EC市場が拡大を続けており、実店舗でのマーケティングを中心に行っていた企業も参入するようになっています。

また、大手ECサイトへ出品していた企業が自社サイトを立ち上げ顧客の囲い込みを積極的に行う傾向も見られるようになりました。

今回は自社ECサイト開設をサポートする「Shopify」のサービスについて解説していきます。

Shopifyの特徴や運用のメリットなどについて詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

Shopifyの特徴

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ShopifyはECサイト開発や運営をサポートする、カナダの企業が運営するEC事業者向けのプラットフォームサービスです。

通常ECサイトを運営するためには自社サーバーを準備するなどWebの知識に詳しくなければ開設できませんでした。

Shopifyではサブスクリプション形式で誰でも手軽にECサイトを開設できるのが最大の魅力です。

そのサービスの領域は世界中に広がっており、175ヶ国以上もの国と地域で利用されています。

サブスクリプションの月額料金も月額29ドルからの手ごろな価格設定で初期費用も掛からないことも人気の要因の1つでしょう。

また、サイトのデザインも100種類前後もの公式テーマが用意されておりプログラミングの知識を使うことなくサイト設計が行えます。

 

ワンポイント
Shopifyは自社サーバーやプログラミングの知識などを使わずに手軽に自社サイトを構築できるプラットフォームサービス。

Shopifyが注目されている理由

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Shopifyが注目されている理由について3つご紹介します。

D2Cブランドの存在感

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D2Cとは「Direct to Consumer」の略称で、商品を生産する企業が間に小売店などを挟まずに消費者と直接取引する手法です。

最近では有名企業が大手ECサイトへの出品を取りやめ、自社ECサイトを開設するケースが増えています。

背景にはWebメディアの急速な発達により、SNS等を使って企業が情報を発信する方法が充実したことが挙げられるでしょう。

消費者と直接やり取りすることで、大手ECサイトの知名度を活用せずとも自社サイトを開設し多くの集客を成功させています。

商品を購入する消費者としても、自身の関心の強いブランドで統一されたECサイトのほうが購入しやすいというメリットもあるのです。

OMOの導入

OMOは「Online Merges with Offline」の略称であり、オンラインオフラインが融合した世界を意味します。

これはオンラインと実店舗のオフラインの境界線をなくして、幅広い顧客のニーズに応え最適なサービスの提供を目指すものです。

OMOが積極的に導入されるようになったのは、スマートフォンなどで外出先でも常にオンラインにつながっている状況が影響しています。

オンラインとオフラインの境目が実質無くなってきているため、切り離して考えず融合させた状態で行うビジネスが増えているのです。

OMOの例としては、実店舗のスーパーで店員を配置せずすべてオンラインで決済などを行う無人スーパーなどが挙げられるでしょう。

ECサイトでOMOを活用する手法としては、実店舗とECサイトの顧客データを統合し顧客に合わせた最適なサービスを提供しています。

実店舗の接客を行う際に、その店舗への来店が初めてでもECサイトの利用履歴があれば関連した商品を的確に勧められるのです。

また、ECサイトで気になった商品を近隣の実店舗に取り寄せ実物を見てから購入を決められるという使い方もあります。

オンラインとオフラインのそれぞれのメリットを活用し、顧客満足度を向上させることにOMOが役立っているのです。

マルチチャネル化の必要性

マルチチャネルとはチャネルと呼ばれる集客媒体を複数持つことであり、このマルチチャネル化の必要性が注目されてきています。

消費者の購買行動は多様化しており、実店舗以外にも遠方の顧客でも購入できるようECサイトを持つことが必須になりつつあるのです。

オンラインの活用では通常のECサイトだけでなくSNSも販売ツールとして活用されるようになっています。

従来SNSは情報の発信のみで使われていましたが、EC機能が追加され商品の紹介から購入までがスムーズに行えるようになったのです。

チャネルの数を増やすことで幅広い集客が可能となるので、オンラインの中でもさまざまなプラットフォームが活用されています。

 

ECサイト制作の事例はこちら

 

