カスタマーサポートの品質を向上させたいという企業は多いのではないでしょうか。
そこで必要とされるのがKPIの設定です。しかし、カスタマーサポートにどのようにKPIを設定すればいいかわからない人もいるでしょう。
今回はそんなカスタマーサポートのKPI設定について、メリットや流れも含めて詳しく解説していきます。
目次
カスタマーサポートにはKPIの設定が大切
カスタマーサポートの主な業務は、既存顧客からのお問い合わせ・相談・苦情などに対応することです。
新規顧客獲得のためのサポートとは違い、既存顧客が自社商品やサービスを利用するために必要なサポートとなります。
そのため、カスタマーサポートは顧客満足度を高めLTV(顧客生涯価値)を向上させる重要な存在なのです。
LTVはLife Time Valueの頭文字を取ったもので、ある顧客が取引をはじめてから終わるまでの間にどれだけ利益をもたらすかを表す指標です。
企業と顧客との関係は、商品の購入やサービスの契約をすればそれで終わりというわけではありません。
その先のサポートが充実してこそ、既存顧客はリピーターとなりロイヤルカスタマーに育成することができるのです。
ここまでの説明で、カスタマーサポートの重要性がみえてきたのではないでしょうか。
しかし、カスタマーサポートは重要でもその評価指標がわからないという人も少なくありません。
そこで必要性が注目されているのが、「KPI(重要業績評価指標)」です。
KPIとは、最終目標を達成するために必要な定量的指標のことをいいます。
カスタマーサポートの業務を定量的指標で可視化することで、目標達成までの道のりを明確にすることができるのです。
カスタマーサポートで押さえておきたいKPIについてはこの後詳しくご紹介します。
カスマターサポートで大切な6つのKPI
カスタマーサポートで大切といわれるKPIですが、どのような項目を設定すればいいか悩む人もいるでしょう。
ここでは、カスタマーサポートで必要とされる6つのKPIをご紹介します。
一次応答時間
カスタマーサポートで大切なKPIには、一次応答時間があります。
一次応答時間とは、顧客からカスタマーサポートに問い合わせがあった「最初の」応答までの時間のことです。
カスタマーサポートで設定する一次応答時間のKPIの例をみてみましょう。
- 一定時間あたりの応答数
- 問い合わせから一次応答までの平均時間
問い合わせをしてから一次応答までの時間が長いと、顧客は不信感を抱くことがあります。
それが商品の不具合やクレームであれば、待たせることで相手に与える不信感は強くなるでしょう。
解決率
カスタマーサポートは、顧客が抱える悩み・トラブル・商品の不具合などを解決することが求められます。
そのため、カスタマーサポートのKPIとして解決率は重要な立ち位置です。
解決率は「解決数/問い合わせ件数」で割り出します。ここで大切になるのが、「未解決」「未着手」の案件です。
解決率の向上をKPIとして設定しますが、未解決・未着手の件数が多ければ顧客満足度の向上にはつながりません。
未解決・未着手を減らすことにもフォーカスをあてながら、解決率向上を目指しましょう。
解決にかかった時間
カスタマーサポートのKPIには、解決にかかった時間も大切です。
解決にかかった時間は、顧客が問い合わせをしてから解決までにかかった合計の時間をさします。
何度もやり取りをしている場合は、それらの時間を合計するということです。
最初の問い合わせから解決まで時間がかかるのは、顧客にとって負担となります。
顧客の負担は不満となり、解約率を高めることになりかねません。
そのため、解決にかかった時間をKPIとして設定する必要があるのです。
処理時間
処理時間とは、顧客対応にかかった時間のことをいいます。
先述した解決にかかった時間との違いは何か気になる人もいるでしょう。
解決までにかかった時間は、問い合わせから解決までの時間なのに対し、処理時間は1回あたりの時間のことです。
例えば電話での応対の場合、「電話応対時間+切電後の処理」がこれにあたります。
解決したかどうかに関わらず、1回の処理にかかった時間ということを押さえておきましょう。
この処理時間は、カスタマーサポート担当者の業務効率に関わる部分です。
特に切電後の処理は、ツールの活用などで時間短縮につながりやすいといえます。
エスカレーションの回数
カスタマーサポートのKPI設定には、エスカレーションの回数も考慮しましょう。
エスカレーションとは、現場の職員で対応できないことを上司に相談し支持を仰ぐことをさします。
カスタマーサポートの業務でも、担当者が対応しきれずエスカレーションすることは少なくありません。
しかし、エスカレーションばかりしているとそれだけ顧客を待たせることになります。
