これまで音声広告といえば、ラジオ放送で流れる音声の広告が主なものでした。

現在は音声広告の中でも、音声メディアへ広告出稿をするデジタル音声広告の市場も発展しつつあります。

スマートフォンやスマートスピーカーが開発され、radikoやSpotifyなどの音声メディアや音楽配信サービスの普及が進みました。

音声メディアや音楽配信サービスの進化とともに、そこへ広告を出すデジタル音声広告も急激に広がっています。

今回は音声広告が広まった要因や効果、具体的な活用方法などをご紹介しましょう。

音声広告の市場規模を解説

グラフ

現在日本ではそれほど意識されていないデジタル音声広告市場ですが、アメリカでは飛躍的な成長を遂げています。

アメリカのデジタル音声広告市場は年々拡大の一途をたどっており、2020年には30億ドルを超える規模まで成長しているのです。

日本でもスマートフォンやスマートスピーカーの普及により、家の中や移動中でも音声コンテンツを楽しめるようになりました。

また最近では音声SNSが注目されており、今後は日本でもデジタル音声広告がさらに発展していくと考えられています。

現在の日本の市場規模はアメリカには及ばないものの、2020年には前年から229%成長し16億円の規模となりました。

これからも右肩上がりで成長が見込まれており、2025年には420億円もの大きな規模になるといわれています。

 

ワンポイント
・アメリカではすでに30億ドルもの大きな市場規模になっている
・日本でも前年比で2倍以上の16億円の規模となり急激に伸びている

 
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音声広告の種類は?

ヘッドホン

音声広告の歴史はラジオ放送の中で流れる広告から始まりました。

インターネットが発達した現在では音声配信サービスでのデジタル音声広告が主流となっています。

現在もっとも聴取者の多い音声配信サービスのradikoや音楽配信サービスのSpotifyなどがデジタル音声広告が市場の中心です。

また今後はスマートスピーカーを利用することで対話型デジタル音声広告が広く利用されるようになると予想されています。

これまでの音声広告は、テレビやラジオのCMのように一方通行のものばかりでした。

スマートスピーカーの普及で双方向のAI広告が実現することで、消費者が広告を選択できるようになるのです。

消費者が選択する情報をもとに、企業側は広告の効果が分かりやすく判断できるようになるでしょう。

ユーザーごとに広告を差し替えられるので、ユーザーにも企業側にもメリットのある新しい広告のかたちが期待されています。

音声広告にはどのような種類があるか解説していきましょう。

デジタル音声広告

音楽配信サービスや音声メディアに出稿のデジタル音声広告は、オーディオアドと呼ばれます。

それまでラジオで流れる広告にはオーディオアドの名前は付けられていませんでした。

音楽配信サービスポッドキャストなどが広まるにつれてオーディオアドという言葉が使われるようになっています。

今後は音声配信や音楽配信サービス以外にも、音声SNSやオーディオブックなどの音声コンテンツなどへもさらに広がるでしょう。

音声メディアの可能性がさらに広がっていくことで、デジタル音声広告の市場規模も大きくなると期待されています。

対話型音声広告

スマートスピーカーの発達によりデジタル音声広告に対して、消費者は検索や購買などのアクションが取れるようになります。

企業側はその情報を集めAI技術などを駆使することで、ユーザーに合わせた最適な広告を流すことができるのです。

スマートスピーカ―から流れる音声広告を聞いて、そのままスマートスピーカ―を使って商品を購入することができます。

パソコンやスマートフォンなどの他のデバイスに頼らない、新しい広告の形式として今注目を集めているのです。

 

ワンポイント
・音楽配信サービスや音声メディアが広がることでオーディオアドという言葉が生まれた
・スマートスピーカ―の発達によりユーザーに合わせた最適な広告を流せるようになった

