広告は自社の製品やサービスの認知度を向上させ、売り上げアップにつなげるための効果的な手段です。
しかし広告を出稿したからといって必ず成果が出るものではありません。
売り上げ向上などの目的達成につなげるためには、現在の広告施策が妥当であるかを常に確認し、改善を続けていく必要があります。
そのために有益なツールとなるのが、広告の費用対効果を示す指標です。
この指標をもとに現状把握や改善策の検討を進めることで、広告を効果的に運用できるでしょう。
ここでは広告の費用対効果を示す代表的な指標である、CPRについて解説します。
目次
CPRの特徴
CPRは企業が実施する広告キャンペーンの効果を、定量的に測定するために用いられるKPI指標の一つです。
Cost Per Response の頭文字を取ったものであり、一件の反応(レスポンス)を獲得するために費やした広告費用を意味します。
広告の費用対効果を示す指標
CPRは、広告費用と広告によって獲得できたレスポンスの数により算出できます。
レスポンスとは、会員登録や注文などの広告を見た顧客が実施したアクションです。
企業は見込み客を増やすために広告を出稿します。
その広告を見た人に問い合わせやサンプルの申し込みなど、何らかのアクションを取ってもらうことを期待するでしょう。
実際にアクションを取った見込み客の数と、そのために費やした金額のバランスを見ることで広告効果を確認できます。
計算式は以下の通りです。
CPR = (広告総費用) / (レスポンスの総数)
費用に対してレスポンスの数が多いほど効果的とみなせるため、CPRの数値が小さいほど広告の効果は高いと判断されます。
お試し商品へのレスポンス件数
化粧品やヘルスケア食品業界では高額な価格帯の商品が多く、効果を実感できるか不安な人に購入してもらうには高いハードルがあります。
そこで各社は少量で効果を確認できるお試し商品を提供しているケースが多いです。
まずは試してもらうというアクションから長期的な利用につなげるための施策です。
これら企業が提供する本製品とは別に用意された、少量のお試し商品の申し込みというアクションもレスポンス件数に含まれます。
CPO・CPAとの関係性
CPRと似たような指標としてCPOとCPAがあります。
これらは全て広告の費用対効果を見るために利用される指標ですが、3つの指標を事業の状況に応じて使い分けて利用することが一般的です。
それぞれの定義と使い分けについて確認しておきましょう。
CPO・CPAの示すもの
まずCPOはCost per Orderの略称であり、CPRと混同しやすい指標です。
CPRは広告へのレスポンス全般を含めるのに対して、CPOは広告をクリックして実際に商品やサービスを購入してくれた人の数のみ含みます。
例えばECサイトにおいて、広告をクリックしてから購入を完了するまでに複数のステップを踏みます。
例えば広告をクリックし、商品の詳細ページからカートに入れ、決済情報を入力して支払いを完了するまでが一連の購買行動です。
下式のように、商品の購入を完了した数で広告費用を割った数値がCPOです。つまり効果が高いほどCPOの数値も小さくなります。
CPO = (広告総費用)/(商品の購入を完了した数)
次にCPAはCost Per Actionの略称で、広告費用とCV(コンバージョン)に着目した指標です。
CVの定義は企業によって異なることが多いですが、CV1件あたりに費やした費用を意味します。
CPRが広告費と見込みの獲得数をモニターする指標であるのに対して、CPAは広告費と顧客の購買につながるアクション数を確認する指標です。
CPA = (広告総費用)/(CV数)
こちらも広告の効果が高いほどCPAは小さくなります。
使い分ける方法
この3つの指標を使い分けるには、広告の目的や種類、事業の内容やターゲット層などを考慮します。
例えば、ECサイトでは広告を見た顧客が実際に購入に至ることが重要であるため、広告のクリックから注文に至った数を見るCPOが重要です。
一方、単純に認知度を向上させることが目的ならばCPRを見た方が良いでしょう。
リスティング広告ではCPAが重要指標としてよく用いられます。
広告の費用対効果を把握する重要性
企業の収益を向上させるには、常に費用の妥当性を考慮する必要があります。
広告は製品を幅広く認知してもらうために重要な要素です。一方で多額の費用をかければ良い結果につながるものでもありません。
