なかなかアイデアが出てこなかったり、アイデアが広がらず悩んだりしている方は多いのではないでしょうか。
そんなアイデア出しにおすすめなのが「SCAMPER法」というフレームワークです。
名前は聞いたことはあるけれど、内容やポイントまで知らないという方もいるでしょう。
今回は、アイデア出しに有効なSCAMPER法について、具体例を交えて詳しくご紹介します。
目次
SCAMPER法の特徴
SCAMPER(スキャンパー)法とはアイデア出しに用いるフレームワークの1つです。
「オズボーンのチェックリスト」というフレームワークをもとにボブ・エバール氏が提唱しました。
最初にSCAMPER法とはどのようなフレームワークなのかみていきましょう。
アイデアを量産する考え方
SCAMPER法はアイデアを量産するという考え方のもとでアイデア出しをしていくフレームワークです。
そもそもSCAMPER法を生み出す際に、オズボーンのチェックリストをアレンジしています。
そのオズボーンのチェックリストこそが、アイデアを量産するというフレームワークなのです。
新しいアイデアを出すというのではなく、すでにあるアイデアをさまざまな角度から展開していきます。
7つの質問リスト
SCAMPER法では、アイデアを量産するために7つの質問リストを用います。
その7つの質問リストはこちらです。
- Substitute:代用する
- Combine:組み合わせる
- Adapt :適応させる
- Modify :修正する
- Put to other uses:その他の使い道
- Eliminate:削減する
- Rearrange・Reverse:再編成する・逆転させる
上記の7つの頭文字を取ったものが「SCAMPER」です。
すでにあるアイデアについて、上記の質問を投げかけてみましょう。
例えば「何を代用することができるか?」「他の機能と組み合わせることはできるか?」という質問です。
これによって既存のアイデアを展開しながら量産することができるでしょう。
マーケティングフレームワークの事例はこちら
SCAMPER法を活用するメリット
SCAMPER法を活用するメリットは、何といっても短時間でアイデアを量産できることです。
例えば、「1時間後にアイデアを3つ出してください」と言われたらどのように思うでしょうか。
いきなりアイデアを出すように指示されても、何をどのように考えていけばいいか分からないことも少なくありません。
良いアイデアを出そうとすればするほど、すぐには思いつかないものなのです。
しかし、SCAMPER法は既存のアイデアをもとに7つの質問リストにあてはめていきます。
すでにベースとなるアイデアがあり、質問に回答する形でアイデアを展開できるということです。
そのためSCAMPER法を活用することで、短時間でアイデアを量産することが可能になるでしょう。
これまで悩んできたアイデア出しも、SCAMPER法によって展開の可能性が広がるのではないでしょうか。
SCAMPER法を活かしたアイデア検討方法
SCAMPER法の特徴やメリットを知ると、ぜひ使ってみたいという方もいるのではないでしょうか。
ここでは、SCAMPER法を活かしたアイデア検討方法を3つのステップでご紹介します。
チェックリストを事前に用意する
SCAMPER法を活用する際には、まずチェックリストを用意しましょう。
先ほどお伝えしたSCAMPER法の7つの質問リストの中に、それぞれ詳細な項目を用意しておくのがポイントです。
チェックリストの項目については、この後詳しくご紹介します。
リストに基づいて意見を出し合う
チェックリストに基づき、メンバーで意見を出し合います。
意見を出すためには、起点となるアイデア(商品やサービス等)が必要です。
順番に質問をあげていくという方法だけでなく、無作為に質問項目を出すという方法もあります。
いずれにしても、まずは思いつくままに意見を出していきましょう。
後で意見の見直しができるように、分かりやすく書き出してください。
アイデアを整理する
次に、質問に沿って出し合ったアイデアを整理していきます。
整理するといっても複数のアイデアを統合する訳ではありません。
今回の検討の中で注目したいアイデアに焦点を当てていきましょう。
・チェックリストの用意
・意見を出し合う
・アイデアを整理する
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
SCAMPER法のチェックリストの項目例
SCAMPER法は7つの質問から成り立っていますが、それぞれに対して詳細な項目を設定します。
ここでは、SCAMPER法のチェックリストの項目例をみていきましょう。
〈Substitute(代用する)〉
- 置き換えることができる商品はあるか?
