VRIO分析をご存じでしょうか?
1990年代に生まれたフレームワークです。
企業の経営資源の観点から構成されている分析手法ですが、経営資源の強みを知ることがVRIO分析を行う理由となっています。
経営資源とは何を指し、経営資源の強みと弱みとはどのような部分になるのか?経営者以外の私達も知る必要があるのです。
目的と分析のやり方などのポイントを解説していきます。
目次
VRIO分析のやり方を解説
企業の経営資源の競争優位性を分析するフレームワークが、VRIO分析になります。
自社の経営資源の強みを理解することにより、競争優位性を維持することが可能であるかを分析します。
競争優位性を維持できない場合はどのような対策を必要とするのかについて分析するための指標です。
VRIO分析はアメリカの経営学者ジェイ・B・バーニーが提唱した理論です。
- V:Value(経済的な価値)
- R:Rareness(希少性)
- I:Imitability(模倣可能性)
- O:Organization(組織)
の4つで構成されています。
4項目の経営資源は業界における優位性を示すものです。
優位性を確認することをVRIO分析では目的とし、分析を行っていきます。
VRIO分析のやり方について解説をしていきます。
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VRIO分析の意味
VRIO分析を行う意味として挙げられることは、自社が持つ経営資源の優位性を評価することができることです。
また自社だけではなく、他社の優位性も確認することにも活用ができます。
VRIO分析を理解するためには、前提条件となる3C分析への理解が必要です。
3C分析とは、市場競合などの外部要因を通じて、自社の戦略策定に活かすためのフレームワークのことを指しています。
3C分析における自社を分析する際に用いるのがVRIO分析です。
VRIO分析の活用で、他社と比べて圧倒的な競争優位性を持つ能力(コアコンピタンス)を最大限活かした経営戦略を行なえます。
VRIO分析を行う目的
企業においてVRIO分析を行う目的がなければ、他の分析手法でも構わないはずです。
なぜVRIO分析を行うのでしょうか?
VRIO分析を行う目的は、自社の内部要因を評価するためです。
VRIO分析で各要素を洗い出すことで、自社の内部要因についてどのくらい強みがあるのかを確認することができます。
そして、内部要因の競争優位性を維持向上させるためにVRIO分析を行います。
競争優位性となる要素を確認し、維持向上させるには、どのような戦略や対策が必要かを考えることに役立つでしょう。
ここで意識してもらいたいのが中小企業です。
中小企業は大企業にくらべてVRIO分析をより重要師する必要があるからです。
大企業の場合はだが久野広告費を投入したり極限まで薄利にして数を売ることで利益を上げる、大量生産の戦略をとってきます。
このような戦略では中小企業は勝ち目がありません。
だからこそ中小企業は競争優位になる商品を開発し、大企業との差別化を図る必要があるのです。
そのためにもVRIO分析を行い、結果をもとに商品やサービスを開発することで、競争優位や資源の最大活用が可能になります。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
VRIO分析のやり方
VRIO分析の目的や必要性を理解したところで、実際にVRIO分析を行う方法について解説していきます。
やり方を理解することで自社の経営資源に当てはめて、実際に分析を行うことが可能となります。
経済価値(Value)を分析・評価
自社の経営資源が市場で価値があるものと認識されているかを測る指標です。
保有している経営資源が経済的・社会的に価値を生み出していることを評価します。
経済的価値といっても金銭的なリソースではなく、マンパワーや建築物、機器類なども含めた考え方となります。
市場の機会に対して、付加価値を生み出す可能性があるかも必要です。
外部環境からの脅威へどれだけ耐えうる資源があるかも経済価値として必要になってきます。
これらの社内ソースをすべて含めたうえで、ピンチを最小限に食い止め、チャンスを最大限に活かせるかを考えます。
この時点でNGであれば、競争劣位と判断します。
希少性(Rarity)を分析・評価
自社の経営資源が希少価値があるかを判断する指標です。
