SaaSなどのビジネスで重要視されている指標がチャーンレートです。
チャーンレートは企業の利益にも大きく関わってきます。
チャーンレートを把握しておくためも計算方法を正しく理解しておく必要があるでしょう。
ここでは、チャーンレートの計算方法や一般的な計算方法の弱みについて解説していくのでぜひ参考にしてください。
目次
チャーンレートの種類と計算方法
チャーンレートとは解約率のことです。
顧客がサービスを解約した割合のことを指します。
企業がビジネスを続けていくためにも必要な存在が顧客です。
その顧客の解約件数が増えてしまえば、赤字になってしまうかもしれません。
ビジネスの安定を保ち経営戦略を立てていくためにもチャーンレートを把握しておくことは重要です。
そんなチャーンレートには2種類あります。
それぞれのチャーンレートの意味と計算方法について紹介していくので覚えておきましょう。
カスタマーチャーンレート
1つ目がカスタマーチャーンレートです。
顧客の数をベースにした解約率になります。
顧客の数を元に計算していく方法です。
顧客は有料会員と無料会員の2つに分類して考えていきます。
有料会員が減ってしまえば、企業の利益に大きく関わってくるので重要視されているチャーンレートです。
レベニューチャーンレート
2つ目がレベニューチャーンレートです。
収益をベースに考えた解約率になります。
複数のプランがあるビジネス向けのチャーンレートです。
複数のプランがある場合、顧客の中にはサービスの全てを解約するのではなく、プランのランクを落とす顧客もいます。
そのプランを落としている顧客数がどのくらいいるのか把握するための指標です。
カスタマーチャーンレートとレベニューチャーンレートの2つを把握しておくことで売上予測などを細かく立てることができるでしょう。
計算の具体例
カスタマーチャーンレートとレベニューチャーンレートの計算方法は下記です。
カスタマーチャーンレート…(解約した顧客数÷解約前の顧客数)×100
レベニューチャーンレート…プランの単価×解約した顧客数÷総収益×100
カスタマーチャーンレートの例をみていきましょう。
8月1日時点で顧客数が1,000あり、9月1日までに解約した顧客数が50の場合があるとします。
上記の場合は下記の計算方法です。
(50÷1,000)×100=5
カスタマーチャーンレートは5%と求めることができます。
レベニューチャーンレートの例をみていきましょう。
月額1,000円のプランを契約していた顧客が20人解約し、その月の収益が100万だった場合があるとします。
上記の場合の計算方法は下記です。
1,000×20÷1,000,000×100=2
レベニューチャーンレートが2%と求めることができます。
チャーンレートを改善するメリット
チャーンレートは重要視されている指標ですが、改善するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
メリットには下記のようなことが挙げられます。
- 既存顧客の維持の収益を安定化できる
- 新規顧客の獲得
企業が新規顧客を獲得するのは既存顧客の維持より5倍コストや時間がかかるといわれています。
既存顧客の解約が増えてしまうと、企業は新規顧客を獲得しつづけなければいけません。
新規顧客獲得には施策や広告を打ち出したりとすぐに効果が出ない場合もあるでしょう。
そうなると既存顧客の存在は企業にとってとても重要なのです。
企業がチャーンレートを把握し、既存顧客の維持のための施策を図ることで、企業の安定化へと繋がります。
またチャーンレートを把握することで、顧客のニーズを確認することができるのです。
顧客が解約をするのにはなにか理由があるでしょう。
サービスの内容が良くないことや、料金が高いことなど理由はさまざまです。
解約時に顧客から解約理由を聞くことで、顧客のニーズを改めて確認することができます。
そして顧客のニーズを捉え改善していくことで、新規顧客の獲得、企業の利益の増加へと繋がっていくでしょう。
チャーンレートを使って計算できる値
チャーンレートを使って計算できる値について解説していきます。
ネットチャーンレート
ネットチャーンレートは、新規顧客獲得と比べてどのくらい既存顧客が維持できているかということを把握するための指標です。
計算方法は下記になります。
ネットチャーンレート=チャーンレート−新規顧客獲得率
例えば、チャーンレートが8%で新規顧客獲得率が7%としましょう。
その場合ネットチャーンレートは1%となります。
