BtoBマーケティングにおける顧客分析は売上向上を目的として行います。
顧客について知ることで売り上げにつながる可能性が高い顧客像を明確にできるからです。
売上向上が期待できる顧客イメージをクリアにするためには、情報収集・分析の精度を高めることが近道です。
目次
BtoBマーケティングの顧客分析を解説
BtoBマーケティングとはBtoBビジネスに特化したマーケティングです。
BtoBとは企業対企業のこと。
つまり、法人向けビジネスに特化して商材が売れ続けるノウハウの構築や仕組みづくりを行うのがBtoBマーケティングです。
特にマーケティングの精度を高める顧客分析方法には下記ポイントがあります。
- 正確なデータを十分に集める
- 正しい手法で分析する
- 顧客分析の意義や必要性を理解した上で行う など
精度の高い分析を行うことで顧客分析を売上向上に活かせる可能性が高まります。
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顧客分析の役割
顧客分析とはその名の通り、マーケティング上必要な顧客に関する情報を分析することです。
例えば、分析対象となる情報として下記のようなクエスチョンに関連する情報が挙げられます。
- 顧客はどのような業界・業種・地域・規模の企業が多いのか?
- 顧客は商材の購入・利用をどのような過程・ルートで行ったか?
- 顧客の潜在的なニーズや購入・利用のきっかけは何か?
これらの情報は購入・利用可能性がより高い顧客にアプローチする上で欠かせない情報です。
つまり、顧客分析とはマーケティング上欠かせない情報を調査・収集する役割があります。
BtoBマーケティングの変化と問題点
BtoBビジネスはかつて営業担当者ごとの力量や顧客都合といった不確定要素に売り上げが左右されていました。
またインターネットの登場で顧客の購買行動に「検索」が加わり、過去のBtoBマーケティングが通用しない時代が到来しました。
そのため論理的根拠があり売り上げを確保できる可能性が限りなく高いマーケティングが求められるようになったのです。
営業から購買
顧客分析の必要性を理解するために、過去に行われていたBtoBマーケティングの問題点を改めて見直してみましょう。
過去のBtoBマーケティングでは顧客へのアプローチを営業部門が一手に引き受けていました。
マーケティングも各担当者の裁量に任せられ、売り上げを左右する要素は担当者の経験や性質といった不確定なものでした。
そこで問題となったのが、営業担当者の力量や顧客都合といった根拠を特定しにくい売上減少リスクです。
- 営業担当者の変更でそれまで良好だった顧客との相性が良くない状態になった
- 取引先の決裁者・決定者変更によりそれまで蓄積した営業ノウハウがリセットされてしまった など
論理的根拠に基づき不確定要素に左右されずに売上向上可能性を高めるマーケティング施策が求められていたのです。
検索で購買
顧客分析が求められる背景には顧客行動に検索が盛り込まれるようになったことも挙げられます。
インターネットの登場により、検索すれば顧客だけでも十分な情報を入手できるようになりました。
つまり、顧客だけで検討中商材や提供する企業について十分な調査・比較が可能になったのです。
市場はすでに顧客が知っている以上の情報やホスピタリティを提供しないと自社を選んでもらえなくなっています。
また、顧客が欲しがっている深い情報や求めているホスピタリティが多様化している点も見逃せません。
商材を提供する側のマーケティング手法や根拠となるデータも既存の手法を進化させたものが求められています。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
顧客分析の目的と必要性
顧客分析を行うことで効率良く高い効果が期待できるマーケティング施策を実践できます。
効果の高いマーケティング施策は顧客分析の第1目的である売上向上の確率を高めてくれるでしょう。
顧客分析の目的
顧客分析を行う目的は売上向上です。
それではどのように売り上げを上げるのか、と考えた時に2つの方向性があります。
- 顧客の数を増やす:新規顧客増
- 顧客1人あたりの単価アップ:アップセルやクロスセルの件数アップ・顧客満足度向上・固定客増
確実な売上向上を達成するために数多くあるマーケティング施策の中から特に有効な施策を選ぶことが重要です。
そのための第1歩として商材を買ってくれる顧客はどのような企業なのか、知る必要があります。
顧客分析の必要性
