日本の企業がリスティング広告を配信できるのは国内だけにとどまりません。
海外にもリスティング広告を表示させると自社の利益向上につながるメリットを得られます。
海外での広告運用を実施するためには必要な手順として、どのようなステップがあるのでしょうか?
この記事では海外リスティング広告を運用するまでのプロセスを紹介しています。
成功を収めるポイントや海外へのリスティング広告配信に使える媒体もチェックしましょう。
目次
リスティング広告の概要
検索連動型広告とも呼ばれるリスティング広告は、あるキーワードが検索されたとき自社の広告を表示するものです。
キーワードを指定して入札することで出稿できます。
Yahoo!やGoogleをはじめとした検索エンジンの検索結果で、上部にある枠が広告を配信できる場所です。
自然検索で上位を獲得するためのSEO対策はもちろん重要ですが、リスティング広告もマーケティング戦略に欠かせません。
出稿にかかる費用は広告のクリック回数に応じて決まります。目立つ枠に表示されるかを左右するのは主に以下の要素です。
- 上限クリック単価に設定した入札額
- 広告やLPの品質
- キーワードと広告の関連性
リスティング広告で成果を出すには単に高い金額でキーワードを買うだけでなく、戦略的な広告の作成が必要です。
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海外リスティング広告の魅力
海外の顧客に対しても効率的にアプローチしたいなら、海外向けのリスティング広告出稿が有効です。
現地に赴くことなく海外ユーザーに対して自社サービスをアピールできます。
SEO対策を練って成果を上げるには相応の時間と手間が必要ですが、リスティング広告なら短期間でのアプローチが可能です。
また検索エンジンはインターネットが日常利用されている国で広く普及しており、顧客となるユーザーの幅を広げられます。
・日本に拠点を置きながら海外のユーザーにアプローチできる
・検索エンジンは世界中で広く普及しており顧客の幅が広がる
海外リスティング広告実施のプロセス
海外向けのリスティング広告を出稿するには、どのような手順を踏めばよいのでしょうか?
成果を上げるには広告のクリエイティブを作成するまでの事前準備も重要です。
ターゲット国の決定
広告の言語や内容を決めるに当たって、まずはターゲット国の選定が必要です。
「ラテン語圏」「英語圏」といった大枠で決めてしまうと、国ごとに違う文化に対応しきれません。
国単位で広告を配信するエリアを決めると施策を定めやすくなります。
自社で外国語のページやサイトを作成しているのであれば、流入数やコンバージョン率の高い国を分析しましょう。
選定にはGoogleが提供しているキーワードプランナーやマーケットプランナーが役立ちます。
ターゲット国を決めるときに見落とされがちなのが現地の通信インフラです。
広告で使うページのサーバーが日本にある場合、インフラが整っていない国からアクセスすると表示までに時間がかかります。
クリックしてもサイトにアクセスできないまま、ページを閉じてしまうユーザーも出てくるでしょう。
サイトを閲覧できたかどうかに関わらず広告費用は発生します。
現地で実際に表示テストができない場合、最低限ターゲット国の通信インフラについて確認しておかなければなりません。
広告媒体のチョイス
リスティング広告を出稿する際に選定すべきものの1つが広告媒体です。
海外で媒体として使われる検索エンジンの中には、日本人にとってなじみが薄いものもあります。
ターゲットとして選定した国で利用される広告媒体の特徴を事前にしっかり調査してから選びましょう。
アメリカで使われる検索エンジンを知りたい場合「アメリカ 検索エンジン」と打ち込むのはおすすめできません。
シェア率の高い検索エンジンや概要についてのページは出てきますが、アプローチに十分な情報を得られない可能性があります。
現地の言葉で「Most used search engine in America」とすると、より詳細で正確な特徴をつかめます。
ターゲット国の検索習慣をリサーチ
日本では複数のワードを使うとき「潜在顧客 アプローチの仕方」など、単語とスペースを組み合わせて検索するのが一般的です。
しかし英語圏では「How to approach a potential client」のようにフレーズで検索します。
中国は複数の単語の間にスペースを入れずに検索するのが基本です。文化の違いが検索習慣にも表れる点に留意しましょう。
リスティング広告は出稿に当たって特定のキーワードを買う必要があります。
現地で検索されないワードを設定しても効果は見込めませんので、キーワード選定に検索習慣を反映するのがポイントです。
競合他社の分析
現地ユーザーが目にする競合他社の状況も運用を開始する前に入念な調査が必要な要素です。
