒット商品につながることが期待できます。
いずれにしても、話題性をもたらしてくれることは、期間限定商品マーケティングの大きなメリットです。
PR効果が高い
期間限定商品はレギュラー商品に付加価値を付したものであることから、商品のみならず企業のPR効果が期待できます。
消費者は購入した商品に満足すれば、販売している企業に対しても好印象を抱くのが一般的です。
したがって、質の高い期間限定商品をリリースすれば、レギュラー商品に加えて企業のPRにもなることは必然だといえます。
希少性が高い
期間限定商品は希少性が高いことから、消費者の購買意欲を刺激するといったメリットが期待できます。
企業の目的はレギュラー商品をヒット商品に育てることですが、一般のマーケティングだけではマンネリ化も避けられません。
その点、期間限定商品を定期的にリリースすることで、マーケティングのマンネリ化を防ぐことが可能となります。
ただし、期間限定商品が魅力的であることが前提でなければ、期待するメリットを得ることはできません。
購買意欲を刺激する行動心理学
期間限定商品マーケティングのメリットを引き出すには、消費者の購買意欲を刺激する行動心理学を理解することが不可欠になります。
なお消費者の購買意欲を刺激する行動心理学には3種類あり、それぞれの違いを把握しておくことが大切です。
ここでは、マーケターが正しく理解しておきたい、消費者の購買意欲を刺激する行動心理学について解説します。
ウェブレン効果
ウェブレン効果とは、より高級・高価な商品に価値を見出す消費者心理です。
アメリカの経済学者ヴェヴレンが「有閑階級の理論」の中で「見せびらかしの消費」について言及したのが由来になります。
ブランド品を持つとテンションが上がったり、自然に誰かに見せびらかしたくなるのは多くの人に共通する心理です。
また、同じ品質の商品であっても、価格が高いと高級感を感じてしまうのもウェブレン効果だといえます。
高級ブランドでは季節ごとに付加価値のついた期間限定商品をリリースしていますが、まさにウェブレン効果を狙ったものです。
スノッブ効果
スノッブ効果とは、より希少性の高い商品に価値を見出す消費者心理のことです。
希少性の高い限定品を見つけると、金額のことなど関係なく購買意欲が刺激されるのは多くの人に共通する心理だといえます。
また、希少性の高い商品を持っていると優越感を感じることもスノッブ効果によるものです。
スノッブ効果が起こる深層心理には、「他人からどう思われているか」「他人に良く思われたい」といった社会的証明の心理があります。
ネットショップなどで「残り3点」と表示されていると、ついつい購入してしまうのもスノッブ効果の影響です。
バンドワゴン効果
バンドワゴン効果とは、多くの消費者が購入している商品に価値を見出す消費者心理のことです。
消費者は希少性の高いものの価値を見出す反面、多くの人が購入している商品を「良いものだ」と思いがちだといえます。
例えば飲食店に多くの人が並んでいると、1度も食べたことがないにも関わらず「美味しい」と思い込むことはバンドワゴン効果です。
なお、バンドワゴン効果が起こる深層心理には、「個々の判断よりも集団の判断が正しい」といった社会的証明の原理があります。
購入に迷っている際に「人気商品ですよ」と声を掛けられると、すんなり決断できるのもバンドワゴン効果の影響です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
期間以外に限定できる要素は?
限定商品マーケティングには「期間」だけでなく、様々な要素があります。
前項で紹介した「ウェブレン効果」「スノッブ効果」「バンドワゴン効果」と組み合わせることで大きな成果を得ることが可能です。
ここでは、限定商品マーケティングの幅を広げるために知ったおきたい、期間以外に限定できる要素を紹介します。
数量
期間限定商品とともに市場で多く見られるのが「数量」を要素とした限定商品マーケティングです。
数量限定マーケティングはスノッブ効果を狙ったマーケティング手法であり、消費者の購買意欲を刺激するのに効果的です。
商品を販売する時点で「●点限定」とするのが基本ですが、在庫数を「あと●点」と表示する方法もネットショップではよく見かけます。
また、企業からすれば販売数を限定することで、不要な在庫を抱えないで済むことも大きなメリットです。
ただし、数量限定商品はレギュラー商品をPRする目的もあるので、質の高い商品とすることが鉄則だといえます。
地域
一定の地域だけで販売するのが「地域」を要素とした限定商品マーケティングとなります。
地域限定マーケティングは他の要素とは異なり、テストマーケティングもしくは観光客をターゲットとして行われることが大半です。
新商品を販売するにあたり地域を限定して先行販売することで、失敗の可能性を限りなくゼロにして全国販売に踏み切ることができます。
観光客をターゲットとした地域限定商品は、スノッブ効果を活用したマーケティング手法です。
観光客の多くは財布の紐が緩みがちですが「ここでしか購入できない」商品を提供することで購買意欲は一気に高まります。
また、地域限定商品マーケティングは期間限定商品とも相性が良く、組み合わせて導入されることも少なくありません。
店舗
一部の店舗だけで販売するのが「店舗」を要素とした限定商品マーケティングです。
店舗限定マーケティングは店舗への集客を目的としており、新規オープンの際によく用いられます。
また、観光地では観光客をターゲットとして「お土産品」を対象とすることも少なくありません。
お土産品の場合、定番商品に育てばスノッブ効果に加えバンドワゴン効果も期待できるのが特徴です。
さらにブランド品の場合だと、高額商品を店舗限定で販売することでウェブレン効果を狙うこともあります。
Web
Webだけで販売するのが「Web」を要素とした限定商品マーケティングとなります。
アップデートしたレギュラー商品やセット商品を販売する手法は期間・数量限定と同様です。
