「シーズとニーズがいまいち区別がついていない」という方もいるのではないでしょうか。
シーズとニーズは似ているようで、大きく異なります。
そのため、それぞれの違いについてもしっかり理解しておくことが必要です。
今回は、シーズの見つけ方について紹介していきます。
シーズとニーズの関係性についても紹介していきますので、参考にしてください。
目次
シーズとニーズの概要
ここではシーズとニーズの概要について紹介していきます。
- ニーズとシーズの関連性
- ニーズ志向とシーズ志向の関連性
では順に紹介していきます。
ニーズとシーズの関連性
まずはニーズとシーズについて解説していきます。
ニーズとは、需要・欲求などの意味を持ち、消費者からみて根本的に解決したい欲求のことです。
そのため、基本的に消費者の欲求を満たすためにニーズのある商品やサービスを提供していきます。
他方シーズとは、日本語に直すと「種」のことで、その企業が持っている独自のノウハウや技術のことです。
ニーズとは異なり、消費者を対象とせずに独自の商品を作ることに重きをおいています。
ニーズとシーズは、対象が根本的に異なります。
ニーズの対象は消費者です。
そのため、市場調査を通じてどのようなニーズがあるかをまず洗い出す必要があるのです。
一方でシーズは、生産者が視点となっています。
シーズは、消費者の欲求を考慮せず、企業側の視点で開発した商品・サービスを提供するというものです。
例えば有名な企業であればAppleがあげられます。
ニーズ志向とシーズ志向の関連性
ニーズ志向とは、ある特定の消費者をターゲットとして提供されるもののことをいいます。
ニーズ志向の場合は、しっかり市場を調査した上で商品を販売するので、サービスが売れる可能性が高いです。
また、デメリットとしては、他の企業の製品となかなか差別化しづらいということがあります。
一方シーズ志向は、消費者のニーズは考慮せず、自社のサービスをメインに提供されるもののことです。
シーズ志向は、自社のノウハウやアイデアを元に製品を作成するので、他社と競合にはなりにくいといえます。
他方で、消費者に刺さらなければその製品が売れないということにもつながりかねません。
以上のようにニーズ志向とシーズ志向は、真反対の性質を兼ね備えている概念になります。
- ニーズは消費者視点
- シーズは生産者視点
シーズの見つけ方
ここではシーズの見つけ方について紹介していきます。
まずは次の過程を辿るといいです。
- 自社のシーズを洗い出す
- シーズの価値を分析する
特に自社のシーズを洗い出すことはじっくり行うようにしましょう。
自社のシーズを洗い出す
まずは自社のシーズを洗い出すことが先決です。
どの企業にも、自社の強みとなるものがあるはずです。
また、必ずしも特別である必要はありません。
様々な要素を掛け合わせた結果、自社のシーズが見つかるという場合もあるからです。
そのため、まずは自社のシーズを洗い出すようにしましょう。
次の観点で探してみるといいです。
- 他社と違うサービスや商品はないか
- 開発技術やノウハウで差別化できている部分はないか
些細なことでいいので、まずは出てきたものをリストアップしてみるようにしてください。
シーズの価値を分析する
シーズを洗い出したら、次はそれぞれの価値を分析してみるようにしましょう。
シーズの価値を分析して、シーズの優先順位をつける必要があります。
その際次の2点を意識して考えてみてください。
- シーズを事業化するだけの資金があるかどうか
- 世の中のトレンドは何か
この中でも「世の中のトレンドは何か」というところは非常に重要になってきます。
なぜなら時代に逆行した商品を作ったとしても、売れる可能性が非常に低いからです。
そのため、今どのようなライフスタイルを送っているか・何を使っているかなどは把握しておく必要があります。
その上で、自社のシーズに価値があるかどうか、深く分析してみるといいでしょう。
ニーズ・シーズの重要性
ここではニーズ・シーズの重要性について紹介していきます。
- まずはニーズ把握が大切
- シーズ分析はニーズ発想を支える
ニーズ・シーズのどちらが良くて悪いというわけではありません。
そのため、まずはニーズの把握をしっかりしていくようにしましょう。
まずはニーズ把握が大切
まずはどのくらいニーズがあるかを把握する必要があります。
そもそもニーズをある程度把握していなければ、いくらシーズの価値が高い製品を作っても売れにくいです。
売れないものを作り続けて、会社が倒産となってしまっては元も子もありません。
