近年、スタートアップ企業に注目が集まっています。
特にIT業界では設立間もないスタートアップ企業の革新的な商品やサービスで市場を拡大しています。
実際にこの記事を読まれている方の中にもこうしたスタートアップ企業で働かれている方もいるのではないでしょうか。
今回はスタートアップ企業のマーケティングや取り組むべき課題をフェーズことに解説します。
また、スタートアップ企業に転職するコツも詳しくご紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
目次
スタートアップはフェーズごとに人事・事業の課題がある
企業の成長には大きく5つのフェーズに分けることができます。
- 創業期
- 急成長期
- 安定成長期
- 変革期
- 再急成長期
これらのフェーズごとに企業が取り組むべき課題の内容は異なります。
特に経営に関わる人事や事業展開は企業の成長のカギを握る非常に重要な要素といえるでしょう。
各フェーズに合わせた最適な人事・事業計画について詳しく解説をしていきます。
創業期
創業期には2つの段階があります。
- 企業の準備期間であるシード期
- 商品・サービスの販売が軌道に乗るまでのスタートアップ期
投資ラウンドでいうところのシード期にあたります。
社員数は創業者や外部スタッフなど含めおよそ1~5人程度といったところでしょうか。
事業の段階としては、ビジネスモデルは決まっていても商品やサービスのリリースが安定していない状態を指します。
経営陣のリファラル採用
創業時の採用方法として代表的なのが経営陣のリファラル採用です。
リファラル採用とはいわゆるスカウトのようなものです。
自社に必要な能力を持った人物を採用できるのが大きな特徴といえるでしょう。
また、転職エージェントを通さないため採用のためのコストが掛からないのもメリットです。
事業計画書・市場調査が中心
創業期に行うべきマーケティングは以下の2つです。
- 市場や顧客の絞り込み
- 経営に必要な資金の調達
事業を成功させるためには自社の商品やサービスが受け入れられる市場を見つけることが重要になります。
すでに成功をしている多くのスタートアップ企業はニッチな分野から市場を拡大させています。
自社の商品やサービスがどのような市場なら事業を拡大できるのかを分析をした結果といえるでしょう。
このようにシード期からスタートアップ期にまず行うことは綿密な市場調査です。
すでに大手企業が市場のシェアを独占している市場では生き残ることはできません。
自社が厳しい競争を勝ち抜くためには自社の製品やサービスを必要としている市場を見極める力が必要になります。
同時に長期に亘って安定した経営を続けるためにも潤沢な運転資金を確保することが重要になって来るでしょう。
そのためにはより多くの投資家から資金調達をすることが必要です。
事業計画を立てる主な理由は資金調達先に自社の事業計画を伝え融資を受けるためです。
少しでも多くの資金調達を行うためには投資家に自社の魅力を知ってもらうことが欠かせません。
そのためにも事業に必要な予算はもちろん短期的な目標・計画など詳細で具体的な計画書が必要になります。
また、事業を始める上で参入を計画している市場の状況を把握することも重要です。
競合他社の動向やマーケットの規模を調査することで将来性のある市場なのかを見極めることができるでしょう。
これらは企業の今後の成長に大きく関わる重要な要素といえます。
企業の成長には組織を支える有能な人材や経営に必要な資金が必要です。
また、競合他社との競争が少なく、今後成長が見込める市場を探すことも重要になります。
急成長期
商品やサービスのローンチも成功し市場で認知度が高まり始めた時期のことを指します。
投資ラウンドではアーリー期にあたるでしょう。
社員数はおよそ10~30人くらいといわれています。
社員のリファラル採用
急成長期の主な人材採用方法は社員によるリファラル採用です。
急成長期に入ると企業の認知度も上昇するので一般の求職者も増えて来るでしょう。
そうなった場合に問題になるのが人材のミスマッチです。
こうしたトラブルを未然に防ぐには専任の採用担当者を置くことも効果的です。
また、人材の確保は社内全体で行うとより効率よく進めることができるでしょう。
ビジネスモデルの素早い改善を繰り返す
急成長期に入るころにはある程度のマーケットを確保することが可能になります。
一方で競合対策に力を入れることも重要になってくるでしょう。
そこで重要になるのがビジネスモデルの素早い改善です。
マーケティングフレームワークを活用した事業計画の問題点の洗い出しや市場における自社の立ち位置の確認などが必要になるでしょう。
また綿密な事業計画を行っていても予期せぬトラブルは生じます。
こうしたトラブルの積み重ねはやがて大きなリスクとなり企業の成長を阻む要因にもなりえるでしょう。
日頃からビジネスモデルを見直し、事態が拡大しないうちに素早く修正をすることが重要になります。
安定成長期
社会的な認知が浸透し株式上場を果たした時期を安定成長期といいます。
