SaaSとは「Software as a Service」のことでクラウドサービスの1つです。
クラウド上でインターネット経由してソフトウェアが利用できます。
ユーザーはハードウェアやネットインフラを購入する必要がなくコストが抑えられます。
テレワークが進む日本において、会社や自宅以外からでもアクセスできるSaaSは魅力があるといえるでしょう。
SaaSで重要視されるKPIについて解説します。
目次
SaaSの特徴
SaaSとはユーザーがクラウド上にあるソフトウェアをインターネット経由で利用するサービスです。
今まではソフトウェア・サービスを利用する場合、ユーザーが必要なソフトウェアをダウンロードしなければなりませんでした。
しかし、SaaSはソフトウェアをダウンロードせずにインターネット経由で利用できる仕組みです。
ネット環境さえあれば場所を問わず誰でも利用できるため利便性が高くなります。
また、複数人が同時に編集もできるため効率的にデータ管理ができるのです。
そのためチームの中で認識相違をなくし確実に業務が遂行できるというメリットがあるのです。
SaaSにおいてなぜKPIが重要か
SaaSにおいてKPIが重要視されています。
KPIとは「Key Performance Indicator」の略で「重要業績評価指標」と呼ばれています。
マーケティングでは重要な経営指標であり、KGIとセットで用いられるものです。
KGIとは「Key Goal Indicator」の略で「重要目標達成指標」のことです。
KPIはKGIに至るまでの過程でどの程度達成できているかを示す指標になります。
例えば、KGIで売上前年比120%となど目標値を出しておきます。
そのためには月間契約件数は何件というようなKPIを設定するのです。
KPIはその進捗状況を検証し月間目標とどれくらい乖離しているのか、達成できない原因は何かを検証します。
目標値が当初予定の方向に進んでいなければ改善をしなければなりません。
KPIを設定するメリットは以下の通りです。
- 評価基準の統一
- 組織全体のモチベーション向上
- KPIに基づきPDCAサイクルを回せる
KPIは定量的数値を用いるため評価基準の統一が可能です。
組織全体で目標を設定することで社員のモチベーションが高くなります。
KPIを設定した後は改善点があれば修正など施しPDCAサイクルを回しさらに経過をモニターしてください。
PDCAとは「Plan(計画)」・「Do(実行)」・「Check(評価)」・「Action(改善)」の頭文字です。
PDCAは業務の効率化を目指し継続的な業務改善を促す上で欠かせない手法といえます。
こうしたKPIがなぜSaaSにおいて重要視されているのでしょうか。
理由は事業継続の意思決定・収益のシミュレーションが立てやすいことにあります。
具体的に見ていきましょう。
経営の加速/減衰に直結
SaaSにおけるKPIの指標を見る際に、目標としていた数値を大きく上回る場合は経営が加速していると判断します。
一方、以下の場合は事業の継続を再考すべき時かもしれません。
- 前年比で見た数値は上回っていても上げ幅が縮小傾向、あるいは下回る
- 翌年KPIの目標値を下げざるおえない
このように事業継続の意思決定にも判断材料としてKPIは活用されるため選定する際は十分注意しなければなりません。
甘い基準で選んでしまうと判断を誤り業績に大きな影響を及ぼす可能性が出てきます。
収益のシミュレーションが立てやすい
SaaSでKPIが重要視されるのは収益のシミュレーションが立てやすい点があります。
SaaSではKPIを測定することで事業の方向性が見えてきます。
KPIを活用すれば経営状況が把握できるためベンチャー企業が投資する際の指標にもなるのです。
企業が資金調達する際の指標としても利用されます。
マーケティング戦略の事例はこちら
KPIが重要なのはなぜか
企業は経営理念や将来のビジョンを見据えて売上アップ・経費削減など目標設定を行います。
その際、具体的な目標値を掲げて企業努力をするのです。
KPIは可視化するできるため企業の経営状況を上層部だけでなく会社全体で共有できます。
KPIをモニタリングすることで改善策を立案・実行することが可能になるのです。
またKPIは社員のモチベーションを維持するために重要な役割を果たしてくれます。
一方で、KPIは時間の経過とともに形骸化する恐れがあるため、社員の教育プログラムの一環として研修の機会を設けることが重要です。
それではKPIの重要性について具体的に解説します。
重要な経営指標である
KPIは業績管理評価の指標であり組織の目標を達成するのに必要不可欠なものです。
そのため施策の達成度合いの共有や意思統一が欠かせません。
