女性の消費パワーの増大や社会的な影響力の高まりには近年目覚ましいものがあります。
そうした背景から女性マーケティング導入の動きが活発化していることも周知の通りです。
そこで今回の記事では女性マーケティング導入の手順について解説していきましょう。
女性の消費傾向にはどのような例があるかについてもご紹介します。
その他、女性マーケティング特有の注意点や導入事例についても触れますのでぜひ参考にしてください。
目次
女性マーケティングの考え方
女性マーケティングという響きから想像されがちなのは「女性による女性のためのマーケティング」ではないでしょうか。
多くの企業が抱いているであろうこの認識は、実は誤りです。
女性マーケティングとは「女性に対する学術的な理解を元に女性市場を多角的に分析してマーケティング戦略に活かすこと」です。
たとえば女性の勘や直感の鋭さに根差したマーケティング戦略を立案することなどではないので注意しましょう。
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なぜ女性マーケティングが注目されているのか?
女性マーケティングが注目されていることの背景にあるのは市場における女性消費の割合の高さや女性の社会的な影響力増大です。
女性市場の拡大は今後ますます広がることが予想されており、多くの企業にとって無視するべきでない存在となっています。
この項目では女性マーケティングに注目すべき理由の中でも特に大きな2つをピックアップしてご紹介します。
購買決定の8割に女性が関与
女性マーケティングが注目されている理由、1つ目は購買決定の8割に女性が関与しているという事実があるからです。
商品・サービスを購入するかしないか、最後の判断をするのは多くの場合女性であるということになります。
そうであれば女性について学術的に研究し、その心理や行動を理解して商品・サービスに反映させた方が良いことは自明でしょう。
今や多くの企業にとって女性の存在は決して無視してはならないものなのです。
女性市場のビジネスチャンス
女性マーケティングが注目されている理由、2つ目は女性市場のビジネスチャンスに期待できるからです。
これまで女性にはあまり縁のない分野、おおむね男性向けのジャンルと考えられていたものへの女性の進出が散見されます。
たとえば作業服メーカーの女性向け商品開発やアウトドア用品の女性向け用品の拡充といった例を挙げることができるでしょう。
こうした女性市場にはまだまだ大いに開発の余地があり、大きなビジネスチャンスが眠っていると考えられます。
女性視点の分析はマーケティングの課題発見につながる
女性視点でデータの分析を行うことはマーケティングの問題点を洗い出すきっかけになる可能性があります。
特にマーケティング部門を男性が占めている企業などではそれが顕著だといえるでしょう。
女性と男性には様々な違いがあります。生物学的な性差だけでなく、考え方や物の捉え方にも傾向的な違いがあります。
データを多角的に眺めることが必要なマーケティングの諸問題を女性視点で捉え直せば、新たな問題点の発見が期待できるのです。
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女性マーケティングの導入手順
実際に女性マーケティングを導入するためにはどのような手順を踏めば良いのでしょうか。
ここで単純に女性のマーケターを採用すれば良いと考えるべきではありません。
女性マーケティングに必要なのは女性を学術的に理解して生物学的性差や特有の心理・行動について理解することだからです。
まずはこれらを深く知ることが大前提ということを認識した上で、以下詳しい手順を見ていきましょう。
男女の視点の違いや社会的背景を知る
女性マーケティングの導入手順、1つ目は男女の視点の違いや社会的背景を知ることです。
女性を取り巻く社会的背景や生物学的性差を理解すると、女性特有の消費傾向やトレンドの背景なども分かりやすくなります。
「女性は平等を求めがち」「女性は共感力に優れている」など特有の心理に基づく行動が消費に与える影響は小さくありません。
女性の行動様式の根拠や傾向について深く学び、男性との違いを認識することが最初のステップとなります。
ライフコース・ライフステージごとのニーズを知る
女性マーケティングの導入手順、2つ目はライフコース・ライフステージごとのニーズを知ることです。
男性と女性の生物学的性差として妊娠能力の有無が挙げられます。
妊娠・出産によって女性のライフスコース・ライフステージは大きく変化するということを理解しましょう。