ターゲット国に拠点があるライバル企業だけでなく、海外からアプローチしている企業についても調査しましょう。
どのようなサービスを提供しているかを知ることで、自社にしか出せない強みや満たしきれていないニーズの把握が可能です。
対象国で配信されている広告を調べると、現地の文化に即したクリエイティブやユーザーに刺さる文言のヒントも得られます。
いくつかキーワードを決めて出稿する検索エンジンでリサーチし、上位に表示されたサイトをピックアップすると効率的です。
クリエイティブの作成
デザインや色・テキスト配置といった広告のクリエイティブに対する嗜好も国によって変わります。
日本向けと同じクリエイティブで対応するのではなく、海外向け専用のものを作成しましょう。
日本人が「クールさ」を連想する青がフランスでは「自由」・アメリカでは「誠実」の象徴とされています。
LPの配色にも工夫が必要です。日本ではカラフルな色使いが人気ですが、アメリカでは同系色でまとめた配色を好みます。
階級制度や物事に関する価値観も嗜好に影響しますので、刺さる文言を採用するためにも調査が必要です。
広告運用の開始
準備段階を完了したら海外リスティング広告の運用を開始します。
海外に広告を出稿して達成したい目標とゴールを定めて評価を重ねるのが成功のポイントです。
目標が売上数の増加であれば具体的に数値を決め、KPIも細かく設定して項目別に基準を定めます。
Googleの場合だと海外向けのリスティング広告も、日本向けの出稿と基本的な手順は変わりません。
多言語の国をターゲットとする場合は言語選択で「全言語」を選ぶと潜在顧客の取りこぼしを減らせます。
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支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
海外リスティング広告を成功させるポイント
海外リスティング広告の効果を高めるには国内への出稿とは違った工夫が必要です。
重要なポイントを5つ把握しておきましょう。
翻訳はネイティブに依頼する
リスティング広告が成功するかどうか決める要素の1つが現地ユーザーから見た信頼性です。
翻訳機能を使った文章にはどうしても違和感が残るだけでなく誤訳のリスクもあります。
サービスや商品について実際とは違う情報や、誤解を与えかねない表現が使われていると信頼を得られません。
可能な限り現地のネイティブスピーカーに翻訳を依頼しましょう。
ビジネス文章を翻訳できる日本人でも正確な文章には訳せますが、現地ユーザーの信頼を得るにはネイティブの力が必要です。
スモールスタートから始める
海外に向けてリスティング広告を出すとき、最初から多くのキーワードを買うと効果が出なかったときのリスクが高まります。
初めは流入数やコンバージョン率の向上を見込めるワードに絞って、効果測定をしながら規模を大きくしていきましょう。
注意したいのが日本で高い成果を出しているキーワードを買っても成功するとは限らない点です。
ターゲット国の文化やニーズ・競合の状況を考慮して、適切なキーワード選定を行うと失敗が減ります。
スモールスタートで始めればリスクを最小限に抑えられROI(費用対効果)の向上も見込めるでしょう。
通貨を統一する
ECサイトに誘導する場合、海外用のアカウントでは現地の通貨と収益・支出の通貨を統一しなければなりません。
日本円と外貨が混在していると手動で換算する手間が増え管理がしにくくなってしまします。
1つのアカウントで複数のターゲット国に向けた広告を出している場合も注意が必要です。
キャンペーンの対象となる国が変わったときは管理画面から見られる通貨を変更しましょう。
通貨をそろえておくと効果測定もしやすくなり、今後の効果的な施策づくりにも役立ちます。
購買行動にも国民性が出る
国による文化の違いはインターネット上での購買行動にも表れる点に注意が必要です。
同じキーワードで検索しても国やエリアによって検索意図は変わってきます。
オンラインでは調べるだけにとどめ実際の購入は店舗でという場合、オフラインでの施策とからめた広告が有効です。
複数のサービスをオンライン上でよく調べてから購入する文化圏ではクリック率が高まります。
しかし即決するわけではないためコンバージョン率は低い数値にとどまるのです。
この場合は他社との差別化が可能なコンテンツをアピールするなどして、リピートを期待する取り組みが役立ちます。
広告を出稿するに当たり検索意図やカスタマージャーニーの把握は重要です。
国民性に合わせたキーワード選定やコンテンツ作成を行って効果の向上を目指しましょう。
現地の市場環境も把握する
国が変われば市場環境も当然異なってきますので、出稿に当たって事前の市場調査は欠かせません。
日本でニーズが高くマーケットを独占していたサービスが、アメリカでは全く売れないという可能性もあります。