そのため、できるだけどのようなニーズがあるかを把握しておく必要があるのです。
まずは自分が参入している市場を分析していくことから始めるようにしましょう。
シーズ分析はニーズ発想を支える
シーズ分析を行うことで、ニーズ発想を支えることにもなります。
もちろんニーズだけでは、他の企業を出し抜くことは相当難しいです。
なぜならありきたりな商品になってしまう可能性が高くなってしまうからです。
そのため、他の競合を出し抜くためにもシーズ分析を行う必要があります。
ニーズを満たして、独自のエッセンスを詰め込むことで、一気に他のサービスと差別化をすることが可能です。
以上のことからニーズの分析を行い、自社の独自のシーズをしっかり分析するようにしましょう。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
ニーズとシーズに重要度の差はあるのか
ニーズとシーズの重要度についてもう少し深ぼっていきましょう。
結論からいうと、ニーズ志向の方が若干重要となってきます。
ただしどちらも重要ですので、どちらのエッセンスも必ず取り入れる必要があるのです。
では、まずはニーズ志向だけの場合について紹介していきます。
ニーズ志向だけの場合
ニーズ志向だけの場合だと、例えば次のようなメリットがあります。
- 消費者の需要に合わせた商品・サービスを作りやすい
- 需要に合わせた商品・サービスなので売れやすい
ニーズ志向の場合は、消費者が最も重要な存在となってきます。
消費者を第一に作成するため、消費者を満足させるような商品を作ることができます。
加えて、その分需要が高くもなってきますので、売れやすいです。
一方で次のようなデメリットも存在するのです。
- 差別化が図りにくい
- 競合が多くなり、競争が激しくなる
ニーズに合わせた商品を作成するため、どうしても他のサービスと似通ってしまいます。
そのため差別化が図りにくいというデメリットがあるのです。
加えて、ニーズに合わせる分、他のサービスも参入してきます。
そのため競争が激しくなり、結果的にモノが売れにくいということにもつながるのです。
ただ、総じて現代市場ではニーズを把握することなく、商品を作成しても購入されない確率が非常に高いです。
そのため、シーズ志向よりも少し重要度は高くなってきます。
シーズ志向だけの場合
シーズ志向の場合だと次のようなメリットがあります。
- 他の企業にはない商品・サービスを提供することができる
- 競争が激しくない
最も、自社のノウハウを元に売り出すことができるため、他企業にない情報を提供することができます。
その点、競合相手がそもそもいないので、競争は全く激しくないといえるでしょう。
他方、デメリットは「消費者が見向きもしなければ、全く売れない可能性が高い」ということです。
もちろん成功することができれば、Appleのように様々な人に購入してもらえます。
しかし、ニーズを無視して自社の強みだけで勝負することになるので、非常に難しいです。
その点、やはりある程度のニーズを知った上で、シーズ志向を取り入れる方が良いといえます。
ニーズ発想とシーズ発想の商品企画の特徴や注意点
ここではニーズ発想とシーズ発想において、商品企画の特徴や注意点を紹介していきます。
ではまずはニーズ発想の商品企画について紹介していきますので、参考にしてください。
ニーズ発想の商品企画
ニーズ発想の商品企画では、次のようなことを意識して企画する必要があります。
- 顧客が必要としているもの
- 顧客が不満に思っていること
ニーズ発想の商品企画は徹底的に顧客に寄り添います。
そのため、今顧客が必要としているものが何かを意識しておく必要があります。
加えて、顧客が何に不満に思っているかも知っておく必要があるのです。
ただし、顧客に寄り添うだけでは差別化ができないので、必ず他社との差別化は行うようにしてください。
シーズ発想の商品企画
シーズ発想の商品企画は、次の観点に着目します。
- 独自技術に着目して商品を作成する
- みんながあっと驚くような商品をイメージする
特に独自技術をいかに活かすかが重要です。
加えて、独自技術を使って革新ができるような商品を作ることができるかが重要です。
ただし、独りよがりになってしまう可能性もあるので、必ずニーズはある程度把握しておく必要があります。
- ニーズ発想の商品企画では何を消費者が求めているかが重要
- シーズ発想の商品企画ではいかに独自技術を生かすかが重要
シーズ志向のメリット・デメリット
ここではシーズ志向のメリット・デメリットについて紹介していきます。
