起業する際は自社のビジネスモデルを組み立てておく事が重要です。
ビジネスモデルがはっきりしていれば、トラブルの発生を防いだり回避したりする事に役立ちます。
またビジネスを成長させるための戦略を立てる際もビジネスモデルは影響を与える要素です。
この記事では起業する際のビジネスモデルの組み立て方や注意点を解説します。
ビジネスモデルを考えるための便利なフレームワークもご紹介しますのでぜひ参考にしてください!
目次
起業までの基本的な流れ
起業する大まかな流れについてご紹介します。
業界や業種によっても異なりますが、基本的には以下の点を決定していく事になるでしょう。
- 組織の形態(法人か個人事業主か)
- ビジネスモデル
- 事業や資金の計画
- オフィスやホームページの準備 等
個人事業主は手続きや事業運営は簡単ですが、社会的信用度では法人のほうが高く税制面でも有利です。
それぞれの特徴を理解し組織形態を判断しましょう。
ビジネスモデルは組織が収益を得る仕組みをいい、それを客観的な計画にしたものが事業計画です。
また、資金準備と共にオフィスの契約やホームページの開設など、実際に仕事をする環境作りを行います。
まずは起業を計画しているビジネスに必要な準備を整理したうえで、しっかりと準備をすすめましょう。
なお必要に応じて専門家に相談し、今後の組織成長を見据えておく事も重要です。
ビジネスモデルの様々な種類
ビジネスモデルといっても様々な種類が存在します。
起業する前にどのようなビジネスモデルがあるのかについて把握しておく事は大切です。
ここでは、代表的な7種類のビジネスモデルを以下にご紹介します。
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- 物販モデル:商品を自社で作って販売するシンプルなビジネスモデルです。
- 小売りモデル:このビジネスモデルでは商品を他社等から仕入れて販売します。
- マッチングモデル:商品や人材をつなげて手数料をもらうビジネスモデルです。
- 広告モデル:自社媒体に広告を載せて掲載料を受け取る事で収益化します。
- 従量課金モデル:利用分に応じて費用が発生するビジネスモデルです。
- サブスクリプションモデル:サービス提供の対価に定額料金を受け取ります。
- フリーミアムモデル:一部サービスを無料とし希望ユーザーに有料サービスを販売するモデルです。
ビジネスモデル組み立てに便利なフレームワーク
起業する際のビジネスモデルは、可能な限り具体的にしておく事が求められます。
ビジネスモデル組み立てを理論的に行うにはフレームワークを活用すると効果的です。
ここでは代表的な5つのフレームワークについて順に解説します。
ビジネスモデルキャンパスの作成
ビジネスモデルキャンパスは、以下の9つの要素からビジネスモデル全体を分析する方法です。
- 顧客:価値を提供する対象
- 価値提案:顧客の問題解決を図るもの
- チャネル:価値を届ける経路
- 顧客との関係:顧客との関係を構築する取り組み
- 収入:価値を提供して受け取れるもの
- キーリソース:不可欠なリソース
- 主要活動:価値を創出する主要な業務
- キーパートナー:社外の協力者
- コスト:事業運営にかかるコスト
3C分析
3C分析は以下の3つの要素を用いて、市場での自社のポジションを分析します。
3Cとは要素の頭文字をとったものです。
- Customer(顧客):ニーズやトレンド、市場規模、市場全体の将来性等
- Competitor(競合):競合他社の特徴やシェア等
- Company(自社):自社商品の特徴や企業の体力、理念等
SWOT分析
SWOT分析とは以下の4つの要素の頭文字をとった分析方法の名称となります。
簡単にいえば、ビジネスモデルなどについてプラス面・マイナス面双方から分析していく方法です。
- Strength(強み):内部的プラス面
- Weakness(弱み):内部的マイナス面
- Oppotunity(機会):外部(市場等)から受けるプラス
- Threat(脅威):外部(市場等)から受けるマイナス面
STP分析
STP分析はマーケティングでしばしば用いられるフレームワークとなります。
以下の3要素で市場を区分してターゲット層や自社のポジションを分析可能です。
- Segmentation:市場全体をニーズの似た顧客層で区分する
- Targeting:対象となる顧客を決定する
- Positioning:区分した顧客層における自社の立ち位置を決定する
SCAMPER分析