投資ラウンドではレイターステージ:シリーズCの段階を指します。
この時期に入るころには社員数も30~50人になっているでしょう。
30人を超えると経営陣によるマネジメントが困難になります。
本格的な企業の組織作りが重要になるのがこの時期です。
ユーザーの獲得による成長
市場における社会的認知が浸透しているということは一定数のユーザーを獲得しているともいえます。
しかし、既存の顧客に頼る経営では今後の企業の成長を望むことは難しいでしょう。
長期的に安定した経営を続けるためには新規顧客の開拓やリピーターの確保が重要になります。
こうした課題を解決するために効果的なのがブランディング施策やWebを活用したマーケティングです。
SNSの活用やオウンドメディアを使ったコンテンツマーケティングなどは有効な施策といえるでしょう。
組織的な運営が必要
一般的に社員数が30人を超えるとマネジメントが困難になってきます。
そこで重要になるのが社内の組織の構築です。
部署を統括する管理職や新たに採用をした人材の育成を担当する部署を設けるなど組織的な運営を行う必要があるでしょう。
また、商品やサービスの開発を専門に行う部署や営業部門の強化も行うことで効率の良い経営を行うことが可能になります。
人事制度の確立が必要
人事制度の確立を行う目的は以下の2つです。
- 経営戦略を適切に実行する
- 社員のモチベーションを維持する
人事制度は自社の経営理念や戦略を社内全体で共有し目標を達成するためには欠かせない制度です。
人事制度の代表的な種類は以下の3つです。
- 等級制度
- 評価
- 報酬
等級制度とは自社への貢献度を段階的に定めた制度です。
一般職・管理職など能力や役職ごとに貢献度を定め、基準を満たした社員は昇進という形で次のステージを目指すことになります。
評価制度は社員の能力や具体的な貢献度を評価する制度です。
売上や勤続年数など明確な指標を定めることが重要になってくるでしょう。
報酬は貢献度に応じた給与や賞与の基準を定めた制度です。
報酬制度は社員のモチベーション向上や生産性向上につながる重要な制度といってもよいでしょう。
その他に福利厚生や社員のスキルアップのための教育制度なども含まれます。
企業の規模が大きくなる安定期も取り組むべき課題は多くあります。
特に社内の組織化は今後の成長に大きく関わる要素なのでしっかりと取り組むことが重要になります。
変革期
変革期とは企業の今後の成長の左右する大きなターニングポイントといってもよいでしょう。
既存のビジネスモデルを脱却し次なる事業戦略を模索することでさらなる飛躍を遂げることが可能になります。
しかし、こうした挑戦が失敗に終わると衰退の一途をたどることになる危険性も孕んでいます。
新規事業の検討
新規事業を行う目的は既存事業におけるリスクの分散や新たな市場の拡大です。
将来の市場衰退や強力な競合の登場などのリスクを回避するためには新たな市場の開拓が必要不可欠といえるでしょう。
画期的な新商品の開発や自社の強みを生かした新規市場の開拓は今後の成長に大きく関わってくるはずです。
リファラル採用を再活性による人材確保
新規事業への参入は既存のマーケティングとは全く異なる手法を用いることが必要になります。
こうした事業戦略を成功させるには参入先の市場に詳しい人物を採用することが効果的です。
しかし、通常の採用活動ではこうした人物の採用は難しいといわざるをえません。
そこで参入先の業界に詳しい人物から優秀な人材を紹介してもらうという方法を活用してみてはどうでしょうか。
経営陣や社員のネットワークを生かすリファラㇽ採用を再活性するのが効果的といえるでしょう。
企業が長期的に成長を続けるために重要なことはリスク回避と市場の拡大です。
こうした課題を解決するためにも新規事業への挑戦や有能な人材確保が需要になります。
再急成長期
幾多の壁を越え新規事業でも成功を収めると再び企業は大きく成長します。
大手と呼ばれる企業もこのようなさまざまな障害を乗り越え現在の姿にまで成長をしました。
再急成長期での課題は次世代の経営陣の育成です。
例えば再急成長期を迎えるには長い月日が必要でしょう。
その頃には創業者も高齢になっているはずです。
企業が永続的に存続するためには企業の経営理念や意思を継ぐ次世代の後継者が欠かせません。
事業拡大と同時にそういった後継者の育成にも力を注ぐことが重要になるでしょう。
スタートアップへ転職するコツ
スタートアップへの転職のメリットは自身のキャリアやスキルを大きく伸ばしてくれることです。
また立ち上げ当初から経営に参加できるのも大きなメリットといえるでしょう。
ここからはスタートアップ企業への転職を成功させるコツについてお話をしていきます。
自分に合うフェーズを探す
スタートアップ企業といっても創業間もない企業もあれば、すでに上場目前の企業も存在しています。
こうした企業はフェーズによって求める人物像も大きく変わってきます。
自身のキャリアやスキルは希望する企業の求める人物像に合致しているかどうかで採用の可否は大きく変わってくるでしょう。
スタートアップ企業への転職を考える際にはまず自身の能力やキャリアに合ったフェーズを探すことが重要になります。
