ユーザーがモノやサービスを利用した量や期間に対して料金を支払うサブスクリプションビジネスが注目を集めています。
課金提供型のビジネスモデルと自社商品・サービスとの相性を考えて導入を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回の記事ではサブスクリプションビジネスの成功事例について解説します。
定額サービスとの関連やサブスクリプション導入のメリット・デメリットもご紹介しますのでぜひ参考にしてください。
目次
サブスクリプションビジネスの成功の事例を解説
サブスクリプションビジネスは以下の通り様々な業界・業種で導入され、成功を収めています。
- 音楽・動画配信サービス
- 書籍配信サービス
- ラーメン
- 美容室
音楽・動画配信サービスでは「Netflix」や「Hulu」などがよく知られています。
ドラマ・アニメ・映画の独占配信や見逃し配信への対応などで広く人気を集めています。
書籍配信サービスで有名なのは「Kindle Unlimited」や「dマガジン」でしょう。
前者は数百万冊もの多様なジャンルの書籍を月々980円で読むことができ、後者も色々な雑誌を月々400円で閲覧できます。
斬新かつユニークに感じられるのがラーメン店や美容室でのサブスクリプションの導入でしょう。
月額いくらで毎日ラーメンが食べられたり、前髪を整えるサービスを何度でも利用できたりと店舗によって工夫は様々です。
今後も色々なサブスクリプションサービスが生まれてくることが予想されます。
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サブスクリプションと定額サービス
サブスクリプションも定額サービスも月額や年額で一定の料金を支払ってモノやサービスを利用するものとして知られています。
一見すると両者は同じもののようですが、実は明確な違いがあることをご存知でしょうか。
定額サービスにはあらかじめ定められた料金表があり、それに応じて商品・サービスを定期的に提供することで完結します。
対するサブスクリプションは商品・サービス利用中の顧客満足度を高め続け、ユーザーに解約されないよう工夫を続けます。
そのためにサブスクリプションの場合は様々なデータを分析してモノやサービスをニーズに合せて改善しなければなりません。
常に顧客満足度に重きを置いてサービスをブラッシュアップしていく姿勢こそがサブスクリプションの特徴だといえます。
サブスクリプション時代の背景
サブスクリプション隆盛の背景には様々な要因があります。その1つが若者を中心に起きている「所有離れ」です。
モノを自分だけのものにしなくても、使いたい時に使うことができれば良いという考えの若者が増えてきました。
こうしたシェアすることへの抵抗のなさや環境に配慮したポジティブな印象がサブスクリプションの広まりを後押ししています。
今後もサブスクリプションビジネスの市場規模は拡大を続けていくことでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
サブスクリプションの成功例
この項目ではサブスクリプションの成功例を厳選して3件ご紹介します。
いずれも世界的な企業で、自社の強みを大いに活かしたサブスクリプションサービスを展開しています。
SONY
サブスクリプションの成功例として挙げられる企業やサービスは数多くあります。
中でも特にピックアップすべきなのはSONYの「PS Plus」でしょう。
「PlayStation4」や「PlayStation3」の人気ゲーム数百タイトルが月額400円で遊び放題です。
同サービスは2020年時点でSONYのゲーム事業の売上げの6割を占めていたほど市場で歓迎されました。
Apple
Appleが提供する音楽ストリーミングサービス「Apple music」の特徴は3ヶ月の無料期間です。
利用開始時期に無料期間を設けているサブスクリプションサービスは他にも多々ありますが、これほど長期にわたるものは希です。
3ヶ月もあればユーザーはサービスの使い方にすっかり慣れるでしょう。生活の一部として手放せなくなっているかもしれません。
Appleは長い無料期間の間にサービスがユーザーの暮らしに溶け込むことを狙ったのです。
Netflix
Netflixは世界最大級を誇る動画配信サービスです。月額800円から様々な動画作品を楽しむことができます。
特徴として挙げられるのはオリジナル作品が多いことでしょう。Netflixでしか見られないものを配信してファンを増やしています。
蓄積したユーザーデータに基づいて、ユーザーそれぞれの好みに合わせたトップページを表示していることも見逃せません。
Netflixは膨大なデータを詳しく分析して常にユーザーファーストなマーケティング戦略を展開しています。