市場において、希少性があるものかを調べ、他社と比較した場合、他社も保有している内部要因であれば希少性はありません。
希少性が高ければ他社の後発の市場参入も防ぐことができます。
他者が保有していない内部要因であれば、希少性が高いと判断することが可能です。
例えば、独自性の高い生産技術を提供し、それが顧客の購入理由であれば、それは希少性が高いことになります。
模倣困難性(Inimitability)を分析・評価
自社の経営資源が他社にとって模倣しやすいかどうかを分析します。
分析対象となる自社の内部要因を他社が模倣する際に、獲得コスト、開発コストなどを確認し、模倣しやすいかを確認することです。
模倣するコストが高く、採算に見合わない場合、模倣困難性があると判断できます。
模倣性が困難と判断する要因は以下の通りとなります。
- 歴史性
- 因果の曖昧さ
- 社会・政治などによる複雑性
- 特許等による制約
これらによって、模倣性が困難であると判断をします。
模倣性が困難な資源を有しているということが自社にとって評価される部分になるのです。
組織(Organization)を分析・評価
自社が持っている経営資源を有効活用できる組織体制であるかを分析します。
再現性のある状態で内部要因の強みを活用できる仕組みが構築できているかを判断します。
これまでのチェック「経済価値」「希少性」「模倣困難性」のある企業と分析しても活用できなければ意味がないのです。
事業の継続も難しいでしょう。
一部の人しか活用できず、再現性が不可能である場合は有効に活用できないと判断します。
組織体制の確立度合いや、意思決定の速さ、柔軟性などが分析対象になります。
VRIO分析を行う場合には抽出する経営資源はなるべく多い方が良いでしょう。
さまざまな角度から抽出することで、自箇所では思いつかないような強みが出てくることが期待できるからです。
そして逆に強みと感じていたことが強みではないこともあり得ます。
VRIO分析を行うことで本当の強みを抽出できます。
VRIO分析を行う際のポイント
4つの視点を利用することで、企業における競争優位性の維持と向上を図るのがVRIO分析です。
VRIO分析を行う際のポイントを確認していきます。
分析の目的を明確にする
VRIO分析は一覧表または、フローチャートを利用した分析を行います。
分析する経営資源について、個々の要素をすべてYES、NOではっきりと切り分けていきましょう。
内部要因の洗い出しを行い、それらの内部要因をVRIOの順で分析していきます。
分析の目的を明確にしておく必要があり、強みと弱みを明らかにします。
強み・弱みが明らかになったら活かす方法を考えましょう。
他社と比較する場合はターゲットが近い企業を選ぶ
他者と比較を行う場合は、ターゲットが近い企業を選ぶようにしましょう。
外部環境の分析を事前に行う必要がありますが、ターゲットが違っていては、希少困難性などの分析が難しいからです。
VRIO分析は競争優位であるかを確認することが目的ですので、ターゲットが近い企業を必ず選びましょう。
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VRIO分析のメリット
分析方法やポイントについて解説しましたが、VRIO分析のメリットについて解説します。
自社の強み・弱みを把握できる
VRIO分析を行うことで、自社の強みや弱みを把握することができるのです。
強みや弱みを知ることで、さまざまな戦略を展開することが可能になります。
強みを知ることは効率的な強化整備が可能になりますが、弱みを知ることで克服すべき点も明らかになります。
弱みというのは客観的に見て分析して改善していくのは難しいです。
VRIO分析であきらかになったことで取り組むことも良い方法ではないでしょうか?
戦略や対策を行うために有効です。
自社の競合優位性が分かる
VRIO分析は競合優位性を知る分析になりますので、競合優位性を知ることで、維持と向上を図ることが可能となります。
市場内での自社の商品やサービスが選ばれるための差別化ができているか理解できるので、今後の戦略に活かせます。
競合優位性は競合他社との争いの中で、勝ち抜くためには保ち続けていかなくてならないものです。
優れたポジショニングであるためにも、競合優位性が分かることは大切です。
VRIO分析のデメリット
VRIO分析のメリットについて解説しましたが、デメリットももちろんあります。
どのようなことがデメリットとして挙げられるのでしょうか?