- 代用できる材料は何か?
- 他に商品を使える人はいるか?
〈Combine(組み合わせる)〉
- 組み合わせ可能な商品(サービス)はあるか?
- 使用目的を組み合わせることはできるか?
- 組み合わせることができる機能は?
〈Adapt (適応させる)〉
- 似ている商品(サービス)はあるか?
- 過去の事例に当てはめることはできるか?
〈Modify (修正する)〉
- 重さを変えるとどうなるか?
- 大きさを変えるとどうなるか?
- 色を変えるとどうなるか?
- 形を変えるとどうなるか?
〈Put to other uses(その他の使い道)〉
- 他の用途に使えるか?
- 別の市場で活かすことはできるか?
〈Eliminate(削減する)〉
- 取り除くことができる機能は?
- どこまで取り除くことができるか?
- 不要なものはあるか?
〈Rearrange・Reverse(再編成する・逆転させる)〉
- 入れ替えるとどうなるか?
- 手順を入れ替えることはできるか?
これらが7つの質問の例です。
すでにあるアイデア(商品やサービス)に対して上記の質問に答えていくことで、アイデアを広げることができます。
SCAMPER法の具体例
SCAMPER法を活用した検討方法や項目例が分かったところで、どのような活用例があるのかみていきましょう。
ここでは、SCAMPER法の具体例を3つご紹介します。
具体例を知ることで、よりSCAMPER法への理解が深まるはずです。
Adapt(適応させる)
すでにある商品や技術を適応させることで、別の商品やサービスを展開させる可能性があります。
その具体的な例が「ドローン技術」です。
これまで主に空撮に活用してきたドローン技術ですが、配送に適応するようになりました。
「既存の技術を他のことに適応できるか?」という視点が、新たなサービスを生み出すことになったのです。
Put to other uses(その他の使い道)
SCAMPER法の具体例として、「くっつくけれどはがれやすい接着剤」をご紹介します。
はがれやすい接着剤は、本来の接着剤としての機能を果たせないように感じられるのではないでしょうか。
そんな接着剤の機能を本来とは異なる用途に活用したのが、はがせる紙として多くの人が使う「付箋」です。
「他にも使い道があるか?」という視点が、現在は当たり前のように使っている文房具を誕生させてくれました。
Eliminate(削減する)
美容院や理容室の中には、安い料金を売りにしているところもあります。
他のお店よりも格安にできる理由には、何かを削減していることも少なくありません。
その代表的な例が、シャンプーや髭剃りを行わない代わりに安い料金にするというものです。
シャンプーや髭剃りはすべての顧客が望む訳ではないため、それらを削減することで安い料金を可能にします。
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SCAMPER法を活用するためのポイント
SCAMPER法を効果的に活用するために、ぜひ押さえておきたいポイントがあります。
ポイントを知らずに活用すると、SCAMPER法のメリットを活かしきれないことになりかねません。
ここでは、SCAMPER法のポイントを2つみていきましょう。
スピード重視でアイデアを出す
SCAMPER法を活用する際には、スピード重視でアイデアを出すことがポイントです。
時間をかけてじっくり考えれば、アイデアを量産できるという訳ではありません。
スピード重視で思いついたアイデアをどんどん出していきましょう。
まずは時間制限を決めて短時間で取り組んでみてください。
アイデアの良し悪しをその場で判断しない
SCAMPER法を活用する際のポイントとして、アイデアの良し悪しをその場で判断しないということがあげられます。
アイデアを思い付いたときに、「現実的ではないかもしれない」「ニーズに合ってるだろうか?」と思うこともあるでしょう。
また複数人で検討していると、「それは無理でしょう」という意見が出ることがあるかもしれません。
しかし、1つ1つのアイデアについてその場で良し悪しを判断すると、アイデアの量産を阻害することになります。
アイデアの量産のために、まずは「できるかどうか」「ニーズがあるかどうか」という考えは置いておきましょう。
SCAMPER法を活かしたアイデア検討方法でご紹介したように、出したアイデアを検討する時間を用意しておきます。
そのため、アイデア出しの段階で良し悪しを判断しなくても大丈夫なのです。
複数人で行うときは、「その場で良し悪しのコメントをするのは避ける」といったルールを設定しておくといいでしょう。
SCAMPER法で意見を出すコツは?