特にBtoB向け企業が顧客分析を行うべき理由はマーケティングの精度を高め、効率良く売上アップさせるためです。
特に下記のような施策を実行する上で有効と考えられます。
- 優良顧客になる可能性が高い理想の見込み顧客を発見する
- より購入・利用確率が高い顧客にアプローチする
- 販売促進に必要なリソースをピンポイントで投入する
つまり、顧客分析によって売り上げにつながるツボを掴む精度と効率を高めることができるのです。
また、顧客分析によって下記のような効果も考えられます。
- 営業部門にとって有効な顧客リストを提供
- マーケティング部門と営業部門で効果が高く効率的な施策を展開でき良好な関係構築
精度の高い顧客分析であれば売上向上はもちろん、組織運営を円滑にすることも期待できます。
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顧客分析の方法
顧客分析の精度を高めるためにはどのように分析するのかにも注目してみましょう。
顧客が購入・利用するまでの流れを分析するパイプライン分析と正確な情報を十分な量分析する安定情報分析が重要です。
パイプライン分析
パイプライン分析は顧客が商材の存在を知ってから購入・利用するまでの流れを時系列順でいくつかの段階に分けるところからスタートします。
- 問い合わせ・初回訪問
- 初回商談・顧客のニーズや課題を把握
- 決裁権・決定権を持っている担当者への課題解決提案、見積もり
- クロージング
- 本契約締結
この流れの中で精度の低い段階や効率の悪い段階を明確にできれば、全体のスムーズな流れをせき止めているポイントを把握できます。
段階ごとに問題を切り分けて把握できるのがメリットとなる分析手法です。
安定情報分析
効果的なBtoBマーケティングにつながる顧客分析は情報の豊富さと正確性がキーポイントです。
正しい情報が安定して供給される状態で顧客分析を行う必要があります。
そのため重要なポイントとなるのが下記です。
- 事業所名・電話・所在地・担当者名など見込み顧客の情報は項目を全社統一
- 自動的に最新情報に更新される仕組み作り
- 各マーケティング施策によって収集できる情報を統一
- 入力時の誤字脱字、表記ゆれといったヒューマンエラーを防げるシステムを導入
- 収集したデータを個々の従業員でとどめず全社共有できる仕組み構築 など
情報収集の段階からこうしたポイントを踏まえておくことで、顧客分析に用いる情報の量・質・鮮度を保持することができます。
顧客分析を成功させるには
顧客分析の成功とは売上向上が期待できそうな優良顧客の発見です。
まずは優良顧客に共通するポイントをできるだけ多く見つけ出し、精度の高いセグメントを行いましょう。
優良顧客を絞る
優良顧客の絞りこみが顧客分析につながる理由はターゲティングの精度が向上するからです。
分析の基データとなる範囲を顧客全体に設定した場合、分析結果がざっくりとしたものになります。
そのため、セグメント・顧客のペルソナ・商材の企画・コンセプトも本来あるべき姿からブレてしまうリスクがあるのです。
特にオーダーメイドに近い課題解決提案が求められるBtoBマーケティングにおいては致命傷になりかねません。
また、顧客の絞りこみが売上減少につながるというのも誤解です。
多くのBtoB商材を提供する企業において売り上げの80%は20%の固定客が源となる傾向があります。
つまり、80%の売り上げを生み出す20%にアプローチできればむしろ売上向上につながる確率が高まります。
顧客分析はこの20%は誰なのか、どうやって20%にアプローチするかを明確にするのに役立つマーケティング施策です。
優良顧客の共通点
顧客分析を成功させるために優良顧客に共通する特徴をあぶりだすことも重要です。
<優良顧客の共通点事例>
- 高い顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)が見込める
- 購入歴・利用歴が長い
- これまでの売上総額が他顧客よりも高い
- 購入・利用単価が高い
- 想定しているターゲットのペルソナに高い水準でマッチしている
- 担当者が決定権・決裁権を持っている など
上記のような特徴に2つ以上該当する顧客は特にアプローチを急ぐべきです。
対して、該当している特徴が1つだけだと優良顧客の根拠として弱い可能性も考えられます。
分析は顧客の属性で分ける
顧客分析を行う時、まずはどのような顧客なのか属性を分析してみましょう。
各顧客の属性を知ることでより有効なアプローチにつながる可能性が高まります。