ターゲット国で売れやすいサービスや競合の市場状況を確認しておきましょう。
季節ごとに変わるニーズも海外にリスティング広告を出すときにチェックしたいポイントです。
文化によって1年のイベントが違うため、複数の国に出稿する場合は特に慎重な調査をする必要があります。
検索エンジンのシェア率は国や地域で異なることに注意
海外にリスティング広告を出稿する際は、対象国における検索エンジンのシェア率を調査しましょう。
ターゲット国でよく利用される検索エンジンに出稿することで、より多くのユーザーに自社サービスをアピールできます。
主要国のほとんどで最も多く利用されているのはGoogle検索です。多くの国でBingも5%以上のパソコンユーザーに使われています。
しかし中国で最も使われているのはBaidu(百度)です。
他にもベトナムではGoogleに次いで自国のニーズに特化したCocCocが利用されるなど、国ごとにシェア率は変わります。
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利用可能な海外リスティング広告媒体
海外向けのリスティング広告を出せる媒体は以下の3つです。
- Google リスティング広告
- 百度リスティング広告(Baidu)
- Click Choice(NAVER)
- Yahoo!広告
Googleはほとんどの主要国で最もシェア率が高いため、中国のみに出稿する場合を除いて優先すべきでしょう。
Baiduは中国でシェア率No.1の検索エンジンです。NAVERは韓国でGoogleの次に多く利用されています。
Yahoo!は主に日本人の間で知名度が高いうえ、台湾や香港でも一定数のユーザーに使われている検索エンジンです。
海外の広告媒体を選ぶときに気をつけたいこと
海外リスティング広告を出稿する媒体の選定基準はシェア率だけではありません。
実際に自社が出稿・管理できるかも考慮して媒体を選びましょう。
管理画面の言語
Googleリスティング広告では管理画面が日本語に対応しており、日本からもアカウントを開設できます。
一方でYahoo!リスティング広告への出稿で使用するツール「Bing Ads」は対応言語が英語のみです。
Baidu(百度)は中国語・NAVER(Click Choice)は韓国語にしか対応していません。
自社に言語をマスターしている担当者がいなければ管理が難しいでしょう。
広告代理店に頼む場合も媒体の管理画面で使う言語によっては、依頼できない可能性がある点に注意が必要です。
出稿したい媒体の管理画面が操作しにくいと運用中の効果測定にも影響が出ます。
サポート体制
サポート体制が整っているかも海外リスティング広告を出稿する媒体を選ぶ上で重要なポイントです。
特に海外へ向けた広告出稿が初めてなら、サポートが充実しているかをよくチェックしておきましょう。
Google広告ではサポートの画面も日本語対応済みで初心者にもやさしい媒体です。
中国やロシアなどGoogleが普及していない国に配信しないのであれば、他の媒体は選択肢から外してもよいでしょう。
・管理画面でどの言語が使えるのかも考慮する
・サポート体制が充実しているかも判断基準に含める
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
海外リスティング広告で新たなビジネスチャンスを
日本国内から海外へと目を向ける1番のメリットはより幅広い層の顧客を獲得できることです。
海外にもリスティング広告を出稿して新たなビジネスチャンスを得ましょう。
日本以外の国で展開される市場も学べ、今まで持っていなかった視点をからマーケティングに挑戦できるのも魅力です。
海外向けのリスティング広告配信は利益の増加だけでなく、スキル面での発展にも役立ちます。
海外のリスティング広告を成功させたいなら
海外向けのリスティング広告で成果を上げるためには、現地の文化や背景を考慮した施策が必要です。
翻訳する人材の確保・対象国の嗜好に合わせたクリエイティブ作成など、初めてでは実現が難しい取り組みもあるでしょう。
デジマクラスのコンサルティングサービスでは海外リスティング広告出稿に関する悩みを相談できます。
これから日本以外の国でも市場を広げていきたいと考えているなら、ぜひ本ページのボタンからお問い合わせください。
まとめ
海外にリスティング広告を配信すると幅広い顧客を獲得でき、利益の向上を見込めます。
実施する際はターゲット国の選定や広告媒体の選定・現地に関する調査など、念入りな準備を行いましょう。
キーワードのチョイスや海外専用クリエイティブの作成を終えたら運用を開始します。
効果を高めるには違和感のない翻訳に仕上げる・国民性による購買行動の違いを考慮するといった工夫が必要です。
難しいと感じるポイントがあるならコンサルティングサービスも活用して、自社の海外SEMに取り組みましょう。