SCAMPER法で意見を出すときには、コツを押さえておくことでより効果的なアイデア出しができるようになります。
ここでは、SCAMPER法で意見を出すときのコツをみていきましょう。
- どの質問からはじめてもいい
- アイデアの質にこだわる必要はない
- 意見が出てこないときはスキップする
SCAMPER法は短時間で行うことを基本としています。
そのため、すべての質問に対して意見が出るまで時間をかける必要はありません。
つまり、必ずしもリストの上から順に検討したりすべての質問を埋めたりしなくてもいいのです。
意見が出てこないときはスキップして、意見を出しやすい質問でどんどんアイデアを出していきましょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
アイデア出しに活用できるフレームワーク
SCAMPER法はアイデアを量産できるフレームワークです。
しかし、SCAMPER法だけではアイデア出しが上手くいかないことがあるかもしれません。
アイデア出しに活用できるフレームワークを3つご紹介するので、SCAMPER法と併せてチェックしておくことをおすすめします。
ブレインストーミング
ブレインストーミングはアメリカ発祥の、複数人で行う会議手法です。
「解決したことは何か?」「どのような目的なのか?」といったことを決め、制限時間を設けて意見を出し合います。
短時間でアイデアを量産できるだけでなく、お互いに刺激し合えるのが特徴です。
SCAMPER法と同様に質より量を重視し、他の人の意見をその場で批判しないようにします。
オズボーンのチェックリスト
オズボーンのチェックリストは、冒頭でご紹介したようにSCAMPER法の基となったフレームワークです。
ブレインストーミングの考案者でもあるA・F・オズボーン氏が提唱しました。
オズボーンのチェックリストは以下の9つの質問で構成されています。
- Put to other users:他に使い道はあるか?
- Adapt:応用できるか?
- Modify:修正してみるとどうなるか?
- Magnify:拡大するとしたら?
- Minify:縮小してみるとしたら?
- Substitute:代用できるか?
- Rearrange:入れ替えてみたらどうなるか?
- Reverse:逆にするとどうなるか?
- Combine:組み合わせてみるとどうなる?
SCAMPER法よりも質問が多いですが、ベースとなるところはほとんど同じといえます。
Eliminate(削減する)だけは、オズボーンのチェックリストにはなくSCAMPER法にあるのが特徴です。
MECE
MECE(ミーシー)はロジカルシンキング(論理的思考)の基本となるフレームワークです。
「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取ってMECE(ミーシー)と呼ばれています。
これは「お互いに重複せず全体として漏れがない」という意味で、簡単に「漏れなくダブりなく」といわれることが多いです。
MECEを活用することで、全体を網羅しつつ重複しないという論理的なアイデア出しができるでしょう。
SCAMPER法の活用方法に悩んだら?
SCAMPER法を活用すれば、既存のアイデアを広げたり、アイデアを量産できたりするといったメリットがあります。
しかしSCAMPER法の活用とはいっても、実施やアイデアの整理などで困ることもあるでしょう。
そして、量産したアイデアをどのように活かすか悩むことも少なくありません。
いくらSCAMPER法でアイデアを量産しても、そのアイデアを活用できなければ成果を出すことができないからです。
もしSCAMPER法の活用方法でお悩みのことがあれば、デジマクラスにご相談ください。
マーケティングのノウハウを持ったコンサルタントが、SCAMPER法で成果を出すための提案をさせていただきます。
デジマクラスのコンサルタントに相談しながら、効果的なSCAMPER法の活用を実現させましょう。
マーケティングフレームワークの事例はこちら
まとめ
今回はアイデア出しのフレームワークの1つであるSCAMPER法についてご紹介しました。
SCAMPER法は、7つのチェックリストを用いてアイデアを量産することができます。
マーケティングでアイデア出しに行き詰ったときや、もっと展開させたいというときに役に立つでしょう。
SCAMPER法を活用する際には、質より量を重要視してどんどん意見を出していくことが大切です。
そして、量産したアイデアの中から特に注目したいものを見出していきましょう。
もしSCAMPER法の活用でお困りのことがあれば、デジマクラスにご相談ください。
成果を出すことができるSCAMPER法の活用をサポートさせていただきます。