ShopifyのEC事例

ショッピングカート アイコン

Shopifyを使ったECサイトの実際の事例をご紹介します。

TOGA

アクセサリー

TOGA(トーガ)は日本のファッションブランドであり、シューズやバッグなどのアクセサリーも含めトータルで展開する企業です。

Shopifyを使った同ブランドのサイトでは、特徴的なデザインの洋服に合わせインパクトのある動きをつけたサイト設計となっています。

ただ商品を並べるだけでなく、サイトのコンセプトに合わせてテーマを選択できるのもShopifyの特徴です。

Shopifyのサイトから公式SNSのリンクが貼られており、商品紹介ページ以外の実際に着用している様子もSNSのサイトで確認できます。

RiLi

RiLi(リリ)は10代~20代の女性向けのファッションメディアです。

RiLiが運営するShopifyのオンラインストアでは、韓国に直接買い付けを行い現地でしか手に入らない商品が並んでいます。

サイトの作りはシンプルで見やすく、若年層で初めてオンラインショップを使うユーザー向けにも使いやすいよう工夫されているのです。

コーディネート写真もサイト内で紹介されており、組み合わせのイメージがつきやすく複数商品の購入を促しています。

COHINA

COHINA(コヒナ)は2018年に設立された、身長155cm以下の小柄な女性に特化したアパレルブランドです。

ニッチな層をターゲットにしているにも関わらず、約3年あまりで大きく躍進し月商1億円を超える規模まで成長しています。

COHINAのShopifyのサイトでは同社の強みである「身長」に特化させ2cm刻みの細かい設定で検索できる機能が搭載されているのです。

また、商品選択画面から購入を迷っている場合に記録しておくwishリストが簡単に作れるようになっています。

作成したwishリストをもとにリマインダーメールを送り、ユーザーの再訪のきっかけを作るマーケティング施策も活用されているのです。

ShopifyでEC構築するメリット

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ShopifyでECサイトを構築するメリットについてご紹介します。

デザインテンプレートが豊富

Shopifyは公式のテーマストアに無料のものから有料のものまで100種類以上ものテーマが用意されています。

自社のコンセプトに合った雰囲気のテーマを選択し、サイトの背景色やフォントスタイルなども設定可能です。

テーマの選択などの操作も管理画面上で直感的に行うことができるので、特に専門知識などを使わずに扱うことができます。

おしゃれなテンプレートが数多く用意されており、効果的に組み合わせることでサイトの独自性をアピールできるのです。

セキュリティやシステムの自動アップデート

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Shopifyはクラウド上で提供されるサービスであるSaaSの一種です。

そのため基本的にはセキュリティやシステムは自動でアップロードされるので使用者側での準備が必要ありません。

また、アカウントにスタッフがログインする際にも2段階認証が必須となっており、スタッフ間でのアクセス制限も可能です。

ストアへログインできない・管理画面が読み込まれないなどの不具合も、Shopify側で24時間体制で監視し対応が行われています。

拡張機能の多さ

Shopifyには拡張機能を搭載したさまざまなアプリが無料・有料を合わせて6,000個以上も用意されています。

このShopifyアプリを使うことで、自社が求める機能をさらに強化することが可能です。

例えば、定期購入設定のためにサブスクリプション管理の機能やメールマーケティングのためのメルマガ配信機能などが追加できます。

また、直接的なマーケティング施策以外にもECサイト自体の検索順位を上げるためのSEO対策や不正注文の分析を行う機能もあるのです。

マルチチャネル販売機能が活用できる

Shopifyでは管理画面で作成したECサイト以外にも、マルチチャネルでの販売をサポートする機能が搭載されているのです。

自社のオウンドメディアサイトにEC機能を持たせて直接購入できるようにしたり、SNSサイトにもEC機能を追加できたりします。

そうすることで、すでに一定の利用ユーザーがいるチャネルでEC販売が行えるため開設直後での集客不安も解消できるのです。

また、オンラインストア上で注文した商品を実物を見て実店舗で受け取れるOMOも実現することができます。

越境ECに挑戦しやすい

Shopifyはカナダの企業が作ったプラットフォームですが、現在は日本も含め20ヶ国語に対応しています。

そのため、国内だけでなく海外へも発信する越境ECサイトを構築するのにも向いているサイトです。

越境ECサイトを作る際の課題は、言葉の違いだけでなく通貨の違いや税率、配送手段などさまざまな要素に配慮しなければなりません。

Shopifyではアプリを使い多言語翻訳が可能であり、通貨も自動でその国のレートに変換する機能が搭載されています。

複雑な関税や税金の計算が必要となる海外配送についても、顧客に分かりやすく購入時に表示されるようになっているのです。

越境ECサイトの難点となるポイントが解消されており、各国の顧客にも使いやすいサイト設計になっている点が大きなメリットでしょう。

 