この1%は、新規顧客獲得よりも既存顧客が1%多く解約しているということが分かるのです。
既存顧客の維持を目的としている場合であれば、負の値になることが好ましくなります。
LTV
LTVとは顧客生涯価値のことです。
顧客がサービスの利用を開始してから終えるまでどのくらい企業に利益をもたらすかということを把握するための指標になります。
LTVを把握しておくことで顧客の満足度を知ることができるのです。
サブスクリプションモデルのビジネスは顧客に長期的にサービスを継続してもらうことを目指しています。
もしLTVが低いのであれば改善しなくてはいけません。
LTVはチャーンレートと大きく関係しています。
チャーンレートが上がっているのであれば、LTVが低くなっていることが分かるのです。
解約した顧客は何かしらの不満があり解約していることが考えられます。
不満点を見つけ、サービスの改善に活かしていくことがポイントです。
MRR
MRRとは、Monthly Recurring Revenueの略で毎月得られる売上のことを指します。
よくサブスクリプションのビジネスモデルで活用されている指標です。
MRRは下記の方法で求められます。
MRR=顧客1人の平均収益×顧客数
MRRはチャーンレートと大きく関係してきます。
チャーンレートを下げることで、MRRの数値は改善されていくでしょう。
つまり毎月得られる売上が増えていくということです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
チャーンレートの解釈の仕方
チャーンレートの解釈と仕方について解説していきます。
収益との関係
チャーンレートは収益と関係してきます。
チャーンレートが上がれば、企業の収益が減ってしまうでしょう。
解約している顧客が増えてしまっているからです。
企業にとって収益がなければ、ビジネスを存続させていくことができません。
企業の収益の安定を保つためにもチャーンレートを把握しておくことが重要なのです。
成長性との関係
チャーンレートは企業の成長性とも関係してきます。
チャーンレートが高ければ企業の成長のスピードが落ちているということに繋がってしまうでしょう。
チャーンレートが高くなっているということは顧客が企業に対する不満があるということです。
企業はその顧客の不満を改善していかなければいけません。
顧客の不満をサービスや商品の改善に活かすことで、チャーンレートの改善へと繋がります。
解約数が減れば、顧客が企業に対するサービスや商品に満足しているということです。
既存顧客を維持し新規顧客が増えれば、企業の成長へと繋がっていくのです。
企業の成長性は、企業が存続しビジネスを開拓していくためにも必要なことになります。
その成長を止めないためにもチャーンレートの把握は重要なのです。
KPIの置き方
企業が目的を達成するためにも活用するのがKPIです。
KPIは重要業績評価指標のことであり、目標を達成するまでのプロセスを数値で管理していくものになります。
チャーンレートをKPIに設定している企業は多くあるのです。
SssSの経営方針や収益のシュミレーションを考えるためにチャーンレートをKPIで設定することが多くあります。
またサービスや商品の改善のためのKPIの指標として活用することもあるでしょう。
顧客管理の事例はこちら
チャーンの理由を把握する方法
チャーンレートが増えている場合は、減らすように改善しなければいけません。
改善していくには、顧客が解約に至る要因を見つけることが重要です。
その解約理由を把握する方法について解説していきます。
利用状況を知る
まずは顧客の利用状況を把握しましょう。
例えば下記のような点に注目してみるのです。
- どのくらいの期間サービスを活用しているのか
- サービス利用時間
- ログイン時間
- 利用している機能
企業によって注目するべき内容は変わってきますが、上記のような点に注目してみてください。
利用状況を確認して解約に至るパターンを見つけてみることがポイントです。
例えば、サービスに登録し早い段階で解約に至ったユーザーがいる場合はサービスに魅力がなかったことが考えられます。
長期的に利用しているユーザーが解約に至った場合は、他の企業のサービスが有益だと感じ解約したという可能性が考えられるでしょう。
他の企業のサービス内容と自社の内容を比べてみるなど改善ポイントを見つけていくのです。
顧客へコンタクトする
顧客へコンタクトする方法も1つの手段です。
顧客へコンタクトを取るとなったらハードルが高く感じる人もいるかもしれません。