ライフコースにはたとえば以下のようなものがあります。
- ワーキングシングル
- ワーキングマザー(正社員)
- ワーキングマザー(非正規社員)
- DINKs
- 専業主婦(子供あり)
- 専業主婦(子供なし)
たとえば独身の女性と既婚の女性とでは消費の傾向が違います。同じ既婚女性でも子供の有無によってまた差が出ます。
女性の方が男性よりライフコース・ライフステージの変化を被りやすく、都度ニーズも変わることを把握しなければなりません。
女性の声を直接取り入れる
女性マーケティングの導入手順、3つ目は女性の声を直接取り入れることです。
女性を学術的に深く知ることは大事です。ただ、理解の及ばない点や気付かなかった部分が学びの中にないとも限りません。
そんな努力だけではなかなかカバーできない部分を補うために、女性の声をマーケティングに直接取り入れましょう。
女性の立場から施策に対する忌憚のない意見をもらうのです。問題点や新しい課題の発見が期待できるでしょう。
ペルソナを精緻化する
女性マーケティングの導入手順、4つ目はペルソナを精緻化することです。
ペルソナを設定する目的は誰のどんな問題を解決するのかを明確にしてマーケティング施策をより具体的なものにすることです。
ライフステージ・年齢・職業・趣味・性格などの項目を埋めてペルソナを精緻化し、ターゲットをはっきりイメージしましょう。
ターゲットとなる女性のニーズをしっかりと掴んでアピールするのでなければ効果的なマーケティング施策にはなりません。
施策の実行・改善
女性マーケティングの導入手順、5つ目は施策の実行・改善のサイクルを回すことです。
いわゆるPDCAサイクルによるスパイラルアップを目指すことは女性マーケティングにおいても非常に重要です。
実行したマーケティング施策は必ずデータを取って分析・評価し、問題点を洗い出して新たな施策の立案に繋げましょう。
計画・実行・評価・改善のいずれのステージにおいても女性の視点を忘れないことが肝心です。
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女性の消費傾向の例
女性の消費傾向に大きな違いを与えるのはライフコースやライフステージです。
たとえば未婚の女性は主に自分のためにお金を使う傾向があり、学び・旅行・高価なファッションアイテムの消費も多くなります。
一方で既婚女性、特に子供を持った女性の場合は子供中心の消費に変わり、自分のためにはそれほどお金を使いません。
商品やサービスに対する評価の基準や消費行動そのものもライフコースやライフステージによって大きく変わります。
女性マーケティングではこれらの違いによって生じる様々なニーズに柔軟に対応していく姿勢も重要であるといえます。
女性マーケティングのポイント
女性マーケティングの重要性や導入の手順などを見てきました。
この項目では実際に女性マーケティングに取り組む際のポイントを具体的にチェックしてみましょう。
ここでもやはり、女性について深く学び、特有の心理や行動を理解した上で取り組むという姿勢が大切です。
共感性やシェアしたくなる要素を入れる
女性マーケティングのポイント、1つ目は共感性に着目してシェアしたくなる要素を入れることです。
一般的に女性の脳は他者との共感・共有を求める傾向が男性よりも強いとされます。
こうした生物学的な特質に着目して、マーケティング施策の立案にあたっては積極的にシェアしたくなる要素を入れましょう。
フォトジェニックな素材写真やお得なキャンペーン、ユーザーを巻き込んで行う共同企画などが例として挙げられます。
いかに「この喜びや楽しさを誰かと分かち合いたい」と感じてもらえるかが成功の鍵といえるでしょう。
写真や動画を重視しつつ最後は数字で表す
女性マーケティングのポイント、2つ目は写真や動画を重視しつつ最後は数字で表わすことです。
視覚的に訴える手法は大いに有効ですが、それだけに留まるのではなく、最後は具体的な数字を示してアピールしましょう。
女性は男性に比べて現実主義的な傾向が強いといわれます。上辺の主張だけ見ているのではありません。
どんなマーケティング施策を展開する時も、最後には現実的な数字を示すことで好印象を与えることができるでしょう。
女性向け雑誌なども参考にする
女性マーケティングのポイント、3つ目は女性向け雑誌なども参考にすることです。
女性のための雑誌には女性マーケティングのためのヒントが溢れているといえます。ぜひ活用しましょう。
