多様化する価値観やライフスタイルではこれまでのマーケティングでは対応できなくなりつつあります。
そこで個人のライフスタイルに応じたセグメンテーションが必要になりました。
ライフスタイルマーケティングは個人のライフスタイル・価値観・人生観を基準にマーケティングをする手法です。
同じようなライフスタイルを持つ人をグルーピングし、マーケティングに活かすことがコンバージョンを向上させるといわれています。
目次
ライフスタイルマーケティングの概要
ライフスタイルは生活のスタイル・価値観・考え方・行動パターンなどに基づく個人の生き方です。
こうしたライフスタイルを人生観や価値観に基づいて分析する手法をライフスタイルマーケティングといいます。
ライフスタイルマーケティングが重要視されるのは個人の価値観の多様化が進みそれに応じた商品開発やサービスが求められるからです。
ライフスタイル調査では同じようなグループにセグメンテーションできるかがカギになります。
ライフスタイルの定義と分析方法
ライフスタイルとは消費者の生活態度や生活様式を指し、その違いで消費者を分類することでターゲティングができます。
それぞれに応じたマーケティングを展開することで無駄のないコンバージョンが完成するのです。
消費者のライフスタイルの定義と分析のカテゴリーは次のようなものです。
- 生活構造
- 生活意識
- 生活行動
生活構造とは、家計費・生活時間・生活習慣であり、生活意識とは、価値観・購買意欲・生活目標などです。
そして、生活行動とは、購買行動・余暇活動・社会活動などを指します。
このように消費者のライフスタイルは社会構造やインターネットの発達など環境変化で多様化しているのです。
以前は人口統計・社会や経済的特性をもとに分類していました。
これは性別・年齢・年収により傾向が把握できたからです。
しかし、現代社会ではこの分類では乖離が大きくなり正しく分析ができません。
そのため新たに消費者の人生観や価値観を反映させたライフスタイルの分析が必要になったのです。
ライフスタイルの定義
ライフスタイルとは人の生き方を表したものです。
そこには生活習慣をはじめ人生観や価値観などの意味が含まれます。
自分の価値観で消費行動をおこすことがライフスタイルといってもいいでしょう。
例えば朝は野菜ジュースを飲むことを習慣にしている、というのもある意味ライフスタイルなのです。
こうした毎日の何気ない行動がライフスタイルに影響するといわれています。
そして消費者はライフスタイルから自分に合った消費行動に及ぶのです。
ライフスタイルの例
消費者にとってライフスタイルは心地よい生活を意味します。
充実感があり、生活空間で目にするもの、手にするものが自分の価値観にふさわしいものになります。
高価な装飾・高価な食事をするというのではなく、家族でゆっくりくつろいで自宅で好きなお酒を飲むなどです。
そこにはストレスフリーで幸せを実感できる理想のライフスタイルがあるのです。
お金をかけることが幸せという構図は今の現代社会には当てはまらなくなっています。
分析方法
市場や消費の変化に伴い意識・価値観・考え方に基づいた個人の生活スタイルが進む中で、ライフスタイル分析が欠かせません。
アンケート調査によって消費者のライフスタイルのデータを収集する企業もあります。
用意する設問は調査目的やテーマによってアレンジをきかせ、より正確な分析ができるようにデータの収集をおこないます。
大切なのは表面に見えているものだけでなく、潜在的な価値観や考え方をどう導き出すかです。
分析によってタイプを分類すればそれぞれに応じたマーケティングが可能になります。
例えば、家族や地域社会、伝統や自然、健康を重視した生活を送りたい人、生活や趣味でハイセンスを重視し理想の生活に消費する人などです。
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ライフスタイルマーケティングの例
企業は自社の商品やサービスを多くの人知ってもらい購入してもらうために、さまざまな観点で消費者を分類します。
そして、彼らのニーズを分析・予測し新たな切り口で商品開発を進めるのです。
ライフスタイルマーケティングを進めると今まで注目してなかった新しい購買層が見つかる可能性があります。
そうした購買層に積極的にアプローチすることでビジネスチャンスが広がるのです。
ライフスタイルを調査
ライフスタイルの調査といっても効果的に質問するなどして情報を収集することが必要です。
参考にするデータとして、これまで蓄積された顧客情報や購買履歴もいいでしょう。
消費者をグループごとにセグメント化し、消費者全体を把握することが調査の目的です。
