街頭や店頭・公共機関などで見かける「デジタルサイネージ」は集客に大きなメリットがあるとされています。
しかし、具体的にどういったメリットがあるのか、また費用がどの程度なのかを知っているマーケターは多くありません。
デジタルサイネージは単なる電子掲示板に止まらず、様々な可能性を持ったメディアであり、しっかりと理解しておきたいものです。
この記事では、デジタルサイネージにかかる費用に加え、レンタルや出稿の費用について解説します。
目次
デジタルサイネージの特徴
デジタルサイネージとは最新形の電子掲示板であり、街頭や店頭・公共機関に止まらずホテル・病院など屋内・屋外問わず設置されています。
従前はスタンドアローン型が主流でしたが、インターネット経由でコンテンツを受信・再生するネットワーク型も多くなりました。
ネットワーク型の普及により「伝えたい情報」を「伝えたい時」に発信できるようになり、その可能性は大きく広がったといえるでしょう。
つまり、デジタルサイネージはその場に居る人に「今だけ」「ここだけ」「あなたにだけ」を伝えるメディアであることが特徴だといえます。
マーケティング戦略の事例はこちら
デジタルサイネージを導入するメリット
デジタルサイネージは多くの人々にタイムリーな情報を伝えられるメディアであり、以下のメリットがあります。
- 届けられる情報量が多い
- 人の興味を引きやすい
- 様々なコンテンツを配信できる
- 対象者・時間・場所に合わせた情報を配信できる
- 消費の近い場面で配信できる
デジタルサイネージは技術の進化により文字だけではなく動画なども配信可能となり、多くの企業が注目しているメディアです。
上記のメリットに加え、様々な活用方法・メリットが模索されており、今後さらに活躍の場が広がることが想定されています。
デジタルサイネージ導入でかかる費用
前項で解説したとおり、デジタルサイネージには多くのメリットがあり導入を検討している企業も多くあるでしょう。
その反面、導入費用について「高額になりそう」「よくわからない」といった理由で敬遠している企業も少なくありません。
デジタルサイネージの導入費用については、ディスプレイ費や設置費など多くの項目で構成されるのが特徴です。
ここでは、デジタルサイネージ導入にかかる費用について項目別に紹介します。
ディスプレイ費
デジタルサイネージには欠かせないディスプレイ費については、その大きさとともに屋内・屋外の別で異なります。
屋外に設置する場合だと防水に加え防塵機能、さらに輝度の高さが必要となるため43インチで50~100万円が相場です。
屋内設置する場合だと防水・防塵・輝度について、屋外設置ほどの性能は不必要であり、極論すればPC用のディスプレイでも対応できます。
ただし、使用頻度によっては耐久性に問題があることから、43インチで17~50万円程度の専用ディスプレイが無難だといえるでしょう。
STB・CMS費用
デジタルサイネージにコンテンツを配信するにはSTB(ストンプボックス)、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)が必要です。
STBはインターネットを介して配信される動画データをディスプレイで受信できる信号に変換するシステムとなります。
また、CMSはデジタルサイネージに配信するコンテンツを構成する、画像・テキスト・レイアウト情報を一括管理するシステムです。
STBは機能によって大きく価格差があり3万円~25万円程度、CMSは月額0.1万円から1万円程度となります。
電気代
デジタルサイネージを稼働するには電気代も忘れてはならない費用です。なお、電気代の計算式は以下のとおりとなります。
- 電気代=電気の消費量×電気の単価
電気代に大きく影響するのはディスプレイの消費電力であり、屋内用よりも屋外用の方が大きくなるのが一般的です。
1kWあたりの電気の単価を27円、屋内用ディスプレイの消費電力を120W、屋外用を26Wで試算すると次のとおりとなります。
- 屋内用:120W(=0.12kW)×8時間×30日×27円≒780円
- 屋外用:260W(=0.26kW)×8時間×30日×27円≒1,700円
使用状況によって増減はあるものの、1か月あたり2,000円弱のランニングコストであれば大きな負担とはならないでしょう。
設置費
デジタルサイネージにかかるディスプレイの設置費は、屋内と屋外では大きく差が出ます。
屋内にスタンドを用いて据え置くのであれば10万円以下が相場ですが、壁掛け・天吊りの場合には数十万円は覚悟しなければなりません。
屋外の場合、外壁に取り付けるなど大規模な工事を行う場合には数百万円が必要となる場合もあります。
事前に見積もりを依頼して予算の範囲内に設置費が納まるよう、設置場所は十分に検討しましょう。