ECサイト制作の事例はこちら

 

Shopify利用の注意点

悩む男性

Shopifyの注意点についてもご紹介します。

ランニングコストがかさむ

Shopifyの料金プランは3つありますが、いずれも初期費用はかからず月額費用も最安プランは29ドルであり比較的手ごろな価格です。

自社サイトに合わせてカスタマイズを行うため機能を追加するアプリには有料のものもあります。

このアプリを追加しすぎてしまうと、ランニングコストが大きくなってしまうこともあるのです。

サイトの使われ方が把握できない最初の内は機能を最低限に抑えておき、必要に応じて追加していくほうが良いでしょう。

日本語に対応していない追加機能がある

Shopifyの管理画面や基本的な機能の部分はすべて日本語に対応しており問題なく操作することができます。

ただし、拡張機能でアプリの中には日本語対応していないものも多く存在するのです。

カナダ発のプラットフォームサービスであるため、多くのアプリは英語表記で作られています。

人気のアプリは多言語対応しているものもありますが、日本語対応のないものはトラブル面も考慮し慎重に選ぶ必要があるでしょう。

Web制作の専門知識が必要

Shopifyの管理画面は基本的には専門知識不要で直感的な操作が可能です。

しかし、サイトの独自性を出すために凝ったデザインにカスタマイズするためにはプログラミングの知識が必要になります。

基本的な大枠は作られており、1からコードを書く必要はありませんが簡単な修飾を加えるにはCSSなどの基礎知識が求められるのです。

もちろん、そういった知識を使わずともサイト構成は行えますが他社サイトと差別化を行うにはそういった知識も必要となります。

 

ワンポイント
・カスタマイズを強化させるため有料アプリを多用するとランニングコストが膨らむ
・アプリの中には日本語対応しないものもある
・サイトの独自性を出すにはプログラミング知識が必要になる

Shopifyの費用

お金を入れる男性

Shopifyの費用は以下の3つの月額費用別の料金プランに分けられます。

  • ベーシックプラン - 月額費用29ドル
  • スタンダードプラン - 月額費用79ドル
  • プレミアムプラン - 月額費用299ドル

ベーシックプランよりさらに安い月額費用9ドルのライトプランもありますが、このプランではオンラインストアを開設できません。

上記3つのプランはいずれも初期費用はかからず、月額費用のみで運営可能です。

また、一括払いでの割引があり1年~3年契約により約10~25%の月額費用の割引が適用されます。

プラン別のサービスの大きな違いとしては、各種クレジットカードの決済手数料に差がつけられているのです。

日本のオンラインクレジットカードでの決済では、ベーシックプランは3.4%であるのに対しプレミアムプランでは3.25%になっています。

ユーザーの決済回数が多いほど、月額費用の高いプランのほうが差益を得られる料金設定です。

それ以外にも、上位プランではスタッフアカウントを多く登録できることや高度なレポート機能を利用できるメリットもあります。

 

ワンポイント
・料金プランは最安29ドルからの3タイプ
・プランごとに決済手数料などに差がつけられている
・上位プランではスタッフアカウントを多く登録でき、高度なレポートも受け取れる