まずはメリットから紹介していきますので、それぞれ参考にしてください。
メリット:独自の価値によりヒット商品を生み出す可能性がある
シーズ志向で圧倒的に強みになるのは、独自の価値です。
独自の価値を出していくことで、その業界自体を革新する可能性をも秘めています。
例えばAppleのiPhoneなどが良い例でしょう。
そのため、いわゆる一発逆転のような圧倒的なヒット商品を生み出す可能性があります。
デメリット:ニーズがなければ売上につながりにくい
いくら良い製品を作ってもニーズがないと売り上げに繋がりません。
シーズ志向の場合は、ニーズを無視して製品やサービスを作っているので尚更です。
そのため、蓋を開けると全く売れていないということにもつながりかねません。
以上のことからニーズがなければ売り上げにつながりにくいともいえます。
マーケティング戦略の事例はこちら
シーズ志向の事例
ここではシーズ志向の事例について2つ紹介します。
今回は、「iPhone」と「iRobot ルンバ」について紹介しますので、どちらも参考にしてください。
例:iPhone
iPhoneはAppleが発売しているスマートフォンになります。
Appleの創設者であるスティーブ・ジョブズの手によって開発された商品です。
スティーブ・ジョブズは、そもそもどのような商品が欲しいか消費者はわかっていないと考えていました。
そこで、革新的なアイデアをもとに、実際にiPhoneを作成し始めました。
その結果、ホームボタンや機能のシンプルさなど、様々な観点から他社企業との差別化に成功しています。
加えて、そのシンプルさが利用者に評価され、今では世界中で利用されるスマートフォンへとなったのです。
また2021年時点では、「GAFA」の一角として君臨するほどの大きな企業へと成長していきました。
もちろんiPhone以外にも、iPadやMacbookなど様々な商品を生み出し、成功させています。
例:iRobot ルンバ
iRobot ルンバは、設定を行えば自動で掃除を行ってくれるお掃除ロボットです。
普通の掃除機と比べて、次のような観点で差別化を図っているといえます。
- 手を使わなくていい利便性
- 掃除機のコンパクトさ
- AI搭載による自動化
これらは全て従来の掃除機の常識を一変するものだといえます。
例えば、掃除機は手で持って行うことが普通でしたが、そもそも手を使うことがありません。
加えて非常にコンパクトです。
そのため置き場所に困ることがありません。
さらにAI搭載しているので、自動で掃除を行ってくれる優れものです。
以上のように、掃除機の概念を一新した、シーズに成功した商品だといえます。
ルンバのように、従来の概念とは違う方法で対応できないか考えてみることも1つの手です。
支援実績やコンサルティングの詳細は、実績・事例紹介のページをご覧ください。
商品企画の場合に最適な発想方法は?
商品企画の場合には、まずはニーズを把握してシーズを追求することを意識してください。
いくらシーズがいいものであっても、全くニーズがないものであれば商品として売れない可能性が高いです。
せっかく予算を投入したにも関わらず、全く売れないということがあると、努力が水の泡になってしまいます。
そのため、まずはニーズをしっかり把握した上で、シーズを追求していくようにするといいです。
マーケティング戦略の事例はこちら
シーズの見つけ方で悩んだら
シーズの見つけ方については上記で紹介してきた通りです。
しかし、「自社のシーズとしての強みがわからない」という方もいるのではないでしょうか。
そんな時はデジマクラスまでご相談ください。
デジマクラスでは、シーズについて専門のコンサルタントが在籍しています。
加えて、あなたの企業状況を把握し、どのようなシーズがあるか診断することも可能です。
まずは弊社と一緒に、どのようなシーズがあるか棚卸しを行うようにしましょう。
ブランディング戦略の事例はこちら
まとめ
ここまでシーズについて紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ここまでのことについて簡単にまとめておきましょう。
- シーズは、企業側がニーズを抜きに生産者の視点で開発した商品・サービス
- 売れない可能性もあるが、圧倒的な差別化を図れる可能性がある
- ニーズを把握してシーズを追求していく姿勢が重要
まずはどのようなシーズが自社にあるか深堀していくようにしましょう。
また、ニーズをある程度把握した上で商品開発に取り組むようにしてください。
この記事があなたにとって参考になれば幸いです。