ウェブ広告の場合、広告に費やした費用がどの程度収益アップに貢献しているのかを数値として検証することが重要です。
ここに挙げた広告の費用対効果に関する指標を正しく利用することにより、現状を把握したり、改善に向けた問題点を洗い出したりできます。
つまり費用対効果をモニターしながら最適な広告を最適な媒体に出稿することによって、収益の拡大につなげられるのです。
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CPRの計算方法
ではCPRについてもう少し詳しく内容を見てみましょう。
CPRの計算式は上述しましたが、ここではCPR指標が良くない場合のポイントについて2つ解説します。
キーワードの検索ボリュームが限られる
CPRが良くない場合にまず考えられる要因は、広告キーワードの検索ボリュームが少ないことです。
広告のターゲット層が検索に用いるキーワードを正確に把握し、それに関連するキーワードを広告に含めることが重要です。
それにより製品やサービスへの需要を持つターゲット層にアプローチできます。
設定している広告キーワードの検索ボリュームが少ない状態では、需要を正確に捉えられていない可能性があります。
CVに結びつくキーワードが少ない
2つ目は広告に含まれるキーワードに問題があるケースです。広告内容と関連性の薄いキーワードは不要です。
会員登録などのアクションに直結しないキーワードがあるとCPRは良い数値にはなりません。
引き上げ率の特徴と計算方法
化粧品業界などお試しサンプルを提供するケースでは、CPRと同時に引き上げ率も重要な指標となります。
引き上げ率は、サンプルを申し込んだ顧客のうちどれだけ本サービス・製品の購入や利用につながっているかを示す指標です。
引き上げ率でわかること
引き上げ率を算出すると、サンプルやお試しセットを注文した顧客を、予定通りの割合で本製品の利用へと誘導できているかを確認できます。
高価な価格帯の化粧品や健康食品は、新規顧客を獲得することが容易ではありません。
そこで、価格を下げたお試し品を提供して効果を実感してもらい、本購入へと誘導します。
そのため引き上げ率が良い場合は想定通りに見込み客に商品が評価され、本購入へとつながっているといえるでしょう。
一方で引き上げ率が悪い場合には、サンプルを使ってみた結果、効果が実感できなかったなどにより購入には至らなかったなどが考えられます。
また、サンプルの申し込みを含むCPRが良い数値でも、引き上げ率が低いケースがあります。
その場合、顧客は商品に興味を持っている一方で金額に見合うだけの効果が得られそうにないと判断した可能性が高いです。
常に結果を把握し、その理由の解析と対策を行うことで今後の改善につなげられるでしょう。
引き上げ率の計算方法
その引き上げ率は以下の式で定義されます。
引き上げ率 = (サンプル利用後に本購入に至った数) / (サンプルを利用した数)
例えばある化粧品のサンプルを1,000人が利用し、そのうち300人が本購入に至った場合は、30%の引き上げ率となります。
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CPRを改善する方法
では次にCPRを改善するには何をすべきかを見てみましょう。
CPRは広告をクリックした顧客のうち、会員登録などの企業が期待する特定のレスポンスをした顧客数です。
広告によって誘導した顧客がレスポンスを返しやすくするための重要なポイントについて、2点解説します。
広告の質を高める
CPRを改善するために、まずは広告の内容を再確認しましょう。その際、広告の内容とランディングページの内容に一貫性があることが大切です。
広告に興味を持ち、せっかくサイトに誘導することに成功しても内容に差異や飛躍があるとすぐにユーザーの離脱を招きます。
そのため、広告の内容からサンプル申し込みなどの期待するレスポンスに至るまでの一連のプロセスが、顧客視点でつながっていることを確認しましょう。
また特定のターゲット層に訴求する広告のはずが、実際は異なるターゲット層にアプローチしている可能性もあります。
広告に適切なキーワードを設定し、確実にターゲット層にアプローチできているかも再確認してみましょう。
アフィリエイト広告を出稿する
またCPRを改善するために、アフィリエイトを利用するのも一つの手です。