企業の場合
BtoBビジネスで売上アップを目指すなら、まずはターゲット企業について知る必要があります。
- 業界
- 業界内での立ち位置・役割
- 業種
- 取り扱い商材
- 事業内容
- 企業規模
- 所在地
- 商圏
- 業績 など
上記のような要素ごとに分析・セグメントしてみましょう。
部署の場合
自社商材がどのような部署で活用できるか具体的に提案できれば顧客側も利用シーンをイメージしやすくなります。
例えば、一般的な企業にある部署として下記がポピュラーです。
- 総務部
- 経理部
- 営業部
- ユーザーサポート部門
- システム部
- 商材開発・企画部門
- マーケティング部門
- 広報部
- 配送部門
- 財務・会計部門
- 人事部門
- 労務部門 など
企業規模や方針によって営業部が複数チーム体制だったり開発・企画・マーケティングが同チームだったりすることもあるでしょう。
各部署の業務内容やチーム体制、規模などによって自社商材との関連づけ方も異なる点に注意が必要です。
人の場合
マーケティング施策の精度を高めるために、顧客企業担当者に関する分析も重要です。
- 役職
- 所属部署
- 率いている部署・チームの規模
- 業務内容
- 業務で使用しているツール
- フレームワーク など
こうした情報を分析することで顧客の抱える課題が見えてくることもあります。
特に商材購入の決裁権・決定権を持った担当者への注目が必要です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ペルソナ作成のやり方
ペルソナとはターゲットよりもさらに具体的にイメージした自社商材の顧客・固定客像です。
居住エリア・具体的な家族構成・家族の年齢・趣味・SNSの利用方法など細かい設定まで行うのが特徴。
顧客のペルソナを作成することで顧客へアプローチできる精度を高め、自社全体でマーケティング戦略を共有しやすくなります。
特にBtoBマーケティングにおいては企業ペルソナ・担当ペルソナの2種類が必要です。
企業ペルソナ
BtoB商材の顧客は企業です。
そのためペルソナの作成もどのような企業なのか、という視点で作成します。
基本項目は顧客分析対象となる情報と共通する項目でOKです。
ただし、ペルソナ作成の際は定量的な情報に限らず感情・心情・理念的な情報も求められます。
- 社風
- 企業理念・経営理念
- 企業としての課題
- ヒストリー・沿革
- 将来のビジョン
- 自社を選んでくれた理由、競合他社を選ばなかった理由
- 自社を選んだタイミングや背景 など
顧客のマインド面に訴求することで見込み顧客が顧客に、顧客が固定客に成長する可能性が高まります。
担当ペルソナ
担当ペルソナも企業ペルソナと同様に顧客分析の基データが重要です。
また、担当ペルソナの感情・心情・理念的な部分を盛り込む点でも共通しています。
- 個人目標
- 個人的な課題
- 担当者の個人的な将来のビジョン
- 興味・関心・指向 など
こうした情報は定量的な数字で評価できるものではありません。
しかし、顧客像を具体的なイメージとしてアウトプットする上ではとても重要な情報で、マーケティング戦略の成否を握っています。
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BtoBマーケティングの顧客分析に迷った時は
BtoBマーケティングにおける顧客分析の必要性はすでに多くの企業が気づいていて、取り組み始めている担当者も増えています。
しかし、様々な要因で思ったほどの効果が出ていない・取り組みが形骸化してしまっている企業も少なくありません。
そこで活用してほしいのがWebマーケティングコンサルタントのサポートです。
特にWebマーケティングコンサルタントが次のようなノウハウを提供できる点に注目してみてください。
- 正確性を重視した情報収集ノウハウ
- マーケティング施策の精度向上につながる顧客分析ノウハウ
- 論理的根拠に基づいた顧客へのアプローチ法提案 など
上記は初めて顧客分析に取り組む企業やマーケティング担当者がつまずきやすいポイントでもあります。
BtoBマーケティングで落とし穴になりやすいポイントを回避するためのガイド役として期待できる存在です。
まとめ
BtoBマーケティングの成功可能性を高めるには顧客分析が重要です。
基にする情報の収集・分析手法を磨き、正確な情報を十分な量分析して精度の高い顧客セグメント・ペルソナ作成を行いましょう。