コンジョイント分析は複数の要素を比較する事で商品やサービスの開発に活用できる手法です。

言葉は聞いた事があるけれど、具体的なやり方はよくわからないという方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、コンジョイント分析の概要と具体的な手順を分かりやすく解説します。

消費者に好まれる商品やサービスの開発に必要な知識として、ぜひ本記事で理解を深めてください。

コンジョイント分析の概要

データ分析とサラリーマン

まず、ここではコンジョイント分析概要について解説していきます。

コンジョイント分析は商品やサービスが持つ複数の要素を回答者が評価し、その結果を分析する方法です。

どの要素がどの程度評価に影響しているかという要素の軽重を把握できる点が特徴といえます。

マーケティングにおいて、この分析手法が多く使われるのは商品やサービス開発のシーンです。

 

データ解析・活用の事例はこちら

 

コンジョイント分析の目的

矢印、シルエット

データ分析を行う場合は、その目的を明確に認識しておく事が重要となります。

目的を事前に認識しておく事が正確な分析にもつながるのです。

ここでは、コンジョイント分析目的を2つのポイントにわけてご紹介します。

商品スペックを明らかにする

コンジョイント分析を通じて商品のスペックをはっきりさせる事が目的のひとつです。

一般的にスペックとは機能やデザイン、価格などの商品を構成する要素をいいます。

コンジョイント分析でまず行うのがそうした様々なスペックを組み合わせた商品例の作成です。

回答者に商品例を評価してもらう事により、市場で求められているスペックが明らかになります。

つまり、コンジョイント分析で消費者目線で適切なスペックや好まれる商品コンセプトの把握が可能です。

マーケットシェアや消費者のマインドシェアの推測

コンジョイント分析は新商品を市場に投入した際のマーケットシェア消費者動向の推測にも役立ちます。

コンジョイント分析により商品やサービスの開発段階で、回答者の実際の評価を把握する事が可能です。

そのため、マーケットで需要の見込める商品やサービスを効率的に考える事ができます。

また消費者の評価基準も明確になり、企業の想定とのズレの修正にも役立てられるではないでしょうか。

 

ワンポイント
コンジョイント分析の目的は商品の適切なスペック把握とマーケット予測です。

コンジョイントカードの作成方法

仕事、メモ

コンジョイントカードとは、商品のそれぞれの要素が記載された表の事です。

分析に欠かせないコンジョイントカードの作り方について解説していきます。

評価を行う商品の仕様と水準を決める

コンジョイントカードの作成にあたって行うのが、評価対象となる商品の仕様水準の決定です。

前述の通り、この分析方法では商品やサービスの複数要素を組み合わせて評価を行っていきます。

評価のために使うのがコンジョイントカードです。

そのため、回答者に評価してほしい仕様と水準を決めて、それぞれのカードを作成していく事になります。

なお、仕様や水準の項目が多すぎると回答者が答えにくいため要素の組み合わせは最小限としてください。

直交表を活用する

コンジョイントカードの作成にあたって仕様と水準を決める事はお伝えしました。

商品やサービスの仕様と水準の適切な設定は難しいため、直交表を活用します。

直交表とは統計学の応用分野でしばしば用いられる配列表の事です。

直交表はある要素について任意の2列を置き、各要素に同数の組み合わせが提示される特徴があります。

効率的に組み合わせを割り付けるために便利な表と認識していただければ良いでしょう。

直交表にはいくつか種類があるのですが、コンジョイント分析では混合系直交表がよく用いられます。

 