経済価値の評価が難しい
自社の経済価値の評価をすることが難しいといわれています。
そもそもの経済価値とは何なのかを判定することが難しいといわれているからです。
分析の結果価値があると判断されても、市場評価が異なる場合もあります。
経済評価は社内ソース以外でも判断されますので、時代に応じた対応も必要になります。
分析作業に時間がかかる
VRIO分析には時間がかかるということが挙げられます。
時間がかかることにより、ビジネスチャンスを逃してしまう恐れがあるからです。
これは世の中の変化に応じて分析をしていくため、変化に合わせた分析を行うために起きてしまいます。
内部の経営資源について正確に分析を行うためには、分析対象の詳細分析を行うため、緻密に決めることが必要です。
変化に対応せずに分析を行ってしまっては、本来の意味通りの分析結果を得ることができません。
時間がかかってしまうことはしかたがないことなのです。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
VRIO分析の事例
VRIO分析の事例についてご紹介します。
VRIOに当てはめられた内容を確認し、自社でも同様の分析をできるようにしましょう。
UNIQLOの事例
UNIQLOのモットーは低価格で高品質な商品、これは経済価値に該当します。
企画から製造販売まで、自社で行うSPAモデルを構築していることが希少価値となります。
カジュアルウェアなのに高品質でリーズナブルであるという点とSPAモデルという部分が、希少性という部分に該当しています。
競合がマネできない部分であり、ここは企業にとっての強みの部分です。
UNIQLOは社員教育にも力を入れているので、組織構造の安定化という点で高評価ができます。
トヨタの事例
トヨタは自社工場を保有しているため、需要のバランスに合わせて生産台数などの柔軟に変更ができる企業価値があるのです。
トヨタの工場ではAIの活用を活発です。
希少性の高いAI搬送ロボットが導入されています。
トヨタには自社同時の生産方式「かんばん方式」が導入されています。
この方式は1960年代から続く歴史的・文化的な手法であり、膨大なコストを費やしても模倣することが難しいのです。
自社工場や生産方式という優れた経営資源を持ちつつ、組織的な統率を取ることに長けています。
創始者である豊田佐吉の考えを基本理念としたマネジメントや教育の徹底により、世界に通用する競争優位性を確立しているのです。
三井不動産の事例
三井不動産は日本橋に数多くのオフィスビルや商業ビルを保有しています。
これらの不動産は非常に価値があり経営資源の価値があるといわれます。
日本各地の一等地に希少性の高い不動産を数多く保有しているので、希少価値がたかいです。
歴史的にゆかりのある日本橋に不動産を保有することで、他社が膨大な資金を費やしても模倣することができません。
組織力もありますので、経営資源を有効に収益へと結びつけるノウハウを持つ組織です。
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VRIO分析で困った時は?
VRIO分析を知ることで、企業の内部要因を評価することが可能です。
分析評価をすることで、企業の強みや弱みを把握でき、どこに注力するべきかが分かります。
分析評価によって持続的な競争優位がある商品サービスを開発・提供することも必要となってきます。
このようなことを行うことで差別化を図ることができるからです。
VRIO分析について上手く活用できないと感じた場合はデジマクラスやコンサルタントなどに相談することをおすすめします。
VRIO分析で把握することができた競争優位性の高い強みを伸ばすこと、弱みについて改善をする方法などアドバイスができます。
分析結果を活かしきれない場合などは、相談をしてみましょう。
まとめ
経営戦略を立案するため利用するVRIO分析について解説しました。
当初は実務で活用することが難しいといわれたVRIO分析も、評価ツールなどの利用により有効性が認められています。
経営戦略の立案に有効なフレームワークであるといわれています。
VRIO分析を行う際のポイントやメリット・デメリットを理解して、企業の経営資源の価値を正しく算定できるでしょう。
効率的な経営戦略を立案する助けとなるでしょう。
活用方法などに不安がある場合はデジマクラスへ相談をしてみましょう。
有効活用できるアドバイスが手に入ります。