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失敗事例に学ぶ
どんなビジネスモデルにも成功事例と失敗事例があることはいうまでもありません。
成功事例にばかり目が行きがちですが、サブスクリプションビジネスには失敗して事業から撤退した例も数多くあるのです。
それらの失敗の要因は何だったのでしょうか。
ポイントとなるのは解約率・利用者の停滞・プロモーション不足の3つです。
解約率
定額制のサービスとは違って、サブスクリプションの場合はユーザーの満足度を常に高く保たなければ解約されてしまいます。
収集したデータを分析・活用してモノやサービスをブラッシュアップし続け、解約率を低く抑え続けること。
サブスクリプションビジネスで成功するためにはそんな努力を続けていかなければなりません。
「契約が取れればこちらのもの」ではない所にサブスクリプションの特徴があるといえます。
利用者の停滞
サブスクリプションビジネス失敗の原因にはサービス利用者の停滞もあります。
何らかの理由でユーザーによる継続的なサービス利用が望めなかった場合、撤退を視野に入れなければなりません。
サブスクリプションビジネスは購入・契約後に継続的に利用してもらってこそのサービスだからです。
コンテンツが代わり映えしない、他社のサービスの方が魅力的に感じられるなど、利用者停滞の理由は様々です。
サブスクリプションには常に工夫を凝らして顧客満足度を高め続けなければならないという難しさがあるといえるでしょう。
プロモーション不足
サブスクリプションビジネスの失敗の要因にはプロモーション不足も挙げられます。
当該サービスを広く告知してユーザーに認知してもらうことができなかったということです。
どんなに魅力的なサービスであっても、まずは市場で存在を認知してもらわなければ意味がありません。
SNSなどを用いて情報を発信することを怠っていた場合、ユーザーに利用されず失敗に終わる場合があります。
プロモーションを行い続ける体力や魅力的なコンテンツを提供し続けるリソースがない企業にサブスクリプションは向きません。
成功の秘訣
サブスクリプションに挑戦した企業のすべてが成功を収めているわけではありません。
あえなく失敗して撤退を余儀なくされた企業も数多くあるのが現状です。
それでは、サブスクリプションビジネスの成功の秘訣はいったいどこにあるのでしょうか。
この項目ではサービスを軌道に乗せるためのポイントを3つピックアップしてご紹介します。
価値の提供・顧客の固定化・状況に応じた変化です。それぞれ詳しく見てみましょう。
価値の提供
サブスクリプションのビジネスモデルで重要なのはそれが顧客に対する価値の提供に重きを置いたものだということです。
サブスクリプションの場合、購入・契約はゴールではなくスタート地点です。継続的に利用してもらわなければ意味がありません。
そんなサブスクリプションにおいて、顧客にとって価値ある物を提供するというユーザーファーストの姿勢は何より肝心です。
データを分析してターゲットの行動を見直し、提供するサービスが顧客にとってより価値あるものになるよう改善を続けましょう。
より顧客のためになるサービスとなるよう柔軟に変化していくこと。そんな姿勢がサブスクリプションビジネスには常に必要です。
顧客の固定化
サブスクリプションビジネス成功の秘訣、2つ目は顧客の固定化です。
自社のモノやサービスを利用してくれたユーザーがそのまま利用を継続してくれるよう工夫し続けることが必要です。
これは1度の利用で解約されてしまわないようにするということに他なりません。
たとえばユーザーに対して効果的なプロモーションや特典の付与などが手段として挙げられます。
ユーザーの動向など様々なデータを収集・分析して固定化を目指すにはどうすれば良いか施策を練りましょう。
状況に応じた変化
サブスクリプションビジネスには状況に応じて変化していく柔軟さが欠かせません。
重要なのはあくまでも顧客満足度です。その向上のために必要であればどんな大胆な変化も受け入れる必要があります。
サービスの形にこだわりすぎて柔軟な対応ができなかった場合、ユーザーは他のサービスへと流れていってしまうでしょう。
収集したデータを分析してユーザーが何をどう求めているかを常に意識し、サービスに反映させていくことが必要です。
サブスクリプションのメリット
サブスクリプションというビジネスモデルはどのようなメリットを与えてくれるのでしょうか。
数多くの企業が着目して次々に独自のサブスクリプションを展開している背景にはそれなりの理由があるはずです。
この項目ではユーザーと企業側それぞれの立場から見たサブスクリプションのメリットを検証します。
ユーザー側メリット
サブスクリプションのユーザー側のメリットとしてコストパフォーマンスの高さがあります。
定期的に一定の金額を支払うことによってサービスを自分のタイミングで自由に利用できることは大きな利点でしょう。