ワンポイント
コンジョイントカードの作成は直交表を活用し商品の仕様や水準を決める事で行います。

コンジョイント分析のやり方

ミーティング

ここではコンジョイント分析の具体的な手順について、4つのステップにわけてご紹介します。

分析対象の構成要素を特定

街並みと歯車

1つ目のステップは、コンジョイント分析の対象となる商品やサービスを構成する要素の特定です。

消費者が喜ぶのは「高品質で手頃な価格の商品」というイメージがあるかと思います。

しかし、当然ながら上記の漠然としたイメージだけでは分析を行う事はできません。

まずは商品やサービスの持つ価格やデザインなどの要素を具体的に特定していきます。

要因・水準をもとにプロファイルを作成

プロファイル

2つ目のステップは要因・水準をもとに商品やサービスのプロファイルを作る事です。

要因とは価格やデザインまた機能などの事であり、要因の具体的な内容を水準と呼びます。

プロファイルとは、回答者に評価してもらうための商品やサービスの持つ水準の様々な組み合わせです。

正確な評価のために、このステップで作成する組み合わせに偏りが出ないようにする事も大切になります。

対象者による評価

評価、グッドポーズ

3つ目のステップは、回答者(対象者)にプロファイルを評価してもらう事です。

後述しますが、評価方法についてはよくよく用いられる方法が複数あります。

回答者(対象者)の評価は次のステップで行う分析のベースとなるものです。

適切なプロファイルを作成したうえで、しっかりと結果を集めるように意識してください。

評価結果を分析

パソコンで分析

4つ目の最終ステップでは、回答者(対象者)が評価した結果を分析していきます。

分析したデータはマーケットシェアの予測などに活用する事が可能です。

また商品やサービスをマーケットに投入した際に、受け入れられやすい要素のバランス推測できます。

 

ワンポイント
コンジョイント分析は特定した商品の要素からプロファイルを作り、回答者から得た評価を分析します。

コンジョイント分析の評価方法

ビジネスマン、グラフ

コンジョイント分析でよく使用される評価方法は以下の3つです。

  • 得点評価
  • 順位評価
  • 一対比較評価

ここではそれぞれの評価方法について順にご紹介していきます。

得点評価

得点評価はその名の通り、それぞれのコンジョイントカードに点数をつけて評価する方法です。

回答者はすべてのコンジョイントカードに対して、購入したい度合い点数化していきます。

7段階評価など一定の基準枠にしたがって点数をつけるのが一般的です。

点数が高いものがマーケットで需要の高い商品やサービスであると予測する事ができます。

順位評価

順位評価は回答者がすべてのコンジョイントカードに購入したい順位をつけていく方法です。

順位の結果を見る事で、どのような要素のバランスの商品やサービスに魅力を感じるかを確認できます。

一対比較評価

一対比較評価は、コンジョイントカードを2枚ずつ組み合わせて購入したい方を選ぶ方法です。

回答者はペアとなっているカードを比較し、どちらがより購入したいかを評価していきます。

この評価方法では「AよりBの方が良い」と質問して点数化するのもよく行われる手法です。

上記質問に対し「そう思う」が1点、「同じ」なら0点、「そう思わない」を-1点として評価します。

コンジョイント分析の結果の注目ポイント

 

指さし、男性

コンジョイント分析の結果で特に注目すべきポイントは以下の2つです。

部分効用値

部分効用値」はコンジョイント分析で特に注目すべきものといえます。

この値は分析の対象となる商品やサービスの各要素が評価に与える影響度合いを可視化する値です。

一般的に、分析結果の使いやすさの観点から各要素の部分効用値の平均を0とした値に変換します。

コンジョイント分析の目的でもある商品やサービスのスペックを明らかにするために必ず見る数値です。

重要度

重要度」はそれぞれの要素の部分効用の幅を、全体に占める比率で表したものをいいます。

部分効用の幅に比例して、商品やサービスの購入への影響度合いも大きくなるのです。

そのため、重要度は回答者の意思決定の傾向を予測するために大切なポイントとなります。

 

消費動向・購買モデルの事例はこちら

 

コンジョイント分析の注意点

 

スーツ、パソコン

コンジョイント分析では注意しなければならないポイントもあります。

それは商品やサービスの要素の組み合わせ、つまり水準を慎重に設定しなければならないという点です。

例えば商品の価格要素を安く設定し過ぎてしまうと、多くの回答者が高い点数をつけると予測されます。

その結果、価格要素の部分効用値が高くなり、他の要素の影響度が低く見積もられるでしょう。

上記のように、不適切な水準設定は正確なデータを得る事を妨げるおそれがあります。

また偏りのある水準や要素を設定してしまうと、データ操作と捉えられる可能性も考えられるのです。

コンジョイント分析をスタートした後に要素の組み合わせや水準を変更するのは難しいといえます。

準備段階において商品やサービスの組み合わせを設定する際は、しっかり注意を払ってください。

 