音声広告の市場規模と将来予想

マーケティング

デジタル音声広告の市場規模は欧米ではすでに飛躍的に拡大しています。

日本でも今後は音声コンテンツの充実が見込まれており、デジタル音声広告の配信が増加していくでしょう。

ラジオの聴取層は比較的年配の方が中心でしたが、音楽配信サービスや音声SNSの登場で若年層も市場に関わるようになりました。

今後はさらに幅広い年代でさまざまなジャンルのコンテンツが開発されていくでしょう。

それに伴い、デジタル音声広告も発展していくと予測されています。

日本では欧米に比べてブランディングが根付きにくいようですが、音声メディアの発展により確実に広がっていくでしょう。

アメリカでの市場規模

米IAB社が発表したアメリカでの音声広告収入の推移は、2016年は11億ドルであったのが翌年には約1.5倍増の18億ドルになりました。

さらにその後も年を追うごとに増え続けており、2020年には30億ドルの規模まで成長しています。

音声コンテンツの認知度も伸び続けているので、今後もさらに市場規模の拡大が期待できるでしょう。

数ある音声メディアの中でもポッドキャストがアメリカの音声メディアコンテンツをけん引しています。

アメリカではポッドキャストへの企業の参入率が日本より高い傾向があるようです。

新聞社のニュース配信やファッションブランドなども高い頻度で配信されています。

日本での市場規模

日本国内のデジタル音声広告市場は2020年に16億円となり、2022年以降は急速に市場が拡大するとみられています。

デジタル音声広告の市場調査では、2025年には420億円規模まで成長するとの予測です。

Web業界で導入されているリスティング広告のように、ユーザーに最適な広告を訴求することは今後どの媒体でも重要になります。

音声コンテンツは法人・個人問わずさまざまな情報発信が増えつつあるので、日本でもさらに市場規模は拡大していくでしょう。

音声広告の市場規模が拡大している要因

ポイント 男性

スマートフォンやタブレットなどの端末が普及し、スマートスピーカーワイヤレスイヤホンがめざましい発展を遂げています。

それとともに音楽・音声配信サービスの利用者が飛躍的に増加していることで、デジタル音声広告の市場規模は拡大中です。

音声メディアではこれまでの企業などからの一方通行の発信だけでなく、音声SNSの登場で飛躍的な伸びが期待されています。

消費者が音声を聞くだけの受け身の状態から、意見を発信することもできる双方向の情報を交わす場と変わりつつあるのです。

情報交流が活発になることでさらに音声コンテンツが浸透していき、主流のメディアまで成長すると見込まれています。

 

ワンポイント
・スマートスピーカ―やワイヤレスイヤホンの普及によって音声広告の市場規模は急激に拡大した
・音声SNSの登場により今後は双方向で情報のやり取りをするコンテンツとして期待されている

音声広告の効果は?