多くのサブスクリプションで、ユーザーは「何回利用すれば元を取れるか」を意識して購入・契約をしています。
ユーザーにとってコストパフォーマンスの良いサービスであるよう設計することが肝心です。
他にもユーザー側のメリットとしてはモノの管理コストの低減を挙げられるでしょう。
サブスクリプションビジネスのポイントはモノ・サービスの「所有」ではなく「利用」する体験を提供することです。
多くの場合ユーザーはモノを自分で管理する必要がないため、維持管理のコストは非常に小さくなるか0となります。
また気に入らなかった場合や求めていたサービスと違った場合、すぐに解約ができることも利点として挙げられるでしょう。
多くのサブスクリプションサービスでは申込用紙への記入など煩雑な手間がかかることはありません。
企業側メリット
サブスクリプションビジネスがもたらす企業側のメリットには利益の見通しの立てやすさがあります。
売り切り型の販売方法とは違って、サブスクリプションではユーザーに解約されない限り中長期的に売上げが発生し続けます。
そのため比較的容易に売上げの見通しを立てることができるでしょう。
契約者数の増減という最も重要な指標を判断材料にしてプロモーションの効果などを簡単に計測できることも大きなメリットです。
利用状況を詳細に分析することでユーザーの購買行動を数値として把握できることも利点の1つだといえるでしょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
サブスクリプションのデメリット
サブスクリプションというビジネスモデルには企業側ユーザー側共にデメリットもあります。
このデメリットと上手く付き合っていけるかどうかがサブスクリプション成功の鍵ともいえるでしょう。
この項目ではそれぞれの立場から見たデメリットについて詳しくご紹介します。
ユーザー側デメリット
サブスクリプションのユーザー側のデメリットには、たとえば必要のないものにも料金を支払わなければならないことがあります。
サブスクリプションサービスにはパッケージ販売が多いものです。
サービスの一部はまったく不要だけれど初めから一緒になっているから仕方がない、という場合が少なくありません。
ユーザー側としてはピンポイントで自分が求めるサービスのみを利用できた方がずっと利便性が高いといえるでしょう。
他にもデメリットとしてはコスト面の問題もあります。
手軽に利用できる便利なサービスの多さゆえ、ついついいくつも契約をしてしまって費用がかさむのです。
サービスは計画的に利用するように心がけましょう。
企業側デメリット
サブスクリプションの企業側のデメリットとしてまず挙げられるのは契約者数の確保と維持が非常に難しいことです。
自社のサブスクリプションサービスの利点をアピールしてユーザーを呼び込むためにはプロモーションの実施も必要です。
そうして獲得したユーザーにサービスを利用し続けてもらうためにも継続的な工夫を続けなければなりません。
常に顧客満足度を意識して新しいコンテンツの導入やプロモーション活動を行わなければユーザーが離れて行きます。
1度の利用で解約されてしまうことがないよう、常にサービスのブラッシュアップをし続けなければならない。
サブスクリプションは企業側に対して常にそんな手間と労力、そしてコストを要求するビジネスモデルです。
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サブスクリプションビジネスの将来性が気になったら
サブスクリプションビジネスの市場規模は増加の一途を辿っています。
購入・契約後もユーザーから継続的に利用してもらうことで収益を得るのがサブスクリプションです。
こうしたビジネスモデルを自社商品・サービスで展開していけないか検討に入っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
サブスクリプションビジネスの将来性が気になった方は、ぜひデジマクラスのコンサルタントに相談してみてください。
マーケティングのプロフェッショナルが親身になってお話をうかがい、適切なアドバイスをさせていただきます。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回の記事ではサブスクリプションビジネスの成功事例や定額サービスとの違いについて解説しました。
様々な業界・業種で広がりを見せるサブスクリプションは顧客満足度に重きを置いたデジタル時代の有力なビジネスモデルです。
魅力的なプロモーションの展開やサービスのブラッシュアップを通してユーザーの継続的な利用を促します。
今後もますます市場規模が広がっていくサブスクリプションビジネスから目が離せません。
本稿がサブスクリプションビジネスを深く理解するための一助となれば幸いです。