Shopifyプランの選び方

プラン選択

Shopifyのプランは大きく分けてベーシックプラン・スタンダードプラン・プレミアムプランの3つに分けられます。

最安のベーシックプランでは月額29ドルで運用可能です。

ベーシックプランでも上位プラン同様に商品登録可能性は無制限で24時間のサポートを受けることができます。

ただし、スタッフアカウントは2つまでしか登録できないので少人数でストアの管理や運用を行う必要があるでしょう。

日本のクレジットカード決済手数料も3.4%、Shopifyが提供するShopifyペイメント以外の決済手数料は2%で高めに設定されています。

ECサイトの運営を始めたばかりで決済回数も限られており、少人数でECサイトを運営する場合に向いているプランです。

スタンダードプランは中位に位置するプランで、月額79ドルの費用で登録可能なアカウントの数が5つに増えます。

国内クレジットカードの手数料は3.3%、Shopify以外の決済手数料は1%となりベーシックプランよりも若干優遇された手数料です。

さらに、上位プランのプレミアムプランでは月額299ドルとなりますが登録可能アカウント数は15個まで増えます。

また、国内クレジットカード手数料は3.25%、Shopify以外の決済手数料は0.5%まで下がり手数料面で大きな優遇を受けられるのです。

スタンダードプランからは越境ECサイト構築に必要な為替レート設定や言語設定などが行えて、グローバルなサイト運営を可能にします。

自社サイトの対象となるユーザーや、決済手数料に関係するサイト内の見込み売上の金額に合わせてプランを選択することが重要です。

 

ワンポイント
・決済手数料に差がついているので、自社サイトの見込み売上に合わせて選択する
・スタンダードプラン以上で越境ECサイト構築に必要な機能が使える

Shopifyと他カートとの関係性

ネットショッピング イメージ

Shopify以外にもECサイト開設をサポートするサービスがいくつかあります。

主要な2つのサービスについてご紹介しましょう。

  • BASE
  • STORES.jp

BASEは2012年にスタートした、無料でネットショップを開設できることが特徴のEC構築サービスです。

BASEは初期費用がかからず、さらに月額費用も一切かからずECサイトをオープンさせるまでにまったくコストをかけずに開設できます。

その代わり商品を決済する際の手数料が、商品の合計金額に対して3.6%+40円かかりさらにサービス利用料も3%発生するのです。

合計すると7%弱の手数料がかかるため決済金額が大きくなると支払う手数料はShopifyに比べて負担が大きくなります。

STORES.jpはBASEと同じく2012年にサービスを開始したECサイト構築サービスです。

無料有料の2つの料金プランが用意されており、有料プランは月額1,980円に設定されています。

2つのプランで決済手数料に大きく差があり、有料プランでは3.6%なのに対して無料プランでは5%と高めに設定されているのです。

デザインのカスタマイズも行えますがテンプレートの数は48種類ほどなのでShopifyほどの自由度はありません。

上記2つのサービスは両者共に無料でECサイト運営を行えるのが大きな特徴です。

しかし、機能面や手数料を比較するとShopifyのほうが利便性が高く機能が充実しています。

継続してECサイトを運営する場合はShopifyを選択するとメリットが多いでしょう。

 

ECサイト制作の事例はこちら

 

ShopifyでのEC構築で悩んだら

胸に手を当てる男性

Shopifyは比較的低コストで専門知識やサーバーなどの準備をすることなくECサイトを開設できる便利なサービスです。

翻訳機能やSEO対策などさまざまな拡張機能をアプリで追加できるため、自社の独自性をアピールすることができます。

しかし、自社のサービスに合わせた効果的なカスタマイズを行うためにはどのような機能を追加すればいいか迷う部分もあるでしょう。

ShopifyのEC構築で悩みがあれば、ぜひデジマクラスにご相談ください。

デジマクラスでは豊富な業界知識ノウハウを使い、悩みに合わせた適格なアドバイスが行えます。

ECサイト開設後の運営方法や売上拡大についての施策についてもサポートすることが可能です。

まとめ

オフィスで談笑する男女

ユーザーの購買行動は以前に比べて大きく変化しており、多くの企業が自社ECサイトを開設しています。

自社サイトを作成することで顧客を自社ブランドへ囲い込むことができて、サイトイメージも自社ブランドに合わせて構築可能です。

Shopifyではプログラミングなどの専門知識を使わず直感的に操作できてテンプレートや拡張機能も豊富に用意されています。

自社に合った最適なサイト構築に迷いがあれば、デジマクラスに相談することがおすすめです。

専門家のアドバイスを参考にして効果的なECサイト運営を目指しましょう。