プロダクトプレイスメントとは、映画やドラマのコンテンツの中に商品を小道具として登場させる手法です。
消費者の目に留って関心を持たせることを狙ったもので、自然体で受け止められるメリットがあります。
そのため企業はマーケティング戦略で積極的に利用したいと考えているのです。
今回は注目のプロダクトプレイスメントの事例についての解説やメリットなどをご紹介します。
デジタルマーケティングに活用してみてください。
目次
プロダクトプレイスメントの概要
プロダクトプレイスメントは映画やテレビドラマの中で背景や小道具として使用し、その企業名や商品名をアピールする手法です。
実在する商品だけでなく企業の知名度を高める効果が期待できます。
役者が実際に商品を使って見せたりすることで消費者は関心を持ちます。
映画やドラマの中の1コマに登場させることで自然に受け止めることができ、広告というイメージを消費者に持たせません。
プロダクトプレイスメントは昔から取り入れられた手法で,そのルーツはアメリカにあるとされています。
昔と違いコストも抑えられているため採用する企業が増えています。
マーケティング戦略の事例はこちら
注目のきっかけとなった『E. T. 』の例
マーケティングとしてプロダクトプレイスメントが注目されたきっかけはアメリカの映画「E. T. 」(1982)です。
映画の中で少女がE. T. にキャンディをあげるシーンがあります。
作中に登場したことがきっかけで爆発的な売れ行きに結び付きました。
これ以降のアメリカ映画では劇中にさまざまな商品が登場するシーンが増えていきます。
企業は同じ広告料を払い、テレビCMを作成して配信するより効果的だと捉えているのです。
映画やテレビドラマは世界中で見ることができるためその効果は計り知れないものがあります。
このようにコンテンツに溶け込んで違和感を覚えないプロダクトプレイスメントがますます重要になっているのです。
アメリカだけでもプロダクトプレイスメントの市場は2019年で1兆2,500億円を越える勢いです。
プロダクトプレイスメント市場が近年拡大している理由
それではなぜプロダクトプレイスメントがこのように近年注目され、拡大基調が続いているのでしょうか。
その理由を追ってみましょう。
オンラインコンテンツの消費増加
インターネットが普及しマスメディア広告よりもデジタル広告を見る人が増えているのも増加原因の1つです。
テレビ離れが加速しSNSをはじめとするオンラインで情報を収集するユーザーが増えればそれだけ広告を目にする機会も増えます。
従来は映画を見たければ映画館かレンタルビデオしかありませんでした。
テレビドラマは放送が終わりもう一度見たいと思ってもすぐに見ることはほぼ不可能でした。
しかし、動画配信サービスが広がり消費者は映画を自宅に居ながら好きな時に見ることができます。
また、外出先でもネット環境さえあればオンラインコンテンツを楽しめるようになったのです。
こうした時代の変化もオンラインコンテンツの消費が増加した原因と考えられます。
サブスクリプション型動画サービスの利用者増加
サブスクリプション型動画サービスの利用者は年々増加していています。
動画配信には大きく3つの種類があります。
- 広告収入型
- 課金型
- サブスクリプション型
その中でも特にサブスクリプション型が大きく利用者数を伸ばしているのです。
定額制で気に入った動画を楽しめることから時代の移り変わりに非常にマッチしたサービスになっています。
サブスクリプション型なら1ヶ月お気に入りの動画を見放題で費用も一定なため安心して見られるのです。
そして映画やドラマの冒頭や間に広告が挟まれることもありません。
ここにプロダクトプレイスメント市場が急拡大できた理由があるといえるでしょう。
広告へのイメージ低下
インターネット広告にはステマやバナー広告などサイトを閲覧中に動画広告が再生されることがあります。
こうした広告へのユーザーの拒否反応は強いものがあります。
また、投稿された動画が不適切なサイトに配信され企業イメージが損なわれた事例もあるのです。
こうした場合、商品だけでなく企業そのものがイメージダウンになる可能性も出てきます。
プロダクトプレイスメントは動画作品の中に商品を溶け込ませることでさりげなくPR効果があるため消費者にも受け入れやすいのです。
企業のブランドイメージを損ねることなく効果的に認知してもらえるといえます。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
プロダクトプレイスメントのメリット