動画制作費
かつて、デジタルサイネージに配信するコンテンツは「スライド+静止画」が主流でしたが、最近では動画コンテンツに移り変わっています。
動画制作費については、依頼する制作会社・エンジニアによって大きく費用が異なるので注意が必要です。
一般的な2~3分のCM動画であれば10万円程度が相場ですが、有名な広告制作会社だと数百万円かかることも少なくありません。
設置費と同様に予算の範囲に収まるよう、広告制作会社としっかりと打ち合わせを行うことが重要です。
運用維持費
デジタルサイネージの運用には、電気代のほかにインターネット通信費や保守・サポート費用、サーバの使用料など運用維持費が必要です。
インターネット通信費は光回線を増設することで月額5千円~8千円程度、サーバの使用量が月額5千円程度となります。
さらにデジタルサイネージにかかる保守・サポート費用が1月当たり3千円~2.5万円程度が必要です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ディスプレイ別の費用相場
前項ではデジタルサイネージの導入経費を項目別に解説しましたが、中でもディスプレイはその性能によって大きく費用が異なります。
とりわけディスプレイはデジタルサイネージの運用に大きく影響することから、慎重に検討したい項目です。
ここでは、デジタルサイネージを導入する際に知っておきたい、ディスプレイ別の費用相場について解説します。
スタンドアローン型ディスプレイ
スタンドアローン型ディスプレイは、ネットワークを使用しないデジタルサイネージです。
コンテンツはネットワークを経由せず、USB・メディアプレイヤー・SDカードなどを通じて配信します。
スタンドアローン型ディスプレイの導入経費は、精度やサイズによって異なるもののおおよそ10万円~150万円程度です。
ネットワークを使用しないため、インターネット通信費・サーバ使用料は必要ありません。
コンテンツの即効性はありませんが、ある程度決まった内容のみを配信するのであれば、コストパフォーマンスは良いといえるでしょう。
ネットワーク型デジタルサイネージ
最近注目を集めているのが、インターネットを経由してコンテンツを配信するネットワーク型デジタルサイネージです。
インターネットを経由して自在にコンテンツを配信できることから、タイムリーな情報を配信できるのがメリットだといえます。
ネットワーク型デジタルサイネージの導入経費は、精度やサイズによって異なるもののおおよそ20万円~250万円程度です。
保守費に加えネットワークを使用するため、インターネット通信費・サーバ使用料が必要となります。
導入経費・ランニングコストともに高額にはなりますが、広告効果が非常に高いといえるでしょう。
タッチパネル型ディスプレイ
タッチパネル型ディスプレイは、スマートフォンやタブレット端末のように画面をタッチして情報を取得するタイプです。
ユーザーが欲しい情報が配信されることから、注目を集めやすい点が大きなメリットだといえるでしょう。
タッチパネル型ディスプレイの導入経費は、精度やサイズによって異なるもののおおよそ45万円~150万円程度です。
ネットワークを使用しないため、インターネット通信費・サーバ使用料は必要ありません。
販売促進や大型施設における案内板など、多様な用途に対応できるのがタッチパネル型ディスプレイのメリットだといえるでしょう。
費用を左右する要素
デジタルサイネージの導入費用を大きく左右する要素として挙げられるのが、ディスプレイの設置場所・設置方法です。
状況によっては数百万円の工事費を必要とする場合もあることから、慎重に検討すべき要素だといえます。
ここではデジタルサイネージにおける、ディスプレイの設置場所・設置方法について考えてみましょう。
ディスプレイの設置場所
デジタルサイネージのディスプレイの設置場所は大きく区別すると次のとおりです。
- 建物の入り口・壁面
- レジ・受付前
- エレベーター前
- エスカレーター付近/待合室
デジタルサイネージは多くの人々に見られることが目的ですから、用途によって一番目立つ場所を選ぶことが大切です。
例えば、高層ビルにおいてイベントなどの開催状況を案内する目的であれば、建物の入り口やエレベーター前が適切になります。
また、飲食店などでキャンペーン情報を案内したいならレジ・受付前、病院などで順番待ちの状況を表示するなら待合室がが有効です。
ただし費用の観点からすれば、屋外に設置することでディスプレイの費用が割高になることを理解しておきましょう。
ディスプレイの設置方法
デジタルサイネージのディスプレイの設置方法は、大きく区別すると次のとおりです。
- 自立スタンドに設置する
- 建物の壁面に設置/天井から吊り下げる