しかし顧客から直接解約理由を聞くことが一番効率的といえるでしょう。
おすすめのコンタクト方法は解約時に理由を聞くことです。
コンタクト方法は大きく分けて2つあります。
- 解約フォームを活用する
- 電話を活用する
解約する際には、ネット上で解約が完結するものと電話で解約が必要なものの2つに分けることが多いです。
解約フォームを活用する際は、ネット上で解約が完結するものになります。
解約フォームに、アンケート形式でいくつか解約に至る要因を表示し顧客に回答してもらう方法です。
また自由に入力できるフォームを作成し顧客に解約理由を入力してもらうという方法もあります。
次に電話を活用することが1つの方法です。
電話で解約の申し出があった場合に直接顧客に解約理由を聞きます。
また電話を活用する場合は、顧客の解約を阻止することも可能な面もあるのです。
競合が多いサービスを提供している企業は、他企業へ顧客が乗り換えしないように電話解約を活用していく企業が多くあります。
顧客から解約理由を聞くことで、要因を把握しサービスの改善に活かすことができるでしょう。
チャーンレートの一般的な計算方法の弱み
チャーンレートを一般的に計算する際には、月の単位で計算をします。
月単位での計算方法だと改善の要因を見つけにくい部分があるのが弱みといえるでしょう。
例えばキャンペーンなど行っている月がある場合は、チャーンレートが前月と比べて大きく差が出てしまう場合があります。
月単位ではなく細かくセグメントしてチャーンレートを把握しておくことも必要になるのです。
マーケティング戦略の事例はこちら
チャーンレートのより正確な計算方法
チャーンレートのより正確な計算方法についてみていきましょう。
日ごとに足し合わせる
一般的には月ごとに把握しておく方法ですが、日ごとに照らし合わせることでより正確なチャーンレートを把握できるでしょう。
チャーンレートを毎日計算する方法です。
毎日のチャーンレートを把握することでより細かな分析を行うことが出来ます。
少し手間はかかりますが、正確に判断したい場合にはおすすめの方法です。
グラフで積分的に考える
グラフで積分的に考える方法も1つです。
チャーンレートをグラフで表してみましょう。
グラフでデータを可視化し、積分して考えていくことでより期間ごとのチャーンレートを正確に把握することができるでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
目指したい状態「ネガティブチャーン」
SaaSビジネスの中でネガティブチャーンという言葉があります。
ネガティブチャーンとは、キャンセルなどの顧客数減少で下がってしまった収益を既存顧客からの収益でまかなえている状態のことを指します。
ネガティブチャーンになっていれば、解約数が増えてしまったとしても既存顧客からの収益で企業を存続させていくことができるのです。
ネガティブチャーンを目指すには下記のような方法があります。
- 複数のプランがある場合、顧客に上位のプランを選ぶように促す方法
- 既存の顧客に、現在利用しているサービスにプラスして自社の他のサービスの利用を促す方法
- 値上げをする方法
上記のような方法を行うことでネガティブチャーンの実現に近づくことができるでしょう。
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チャーンレートを改善していくためにも、顧客のニーズを捉えマーケティングを行っていくことが重要です。
チャーンの原因を把握し、改善していかなければ経営も危うくなるかもしれません。
チャーンレートを減らし利益の安定に繋げていくには、マーケティングのノウハウが必要な場面もあるでしょう。
マーケティングで悩みがある場合はデジマクラスへご相談ください。
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まとめ
チャーンレートについてご紹介しました。
年々SaaSビジネスを始める企業が増えています。
そしてサブスクリプションのビジネスモデルの企業にとっては、既存顧客の維持はとても重要です。
既存顧客の維持によって収益の安定化へと繋がります。
チャーンレートを定期的に計算し、チャーンの要因を見つけサービスを改善していくことがポイントです。
チャーンレートやマーケティングについての悩みがある場合はデジマクラスへご連絡ください。
安定したビジネスモデルを作るためにもサポートさせていただきます。