プロダクトプレイスメントのメリットについて解説します。
広告の抵抗感が少ない
プロダクトプレイスメント最大のメリットは、受け取り手が無理やり広告を見せられるイメージがないことです。
良質なコンテンツの中に広告があるためストレスなく視聴できます。
一般の広告にありがちな露骨ともいえる宣伝もなく、ストーリーに自然に溶け込ませる手法が好まれています。
消費者にとって映画やドラマのストーリーを中断することなく最後まで楽しめることは大変重要なポイントといえるでしょう。
この点を企業はデジタルマーケティングに応用できないかと考えているのです。
スキップされない
さまざまな情報が飛び交うデジタル広告の世界ではユーザーもストレスを感じています。
多くの場合、スキップやアドブロックをして広告を見ないようにします。
しかし、これでは企業が広告を制作しても消費者には届かない事態になるのです。
プロダクトプレイスメントであればストーリーに溶け込んでいるためスキップされる心配はありません。
嫌悪感を抱かれずに映画やドラマを楽しめるので企業にとってはブランド認知度を高めることが可能になります。
リッチなコンテクストと関連づけられる
プロダクトプレイスメントは広告主とコンテンツ製作者、双方にメリットがあります。
映画やドラマのようなリッチなコンテクストの中で出演者やストーリーと関連付けて商品を紹介できるのです。
演出の仕方で主役の俳優が手にしている商品や背景にある商品に関心を集めることができるのです。
一方でコンテンツ製作者は企業がスポンサーとなってくれるため製作費を下げられるだけでなく、商品や技術サポートもしてもらえます。
また、出来上がった作品のプロモーションなどあらゆるシーンにおける広告主のサポートも作品を認知させることに繋がります。
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プロダクトプレイスメントの事例①:映画
商品やブランドを映画やドラマに溶け込ませ、自然にアピールできるプロダクトプレイスメントの事例を映画からいくつか解説します。
映画『魔女の宅急便』
スタジオジブリ映画の代表作「魔女の宅急便」もプロダクトプレイスメントの1例です。
キーワードは「宅急便」で、ヤマト運輸が登録商標として使っています。
作品にも登場する黒猫のジジもどことなくヤマト運輸のトレードマークを想像させませんか。
商品そのものでなくても劇中に登場するキャラクターを使い企業ブランドをイメージさせる発想がおもしろいといえるでしょう。
ヤマト運輸のPRにも効果抜群です。
映画『君の名は。』
2016年に大ヒットした映画「君の名は。」もプロダクトプレイスメントを上手く使っている事例です。
主人公に注目していると南アルプスの天然水をペットボトルで飲んでいるシーンに気付くでしょう。
すごく斬新なシーンでそれでいて違和感を覚えないのが不思議です。
それは日常のごくたわいもない光景だからでしょう。
また、劇中のワンシーンに自動販売機が登場しますがBOSSの缶コーヒーがリアルに描かれています。
こうして大ヒットした映画のファンは、刺激を受けて主人公が飲んでいた南アルプスの天然水を飲むようになった人もいるくらいです。
リッチなコンテクストと関連付けた、まさに企業のプロモーションの成功例といえるでしょう。
映画 『007』シリーズ
映画「007」といえば高級ブランドの腕時計や車などが劇中に数多く登場することで知られています。
国際的に活躍するスパイのタフな生き方やアクションが、多くのブランドイメージに結び付きPRに大きく貢献しています。
主人公ジェームズ・ボンドといえば高級腕時計オメガを想起させませんか。
高級外車BMWもジェームズ・ボンドのイメージには欠かせないアイテムといえます。
世界的に大ヒットした映画「007」で登場したアイテムの多くがプロダクトプレイスメントの成功例といえるのです。
プロダクトプレイスメントの事例②:テレビ
次はテレビ番組に目を向けてみましょう。
ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』
TBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」を取り上げてみましょう。
ドラマの中で実際に販売されている商品を使うことで消費者にはより身近に感じられます。
特に目立ったものとして、日産自動車株式会社が提供した黄色の「日産ジューク」や「日産リーフ」でしょう。
キッチンで料理をするシーンには株式会社Mizkanが提供する「白だし」、その他にはアート引越センターなどがありました。