ポイントを指し示す男性

デジタル音声広告によりもたらされる効果は、動画広告よりも強いインパクトを与え理解を得やすくなります。

聴覚に直接訴えられた情報は視覚情報よりも記憶に残りやすくなるため、ブランディング効果や広告の認知につながるのです。

また、記憶に残っている間にさらに同じ音声広告が配信されることでより購買意欲につながりやすくなるといわれています。

デジタル音声広告はユーザーの状況に合わせ最適な情報が配信されるため、消費者に与える影響力も大きなものになるでしょう。

音声広告の効果についてご紹介します。

ブランド想起

ブランディング

一般的なウェブサイトの広告と音声メディアによる音声広告を比較すると、ブランディングの効果にも差が表れています。

Spotifyの調査によると、ブランド想起は通常のディスプレイ広告に比べて24%の差があり購買意欲は2倍となるようです。

音楽配信サービスや音声コンテンツは仕事中や移動中などに利用され自然と耳に残りやすくなります。

長時間利用を繰り返すため情報も記憶にとどまりやすくなるのです。

広告認知

スマートフォン

音声メディアでの耳からの情報は、視覚に訴える動画や画像での広告よりも印象に残りやすいと言われています。

理由としてはWeb媒体のバナー広告は視野に入っていたとしても、その情報に興味がなければ記憶にはとどめづらいでしょう。

しかし、音声広告の場合確実に消費者に広告の情報を届けることができるので広告の認知度は高くなると考えられています。

今後AI機能の発達などでさらにユーザーの思考に即した音声広告が届きやすくなるでしょう。

そうした技術の発展でユーザーは不快感を感じることなく広告を認知しやすくなり効果も上がっていくと考えられています。

購買意欲向上

ネットショッピング

Spotifyの調査ではWebサイトの広告よりも購買意欲が2倍になるという結果が出ています。

音声情報は長期記憶に格納されやすいため、デジタル音声広告の記憶が想起されやすくなり購買意欲へとつながるのでしょう。

広告が認知され興味を持つユーザーに対して繰り返し音声広告を配信することで、さらに長期記憶に残るよう働きかけます。

テレビCMなどの場合はすべての視聴者に同じ広告を表示しているので、興味がなければ離脱されやすくなるでしょう。

しかし、これからの音声広告はユーザーに合わせて別々の広告を流すためさらに購買意欲が向上していく可能性が高いです。
 
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音声広告の特徴

打ち合わせ

音声コンテンツの利用は、他の行動と並行して行われることが多くあります。

例えば仕事や家事をしている時や、車の運転や移動中などさまざまなシーンで並行して利用されているのです。

これが動画や画像の情報の場合は他の行動と並行して行うというのは難しいでしょう。

ユーザーの利用シーンを限定しないというのは音声コンテンツの大きな強みだといえます。

他の作業を行いながら聞いている場合でも、繰り返し広告の情報を聞くことで潜在的な意識に残りやすくなるのです。

音声広告の特徴について解説していきます。

ターゲットに合わせた広告を配信できる

ユーザーの検索履歴やデバイスの位置情報などから、聴取者の状況に合わせた最適な音声広告を配信できます。

エリアターゲティング機能を使うと、外出先での近くの店舗の音声広告を届けることも可能です。

普段の生活エリアの情報だけが配信されるのではなく、観光地などでは近くの観光スポットの広告が配信されます。

そうすることでユーザーにとっても受け入れやすい情報が常に配信されるように工夫されているのです。

完全再生数が高い

動画広告の場合興味がなければスキップされてしまいますが、音声広告の場合そのような機能がありません。

そのため広告の完全再生数が動画広告よりも圧倒的に高くなります。

情報を完全に伝えられない可能性がある動画広告よりも、再生率の高い音声広告のほうが費用効率も高いでしょう。

ユーザーに合わせた広告を配信できることも完全再生数の確率を上げる要因となっています。

ブランディングと掛け合わせられる

音声コンテンツによる聴覚への働きかけは、広告の認知とブランドの定着に効果をもたらします。

ユーザー情報を元にターゲット層となるユーザーを中心に訴求するブランディング広告は、ユーザーの記憶にも残りやすくなるのです。

音声メディアを利用するたびに配信されるデジタル音声広告により、認知されやすく購買意欲に直結しやすくなります。

スマートスピーカーの発達により、さらにブランディングに効果的なデジタル音声広告が発展していくでしょう。

音声広告の事例

案内するビジネスウーマン

音声広告を取り入れている事例を3つご紹介します。

Spotifyの例

若い世代が中心ユーザーのSpotifyは、無料で楽しめるフリープランと月額料金が必要なプレミアムプランがあります。

無料プランでも使える機能は多いため、半数以上がフリープランのユーザーです。

スマートフォンやパソコン、CarPlayにも対応しているので利用シーンを選びません。

デバイスを問わずターゲットユーザーにダイレクトにデジタル音声広告を配信します。

radikoの例

日本の民放ラジオ局99局のラジオ番組が聞けるradikoは月間平均利用者数が約750万人です。

ライブ配信だけでなく、聴き逃した番組も後から聴くことができます。

プレミアム会員は日本全国の番組も聴くことができるため、幅広い世代に人気の音声コンテンツです。

全国の放送局の差し替え可能な広告枠を使って、ターゲティングされた音声広告をユーザーに配信しています。

広告の特定枠を買う純広告と違い、再生課金型の広告です。

YouTubeの例

YouTubeやYouTube Musicのオーディオ広告は2021年2月より使用可能となりました。

YouTubeのユーザーはミュージックビデオもBGMとして利用することが多いため、デジタル音声広告の配信も効果的です。

世界でも高いシェアを占めるコンテンツであるため、国内海外問わず幅広いユーザーをターゲットにすることができます。

音声広告の将来性

グローバル化

音声広告の将来性には以下のようなものが挙げられます。

  • 予測では2023年に世界の使用ユーザーは15億人となる
  • ワイヤレスイヤホンなどの進化でさらなる普及が見込まれる
  • ターゲティング広告の精度向上

ドイツのオンライン統計調査によると、音楽配信サービスの世界のユーザーは2023年には推定で15億人に達するようです。

大手の広告代理店だけでなく、ベンチャー企業も参入して今後はデジタル音声広告市場は拡大していくと予想されています。

特にワイヤレスイヤホンが開発されたことで消費者が音声コンテンツを聞く機会は飛躍的に増えました。

ユーザーの興味がある音声広告がピンポイントで配信されることで購入などのアクションを起こしやすくなっています。

音声広告でユーザーの興味を引こう

笑顔のビジネスマン

音声コンテンツは幅広いジャンルや年代をターゲットにして、多種多様な音声・音楽配信サービスを提供しています。

音声広告は再生確率の高い確実なターゲティング広告を配信することでユーザーにインパクトを与えているのです。

今後、音声検索が広く使われるようになるとデジタル音声広告はさらに使いやすいものとなるでしょう。

スマートスピーカーなどのデバイスやワイヤレスイヤホンなどの機器の進化も音声広告の普及に拍車をかけています。

デジタル音声広告でユーザーの求める広告が発信されることで利用者もさらに増え、市場規模も拡大していくでしょう。

 

ワンポイント
・音声広告は再生確率が高くターゲット広告によりユーザーにインパクトを与えやすい
・スマートスピーカ―やワイヤレスイヤホンなどの機器の発達も市場規模拡大の要因

 
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まとめ

雑談する男女

欧米ではすでに普及している音声広告ですが、日本ではこれから市場規模が拡大していくと考えられています。

音声SNSなど音声コンテンツも年々増えており、法人だけでなく個人も音声コンテンツへ参加する時代となりました。

また、音声広告は完全再生数が高いため費用対効果の面でも効率の良い広告であるといえるでしょう。

スマートスピーカ―などデバイスの進化で、ユーザーに合わせたターゲット広告も導入されさらに広告の効果が上がっています。

現在は他のテレビや雑誌などの媒体の広告に比べると低予算で始められるので、今が大きなビジネスチャンスといえるでしょう。

広告の媒体で悩んでいる場合には、音声広告も効果的な選択肢の1つとなるのでぜひ検討してみてください。