SCAMPER分析はアイデアをとにかくたくさん出す時に有効なフレームワークといわれています。
具体的には、以下の7つの質問に答える形で分析していく方法です。
- Substitute:代わりのものや方法はあるか
- Combine:組み合わせて応用できるか
- Adapt:類似したものはあるか
- Modify:大きさや色など仕様修正はできるか
- Put to other uses:ほかの使い道はあるか
- Eliminate:省略できるものはないか
- Reverse・Rearrange:逆転や入れ替えができるか
ビジネスモデルを組み立てる際のポイント
ここでは、実際にビジネスモデルを組み立てる際のポイントについてご紹介します。
様々な成功・失敗事例を参考にする
ビジネスモデルを組み立てる際は、やはり実例から学ぶ事がおすすめです。
そこで、成功事例と失敗事例の両方を集めて分析してみましょう。
成功事例であれば、どのビジネスモデルの種類に該当するかや成功のポイントを見ます。
失敗事例からは失敗につながってしまった点などをチェックするのです。
成功と失敗の両方の事例がサンプルとして、ビジネスモデルを組み立てるヒントになるでしょう。
業界内のビジネスモデルの特徴を捉える
業界内のビジネスモデルの特徴について調べる事もひとつの方法です。
もし一定の特徴を持っている場合、そこには何らかの理由がある可能性が高くなります。
理由を把握すれば業界内で当然とされている事などもわかり、自身のビジネスモデル組み立てに役立つでしょう。
ビジネスモデルを組み立てるために考えるべき戦略
一般的に、ビジネスにおいて重要な要素は「モノ・カネ・ヒト・情報」の4つです。
モノとは自社の商品やサービスともいいかえる事ができます。
ビジネスモデルを組み立てる際に考えるべき戦略も、モノと合わせ「カネ・ヒト・情報」の観点で捉える事が可能です。
資金戦略
まずビジネスモデルを組み立てる際に考えるべき戦略は資金面となります。
組織の運営・維持・成長していくためには、資金の動きについて具体的な計画が必要です。
例えば、起業の準備資金や資本金としての投入資金、金融機関からの借入金や助成金があります。
組織のカネの動きを明確に考えておかなければ、ビジネスへの注力が困難になってしまうのです。
資金に関する戦略はしっかりと策定しておく事がビジネスモデルの成功のカギとなります。
また単に必要な資金を把握するだけでなく、無駄なコスト等を継続的にチェックできる仕組み作りも戦略に含めておくと良いでしょう。
人事戦略
続いてヒトに関する戦略についてもビジネスモデルの組み立てに不可欠です。
ヒトに関する戦略つまり人事戦略は、あらゆる人的リソースと捉える事もできます。
自社を中心に関係がある人すべてが対象ですので、自社メンバーや取引先および事業協力者等が挙げられるでしょう。
どのような人的リソースを有しているのかをくまなく把握しておく事がビジネスモデル組み立てにも役立ちます。
情報戦略
以前はビジネスにおける重要な要素は「モノ・カネ・ヒト」の3つでした。
技術発展にともない、ビジネスにおける情報の価値は非常に重要になってきています。
情報とは組織が持つ顧客情報やノウハウといった形のない資産です。
ビジネスモデルを組み立てる際もこの情報に関する戦略は無視できるものではありません。
情報に関する戦略は組織の競争力にも寄与するものです。
ビジネスモデルを組み立てる際は、自社のビジネスに関わる情報の把握や管理等を明確にしましょう。
起業アイデアの見つけ方
斬新な起業のアイデアを出す事は簡単なものではなく、どのようなビジネスを起業するか悩む方は少なくありません。
ここでは起業アイデアを見つける方法を3つご紹介します。
自分や他人が不便に感じていることを掘り下げる
起業する目的はひと言でいえば「世間に新たな価値を提供する事」です。
そこで自分や周囲の人の不便さに着目して掘り下げて、起業アイデアを見つけてみましょう。
日常生活で「もっと楽にできればいいのに」と感じたシーンはありませんか。
こうしたちょっと面倒に感じる事を解消する商品やサービスが起業のきっかけになる可能性があります。
普段からアンテナを張って、自分や周囲の人が不便だと感じるポイントを拾い出してみてください。
既存のビジネスに足りない視点を考えてみる
起業は必ずしもゼロからアイデアを出さなければいけないわけではありません。
既にあるビジネスを見つめ直す事が起業のアイデアのヒントにつながるケースもあります。