セグメントすることで、消費者の意識・嗜好・価値観・考え方・行動パターンを探ることが可能になります。
クラスター分析とセグメンテーション
クラスター分析とは異なる趣味・嗜好・価値観がある集団の中から似たものを集めて、調査の対象を分類することです。
クラスター分析をすれば消費者の視点に立ったセグメンテーションが可能になります。
セグメンテーションができればターゲティングやポジショニングもできるのです。
このように、クラスター分析をしてセグメンテーションすることで効率的なマーケティング戦略が立案できます。
トレンド意識の把握
ライフスタイルマーケティングする上で大切なテーマに、トレンドを知るための情報収集があります。
トレンドといっても大きく4つに分類されます。
- 市場トレンド
- 消費者トレンド
- 技術・研究トレンド
- 世の中トレンド
こうしたトレンドを意識してBtoC、BtoCごとにトレンド意識を把握します。
世の中全体の流れ、技術・研究の流れを把握して、市場で何が起こっているか検証することが大切です。
そして、その中で消費者の意識の推移を検証すれば現在から将来にわたる消費者のトレンド意識が見えてきます。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
消費者マインドに応える「5A」
消費者の自己実現欲求のためのマーケティングに「5A」があります。
- 認知
- 訴求
- 調査
- 行動
- 推奨
このフレームワークで消費者の目線で理解・発想ができるようになります。
オンライン・オフラインの定量調査、インタビュー、展示会でのアンケート、商品の満足度調査、カスタマーセンターの問い合わせなどが収集するデータです。
これらを分析することで消費者の行動・考え・感情などが理解できマーケティング活動に役立ちます。
「認知」は、商品やサービスを知っているということです。
「訴求」は、たくさんの情報の中から自分に合った情報を選別することを意味します。
商品にとっていくつかの候補から選ばれることが重要になります。
「調査」は、絞り込んだ商品の情報をさらに深める行為です。
口コミを参考にしたり、友達にアドバイスを求めたりする段階になります。
「行動」は、オンライン・オフラインでの購入です。
特に「推奨」は大きなインパクトがあり、企業としても無視できない存在です。
いわゆるSNSを通じた「口コミ」のことで、消費者同士が実際に使用して感じた感想などがつぶやかれています。
企業からのバイアスがない分、生の声であり今後の消費者行動にも影響するのです。
企業としてはいかにこうした消費者とエンゲージメントを強化するかがポイントになります。
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活用事例
消費者マインドに応える「5A」を使った活用例を見ていきましょう。
企業は自社製品のブランディングを進めることで5Aを実現させてきました。
レッドブル
誰もが知っているエナジードリンク市場の代表格「レッドブル」ですが、自己実現のためさまざまなスポーツのスポンサーになっています。
2016年には50カ国以上から165にも及ぶ学生チームを集めることに成功しました。
参加者と共に世界に大きなインパクトを与えることに成功したのです。
メルセデス・ベンツ
世界的にも知られている高級車「メルセデス・ベンツ」は成功者の証というイメージがあります。
多くの有名人が愛好者になることで認知度もさらに高くなりました。
メルセデス・ベンツは自社のブランディングとして、車を所有することの喜びや自己実現の提供と通じて価値を見出してきました。
その結果、多くの人々がメルセデス・ベンツを所有することで安心感と幸福感を味わえるようになったのです。
顧客理解の重要性を解説
企業にとってマーケティングで成功を収めるためには顧客理解が欠かせません。
顧客理解を進めるためにはフレームワークが必要です。
- どのような意図で商品を購入したか
- 不満や課題はないか
- 自社製品にどのような価値を感じたか
顧客の属性や購買行動からニーズや考え方を見出すことで、顧客理解度が深められます。
自社サービスの改善
顧客満足度や失注になった原因を分析すれば、顧客のニーズが把握でき、自社の製品やサービスの改善に繋がります。
顧客がどこに価値を見出しているか、どのような機能やサポートを求めているかをヒアリングすることです。
そうすれば市場が求めている必要な商品やサービスを提供できるようになります。
自社サービスの改善は営業活動のほか事業戦略全体にも重要なポイントになるでしょう。
営業戦略への活用
顧客理解度が深まればセグメンテーションが効果を出し、順調に利益を上げられる営業が行えます。