ディスプレイの設置方法は建物の構造・デジタルサイネージの利用目的に影響を受けます。
例えば、超大型のディスプレイにおいて様々なコンテンツを配信する場合、ビルの壁面に設置するのが有効です。
病院などの待合質において順番待ちの状況を配信する場合、多くの人々が見やすいよう天井から吊り下げる設置方法が適当だといえます。
ただし費用の観点からすれば、自立スタンドだと10万円以下ですが、建物の壁面に設置する場合だと数百万円も少なくありません。
デジタルサイネージはレンタルでの導入も可能
デジタルサイネージはレンタルで導入することも可能です。レンタルのメリットは以下のとおりになります。
- コストカットが可能である
- 本格導入に向けての試行になる
- 短期イベントに活用できる
レンタル料はディスプレイの大きさやタッチパネルか否かでも異なりますが、概ね月額1万円~5万円程度です。
長期間使用するなら購入が割安ですが、短期間であればレンタルが効率的だといえるでしょう。
また、本格導入前のテストとしてレンタルを利用する企業も少なくありません。
デジタルサイネージ広告を出稿する場合の費用
デジタルサイネージを自社で導入するのではなく、公共施設に設置されているディスプレイに広告を出稿する方法もあります。
特に高層ビルの壁面は大きな広告スペースとなっており、多くの人々に自社商品・サービスの情報などを伝えることが可能です。
デジタルサイネージ広告の出稿費用は設置場所によって異なりますが、15秒程度の動画広告だと1~300円/回程度が相場になります。
コンテンツの作成経費はかかるものの、様々なコンテンツを安価に配信できることから非常に効率的な方法だといえるでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
費用対効果をあげるポイント
デジタルサイネージは不特定多数ユーザーに様々な情報を伝達できることから、多くのマーケターが注目しています。
ただし、設置場所や設置方法によっては数百万円の費用がかかることから、十分な費用対効果が得られるかが重要です。
ここでは、デジタルサイネージを導入するにあたり事前に理解しておきたい、費用対効果をあげるポイントについて解説します。
コンテンツの質を上げる
該当や公共施設など様々なシーンで見かけるデジタルサイネージですが、そのコンテンツの内容は意外と思い出せないものです。
広告活用のデジタルサイネージにおいて費用対効果をあげるには、ユーザーに「見てもらう」ことが大前提となります。
そのためには、いかに印象的なコンテンツとするかが重要であり、視覚的に訴えるのであれば動画広告が良いでしょう。
また、わかりやすくキャッチーなコピーやBGMを流すなどの工夫も広告効果を大きくアップさせる要因となります。
設置場所を意識した動画作り
デジタルサイネージにおいて動画コンテンツは不可欠ですが、動画であれば何でも良いわけではありません。
ユーザーの興味を引くには、設置場所・設置時間を意識した動画作りが大切です。
例えば、飲食店が店頭にデジタルサイネージを設置する場合であれば、時間帯を意識したおすすめメニューを動画コンテンツとします。
大規模な施設のエスカレーター横などにデジタルサイネージを設置するならフロアガイドを動画コンテンツとすると良いでしょう。
大切なのはデジタルサイネージを設置した場所で、ユーザーが知りたい情報を動画コンテンツとしてタイムリーに流すことです。
デジタルサイネージの導入で困った時は?
デジタルサイネージは利用目的に応じて、様々な方法で導入・稼働しており、設置場所によって導入経費は莫大になります。
したがって、デジタルサイネージを導入する際には、費用対効果を検証し最適なコンテンツを提供することが大切です。
しかし、一朝一夕に最適なコンテンツが作れるものではありません。そこで、活用したいのがコンサルだといえるでしょう。
様々な業界・業種でデジタルサイネージを設置してきた経験から、自社の目的に沿ったアドバイスが受けられるでしょう。
マーケティング戦略の事例はこちら
まとめ
デジタルサイネージは「今だけ」「ここだけ」「あなたにだけ」伝えるメディアであり、大きな集客効果が期待できることがメリットです。
ただし、導入に当たってはディスプレイをはじめ、設置費用やインターネット通信費など様々なコストがかかります。
とりわけ設置場所については、数百万円の工事費が必要となることもあり、費用対効果を検証しながら慎重に検討することが大切です。
また、費用対効果を上げるには動画を導入するなど、多くの人々の興味を惹くコンテンツに仕上げることが不可欠になります。
なお、デジタルサイネージの導入に困った際には、迷わずコンサルに相談することが得策です。
現場で養ったスキルや豊富な経験を基にした、即効性のあるノウハウをレクチャーしてくれるでしょう。