今使っている商品やサービスに「こういう部分が足りないな」という気持ちになる事はありませんか。
そうした既存のビジネスでカバーできていない点に着目して、起業アイデアを探してみましょう。
新しい技術やトレンドの応用方法を考える
ビジネスにおいてトレンドは変化していきますし、新たな技術も日々生まれています。
新しい技術やトレンド変化によって今までにないサービスを起業する事も可能です。
また、新たな技術を活かして既存ビジネスのサポートツールを提供する事も考えられます。
新たな技術やトレンドをキャッチして起業アイデアのヒントにしてみましょう。
ビジネスモデル組み立ての注意点
ここでは、ビジネスモデル組み立てにおいて注意すべき点をご紹介します。
主な注意点は以下のとおりです。
- 個人の技術等に依存していないか
- 競合他社とビジネスモデルが類似していないか
- 利益構造や業界の状況に問題はないか
- ビジネス成長後の体制は考えられているか
個人や技術者のスキルに依存したビジネスモデルは、ビジネス拡大や新たな挑戦が生まれにくくなります。
そのため個人に依存し過ぎず、市場の変化に合わせていける仕組みを作る視点を大切にしましょう。
また競合他社と類似のビジネスモデルは、商品自体の競争ではなく価格競争になりやすいです。
組織を疲弊させる要因となるため、競合他社にないビジネスモデルを組み立てる事を意識してください。
ビジネスモデルの成功のポイントのひとつとして、いかに利益を安定的に得られるかが挙げられます。
合わせて参入する市場に将来性があるかどうかも分析する事が重要です。
将来性のある市場で安定して利益を生むビジネスモデルとなっているかをチェックしましょう。
さらにビジネスモデルがうまくいき、組織が成長した場合についても考慮しておく事も必要です。
ビジネスが成長した後に対応する体制作りがされていないと、せっかくのチャンスを逃してしまいます。
ビジネスモデルを組み立てる段階でしっかりと組織のビジョンを見据えておきましょう。
成功ビジネスモデルの事例
ここでは実際に成功したビジネスモデルの事例を2つご紹介します。
成功したビジネスモデルは多数ありますが、以下のサービスが代表的といえるのではないでしょうか。
- フリマアプリ
- クラウド型収納サービス
フリマアプリは個人間で不用品の売買をするプラットフォームを提供するサービスです。
ビジネスモデルとしては上記でご紹介したマッチングモデルといえるでしょう。
個人間のやり取りではなくフリマアプリを経由してもらう事で、取引トラブル防止や個人情報保護ができるという価値を提供しています。
さらにスマホ等の普及とあいまって、自宅で手軽に取引が完結できる点も成功を後押ししました。
クラウド型収納サービスとは家にある「季節家電」や「すぐに使わないもの」を倉庫に預けられるサービスです。
ビジネスモデルとしてはサブスクリプションモデルのものが主流となっています。
モノを所有せず必要な時だけ賢く使うというトレンドにうまく対応して例といえるでしょう。
起業で磐石なビジネスモデルを組み立てられるようになるには?
起業により新たな価値が提供される事は、市場にとって大きなメリットがあるといえます。
しかし、いざ起業する際には以下のようなポイントで悩んでしまう方が少なくありません。
- 起業アイデアが浮かばない
- ビジネスモデルの組み立て方がわからない
- 組み立てたビジネスモデルがうまくいかない
デジマクラスではプロのコンサルタントがビジネスモデルの組み立て方をアドバイスさせていだきます。
これから起業する方や起業して間もない方向けに、個別のコンサルティングを承る事が可能です。
徹底的に貴社の状況を分析し、磐石なビジネスモデルを組み立てられるようサポートいたします。
ビジネスモデルの組み立てから組織の成長まで一貫して支援いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
今回はビジネスモデルの組み立て方や役立つフレームワーク、起業アイデアの見つけ方をご紹介しました。
ビジネスモデルとは組織が利益を得るための仕組みであり、消費者に新たな価値提供をする手段です。
ビジネスモデルの代表的なパターンを把握しつつ、フレームワークを活用して独自のビジネスモデルを組み立てていきましょう。
また起業アイデアはささいなきっかけから見つける事ができます。
日常生活や自分自身・周囲の人の「こうなったらいいな」に目を向けてヒントを探してみてください。
本記事が起業検討中の方やビジネスモデルの組み立てにお悩みの方の参考になりましたら幸いです。