営業戦略を立てる際にどこに資金を重点的に投入すべきか、また人材をどれだけ投入すればどれくらい収益が見込めるか予想できるでしょう。
営業成果が出ないで苦悩して企業、新しい事業に挑戦しようと考えている企業は、まず顧客理解に重点を置いてみることをおすすめします。
多様化する消費者マインド
インターネットやSNSの普及で消費者マインドは近年大きく変化しています。
ライフスタイル実現のため消費者はインターネットからさまざまな情報を収集します。
これまでは企業側から提供される情報だけだったものが、消費者同士で情報の拡散が起こると企業と消費者の情報差がなくなるのです。
企業は認知度を上げるためマスマーケティングをする時代ではありません。
消費者マインドを把握するためには、消費者が驚いたり感動したりする情報を発信することです。
ニーズに応じた情報発信がコンバージョン率を上げるためにも重要になります。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
消費者マインドに応える方法
消費者の購買活動に深い理解と消費者マインドの変化を察知するためには、消費者に効果的に訴求することが求められます。
例えばAmazonを例にとりましょう。
あるオンラインショッピング利用者を対象にした調査によると、消費者の約40%は実店舗での買い物を減らしているというデータがあります。
その一方で、Amazonに対する需要が伸びています。
オンラインで購入する最大の理由は、EC利用者の多くは商品が早く届くことを望んでいるからです。
そのためAmazonでは低額購入でも送料を無料にし、当日配送も可能になっています。
他では入手できない商品配送やロイヤリティプログラムの特典もEC利用者には魅力があります。
共感型のビジネスモデルの加速
SNSが発展し、スマホで「いいね」「シェア」することで消費者の共感が目に見えるようになりました。
こうした消費者の共感が商品への価値を高めるようになったのです。
企業の成功率を上げるためには共感型ビジネスモデルを利用することが必要になります。
共感型ビジネスモデルを進める方法は以下の通りです。
- 顧客の悩みに寄り添い理解する
- ポジティブな情報を突き詰める
- ストーリーに共感を得る
- 情報開示を積極的に進める
- コミュニティを作り社会貢献のイベントを行う
消費者の悩みに寄り添うことでニーズを理解でき、アフターケアも行き届くのです。
ストーリーを見せることで共感を抱きやすくなります。
そしてコミュニティを作ることで消費者同士の情報交換ができやすくなり、企業もその情報を参考にすれば商品の改善点が見えてくるでしょう。
また、企業はファンを作るために自己開示を積極的に行うことです。
新たなニーズの発生
既存顧客のニーズを理解することも大事ですが、潜在ニーズを知ることができれば新商品の開発にもヒントになります。
そして、それをきっかけに新規ニーズの掘り起こしもできるようになるのです。
SNSなどソーシャルメディアを利用して消費者の感情や購買行動にスポットを当て分析すれば、消費者と繋がれます。
メリハリ消費へのアプローチ
ライフスタイルマーケティングにはメリハリ消費へのアプローチが大切になります。
メリハリ消費とは、身近な商品を徹底的な価格比較を行い、節約生活をしながら自分にとって価値があるものに支出することです。
バブルの頃と異なり、消費者は本当に必要なものだけにお金を使うようになっているのです。
日頃は質素に生活しながら、イベントの日や週末だけ高品質なものを購入する使い分けをしています。
消費者の心理を反映するメリハリ消費は現在の大きな特徴なのです。
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ライフスタイルマーケティングで悩んだら?
日々多様化する消費者マインドを把握してマーケティング戦略を立案します。
ライフスタイルを基本にアプローチすることは極めて重要な手法です。
消費者のセグメンテーションや商品ターゲットの絞り込みに利用されます。
ライフスタイル分析はクラスターごとに特徴やプロフィールを描くことで、戦略立案ができます。
しかし、さまざまな価値観を持つ消費者心理を分析するのは簡単なことではありません。
ライフスタイルマーケティングのノウハウと豊富な経験があるデジマクラスやコンサルタントに相談してみましょう。
まとめ
消費者の価値観は時代とともに変化します。
消費者の動向を注意しながらライフスタイルマーケティングをする必要があります。
ライフスタイルマーケティングは消費者の人生観や価値観を反映したものです。
デジマクラスやコンサルタントに相談して、多様な嗜好や価値観を持つ消費者を把握してビジネス戦略に活かしましょう。