ECサイトをはじめネットショップの競争は激しさを増しており、魅力的なWeb限定商品のリリースが成功のポイントだといえます。
Web限定商品は自由度が高く、ターゲットによって「ウェブレン効果」「スノッブ効果」「バンドワゴン効果」のいずれも活用可能です。
店舗も運営している企業においては、Webへの利用を促すことで人件費などのコスト削減といったメリットも期待できます。
特典
上記で紹介した要素に「特典」を組み合わせることで、限定商品マーケティングの効果を最大限に引き出すことが可能です。
同じ商品を同じ価格で購入するなら、特典が付いている店舗・Webで購入したいと思うのが消費者心理だといえます。
魅力的な特典だと「特典目当て」に同じ商品をいくつも購入してもらえることも少なくありません。
また、メーカーが敢えて小売店ごとに異なる特典を提供することも、購買意欲を刺激するマーケティング手法の1つです。
限定商品を活用したマーケティングの事例
限定商品マーケティングを成功させるには、既に成功を収めている事例を参考にすると良いでしょう。
ここでは、マーケターが知っておきたい、限定商品を活用したマーケティングの事例を紹介します。
事例①スターバックス
全国展開するカフェ「スターバックス」では定期的に季節限定商品を販売しており、多くのスタバファンを獲得しています。
スターバックスの期間限定商品は「美味しい」ことは当然として、インスタ映えする商品であることが特徴です。
季節限定商品が発売されると、スタバファンはInstagramやX(旧Twitter)にハッシュタグを付けて投稿することから瞬く間に拡散されます。
スターバックスの期間限定商品は、ソーシャルメディアのエンゲージメントにつなげることで継続的な顧客獲得に貢献している手法です。
事例②カントリーマアム
不二家の人気お菓子「カントリーマアム」は、期間限定や地域限定商品を数多く販売していることで有名です。
中には東北限定「ずんだ」味など、地域ならではのユニークな味も美味しく仕上げられています。
「カントリーマアム」の場合、既に商品価値は認知されていますが、限定商品を販売することでマンネリ化を防いでいるのが特徴です。
いわゆる定番商品の場合、限定商品を販売することでレギュラー商品の販売拡大につなげることができます。
限定商品には理由づけが大切
限定商品マーケティングを成功させるには、消費者に購入を決断させる「理由づけ」を示すことが大切です。
消費者は購買に関しては非常にシビアであり、単に「限定」というだけではヒット商品につながりません。
消費者に「このチャンスを逃したらもう購入できないかもしれない」と思わせることが大切です。
そのためには「何が限定なのか」「どうして限定とするのか」を明確に消費者に示すことが必要不可欠だといえます。
また、限定商品ならではの「付加価値」を持たせることも理由付けには有効です。
付加価値として代表的なものは以下のとおりとなります。
- 機能を一部アップデートする
- 限定カラーを用いる
- 特典を付ける
- セット商品とする
大切なのは消費者に「買わざるを得なかった」と思わせる理由を販売者から提供することだといえます。
限定商品をマーケティングに活用する際の注意点
限定商品をマーケティングに活用する際には、限定商品だけでなく他の商品の品質が低下しないよう注意しましょう。
限定商品の開発・販売にばかり傾注し、既存商品の開発・品質維持を疎かにしてしまうのは本末転倒です。
限定商品はあくまでもマーケティングに活用するものであることを意識しておくことが不可欠だといえます。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
限定商品を顧客獲得に活用しよう
限定商品マーケティングの目的はあくまでも継続的な顧客獲得です。
消費者心理を理解し、様々な限定要素を組み合わせればヒット商品を生み出す可能性は高まります。
しかし、企業の経営基盤を確固たるものにするには、一過性の顧客ではなく継続的な顧客を獲得することが重要です。
継続的な顧客を獲得するには、以下の手法が有効だといえます。
- 限定商品を販売する際にリスト取りを行う
- プレゼントキャンペーンを合わせて行う
- アンケートを実施する
これらの手法で獲得した顧客リストに対して、新たな限定商品情報などを発信することで継続的な顧客獲得につなげることができます。
期間限定商品マーケティングを成功させたいなら
期間限定商品マーケティングを成功させたいなら、デジマクラスのコンサルティングを活用してみましょう。
期間限定商品をリリースするには市場動向の調査に加え、商品の企画や限定方法など様々な観点で検討する必要があります。
期間限定マーケティングに対するノウハウや経験が不足していると、期待する成果を得るまで多大な時間を擁するのが一般的です。
デジマクラスでは、数多くの期間限定マーケティングに携わってきた実績から、個々の企業にマッチしたコンサルティングを行っています。
まとめ
期間限定商品マーケティングは、敢えて販売期間を限定することで消費者の購買意欲を刺激するマーケティング手法です。
限定商品マーケティングには期間以外に数量・地域・店舗・Web・特典があり、これらを組み合わせることで相乗効果が期待できます。
また、限定商品マーケティングを有効活用するには、ウェブレン効果・スノッブ効果・バンドワゴン効果を理解することが不可欠です。
なお、期間限定マーケティングの目的は継続的な顧客獲得であることを忘れてはなりません。
期間限定商品マーケティングを短期間に成功させるには、しっかりとしたノウハウを習得することが必要となります。
その点、デジマクラスでは数々の期間限定商品マーケティングを成功させてきた実績から、質の高いコンサルティングを行っています。
期間限定商品マーケティングを短期間でマスターしたいなら、デジマクラスのコンサルタントに相談してみましょう。