スタートアップをひとまとめにしない
先ほどもお話をしたようにスタートアップ企業だからといってどの企業も同じような規模やフェースであることはまずありません。
社員数や所属する業界によってもその特性は大きく異なります。
転職を考える際には事前に業界の特性や企業の規模など綿密な企業研究を行うようにしましょう。
キャリアで解決してきたこと
スタートアップ企業が求める人物像に共通することは経営陣と共に働ける能力を持つ人材であることが特徴です。
そのため、採用に当たって経験やスキルが重要視されるでしょう。
ここで役立つのが以前の仕事での経験です。
実際に様々な課題に直面しどのように解決してきたをアピールすることは転職活動において最も有効な手法といえます。
もし経営陣としてキャリアアップを目指すのであれば、早めに裁量の大きいスタートアップ企業で経験を積むと良いでしょう。
自分の参画できるフェーズはどれか
ここまでスタートアップ企業の特性や求める人物像などについてお話をしてきました。
スタートアップ企業への転職を成功させるには自身が希望するスタートアップ企業の特性や自身の能力を慎重に見極めることが重要です。
フェーズごとに求められる代表的な人物像をご紹介します。
- シード・アーリー期…企業の立ち上げを経験した人物もしくは立ち上げに必要なスキルを持った人物
- ミドル期…組織の上層部でのマネジメント経験を持つ人物
- レイター期…マーケティングの効率化や新たな事業戦略を立案できる人物
こうしたフェーズ毎に求められる人物像を基に自身の参画できるフェーズを把握することで採用を勝ち取ることができるでしょう。
スタートアップ企業といっても企業の規模やフェーズによって求められる人物像や生かせるスキルは異なります。
自身の能力に応じた最適な企業選びやフェーズの見極めが転職を成功させるカギといえるでしょう。
フェーズごとの資金調達
スタートアップ企業が市場で成長するためには設備投資や開発費などに掛かる資金調達が欠かせません。
各フェーズによってかかるコストも大きく異なります。
ここではフェーズごとに必要な資金の調達先について解説をしていきます。
フェーズごとの主な資金調達先は以下の4つです。
- シード期…日本金融公庫・エンジェル投資家
- アーリー期…日本金融公庫・エンジェル投資家・ベンチャーキャピタル
- ミドル期…ベンチャーキャピタル・銀行融資
- レイター期…ベンチャーキャピタル・銀行融資
まず、創業期と呼ばれるシード期に掛かる費用は数百万程度といわれています。
この程度の資金であれば自己資金で賄うことも可能です。
しかし、外部からの資金調達を考えるのであれば融資先を見つける必要があります。
シード期は社会的な信用度も低く銀行などの金融機関からの借入は難しいでしょう。
政府系金融機関である日本政策金融公庫は比較的審査が通りやすい金融機関です。
また、投資家を募る場合はスタートアップ企業に投資をするエンジェル投資家に融資を依頼することも得策といえます。
アーリー期には経営に掛かるコストも大きくなるため外部からの資金調達が必須になります。
経営を維持するための資金は数千万程度になってくるでしょう。
こうした資金の調達先はシード期にあげた公庫やエンジェル投資家に加えてベンチャーキャピタルが最適です。
ベンチャーキャピタルとは将来性のあるベンチャー企業に投資する投資団体のことをいいます。
ベンチャーキャピタルは自身も投資に必要な資金を外部から調達していることが他の2社と大きく異なる点といえるでしょう。
複数の投資家から資金を集めることで高額な投資を行うことができます。
投資先の企業が将来的に上場した場合、大きな利益を手にできるのでベンチャーキャピタル自身がビジネスをして成り立っています。
ミドル期、レイター期に入ると運転資金も数億から数十億になるでしょう。
この段階に入ると企業の信用度も上昇しているので銀行からの融資も可能です。
ただし、ミドル期は銀行の審査が厳しいので信用保証協会の信用融資になる可能性が高くなります。
自分に合ったフェーズのスタートアップへ転職するなら
スタートアップ企業は大手企業では経験できない経営や事業を自身の手で行える魅力的な企業です。
しかし、求められる能力のハードルは高く安定した環境ではないのも特徴といえます。
また、スタートアップ企業の採用はリファラル採用を主に取り入れており公に人材募集を行っていないケースもあります。
こうしたスタートアップ企業への転職にはデジマクラスの転職エージェントの活用がおすすめです。
起業や独立の相談も行っていますので、スタートアップ企業への転職をお考えの際はぜひご相談ください。
まとめ
今回スタートアップのフェーズや転職についてのコツをご紹介しました。
技術の進歩や市場が拡大するごとに多くのスタートアップ企業が生まれています。
デジタル技術が進んだ近年は特に革新的な商品やサービスで急成長を遂げた企業が時代を作っています。
今回ご紹介したフェーズごとの課題やマーケティング方法を参考にぜひご自身の手で新たな時代を切り開いてください。