先述した「解決にかかった時間」が長くなるほど、顧客満足度の低下につながりかねません。
そのため、エスカレーションの回数を減らすことを指標に盛り込みましょう。
顧客満足度
顧客満足度も、カスタマーサポートのKPI設定として大切です。
ここでいう満足度とは、商品やサービスに対してではなくカスタマーサポートに対しての満足度を意味します。
満足度はアンケート・メールの返信内容・NPS(ネットプロモータースコア)で測定しましょう。
特にNPSは他者への推奨度を計るための指標として、カスタマーサポートの評価に活用されています。
カスタマーサクセスの事例はこちら
カスタマーサポートでKPIを設定するメリット
カスタマーサポートでKPIを設定することで、顧客にとっても社員にとってもメリットがもたらされます。
ここでは、カスタマーサポートでKPIを設定するメリットを2つみていきましょう。
サポート品質の向上
カスタマーサポートは、顧客をサポートするための重要な業務です。
KPIを設定してそこを目指していけば、自然とサービス品質が向上していくでしょう。
反対に、KPIを設定しないままでは「解決率を把握できない」「顧客を長時間待たせてクレームになる」といった事態になりかねません。
一次応答に時間がかかればかかるほど、顧客の不満は募る傾向にあります。
しかし、すぐに対応できる体制が整えばその不満は軽減するはずです。
「すぐにメールが返ってきた」「電話をかけたらすぐにつながった」というのは、顧客にとってわかりやすいサービス品質の向上といえます。
カスタマーサポートにおけるKPIは、サポートの品質向上だけでなく顧客満足度を高めることにつながると思って取り掛かりましょう。
社員のモチベーションアップ
カスタマーサポートでKPIを設定することで、社員のモチベーションがアップするというメリットもあります。
そもそもカスタマーサポートの業務は、「成約数」「売り上げ」のように結果を数字で表しにくいです。
また、顧客からの問い合わせは商品の不具合やクレームということも少なくありません。
行った業務に対する評価がされないとモチベーションの低下につながりやすい仕事といえます。
しかし、KPIを設定すればカスタマーサポートの業務の達成度を可視化することができるのです。
可視化することで仕事の評価がわかりやすくなり、モチベーションアップにつながるでしょう。
・サポート品質や顧客満足度の向上
・業務を可視化することによる社員のモチベーションアップ
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
カスタマーサポートのKPI設定の流れ
カスタマーサポートのKPI設定の流れをご紹介します。
流れをつかんで、効果的なKPIを設定しましょう。
KGIを決める
カスタマーサポートに限らず、KPIを設定する前に必ずKGIを決めなければなりません。
KGIとは重要業績評価指標のことで、達成すべき「ゴール」を意味します。
つまり、KGI(ゴール)に向かっていくために必要な道しるべがKPIということなのです。
KPIは中間指標としての役割を担うため、最初に決めるものではありません。
ゴール(KGI)を目指すために、迷子にならないための道しるべ(KPI)を考えると思ってください。
現状を把握する
KGIを決めたら、次は現状把握をしていきます。
現在の課題や問題点を洗い出しましょう。また、KGIを達成するために必要な要素も明確化していきます。
この作業は適切なKPIの設定に必要不可欠ですので、省かず丁寧に行うことが大切です。
適切なKPIを設定する
最後に、KGIを達成するために必要なKPIを設定していきます。
解決すべき現状やKGI達成のための要素は1つとは限りません。
そのため、KPIも複数項目設定していいことを押さえておきましょう。
設定の最初・途中・最後に、適切な設定ができているか確認してください。
カスタマーサクセスの事例はこちら
カスタマーサポートのKPIを設定する時の注意点
カスタマーサポートにはKPIの設定が大切ですが、ただ設定すればいいというわけではありません。
注意点を知らずにKPIを設定すると、途中でどこに向かっているか分からなくなることもあります。
そのような事態を避けるためにも、カスタマーサポートのKPIを設定する時の注意点を押さえておきましょう。
KGI達成につながるKPIを設定する
設定するKPIは、KGI達成につながるものでなければなりません。
そもそもKGIを達成するための道しるべとなるのがKPIです。
もしKPIがKGIとは異なるベクトルを向いていたらどうなるでしょうか。
これでは、せっかくKPIを設定してもKGIの達成にはつながりません。
KPIを設定したら、KGI達成につながるか必ず確認をしましょう。