女性に好まれるデザインや構成などを学べる他、重要な要素であるトレンドを理解してマーケティングに活かすことができます。
女性向け雑誌にもターゲット層があるので、自社商品・サービスと同じ層に向けて編集された雑誌を選ぶことが大切です。
女性マーケティングの注意点
この項目では女性マーケティングの注意点について解説します。
女性特有の心理・行動といった本来マーケティングに活かすべきものが、逆に落とし穴として働く場合があります。
ここでもやはり、女性について深く学んで理解しようと努めることが肝心となるでしょう。
女性に対する理解が深まれば、それら女性特有の心理や行動が作り出す落とし穴を回避することも可能となるからです。
ライフコースの多様化と価値観の多様化
女性マーケティングの注意点、1つ目はライフコースの多様化と価値観の多様化です。
ある女性に対してそれまでは通用していたマーケティング施策が、ある時期を境にまったく用をなさなくなる場合があります。
ライフコース・ライフステージの変化が女性の価値観に変化を与え、結果的に消費行動が変容することは避けられません。
継続的な商品の購入やサービスの利用を求めたい時には相手のライフステージ・ライフコースを見極めることが必要です。
場合に応じた対策を講じることができれば関係の修復も望めるでしょう。
トレンドは移り変わっていく
女性マーケティングの注意点、2つ目はトレンドは移り変わっていくということです。
流行に敏感な女性は非常に多いものです。彼女たちはメイクやファッションなど様々なジャンルのトレンドを意識しています。
トレンドは常に流動的に移り変わっていくものであり、一定ではないということに注意しなければなりません。
トレンドの波に上手く乗ることができなければ優れたマーケティング施策も不発かまったくの空振りに終わることになるでしょう。
ステレオタイプの戦略設計は通じない
女性マーケティングの注意点、3つ目はステレオタイプな戦略設計は通じないということです。
女性について深く学び、マーケティング施策にその成果を反映させることはとても重要です。
ただ「女性だからこうだろう」「女性だからこれが好きに違いない」などの決めつけは避けなければなりません。
固定観念や思い込みはマーケティング施策のアイデアの幅や展開の可能性を狭めます。
多様な女性像を意識した柔軟な施策の立案をすることが理想的だといえるでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
女性マーケティングの導入事例
株式会社ワークマンは現場・工場作業向けの衣料や関連用品で知られる企業です。
同社は「#ワークマン女子」という新しい業態店舗を展開し、女性を意識した店作りで成功を収めました。
初めは男性が考えていた店舗の設計に女性社員がNGを連発したといわれます。
女性客・女性社員の声を大いに取り入れて売り場作りや商品開発に活かしたことが成功の鍵だったといえるでしょう。
当初#ワークマン女子では、来店した女性が自分のための商品を買うものと想定していました。
しかし実際には、来店した客は女性の方がずっと多かったにも関わらず、売上げのおよそ6割が男性向け商品だったといいます。
#ワークマン女子は女性マーケティングの好例であると同時に、消費の意思決定に女性の意見が深く関わることの典型例です。
女性向けのマーケティング戦略で成功するなら
ここまで女性マーケティングの重要性や導入の手順について解説してきました。
今後の市場の動向を考えた時、自社でもぜひ女性マーケティングを取り入れたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
女性向けマーケティング戦略で成功を収めたいとお考えなら、ぜひデジマクラスのコンサルタントにご相談ください。
マーケティングのプロフェッショナルが親身になってお話をうかがい、場合に応じた的確なアドバイスをさせていただきます。
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まとめ
いかがだったでしょうか。今回の記事では女性マーケティングの導入手順や女性の消費傾向の例などについて解説しました。
女性の社会的な存在感や影響力の強さはこれからもいっそう高まり続けることが予想されます。
購買決定への関与の割合も6~8割の高い水準をキープし続けるに違いありません。
今のうちから女性マーケティングのトライアンドエラーを繰り返して、自社に適した戦略を確立することが得策でしょう。
本稿がそのための一助となれば幸いです。