日常生活のある光景に企業ブランドが露出してもネガティブには受け止められない格好の事例といえるでしょう。
韓国ドラマ『愛の不時着』
韓流ドラマファンならご存知の「愛の不時着」にもプロダクトプレイスメントは出てきます。
韓国国内では大手のフライドチキンチェーン店や装飾品メーカーのスワロフスキーなどです。
他には自動車などもあります。
視聴率が狙えるドラマに商品をさりげなく露出させることで、その存在感を強烈に視聴者に認識させた事例です。
プロダクトプレイスメントの事例③:Web
今度はWebでのプロダクトプレイスメントの事例を見ていきましょう。
Netflix オリジナル『ストレンジャー・シングス』
アメリカのNetflixは番組中に商品を写り込ませるプロダクトプレイスメントを得意としています。
「ストレンジャー・シングス」はその代表作の1つです。
劇中ではコカ・コーラやバーガーキングが多く使われています。
特にシーズン3では「ニュー・コーク」が度々出てきます。
当時ペプシの追い上げを受けていたコカ・コーラが1985年に発売した商品です。
一時コカ・コーラの販売を中止して物議をかもしたものでした。
消費者やライバルであるペプシからの抗議でコカ・コーラの製造を再開したのです。
番組の中に「ニュー・コーク」を登場させて期間限定で発売されました。
コカ・コーラは大胆な戦略に出たのですが消費者からの抗議にあえなく方向転換をしたのです。
このことが逆に消費者と企業の接点となり企業ブランドを高めるきっかけになりました。
ゲーム『Final Fantasy XV』
ゲーム「Final Fantasy XV」では主人公たちがキャンプをします。
そこで使われるキャンプ用品全てが「コールマン」のブランドでした。
作品全体がリアルに描かれていることもユーザーには好まれ、独自の世界観を醸し出しています。
また、日清食品株式会社が提供するブランド「カップヌードル」がキャンプでの食材として登場します。
ゲームではカップヌードルの具材をカスタマイズできるのも評判になりました。
このようにゲームを単に楽しみながら、作品の中で登場する人気アイテムを見て関心を持ってもらうことが企業戦略なのです。
広告主とゲーム製作者が意図した目的になります。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
プロダクトプレイスメントの今後
今後ますますテレビ離れが広がり、マスメディアからデジタルへと多く変貌して行くでしょう。
動画広告といえば視聴している動画を邪魔するものというイメージがあります。
しかし、プロダクトプレイスメントを活用すれば作品の魅力を余すところなく出しつつ商品の訴求効果も期待できます。
過剰な広告は映画やドラマでの作品そのものをだめにしますが、出演者を引き立たせされれば認知度を上げることも可能です。
これから求められる広告はユーザーにとって親和性があり、押し付けるような広告ではなく自然体で視聴できることです。
映画やドラマでのプロダクトプレイスメントをさらに発展させ、ターゲティングを図りユーザーの好みに合った配信ができるでしょう。
マーケティング戦略の事例はこちら
プロダクトプレイスメントでマーケティング成果を出すなら
テクノロジーの進歩で、自動でコンテンツ内に広告を作り出す技術を開発する企業もあります。
プロダクトプレイスメントは昔から使われていた手法ですが、当時はコストも高くつきました。
しかし、テクノロジーの進歩でコストも低くなり利用する企業も増えてきました。
これからプロダクトプレイスメントを始める方はその特徴を理解し、マーケティング成果を出していかなければなりません。
プロダクトプレイスメントの草案作り・進め方・成果検証などあらゆる角度からアプローチしていく必要があります。
デジマクラスは広告予算に応じて最適なデジタルマーケティング戦略を提案できます。
プロダクトプレイスメントで成果を出すならデジマクラスにご相談ください。
まとめ
プロダクトプレイスメントの事例についての解説やメリットなどをご紹介してきました。
インターネットの進歩でデジタル広告の種類は大幅に増え、ユーザーの心に響く訴求効果が高い広告が求められています。
プロダクトプレイスメントは映画やドラマのストーリーを中断させることなく作品の中で商品やブランドに触れられるのです。
セットで登場する商品をさりげなく手にする主人公に違和感はなく、シームレスであるからこそ商品の認知度が高められます。
まさに「見えない広告」であるプロダクトプレイスメントを活用して効果的な宣伝広告を行いましょう。