プロセスが可視化できることで軌道修正がしやすいというメリットがあります。
適切な選定で事業のアウトプットが変わる
適切で実現可能なKPIを設定し施策を改善して行くことでアウトプットは大きくなります。
KPIでは信頼できる指標を作成し業績を正しく評価することが大切です。
KPIの選定がビジネス戦略の重要なカギになることを理解しましょう。
選定を誤ると事業のグロースがなされないことがある
グロースとはさまざまなデータを分析し改善を重ねながら商品やサービスを充実させることをいいます。
KPIの選定を誤ると正しい分析ができないだけでなく、事業のグロースができないリスクがあるのです。
ポイントはKGIを選定して成功要因の洗い出しをして定量的に選定するKPIを決めます。
ゴールであるKGIから逆算することで誤った選定を防ぐことができます。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
SaaSのメリット
SaaSはパソコンなどのデバイスにソフトウェアをインストールすることなく利用できるクラウドサービスです。
SaaSはクラウド上で提供されるソフトウェア・サービスなので、ソフトウェアを利用するデバイスが制限されません。
つまりインターネット環境さえあれば場所を選ばずどこからでもアクセスできるのが特徴です。
さらに、クラウド上で複数人が同時にソフトウェアにアクセスできため、効率的に編集・管理することが可能になります。
主なメリットとしては以下のようなものがあげられます。
- サービスを導入するまでの期間が短い
- コストを抑えてサービスを導入可能
- デバイスのストレージを気にしなくてよい
- セキュリティの面からも運営の手間がかかりにくい
ネット環境があればどこからでもアクセスできる
SaaSのメリットは場所を選ばずアクセスが可能なことです。
システム構築に必要なサーバーやソフトウェアなど情報システムを自社内で設置・運用するオンプレミスと異なります。
そのためテレワークをする方には大変便利です。
複数のチーム・複数の人数で編集や管理ができる
SaaSなら同じファイルを複数で見たり、編集したりできるため情報共有に最適といえます。
このように一つのファイルを、編集・管理できるのはパッケージ型ソフトウェアにはない特徴です。
導入までのスピードが早い
SaaSはクラウド上のソフトウェア・サービスをそのまま利用します。
わざわざシステムを開発したりパソコンなどのデバイスにインストールしたりしてセットアップする必要がありません。
サービスを利用開始しようと思ったら最短即日から利用開始できます。
手続きに時間をかける負担が少ないのもSaaSの優れた利便性といえるでしょう。
導入コストが安い
SaaSの最大のメリットは導入コストが安い点でしょう。
ソフトウェアを利用するためにパッケージの購入やネット環境を構築する必要がありません。
また、システム開発のための人件費や工程が抑えられるというメリットがあります。
サービス内容によっては費用が一部かからないものもあるようです。
SaaS業界で独自のKPIが用いられるのはなぜか
SaaSビジネスでは売り切り型(一回きりの収益発生)とは異なり、予想性の高いストック型ビジネスです。
売り切り型は過去の売上で測るのに対し、SaaSビジネスは契約が続く限り収益が確約されると考えます。
SaaSビジネスでKPIを見ていく場合の指標は、成長性・効率性・顧客継続性のカテゴリに分けて考えるのです。
これらのカテゴリに注目してKPIを見ればどの程度収益が見込めるか判断ができるため出資先の選定に利用されます。
マーケティング戦略の事例はこちら
KPI選定前に把握するべき選定軸
KPIを設定して事業のPDCAを回すためには、成功に繋がるKPIを選定します。
選定軸は事業フェーズと事業内容から判断します。
事業フェーズ軸
SaaSビジネスを考える時、フェーズによって重視されるKPIは異なります。
自社のフェーズを確認して最適なKPIを設定しましょう。
分析する目的が現状の把握とPDCAを回すことであれば、KPIデータの収集・KPI達成状況の可視化・情報共有になります。
事業内容とKPIの親和性
KPIはこれまでWebマーケティングと親和性が高いといわれてきました。
しかし、KPIには事業内容によって親和性のあるKPIがあれば、そうでないKPIがあります。
自社の事業内容に合ったKPIを設定すべきです。
例えば、営業部門であれば訪問回数や成約率、解約件数になります。
製造部門になると、稼働率や製造品数、不良品数などになるでしょう。
これまでは数値化できるものを指標としていたKPIも、顧客満足度や高感度といった数値化しにくいデータを用いるようになっています。
SaaSビジネスにおける各指標は?