アフィリエイト広告を利用すればASP経由でアフィリエイターの協力を得ることも可能です。
商品やサービスを顧客目線で第三者に紹介してもらうことにより、製品の特徴やメリットが消費者に伝わりやすくなります。
企業が直接商品をアピールするよりも顧客の製品への興味や信頼性が高まり、会員登録やサービス登録などのレスポンス向上をもたらします。
注意点はアフィリエイター次第で評価を落とす可能性もあることです。
信頼できるASPを用いたり、紹介できるアフィリエイターを限定したりといった対策も検討しましょう。
レスポンスの設定例
CPRを指標とする際、何を期待するレスポンスとして設定するかは目標を達成するためには重要なポイントです。
代表的なレスポンス設定例を3つ紹介します。
無料のお試しセット
顧客からのレスポンスを促すためによく使われるレスポンス例です。
商品の効果や使い勝手を広く実感してもらうために無料のお試しセットを配布します。
これだけでは利益の出ない無料のセットであり、企業は少量のパッケージを幅広く配布して認知度の向上を狙います。
これは、短期間で効果を実感できる製品でよく用いられる方法です。
通常は数日分を一つのパッケージとして用意します。
お試しセットの申し込み数を増やす、お試しセットを利用した顧客の本購買数を増やすことを目的としてCPRをモニターするのが一般的です。
トライアルキット
一般的に高額な化粧品やサプリメントの購入を検討している顧客に利用しやすい値段で提供されるのが、トライアルキットです。
このキットの効果に満足した顧客は、本購入のアクションを起こす可能性が高いでしょう。
無料で提供する場合に比べ、既に製品に強い興味を持っている見込み客をターゲットとするため、より本購入へとつながる確率が高くなります。
無料会員登録
見込み客を本購買へと進めやすくするための手段として、無料の会員登録も頻繁に利用されます。
例えばECサイトにおいてユーザーに会員登録を促すと、興味や関心、過去の購入履歴などの情報を同意の上でマーケティングに利用可能です。
そのため、サイトの会員登録を増やすことや会員登録した顧客の購買率を向上させるなどを目的として、無料会員登録をCPRのレスポンスに設定することがあります。
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CPRをチェックする際の注意点
CPRは様々なタイプの広告で利用される一般的な指標です。しかしCPRという指標をいつでも同じように比較できるわけではありません。
CPRを確認する際に、気をつけるべきことが2点あります。
広告媒体によってCPRは変動する
CPRは出稿する広告の媒体によって大きく変動することがあります。
広告宣伝施策とあわせての比較を行う
また、CPRは広告を見た顧客のうち、本購入の他にサンプル申し込みなどの見込み客も含めた数値です。
企業が広告を出稿する目的は様々ですが、一般的には複数の媒体に戦略的に展開します。
そのため、一つの定点だけをモニターしていても正しい現状把握は難しいでしょう。
総合的に指標を比較して広告の効果や妥当性を判断することが重要です。
CPRの算出にどのようなレスポンスを設定するのか、CPRの他にCPAやCPOをどのように組み合わせて広告の効果を測るのかなどを検討します。
CPRの改善で困った時は
CPRは確認すべきデータが多く、導入の際には悩まされることも多いのではないでしょうか。
どこから着手していいかわからない・データの読み方がわからないなど、行き詰まることも考えられます。
そのような時は、デジタルマーケティングの専門家に相談してみることをおすすめします。
データを参考にした広告の提案や、効果的な広告戦略などについてアドバイスが可能です。
ぜひ、迷ったときには専門家に相談し、効率的に広告戦略を進めていきましょう。
まとめ
ここまで広告の費用対効果を示す重要指標であるCPRについて解説しました。
闇雲に広告を運用しても、期待した効果を得ることは困難です。
紹介した3つの費用対効果の指標をもとに現在の広告施策がうまくいっているのか、または改善が必要なのかを判断することが重要です。
また、各指標は単体で良し悪しを見るものではありません。
上述した注意点を参考に、総合的に広告の妥当性や改善ポイントを検討し、費用対効果を最大化しましょう。
ぜひ今後の広告運用に活用してみてください。