ワンポイント
コンジョイント分析では適切な水準設定に細心の注意を払いましょう。

コンジョイント分析はExcelでできる

パソコンのキーボード

コンジョイント分析の手法は、機能を組み合わせればExcelで行う事もできます。

もちろんExcelには「コンジョイント分析」という直接的な機能はありません。

しかしExcelに元々備わっている機能をうまく活用する事ができます。

コンジョイント分析で効用値を求める際の基礎となっているのは「重回帰分析」という方法です。

たとえば、ある商品においてブランドと価格とデザインの要素で分析を行うケースを見てみます。

この商品でブランドと価格の要素は3つ、デザインの要素は2つの時の組み合わせは全部で18通りです。

回答者にこの18通りの組み合わせを0~10点で評価をしてもらい、得られたデータをコード化します。

このコード化で使われるのは「ダミーコーディング」という方法です。

ブランド・デザイン・価格のそれぞれを「説明変数」とし、回答者の評価点数を「目的変数」とします。

それぞれの説明変数の相関が完全相関となっている状態では回帰分析がうまく行われません。

そのためそれぞれの要素(ブランド、デザイン、価格)で、第一水準を削除し0とする作業が必要です。

ここまでの一連の流れで、Excelの分析機能を使うための下準備が整った状態になります。

続いて回帰分析を行うためのExcelの一般的な操作についての解説です。

Excelの「ツール」メニューから「分析ツール」を選択して「回帰分析」を選択します。

Y範囲の指定は目的変数(評価点数)にX範囲に指定するのは説明変数(ブランド・デザイン・価格)です。

「ラベル」にチェックし見出し行も含めて選択したうえで「定数に0を使用」のチェックは外します。

あとはExcelで表示されるとおりに操作をすれば、コンジョイント分析を行う事が可能です。

なおコンジョイント分析はExcelでもできるるとお伝えしましたが、適していないケースもあります。

Excelによる分析が適しているのは、コンジョイントカードや回答者の人数が少ない場合です。

実務では水準などが多くなるケースが多いため、Excelでも不可能ではないものの専用のソフトを使う方が無難だといえます。

コンジョイント分析で困った時は?

考えるビジネスマン

コンジョイント分析は商品やサービスの要素を明らかにし、各要素が購入判断に与える影響度を可視化できる分析方法です。

この分析を行う事によって回答者が商品やサービスのどの要素に魅力を感じているかを推測できます。

また商品やサービスをマーケットに投入した際の消費者動向やシェア予測にも役立てる事が可能です。

しかしコンジョイント分析は統計学の応用理論を使用しています。

そのため分析を行う手順や仕組み自体が複雑に感じられ、戸惑ってしまう方も少なくありません。

「コンジョイント分析の適切な水準設定方法」等、自社にとってのベストがわからず困っていませんか。

コンジョイント分析でお困りの際は、まずはデジマクラスにご相談ください。

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まとめ

パソコンを見る男性

今回はコンジョイント分析の概要や目的および手順の他、注目すべきポイントをご紹介しました。

この分析方法は商品やサービスの開発段階において使われる事の多い分析方法です。

商品やサービスが持つスペックを明確にし、消費者にどのようなスペックのバランスの商品が需要が高いかを分析できます。

理想論ですと、あらゆる消費者が購入したいと思うような商品やサービスを作る事が望まれるでしょう。

しかしそのような完璧な商品やサービスの開発は現実的なものとはいえません。

商品やサービスの開発にあたっては、トレードオフの関係が存在し妥協点を見つける事がほとんどです。

コンジョイント分析はこのトレードオフに着目した分析方法といえます。

ある商品やサービスにとっての価格やデザインなどの最適なバランスを特定するために役立ちます。

水準設定など準備段階で注意すべき点もありますが、正しく行えば非常に有益な結果を得る事が可能です。

またコンジョイント分析は商品をマーケット投入する前のシェア予測等にも役立つといわれています。

ただしこの分析方法は、統計学の応用理論を使っているため複雑に思えて困る事もあるかもしれません。

第三者であるプロのコンサルティングをうまく活用しながらコンジョイント分析を取り入れてみてください。