SaaSビジネスの指標は成長性・効率性・顧客継続性の3つに分類されます。
一つずつ解説していきます。
成長性の指標
成長性の指標にMRRがあります。
MRRとはMonthly Recurring RevenueのことでSaaSビジネスにおける月間定額収益を指します。
企業の総売り上げのうちMRRが高ければ、毎月安定した売上が期待できるといえるのです。
次にMRR成長率は一定期間にどれだけ成長したかを測る指標です。
SaaSビジネスではMRRの成長率が事業拡大において重要視されます。
特に企業価値算定のベースになるため資金調達に影響します。
CMRRはCommited MRRのことで、1年契約など長期の契約により将来的に確約されたMRRのことです。
他には一定期間失ったMRRと獲得したMRRの比率の指標Quick ratioがあります。
さらに、アカウント当たりの平均収益ARRA(Average Revenue Per Account)などもあります。
効率性の指標
効率性の指標としてはLTV(Life Time Value)があります。
顧客生涯価値と呼ばれ、1人の顧客がサービスの開始から終わりまでどれだけの利益をもたらすか算出した指標です。
月毎の収益の平均を求めたものになります。
CACは顧客獲得単価と呼ばれ1顧客を獲得するためにかかった費用です。
企業はCACを下げる努力が求められます。
ユニットエコノミクスは1顧客当たりの収益性を指します。
CAC Payback Periodは顧客獲得コスト回収期間といい、利益を回収するのにかかる期間のことです。
期間が短いほど費用対効果が高いとされます。
次にバーンレートですが1ヶ月当たりでかかるコストを表します。
スタートアップ時は事業拡大に向けて資金を投入するためバーンレートは高くなりがちです。
顧客継続性の指標
顧客継続性の指標にはチャーンレートがあります。
チャーンレートは解約率のことでSaaSビジネスモデルではいかに解約率を下げるかが重要です。
新規顧客を増やしてもサービスレベルが低ければ解約されるリスクがあります。
チャーンレートには2種類あります。
- カスタマーチャーンレート
- レベニューチャーンレート
カスタマーチャーンレートは顧客数ベースでの解約率を測るための指標となります。
レベニューチャーンレートはカスタマーチャーンレートが顧客数ベースに対し、収益ベースで算出します。
その他には、ネットリテンションレートやネガティブチャーンなどさまざまな指標があるのです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ベンチマークとする数値
SaaS系企業はリモートワークの推進でニーズが高まっています。
上場企業では投資家向けに各種KPIを公表するところもあり、その数値をベンチマークにすることもできます。
ただし、サービスの対象が大企業向けか、中小企業向けかによっても数値が異なるため一律に比較は困難です。
KPIを活用するなら自社の実績値を出していくことで数値を把握し、今後どのように成長曲線が描けるか注目すべきでしょう。
マーケティング戦略の事例はこちら
SaaSのKPI選定で悩んだら
SaaSにおいてKPIが重視される理由は収益のシミュレーションが立てやすいことと経営の加速・減衰がわかる点です。
ただ、選定を誤ると出てくるデータの信ぴょう性も疑わしくなります。
SaaSのKPI選定でお悩みならデジマクラスへお問い合わせください。
KPI選定には会社のさまざまな情報を分析しながら進める必要があります。
ノウハウや知識も欠かせません。
デジマクラスなら安心して任せられる専門のスタッフがおります。
一度是非ご相談ください。
まとめ
SaaSでなぜKPIが重要視されるのか解説しました。
SaaSビジネスの成功のカギはKPI選定と言っても過言ではありません。
自社の事業内容にはどのようなKPIが必要か判断し最適化していきましょう。
ゴールを決定して自社の成功要因は何なのか検討してKPIを選定してください。
選定したKPIが想定通りのパフォーマンスをあげているか検証して事業を成長させましょう。