無理なKPIは禁物
KPIを設定する時にやってしまいがちなのが、「高い目標をかかげてしまう」ということです。
KGI・KPIともあまりに現状とかけ離れた設定はしないように注意しましょう。
現状とかけ離れた無理な設定をすると、達成できないばかりか社員のモチベーション低下につながりかねません。
無理な設定をしないためには、自社に合ったKPIか確認しながら設定することをおすすめします。
成功した事例をそのまま真似ても上手くいくとは限りません。それは、それぞれの企業に適したKPIがあるからです。
KPIを設定する時は、「達成可能か」「自社に合っているか」ということを念頭に入れておきましょう。
カスタマーサクセスのKPIと混同しない
カスタマーサポートとカスタマーサクセスのKPIを混同しないように注意しましょう。
カスタマーサクセスとは、顧客の成功体験によってLTVを向上させることを目的とした活動のことです。
LTVの向上を目指すという目的は同じですが、アプローチ方法が異なります。
つまり、同じ目的地(KGI)を目指していても辿るべき道のり(KPI)は違うということです。
カスタマーサポートとカスタマーサクセスの関係性はこの後ご紹介します。
カスタマーサポートのKPIを達成するポイント
ここまでは、カスタマーサポートのKPIを設定する方法や注意点について解説してきました。
次に設定したKPIを達成するためのポイントをみていきましょう。
- 必要に応じて修正をする
- PDCAサイクルを回す
- カスタマーサポートのためのツールを活用する
KPIは設定したらそれを達成するためにひたすら頑張るというものではありません。
最終的なゴールに向かうためには、必要に応じて修正していくことが大切です。
そのため、短期間でPDCAサイクルを回すように計画を立てましょう。
もし軌道修正が必要な状況になったとしても、短期間でPDCAサイクルを回していれば早期に気づくことができます。
また、カスタマーサポートのためのツールを活用して可視化することもポイントの1つです。
カスタマーサポートとカスタマーサクセスの関係性
ここでは、カスタマーサポートとカスタマーサクセスの関連性についてご紹介します。
まずは、それぞれの目的を簡単に振り返りましょう。
- カスタマーサポート:既存顧客の問題を解決する
- カスタマーサクセス:顧客の成功を導く
カスタマーサポートは、顧客からの問い合わせによってサポートをするため受動的といえます。
一方で、カスタマーサクセスは顧客の成功体験のために能動的にアプローチをするものです。
双方の目的やアプローチに違いはあるものの、実は共通するものがあります。
それは、「顧客満足度の向上」と「LTVの向上」につながるということです。
顧客満足度向上のために攻めのサポートをするのがカスタマーサクセスを、カスタマーサポートに取り入れる企業も増えています。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
カスタマーサポートをカスタマーサクセスに活かそう
カスタマーサポートは、顧客のお問い合わせがあった時に対応をする受動的なアプローチだと先述しました。
しかし、そんな中でもカスタマーサポートをカスタマーサクセスに活かすことができます。
顧客をサポートしながら、成功体験に導くということです。
お問い合わせや不具合の連絡の際に、顧客に成功体験をしてもらいましょう。
例えば「問い合わせをしたらこんないい情報をもらえた」「問題解決だけでなく便利な機能を知ることができた」という体験です。
カスタマーサポートに連絡をした時点では、顧客はネガティブな感情を抱いていることも少なくありません。
しかし、そのサポートの中で成功体験を得られれば、リピート客となる可能性が高まるでしょう。
カスタマーサクセスの事例はこちら
カスタマーサポートのKPI設定で迷ったら
カスタマーサポートのKPI設定において、どのような項目にするか数値はどうするか悩む人は多いでしょう。
そんな時はデジマクラスのコンサルタントにご相談ください。
カスタマーサポートについて詳しいコンサルタントが、自社に適したKPIの設定をサポートさせていただきます。
まとめ
今回は、カスタマーサポートで大切なKPI設定についてご紹介しました。
顧客からのお問い合わせに対応をするカスタマーサポートは、顧客満足度に影響を及ぼす重要な役割をもっています。
KPIの設定によって、見えにくかったカスタマーサポートの評価を可視化することができます。
自社に合ったKPI設定をすることで、顧客満足度やLTVの向上を目指しましょう。
カスタマーサクセスの視点を取り入れていくことも大切です。
カスタマーサポートのKPI設定でお困りのことがあれば、ぜひデジマクラスまでご連絡ください。